正しい方法がわかる臨床基本手技DVDDVD-ROM(PC専用)
from The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評

NEJMオンラインの好評コンテンツ“Videos in Clinical Medicine”の日本語版パッケージDVD+ブックレット。基本的な10の手技についてスタンダードな方法を約90分のムービーで紹介する。適応、禁忌、絶対禁忌、相対的禁忌、合併症とその対処法も詳しく解説する。英語によるナレーションに日本語版テロップと、要点をまとめたブックレットを添付。【注意】本DVDは、DVD-ROM形式(PC専用)となっております。DVD-Video専用プレイヤーでは再生できません。
I 検査手技
1.胸腔穿刺 Thoracentesis <動画:8分51秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 準備
5 胸水の吸引
6 胸水の分析
7 合併症
2.腹腔穿刺 Paracentesis <動画:9分51秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 準備
5 腹腔穿刺
6 腹水の分析
・血清-腹水アルブミン勾配
・特発性細菌性腹膜炎
7 合併症
3.膝関節穿刺 Arthrocentesis of the Knee <動画:6分23秒>
1 適応
2 禁忌
3 準備
4 関節内吸引
5 トラブルと対処法
6 関節液(滑液)の分析
・グラム染色・培養検査
・細胞数と分類の検査
・結晶分析
・上記以外の検査
7 合併症
4.腰椎穿刺 Lumbar Puncture <動画:11分0秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 体位
5 解剖学的ランドマーク
6 準備
7 鎮痛・鎮静
8 腰椎穿刺
9 髄液初圧
10 髄液検体の採取
11 経過観察
12 合併症
II 治療手技
5.経鼻胃管挿入 Nasogastric Intubation <動画:7分17秒>
1 適応
・消化管の減圧
・経口薬の投与
・消化管出血
2 禁忌
・顎顔面外傷
・食道異常
・不安定な精神状態、気道防御反射低下
3 準備
4 挿管
5 胃管留置の確認
6 チューブの固定と吸引開始
7 合併症
6.気管挿管 Orotracheal Intubation <動画:11分50秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 準備
・鎮静・筋弛緩
5 手順
・トラブルと対処法
・挿管の確認
・チューブの固定
6 合併症
7.男性の尿道カテーテル留置 Male Urethral Catheterization <動画:9分23秒>
1 適応
2 禁忌
3 準備
4 カテーテル挿入の手順
5 トラブルと対処法
6 合併症
8.動脈ライン留置 Placement of an Arterial Line <動画:7分5秒>
1 適応
2 禁忌
3 準備
4 ラインの留置
5 合併症
9.中心静脈カテーテル留置 Central Venous Catheterization <動画:15分29秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 準備
・超音波ガイド下穿刺
5 手順
6 合併症
・機械的合併症
・血栓性合併症
10.裂傷治療の基本手技 Basic Laceration Repair <動画:12分39秒>
1 適応
2 禁忌
3 必要な物品
4 準備・前処置
5 縫合
6 経過観察
7 合併症
《DVD推奨動作環境》
■Windows
WindowsXP,WindowsVista インテルPentium 4 2.33GHz
AMD Athlon 64 2800+ クラスのプロセッサ
■Macintosh
Macintosh OS 10.4,10.5 PowerPC G5 1.8GHz以上のプロセッサ
インテルCore Duo 1.33GHz以上のプロセッサ
■オーディオ出力:内蔵または外付けDVD-ROMドライブ、メモリ:1GB以上
ビデオメモリ:128MB以上
“The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE”は世界中で一番読まれている医学雑誌のひとつです。この雑誌に採用された論文は、その後の診療の標準とされることが多く、いわば世界の標準、スタンダードといっても過言ではありません。
このたび、“The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE”のオンライン版であるnejm.orgで好評を得ている“Videos in Clinical Medicine”を日本語版パッケージにしました。診療の基盤である10の基本手技を取り上げ、合計93分のムービーと、解説の要約(冊子)を収録しました。
読者には「最新の論文を載せるNEJMのサイトで、なぜ基本手技のムービーを?」と思う方もいるかも知れません。実は、近年“The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE”は医学教育に対して非常に熱心に取り組んでいます。医学教育に関する原著論文や総説の掲載はもとより、臨床病理検討会や症例基盤型臨床推論まで、いろいろな企画を掲載しています。そして、知識のみならず、技能・技術の面でも貢献しようと考えたようです。“The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE”は、基本的な手技だからこそ、スタンダードな方法とその根拠を、それも視覚的に優れた媒体で示しました。ここで紹介した10の手技は、すべての診療科の臨床医にとって診療に不可欠な手技です。コツとポイント(skill)のみならず、安全・確実な施行(procedure)のための知識・技術が丁寧に解説されています。
研修医のセルフトレーニングに役立つことはもちろん、後進の指導に携わることの多い、各領域の臨床指導医にとっても、今一度基本に立ち返って知識と技術を確認する良い機会になります。自分の行っている手技が世界標準であることの確認にもなります。
“The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE”は、医学英語の教材としても利用されていることから、翻訳に際しては、できるだけオリジナルに忠実に、平易な表現を心がけ、ムービーのテロップは必要最小限のものとしました。不明な点は繰り返し見て、正しい方法を確実に身に付けて欲しいというのが訳者の願いです。
オンラインコンテンツを日本語化してDVDで紹介するという、あまり例のないわれわれの試みに快く賛同してくれた原著者に感謝いたします。
本書が診療技術向上、臨床教育の助けとなれば幸いです。
2009年5月
北村聖
医療過誤でなく、医療事故が世間から非難される時代である。成果に対して不確実であるはずの医療行為の結果がうまくいかなかったからといって医療従事者が責められるのは理不尽ではある。しかし、かつては「懸命にやってうまくいかなかったのだから仕方がない」と済まされていたことが、「どれだけ周到な準備をし、どれだけ基本に則った方法で行ったのか」を問われる時代になったといえよう。
本DVDは数年前から『The New England Journal of Medicine』誌のホームページ上のみで閲覧が可能になっていた Videos in Clinical Medicine(臨床手技解説)の中の10本を集めたものである。このDVDを利用すれば、わずか10分前後の視聴により、周到な準備をし、基本に則った方法で行ったと判断されることであろう。
筆者が研修医の頃の基本手技解説といえばアトラスブックであり、イラストで示される図はわかりにくいこともあった。本DVDでは、手技を患者(ボランティア?)に実際に施行しているところを録画してあるので、消毒の仕方、ドレープの掛け方、局所麻酔のかけ方といった、アトラスブックではイラストにされることのない、実は大切な基本手技をおのずと学ぶことができる。
このDVDで取り上げられているのは、(1)胸腔穿刺、(2)腹腔穿刺、(3)膝関節穿刺、(4)腰椎穿刺、(5)経鼻胃管挿入、(6)気管挿管、(7)男性尿道カテーテル留置、(8)動脈ライン留置、(9)中心静脈カテーテル留置、(10)裂傷治療の基本手技の10項目である。単なる手技解説に終始せず、適応、禁忌、合併症と対処法についても述べられている。手技の実施前に視聴することで、本当にその手技をやる必要があるのか、あるいはやってよいのか、トラブルが起きた場合に何をすればよいのかを予習することができる。解説音声は英語のままであるが、日本語字幕で表示してくれるので、かえって内容の把握が楽になっているようにも思われる。付録冊子は(やや文字の小ささを感じるものの)それだけで手技の解説本としても成立しそうである。
ただし、欠点も指摘せざるをえない。その最大のものは10項目しか手技が収載されていないことである。『The New England Journal of Medicine』のVideos in Clinical Medicineは2006年4月13日号の動脈ライン留置にはじまり、2009年1月29日号の血圧測定までこれまでに23本の題目が存在する。中には新生児の臍静脈カテーテル留置のようにかなり専門性の高い手技も含まれてはいるが、もう少し1本のDVDの中に収載されていてもよかったように思う。とくに、中心静脈カテーテル留置については内頸静脈からの手技(2007年5月24日号)のみの収載であり、鎖骨下静脈からの手技(2007年12月13日号)や大腿静脈カテーテル留置(2008年6月26日号)についてまったくふれられていないのである(続編での収載を検討中とのことであるが)。これらは一連のシリーズとして視聴できるよう配慮がほしかったところである。また、男性尿道カテーテル留置(2006年5月25日号)が収載されていて、女性尿道カテーテル留置(2008年4月3日号)が収載されていないのも不思議である。ただ、この点については、『The New England Journal of Medicine』自体も項目選択や掲載順番についてのポリシーが乏しいように思われる。
本DVDは、出典が世界でもっとも信頼される臨床医学雑誌『The New England Journal of Medicine』であるだけに、もっとも信頼できる手技教材となろう。本DVDがシリーズ化に際しては、より実地医家に利用しやすくしてもらいたいものである。
評者● 山田悟
臨床雑誌内科105巻2号(2010年2月号)より転載
