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新臨床腫瘍学改訂第4版

がん薬物療法専門医のために

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 日本臨床腫瘍学会
ISBN : 978-4-524-26187-1
発行年月 : 2015年7月
判型 : B5
ページ数 : 764

在庫なし

定価16,500円(本体15,000円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本臨床腫瘍学会公式テキストの改訂第4版。がん薬物療法を行ううえで、知っておくべき知識を網羅。標準治療を決めたKeyとなる文献を記載、「副作用対策」や「遺伝カウンセリング」も盛り込んだ充実の内容。今改訂では全面的に見直しを行い、「キャンサーサバイバーシップ」の章を新設するなど、内容を大幅にブラッシュアップ。「がん薬物療法専門医」を目指す医師のみならず、がん診療に携わるすべての医療者必携の書。

【内容目次】
序章
I がんの分子生物学
 1 がんの発生と進展機構
  1.遺伝子異常と多段階発がん
  2.染色体・ゲノム異常
  3.シグナル伝達系
  4.細胞周期
  5.細胞死
  6.エピジェネティクスとテロメア
  7.ノンコーディングRNA
  8.浸潤と転移
  9.血管新生
  10.がん幹細胞
  11.感染と発がん
 2 分子解析法
  1.分子細胞生物学的解析法(ELISA法,ウエスタンブロット法など)
  2.遺伝子増幅法(PCR法,RT-PCR法,リアルタイムPCR法など)
  3.シークエンス解析,ゲノム解析,遺伝子多型解析
  4.遺伝子変異検査
  5.トランスクリプトーム解析
  6.プロテオーム解析
  7.バイオインフォマティクス
II 臨床腫瘍学の基礎
 3 がんの病因と疫学
  1.病因
  2.疫学研究の方法論
  3.がんの統計
 4 がんの予防と検診
  1.がんの予防
  2.がんの検診
 5 臨床試験
  1.がん臨床試験
  2.第I相試験,第II相試験
  3.第III相試験
  4.有効性と安全性の評価
  5.がん医療と臨床試験における倫理的原則
  6.臨床試験・臨床研究をめぐる知的財産権
  7.臨床試験・臨床研究をめぐる個人情報保護
  8.わが国の医薬品開発をめぐる規制
 6 がん診療・がん研究の社会的側面
  1.わが国のがん対策の動向
  2.わが国の保険診療体系とがんの医療経済学
 7 がんの診断
  1.がん診断へのアプローチ
  2.画像診断(CT,MRI,PET・核医学,超音波)
  3.内視鏡検査
   A)消化器内視鏡
   B)呼吸器内視鏡
  4.病理診断
  5.TNM分類
  6.バイオマーカー
   A)バイオマーカー
   B)バイオマーカーと個別化医療
  7.腫瘍マーカー
 8 外科療法
 9 放射線治療
 10 インターベンショナルラジオロジー(IVR)
 11 がん薬物療法
 12 造血幹細胞移植
 13 抗がん薬の薬理学
  1.薬物の開発(発見,スクリーニング,前臨床試験まで)
  2.薬物動態学・薬力学
  3.ゲノム薬理学
  4.ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)
 14 各種抗がん薬
  1.殺細胞性抗がん薬
   A)アルキル化薬,抗生物質
   B)白金製剤
   C)代謝拮抗薬
   D)トポイソメラーゼ阻害薬
   E)微小管作用抗がん薬
  2.内分泌療法薬
  3.サイトカイン
  4.分子標的治療薬
   A)分子標的治療薬
   B)小分子化合物
    (1)EGFR阻害薬
    (2)HER2阻害薬
    (3)BCR/ABL阻害薬,KIT阻害薬
    (4)mTOR阻害薬
    (5)ALK阻害薬
    (6)その他の受容体・シグナル伝達系阻害薬
    (7)血管新生阻害薬・多標的阻害薬
    (8)プロテアソーム阻害薬
    (9)エピジェネティクス標的薬
    (10)その他の小分子化合物(PARP阻害薬,HSP阻害薬)
   C)抗体薬
    (1)細胞表面抗原に対する抗体薬
    (2)抗EGFR抗体薬
    (3)抗HER2抗体薬
    (4)血管新生にかかわる分子に対する抗体薬
    (5)抗RANKL抗体薬
    (6)免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体・抗PD-L1抗体,抗CTLA-4抗体)
  5.その他の抗がん薬
 15 薬剤耐性とその克服
 16 がん免疫療法
  1.がん免疫療法
  2.免疫チェックポイント制御
 17 新しい治療戦略
III 臨床腫瘍学の実践
 18 頭頸部がん
 19 肺がん
  1.小細胞肺がん
  2.非小細胞肺がん
 20 中皮腫
 21 縦隔腫瘍
 22 乳がん
 23 食道がん
 24 胃がん
 25 大腸がん,肛門がん
 26 消化管間質腫瘍
 27 神経内分泌腫瘍
 28 原発性肝がん
   A)肝細胞がん
   B)肝内胆管がん
 29 胆道系がん
 30 膵がん
 31 腎細胞がん
 32 膀胱がん・上部尿路上皮がん
   A)膀胱がん
   B)上部尿路上皮がん
 33 前立腺がん
 34 胚細胞腫瘍(精巣・後腹膜・縦隔原発)
 35 子宮がん
  1.子宮頸がん・外陰がん・腟がん
   A)子宮頸がん
   B)外陰がん・腟がん
  2.子宮体がん・子宮肉腫・絨毛性疾患
   A)子宮体がん
   B)子宮肉腫
   C)絨毛性疾患
 36 卵巣がん・卵管がん・腹膜がん
   A)卵巣がん(上皮性・間質性悪性腫瘍)
   B)胚細胞腫瘍(卵巣)
 37 骨軟部腫瘍
  1.悪性骨腫瘍
  2.悪性軟部腫瘍
   A)手術適応のある肉腫
   B)進行・再発肉腫
 38 皮膚がん
   A)悪性黒色腫
   B)基底細胞がん,有棘細胞がん
 39 中枢神経系腫瘍
 40 内分泌がん
   A)甲状腺がん
   B)副腎皮質がん
   C)褐色細胞腫
 41 原発不明がん
 42 小児がん
  1.小児がんとは
  2.神経芽腫
  3.横紋筋肉腫
  4.白血病/リンパ腫
   A)急性リンパ性白血病(ALL)
   B)非ホジキンリンパ腫(NHL)
  5.その他の腫瘍
 43 造血・リンパ組織の腫瘍
  1.WHO分類
  2.急性骨髄性白血病(AML)
  3.急性リンパ性白血病(ALL)
  4.慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍
   A)慢性骨髄性白血病(CML)
   B)真性多血症(PV)
   C)本態性血小板血症(ET)
   D)原発性骨髄線維症(PMF)
   E)慢性好酸球性白血病(CEL),特発性好酸球増多症候群(HES)
   F)肥満細胞症(mastocytosis)
  5.慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患
  6.骨髄異形成症候群・骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍
   A)骨髄異形成症候群(MDS)
   B)骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)
  7.非ホジキンリンパ腫(NHL)
  8.ホジキンリンパ腫(HL)
  9.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
  10.多発性骨髄腫(MM)と類縁疾患
 44 HIV関連悪性腫瘍
   A)カポジ肉腫(KS)
   B)AIDS関連悪性リンパ腫(ARL)
   C)浸潤性子宮頸がん
 45 腫瘍随伴症候群
 46 悪性胸水・心.液・腹水
  1.悪性胸水
  2.悪性心.液,心タンポナーデ
  3.悪性腹水
 47 転移がんの治療
  1.骨転移
  2.脳転移
 48 抗がん薬の投与方法
  1.ポートの留置・管理
  2.髄腔内ならびにオンマヤ・リザーバーを介した薬物療法
 49 オンコロジックエマージェンシー
  1.上大静脈症候群,気道狭窄
  2.電解質異常(高カルシウム血症,低ナトリウム血症)
  3.脊髄圧迫
  4.消化管の閉塞,穿孔,出血
  5.泌尿器科的エマージェンシー
  6.腫瘍崩壊症候群
  7.発熱性好中球減少症(FN)
 50 副作用対策と支持療法
  1.がん薬物療法に伴う有害反応の対策
  2.B型肝炎ウイルスの再活性化とその対策
  3.性機能障害とその対策
  4.輸血療法
  5.栄養補給
  6.リハビリテーション
 51 緩和医療
  1.疼痛緩和と終末期医療
   A)疼痛緩和
   B)終末期医療
  2.その他の身体症状と症状緩和
  3.サイコオンコロジー
  4.緩和ケアチーム
 52 コミュニケーション
 53 キャンサーサバイバーシップ
 54 がん医療におけるチーム医療
 55 高齢者,思春期・青年期のがんとがん医療
  1.高齢者のがん
  2.思春期・青年期のがん
  3.がんと妊娠
 56 遺伝性腫瘍と遺伝カウンセリング
付録:記述統計
略語一覧
索引

改訂第4版序

 日本臨床腫瘍学会の前身である日本臨床腫瘍研究会は1993年に設立されましたが、当時より腫瘍内科医、臨床腫瘍医の教育は活動の大きな柱として位置づけられていました。1996年には日本臨床腫瘍研究会で編集した「臨床腫瘍学」がはじめて発刊され、1999年に第2版、2003年に第3版が発刊されています。2006年からは現在の「新臨床腫瘍学」が発刊され、改訂も3年ごとに行われ、今回の改訂第4版が発刊されるに至りました。通算すると第7版目の発刊となります。
 その間に日本臨床腫瘍学会も研究会から2002年に任意団体の学会へ、2005年にはNPO法人へと移行し、2015年6月からは公益社団法人日本臨床腫瘍学会として活動を開始しました。学会の形態が変わってもこの「新臨床腫瘍学」の発刊は、がん薬物療法専門医の認定、学術集会の開催とならぶ学会の大きな事業のひとつです。本書の内容をご覧いただければ臨床腫瘍学の急速な進歩が実感できると思います。さまざまな作用機序に基づく新薬が続々と開発されていますが、特に免疫チェックポイント阻害薬はこの3年間で大きく進歩した領域です。各がん腫ごとの治療方法も短期間のうちに大きく進歩しています。このような臨床腫瘍学の進歩に対応するためには、今後も3年ごとの改訂は必須です。
 本書は日本臨床腫瘍学会の教育委員会(石岡千加史委員長)が監修し、がん薬物療法専門医を中心とした第一線のがん医療の専門家が執筆を担当し、過去3年間で新しく標準的な治療や検査となったものを盛り込むとともに、すでに過去のものとなったものを整理しました。本書は日本臨床腫瘍学会が採用しているグローバル腫瘍内科カリキュラムに基づいて作成されています。[ESMO/ASCO Task Force on Global Curriculum in Medical Oncology:Ann Oncol 15:1603、2004(2010年改訂)、日本語訳は当学会ホームページhttp://www.jsmo.or.jp/authorize/doc/cal.pdfを参照]
 「新臨床腫瘍学」は、がん薬物療法専門医がはじめて認定されたのと同じ2006年に誕生し、改訂第4版を発刊するに至りました。一方、がん薬物療法専門医は2006年の47名から2015年月現在1,060名になりました。日本のがん医療を支えるにはまだまだ多くのがん薬物療法専門医が必要です。がん薬物療法専門医を目指しておられる先生方には、本書を活用していただき、専門医資格試験に合格されることを期待しています。

2015年7月
公益社団法人日本臨床腫瘍学会
理事長 大江裕一郎

 「新臨床腫瘍学」が新たに改訂され、改訂第4版が発刊された。本書は日本臨床腫瘍学会が編集している書籍であり、がん薬物療法専門医の認定、毎年行われる学術集会と並び、日本臨床腫瘍学会のもっとも重要な活動の一つと位置づけられている。本書は1996年に「臨床腫瘍学」が発刊され、その後、3年に一度のペースで改訂が続けられ、2006年から「新臨床腫瘍学」となった。以後も3年に一度の改訂が継続して行われており、多くの関係者、執筆者の皆様がかなりの時間をかけて執筆・改訂されていることが窺われる。その多大なるご尽力に敬意を表したいと思う。
 本書は、「がんの分子生物学」から始まり、「臨床腫瘍学の基礎」、「臨床腫瘍学の実践」までの3章、56項目から構成される。それぞれの項目はほとんどが5頁程度で、図表を含めて簡潔にわかりやすく解説してあることが特徴である。「臨床腫瘍学の基礎」では古くから使われている抗がん薬から最新の薬物までが網羅されており、「臨床腫瘍学の実践」では各臓器のがんの治療法が実践的に解説されている。また、各臓器の項目ごとに疫学(記述統計と病因・危険因子)が冒頭にまとめられており、きわめてよく練られた構成といえる。記述統計や略語が最後にまとめられている点は大変ありがたい。キャンサーサバイバーシップや遺伝カウンセリングなどについても的確にまとめて解説してあることにも敬意を表したい。がんが日本人の死因の1位となってすでに35年が経過した。がん研究の進歩はまさに日進月歩で、新しい診断・治療法が次々に開発されているのが現状である。本書が3年に一度の改訂を20年近くにわたって継続して行っていることは特筆すべきことであり、臨床腫瘍学の最新情報を的確に知りたいという臨床家、医学生にとって、本書はきわめて貴重な書といえる。
 わが国の医学教育では腫瘍学を系統的に教育している大学はそれほど多くない。私が愛用している内科学の教科書では腫瘍学の章が設けられているものの、必ずしも十分に記載されているとはいいがたい。一方で海外の教科書をみると、たとえば病理学の教科書である「ロビンス基礎病理学(第9版)」では、がんの病理学的特徴からがんの疫学、発がんの分子機構やがんと免疫に関する最新の知見にいたるまで詳細にかつわかりやすく記載してあり、医学生が腫瘍学の概略を学ぶためにきわめて優れた構成となっている。わが国ではスタンダードといえるような腫瘍学の教科書は決して多くない。本書がわが国の腫瘍学の実践書として今後も継続して発刊され、広く活用されていくことを期待したい。

臨床雑誌内科117巻6号(2016年6月号)より転載
評者●東京大学大学院医学系研研究科分子病理学教授 宮園浩平

9784524261871