新衛生化学・公衆衛生学
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2015年03月12日
改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応表
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

『INTEGRATED ESSENTIALS衛生化学・公衆衛生学』を新刊移行。特長である基礎からのしっかりした解説を維持した、理解しやすい構成。最新の法規・統計に準拠したほか、近年重要視されつつあるレギュラトリーサイエンスに触れるなど、最新の話題も盛り込んだ。薬学教育モデル・コアカリキュラム[C11健康・C12環境]に対応。
第I章 衛生化学・公衆衛生学のめざすもの
I─1 衛生学・公衆衛生学および衛生化学の概念と歴史
1 衛生と衛生化学の概念
2 衛生学・公衆衛生学および衛生化学の歴史
3 これからの衛生化学・公衆衛生学がめざすもの
I─2 健康と疾病
1 健康と疾病の概念
2 環境因子と健康
第II章 食品と健康
II─1 栄養と健康
1 三大栄養素
A.三大栄養素の栄養価
B.三大栄養素の消化と吸収
C.三大栄養素の代謝
D.三大栄養素の相互変換
2 ビタミン
A.脂溶性ビタミン
B.水溶性ビタミン
3 無機質(ミネラル)
A.主要ミネラル
B.微量ミネラル(必須微量元素)
4 水
5 エネルギー代謝
A.栄養素の利用エネルギー
B.基礎代謝
C.食事誘導性熱産生
D.エネルギー消費量の測定
E.身体活動強度の指標
F.推定エネルギー必要量
G.計算による身体活動レベルの推定
6 日本人の食事摂取基準
7 日本人の栄養摂取状況
8 栄養の過不足と疾病
A.肥満とメタボリックシンドローム
B.高血圧
C.高脂血症(脂質異常症)
D.糖尿病
E.脳血管疾患
F.心疾患
G.悪性新生物(がん)
H.骨粗鬆症
I.老化
II─2 食品の品質と成分
1 食品標準成分表
2 食品の表示
A.食品の栄養表示
B.食品の品質表示
C.アレルギー食品の表示
3 特別用途食品と保健機能食品
A.特別用途食品
B.保健機能食品
4 遺伝子組換え食品
第III章 食品衛生
III─1 食品衛生の考え方
1 国際社会における食品衛生
2 わが国の食品衛生
3 輸入農作物の検査
4 HACCP制度
III─2 食品の生産、加工、保存にかかわる食品衛生
1 農薬の使用と残留農薬
A.農薬と農薬取締法・食品衛生法
B.農薬の安全性と残留基準の設定
C.有機農作物
D.農薬の種類
2 飼料添加物と動物用医薬品
A.飼料添加物
B.動物用医薬品
3 食品添加物
A.食品添加物概説
B.食品添加物の安全性
C.食品添加物行政
D.加工食品への食品添加物の表示
E.主な食品添加物
F.栄養補助食品用別枠食品添加物
4 器具・容器および包装
5 食器の洗剤
6 食品の変質と保存
A.腐敗
B.変質
III─3 食品汚染と健康障害
1 経口感染症と食中毒の発生状況
A.経口感染症と食中毒
B.経口感染症の発生状況
C.食中毒の発生状況
2 経口感染症による健康障害
A.細菌性経口感染症
B.ウイルス感染症
C.寄生虫・原虫症
D.狂牛病(BSE:牛海綿状脳症)と新型ヤコブ病
3 微生物による食中毒
A.細菌性食中毒
B.ウイルス性食中毒
C.経口感染症と微生物性食中毒の予防
4 自然毒による食中毒
A.動物性自然毒
B.植物性自然毒
5 汚染化学物質による健康障害
A.有機性汚染物質
B.無機性汚染物質
C.放射性物質
6 マイコトキシンによる健康障害
A.Aspergillus属の産生するマイコトキシン
B.Penicillium属の産生するマイコトキシン
C.Fusarium属の産生するマイコトキシン
D.Claviceps属の産生するマイコトキシン
E.その他のマイコトキシン
7 食物中の発がん物質
A.食品とがん
B.植物由来の発がん物質
C.加工・調理・摂取の過程で生じる発がん物質
D.発がん物質前駆体
E.食品由来化合物の発がん性
第IV章 環境衛生
IV─1 地球環境と生態系
1 地球環境の構造と組成
A.地球内部の構造と岩圏
B.水圏
C.気圏
2 生態系
3 生態系と物質循環
A.非生物的環境内での蓄積
B.生物的環境内での蓄積─生物濃縮
C.生態系における物質循環と生物濃縮
4 地球環境の保全
A.オゾン層保護
B.地球温暖化
C.酸性雨
D.環境放射線
E.海洋汚染
IV─2 水環境の衛生
1 生活用水の衛生
A.水とヒトの生活
B.上水道と水質基準
C.飲料水試験法
D.公共浴用水
2 下水処理
A.下水道
B.下水の処理方法
C.産業排水中の有害物質の除去
3 水質汚濁と防止対策
A.水域における自浄作用
B.水質汚濁指標
C.水質汚濁の法的規制
D.富栄養化
IV─3 大気環境の衛生
1 空気の成分と健康
A.空気の化学的組成と健康
B.空気中の主な汚染成分と生体影響
C.空気の物理的因子と健康
2 室内環境の衛生
A.温熱条件と生体
B.室内環境の保全
C.室内化学物質と健康
3 大気汚染と防止対策
A.大気汚染物質とその発生源
B.大気汚染の現状と影響
C.大気汚染物質の拡散
D.大気汚染物質の防止対策
E.悪臭・騒音・振動
IV─4 廃棄物処理
1 廃棄物と資源循環
2 廃棄物の種類と処理法
A.一般廃棄物
B.産業廃棄物処理
C.医療廃棄物処理
3 廃棄物対策
A.廃棄物処理法と循環型社会形成推進基本法
B.マニフェスト制度
C.廃棄物のリサイクル
IV─5 環境保全
1 環境汚染と公害
A.公害
B.公害防止対策の経緯
2 環境保全と対策
A.公害から環境保全へ
B.環境基本法
C.水質汚濁を防止するための法規制
D.大気汚染を防止するための法規制
E.環境保全にかかわる他の法律
F.環境保全に関する国際条約
3 化学物質の安全性と法規則
A.化学物質の事前審査制度と化審法
B.特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質管理促進法、化管法、PRTR法)
C.毒物および劇物取締法
D.労働安全衛生法
第V章 化学物質と生体影響
V─1 化学物質と健康
V─2 薬毒物・環境化学物質の体内動態
1 吸収
A.薬毒物の脂溶性、pKaと周辺環境のpH
B.粘膜からの薬毒物の吸収
2 分布
A.分布容積
B.分布を左右する因子
C.関門と輸送担体
3 代謝
A.薬毒物代謝の反応様式
B.薬物代謝酵素
C.薬物代謝の変化(代謝阻害、代謝促進)
4 排泄
A.薬毒物の尿中排泄
B.薬毒物の胆汁中排泄
C.薬毒物の唾液・乳汁中への排泄
V─3 薬毒物・環境化学物質の代謝と代謝的活性化
V─4 化学物質による発がん
1 化学発がんの機構
2 発がん性と遺伝毒性の検出法
V─5 化学物質の毒性と毒性試験
1 毒性の発現と種類
2 毒性発現の標的臓器
3 化学物質の毒性
4 化学物質に対する生体防御因子
5 化学物質の毒性試験
A.一般毒性
B.特殊毒性
V─6 化学物質の安全性評価と各種の基準
1 量─反応関係
2 無作用量と無毒性量
3 許容1日摂取量
4 実質安全量
5 許容濃度
V─7 化学物質による中毒と処置
1 急性中毒の診断
2 急性中毒の基本的処置
3 代表的な薬物の検出法
V─8 放射線の生体への影響
1 紫外線の生体への影響
2 電離放射線の生体への影響
第VI章 社会・集団と健康
VI─1 保健統計の種類と指標
1 人口統計
2 生命表と平均余命
3 疾病統計
VI─2 保健統計にみる日本の現状
1 人口動態統計
2 その他の死亡統計による指標
VI─3 疫学の方法と効用
1 疾病の発生とその要因(疫学の意義)
2 疫学の種類と方法
VI─4 疾病の予防
1 疾病予防の諸段階
2 感染症と予防対策
3 生活習慣病と予防対策
4 母子保健・学校保健
5 産業保健
6 その他の衛生対策
付表
参考書
索引
日本の薬学は、有機化学や衛生化学を出発点としてライフサイエンスや創薬科学の展開に、また医療や衛生への応用に貢献してきました。薬学の中では、健康や生活環境を対象とする衛生化学・公衆衛生学は、予防薬学の必須分野として薬学教育の共通科目に位置づけられてきました。一方、近年の薬学を取り巻く環境の変化に対応するため、新制薬学教育(6年制)がスタートし、予防薬学の領域もその体系を新たにしつつあります。この新体系においても、薬学的アプローチとして化学的視点に重きを置く衛生化学・公衆衛生学(衛生薬学とも呼ばれる)の特徴は、薬学を学ぶ若い諸君に受け継がれるべきものと考えます。
そのような学びに熱意をもって、前書INTEGRATED ESSENTIALSシリーズの「衛生化学・公衆衛生学」は刊行され、薬学の衛生教育をリードしつつ、25年の長きにわたり改訂を重ねてきました。その間、科学や技術の進展は著しく、また、新制薬学教育においても総合医療に関連して予防薬学への期待も増大しています。そこで、前書の装いを新たに、予防薬学の進歩を盛り込み、かつ新薬学教育体系(コアカリキュラム)の“健康と環境”への対応もより密にした薬学の教科書、「新衛生化学・公衆衛生学」を企画編集しました。
近年、予防と治療、食品と医薬品、生体成分と汚染成分などの区別が明確でない領域が拡大し、健康、栄養、食品、環境に対するとらえ方と対応は年と共に変わりつつあります。このため、衛生化学・公衆衛生学は予防薬学の主要部分ですが、治療薬学の基礎や実務にも関わりが深まっています。本書では、衛生・保健固有分野とともに、関連する医療や新規の問題もとりあげ、予防薬学の意義と考え方を新たに深められるよう努めました。
本書において心がけたことは、前書の発想を引き継ぎ、単なる知識の集積書にならぬよう、図表を多用し、用語の意味や由来、背景となる原理あるいは諸制度の確実な理解を促し、応用力を備えた“衛生の科学”を身につけられるよう努めたことです。しかし、紙数や時間の制約等により、十分にその意を尽くせなかったところがあるかもしれません。それらについては、本書を利用される諸氏の忌憚なきご意見を期待するところです。本書が、新制薬学生諸君の“衛生の科学”に対する興味を深く掘り下げることに役立ち、薬学に関連する専門職や薬剤師として活動する際、生きた知識の助けになることを願っています。
2011年春
大沢基保
福井哲也
永沼章
