書籍

形態と機能からみた呼吸器疾患

病態を読み解くメカニズム

  • 新刊

編集 : 平井豊博/岡田泰昌
ISBN : 978-4-524-24996-1
発行年月 : 2021年11月
判型 : B5
ページ数 : 336

在庫あり

定価9,900円(本体9,000円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

「呼吸器の形態と機能」という観点から呼吸器疾患を系統的に解説したわが国初のテキスト.各種検査は呼吸器の何をみているのか?どのような異常を評価できるのか?各疾患や病態において形態・機能はどのような異常を呈し,治療によってそれらがどう変化するのか?を具体的に示した.呼吸器疾患の病態理解を深め,より充実した臨床実践に役立つ一冊.

第T章 形態と機能から呼吸器疾患を捉える
 1.形態と機能から呼吸器疾患を捉えることとは
 2.呼吸器系の形態・機能の総論
 
第U章 呼吸器の形態評価とは
 1.胸部X 線
 2.胸部CT
 3.胸部MRI
 4.呼吸器内視鏡
 5.病理—肺の形態変容は機能変化を説明できるか?
 
第V章 呼吸器の機能評価とは
A 換気機能検査
 1.換気機能検査の呼吸生理学的背景
 2.スパイロメトリー
 3.肺気量測定
 4.呼吸抵抗測定
B ガス交換機能検査
 1.ガス交換機能検査の呼吸生理学的背景
 コラム 呼吸生理学の歴史
 2.肺拡散能
 3.動脈血ガス分析
 
第W章 形態と機能から呼吸器疾患・病態を診る・考える
 1.喘 息
 コラム 咳のメカニズム
 2.COPD
 3.肺 炎
 4.間質性肺炎
 5.急性肺血栓塞栓症
 6.肺高血圧症
 7.肺動静脈瘻
 8.肺悪性腫瘍
 9.睡眠時無呼吸症候群
 10.漏斗胸
 
第X章 トピックスで考える呼吸器疾患の形態と機能
 1.呼吸器の発生
 2.成長・発達と呼吸器疾患
 3.高齢者における形態と機能
 4.遺伝子変異と呼吸器疾患
 5.喫煙と呼吸器疾患
 6.新しいイメージングモダリティ@胸部4D-CT「呼吸ダイナミックCT」
 7.新しいイメージングモダリティAPET/MRI
 8.新しいイメージングモダリティB電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT)
 9.新しいイメージングモダリティCFG センサー
 10.新しいイメージングモダリティDバーチャル呼吸器内視鏡
 11.動物を用いた形態と機能研究—現状と課題
 12.呼吸器幹細胞研究とiPS 細胞研究の動向

序文

 本書は、学会会場で南江堂の方から、形態と機能の観点から呼吸器疾患をまとめてみる企画はどうだろうかと相談を受けたのが出発点でした。たしかに、呼吸器疾患について解説する書籍は多数ありますが、形態と機能を合わせた視点から、臨床だけでなく研究の立場からも含めて呼吸器疾患を広くまとめた書籍は思いつきませんでした。特に近年の画像解析技術の進歩なども踏まえると、一度ここでまとめることで若い医師や研究者の皆様方に広く本分野に関心をもっていただき、呼吸器の日常臨床や臨床研究・基礎研究に役立てていただけるのではないかと考えました。一方で、インターネットからの情報が豊富な近年では、特に若い読者にとっては、まとめられたテキストという存在はどうなのかと疑問に思う点もありましたが、出版社の方より呼吸器系の解説本については需要が高いことを指摘されて、あらためて、呼吸器疾患の多様性や複雑性、臨床や研究を行ううえでの病態生理を理解する必要性を認識した次第です。
 呼吸器疾患は、疾患の定義や診断において数値で簡潔・容易に表せない点が多く、また診療の過程においても常に病態生理を読み解く必要があり、本書がその一助になればと願っています。
 最後に、本書の作成にあたっては、企画して作業を開始した後に、未曾有の新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受け、刊行には当初の予定より大幅に時間を要してしまいました。
 コロナ禍の困難な中、執筆いただいた著者の先生方、編集協力の佐藤 晋先生、また、最初から最後まで真摯に粘り強く対応いただいた米田博史さん、菊池安里さんら南江堂の皆様に感謝申し上げます。
 本書によって、広く医療関係者や研究者、学生の皆様に呼吸器の病態生理について興味をもっていただくとともに、形態と機能を統合した視点から見ることによって呼吸器疾患の複雑で奥深い世界への理解を深め、さらに新しい研究テーマを見つけていただければ幸いです。

 2021 年10 月
 平井 豊博
 岡田 泰昌

 京都大学呼吸器内科学・平井豊博先生,国立病院機構村山医療センター内科・岡田泰昌先生の編集による『形態と機能からみた呼吸器疾患』の特徴として,三つをあげたい.
 1)本書は,呼吸器内科・病理科・放射線科などにおいて,その分野の第一人者が執筆されており,きわめて読み応えのある優れた内容をもっている.とくに「第X章 トピックスで考える呼吸器疾患の形態と機能」は秀逸である.「呼吸器の発生」「成長・発達と呼吸器疾患」「高齢者における形態と機能」「遺伝子変異と呼吸器疾患」「胸部4D—CT:呼吸ダイナミックCT,PET/MRI,電気インピーダンス・トモグラフィ(EIT),FGセンサー,バーチャル呼吸器内視鏡」「動物を用いた形態と機能研究―現状と課題」「呼吸器幹細胞研究とiPS細胞研究の動向」など,わくわくするテーマが満載されている.
 2)2000年代になって,それまで主役を演じてきた分子生物学の成果が個体の形態と機能にどのように反映されているのかが問われるようになってきた.つまり,分子レベルと形態・機能の融合=「integral biology」が現在の趨勢である.本書は,この「integral biology」が見事に具現された名著である.
 3)本書は,臨床医・研究者の両者にとって非常に有用な情報を含んでいるのみならず,臨床医から研究を志す動機になったり,すでに研究者になっている者にも新しい研究テーマを提供する.また,学生に本書を読ませることで,今後の進路として呼吸器関連分野を選択するモチベーションになることが期待される.
 万有引力の法則や,微分積分学など,独創的・革命的な業績をあげたアイザック・ニュートンが以下の名言を残している.「私たちは砂浜で遊んでいる子どものようなものである.目新しい貝や石を発見して,それで満足している.その背景には,無限の未知のものを含んでいる大海があるというのに」.私たちは,革新的な臨床・研究の実現に向けて今後邁進する必要があるし,その未来は開けている.一例をあげれば,数十年前には夢物語であったMRIやCTが,現在は臨床・研究に必須のツールとなっている.
 本書を読まれて「目からうろこ」の読後感をもたれた方も多いと思う.この傑出した内容の書物を「座右の銘」にしていただければ幸いである.

臨床雑誌内科130巻1号(2022年7月号)より転載
評者●大阪府済生会野江医療福祉センター 総長,京都大学名誉教授 三嶋理晃