新てんかんテキスト
てんかんと向き合うための本
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 井上有史/池田仁 |
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ISBN | : 978-4-524-26483-4 |
発行年月 | : 2012年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 184 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
好評を博した「てんかんテキスト」の後継書。新しい薬の登場などにより診療が変わってきたてんかんについて豊富なイラストと共にわかりやすくまとめた。てんかんの基本から診断・治療まで、診療に関するあらゆる役立つ知識を盛り込み易しく解説。Q&Aでは患者や家族の疑問や不安に答える。医師、コメディカル、患者やその家族で共に読んでほしい1冊。
第1章 てんかんとは何か
1 てんかんとはどのような病気か
2 てんかんの原因
てんかんQ&A.1 発作を引き起こす急性の疾患は?
てんかんQ&A.2 遺伝子異常が分かれば治療できるのでしょうか?
3 熱性けいれん
第2章 てんかんの種類
1 てんかんの分類
2 てんかん発作の種類と特徴
てんかんQ&A.3 発作で脳は障害を受けますか?
てんかんQ&A.4 てんかん発作と間違えやすい発作はありますか?
3 子どものてんかん
てんかんQ&A.5 予防接種は受けても大丈夫ですか?
4 高齢者のてんかん
てんかんQ&A.6 認知症とてんかんは関係しますか?
第3章 てんかんの診断
1 てんかん診断のフローチャート
てんかんQ&A.7 どんな病院の何科を受診すればよいのでしょうか?
2 診察時のポイント(医師が必要な情報とは)
3 発作観察のポイントと記録法
てんかんQ&A.8 患者として普段何を記録しておけばよいでしょうか?
4 てんかんの検査
a.血液検査、尿検査
b.脳波検査
c.その他の生理検査、脳磁図
d.画像検査(CT、MRI、SPECT、PET)
e.神経心理検査
f.発達検査
g.その他の検査
てんかんQ&A.9 患者として、てんかん診療の進展に協力するにはどうしたらよいでしょうか?
第4章 発作以外の病気・症状
1 身体の病気・症状
2 てんかんと突然死
3 てんかんと高次脳機能
4 てんかんと心の病気
てんかんQ&A.10 てんかんや治療薬によって精神的に不安定になることはありますか?
5 てんかんと性格・行動
第5章 てんかんの治療
1 てんかん治療の目標と治療選択
2 発作の誘因とその対処法
3 薬物治療の基本
4 抗てんかん薬の種類(副作用とその対策を含む)
てんかんQ&A.11 副作用の心配をせずに使える薬はありますか?
5 血中濃度測定の意義・目的
6 薬物治療での注意点
てんかんQ&A.12 薬の相互作用とは何ですか?
てんかんQ&A.13 薬のために発作が増えることはありますか?
7 重積発作の治療
8 高齢者の薬物治療
9 これからの薬物治療
てんかんQ&A.14 ジェネリックはありますか? また、変更しても問題ありませんか?
てんかんQ&A.15 漢方薬や市販のサプリメントは治療に影響しますか?
てんかんQ&A.16 薬でてんかんが治ることはないのでしょうか? 薬を止めると再発しますか?
10 薬で発作が良くならないとき
11 外科治療の適応、術前検査
てんかんQ&A.17 内側側頭葉てんかんとは何ですか?
12 脳波に関連する特殊な検査
13 外科治療の方法
てんかんQ&A.18 外科治療を受けるにあたって注意することはありますか?
14 外科治療後の薬物治療
15 外科治療後の注意点と援助
16 食事療法
第6章 通院と入院
1 通院での治療
てんかんQ&A.19 忙しい担当医に病気や薬のことをうまく訊くにはどうすればよいですか?
2 入院での治療
3 医療費の助成
第7章 てんかんと発達
1 てんかんと運動発達
2 てんかんと言語発達
3 てんかんと精神発達
第8章 てんかんと保育・教育
1 てんかんのある子どもの「子育て」
2 てんかんのある子どもの保育
3 学校選び
てんかんQ&A.20 病気のことを学校へどのように伝えればよいでしょうか?
4 学校側の留意点
第9章 てんかんと仕事
1 どのような仕事ができるか
2 仕事に就く準備をする
てんかんQ&A.21 自動車やオートバイの運転はしてもよいのでしょうか?
3 仕事に就くための訓練
4 就職に利用できる機関・制度
第10章 てんかんと生活
1 発作への対応と介助の注意点
てんかんQ&A.22 発作があったとき、救急車を呼ばないといけませんか?
2 病気の告知
てんかんQ&A.23 祖父母が病気を理解してくれず困っています.どうしたらよいでしょうか?
3 家庭生活での注意点
4 外出・旅行時の注意点
5 スポーツにおける注意点
てんかんQ&A.24 てんかんで保険に入れますか?
6 結婚、妊娠、出産
てんかんQ&A.25 避妊薬は服用しても大丈夫でしょうか?
てんかんQ&A.26 母親にてんかんがある場合、授乳してもよいのでしょうか?
7 生活への援助と制度
8 ほかの病気になったとき、手術を受けるとき
付録 てんかんについてもっと詳しく知りたい人のために
1 てんかんの詳しい情報を得る
2 てんかんのある人と出会う
3 てんかんのある人を支える人・団体
4 災害に備えて
5 巻末資料
索引
本書は、「てんかんテキスト―理解と対処のための100問100答」の新版です。旧版は1991年に初版が、1999年に改訂第2版が出版され、てんかんという病気の理解、そしてこの病気をとりまく種々の問題に向き合うのに役立つ書籍として愛されてきました。しかし時代が進み、現在の医療事情や社会状況に合わない部分が多くなっていました。
とくに診断技術の進歩、治療法の進展が大きな変化です。画像診断の技術革新で、今まで分からなかったてんかんの病因がみつかるようになってきました。また遺伝子診断法の進歩は、まだ途上ではありますが、てんかんの診断に大きな変化を起こしつつあります。薬物治療では、最近5年間に4つの新薬が使用可能になり、これまでの薬と合わせて、より安全で効果的な治療の選択が可能になってきました。食事療法も見直されています。外科治療では小児への適用が広がり、また迷走神経刺激法などの新しい治療法も行われるようになっています。
一方、医療の構造も少しずつ変わっています。良い面も良くない面もありますが、時代に合わせて、より望ましい対処法を探っていかなければなりません。障害者を取り巻く福祉制度や道路交通法の改正などの大きな変化もありました。病気のある人や病気に関わる人の意識も変化してきているでしょう。2011年の大震災では、病気に取り組む姿勢を改めて問われました。
そこで執筆者を一新し、新たな知見や新しい薬の情報を盛り込み、最新のてんかん解説書として、医療関係者、てんかんのケアに関わる人、てんかんのある人とその家族、そしててんかんについて知りたい一般の人のために、新たに書き下ろしたのが本書です。
執筆に取り組んだのは、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター(旧・国立療養所静岡東病院)のスタッフです。毎日、てんかんのある人のケアに取り組む中で、多くの人に知っていただきたいと実感した項目を選び出し、役に立つ情報をできるだけ具体的に分かりやすく説明するように努めました。執筆者が多岐にわたるため、文体が揃わない部分や重複する箇所があるかもしれません。しかし、重複するのは本当に知っていただきたい内容だとご理解ください。なお、装幀は渡邉真介が行いました。
本書が、てんかんという病気の理解と克服に役立つことをこころより願っています。できれば今後も、時代に合わせた内容に調整していきたいと考えています。どうぞ皆様のご意見もお寄せください。
2012年春
井上有史、池田仁