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運動器リハビリテーションシラバス改訂第4版

セラピストのための実践マニュアル

監修 : 日本運動器科学会/日本臨床整形外科学会
編集 : 岩谷力/伊藤博元/藤野圭司/星野雄一/竹下克志
ISBN : 978-4-524-24178-1
発行年月 : 2018年6月
判型 : B5
ページ数 : 262

在庫あり

定価3,780円(本体3,500円 + 税)

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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

「日本運動器科学会運動器リハビリテーションセラピスト」研修認定資格の学会公認テキスト。セラピスト講習会に沿った教科書的内容および実地臨床で役立つ実際的な内容を網羅。今改訂では、介護保険の改定や運動器不安定症の定義・診断基準改定など、前版以降の変化に対応したアップデートを行った。

I章 運動器リハビリテーションとは
 1.運動器リハビリテーションとは
 2.高齢社会における運動器疾患−健康寿命の延伸に寄与する運動器リハビリテーション
 3.運動器リハビリテーションにおける診断と評価
 4.運動器疾患における機能低下の生活機能への影響
 5.併存症を持つ患者に対する運動
II章 運動器リハビリテーションのプロセス
 1.医療安全対策および事故防止(リスク管理)
  A.リハビリテーション医療による事故事例
  B.ヒヤリ・ハット報告の活用
  C.リハビリテーション医療におけるリスク管理
  D.事故の責任を問われるのはだれ
 2.リハビリテーション治療の流れ(リハビリテーションマネジメント)
  A.リハビリテーションマネジメントの考え方
  B.リハビリテーション医療の実際
  C.押さえておきたいポイント
  D.リハビリテーションの算定日数制限
  E.リハビリテーション実施計画書の書き方
III章 介護保険の仕組みと医療と介護との連携
 1.介護保険の仕組み
  A.介護保険制度導入の経緯
  B.介護保険制度の仕組み
  C.介護保険制度の推移
 2.地域包括ケアシステム
 3.医療と介護の連携
  A.介護保険でのリハビリテーション
  B.医療リハビリテーションから介護リハビリテーションへの流れ
  C.デイケア施設でのリハビリテーション
IV章 運動の仕組み
 1.解剖
  A.神経系統−電気信号の伝達経路
  B.筋・腱−運動を起こす
  C.関節−運動の中心
  D.骨−運動の軸
 2.生理
  A.筋力
  B.関節の動き
  C.立位バランス
  D.歩行
  E.運動の強度・負荷量
  F.脊椎のバイオメカニクス
 3.病態
  A.骨折
  B.捻挫,靱帯損傷
  C.筋・腱損傷
  D.筋力低下
  E.関節拘縮
  F.関節の痛み
V章 運動機能と生活の評価
 1.神経機能の評価
  A.神経障害(末梢,脊髄)
  B.感覚障害の評価
  C.腱反射
  D.特殊な神経異常
 2.痛みの測定
 3.筋・骨格系機能の評価
  A.関節可動域
  B.徒手筋力検査
 4.運動動作の測定
  A.タンデム歩行・タンデム肢位
  B.開眼片脚起立時間
  C.立って歩けテスト
  D.ファンクショナルリーチテスト
  E.10m最大歩行速度
 5.認知症の評価
 6.生活活動の評価
  A.基本的日常生活活動
  B.手段的日常生活活動
  C.要介護度判定基準
 7.生活の質の測定
VI章 認知症と運動器リハビリテーション
 1.認知症とは何か
 2.認知症の原因疾患と頻度
  A.アルツハイマー病
  B.レビー小体型認知症
  C.血管性認知症
  D.前頭側頭型認知症
 3.認知症の診断と評価
 4.認知症に運動器リハビリテーションは有効か
 5.認知症の運動処方の注意点
VII章 物理療法の実施法および適応と禁忌
 1.温熱療法
 2.寒冷療法
 3.超音波療法
 4.低出力レーザー療法
 5.電磁波療法
 6.電気療法
 7.牽引療法
 8.水治療法
VIII章 肢体不自由(運動器疾患と神経疾患)の運動療法
 1.運動処方の原則
  A.運動強度
  B.運動負荷量
  C.運動療法の実際
  D.水中運動
 2.関節可動域訓練(ROM エクササイズ)
  A.安静臥床時における拘縮
  B.外傷や術後の局所的不動化による拘縮
  C.麻痺による拘縮
  D.禁忌と注意
 3.筋力増強訓練
  A.筋収縮様式と筋力増強
  B.運動方法と筋力増強
  C.筋力増強訓練の方法
  D.禁忌と注意
 4.バランス訓練
  A.高齢者に対するバランス訓練
  B.小脳性失調に対する運動療法
  C.禁忌と注意
 5.歩行訓練
  A.下肢関節疾患,術後
  B.片麻痺
  C.脳性麻痺
  D.失調,不随意運動
  E.安静臥床による廃用
  F.禁忌と注意
 6.運動器疾患の運動療法
  A.片麻痺を伴う患者の運動療法
  B.神経筋疾患を伴う患者の運動療法
  C.認知症を伴う患者の運動療法
IX章 ロコモティブシンドロームと運動器不安定症
 1.ロコモティブシンドロームの概念が提唱された背景
  A.運動器疾患患者数は多く,重複罹患が多い
  B.ロコモティブシンドロームの要因は相互に関連しながら緩徐に進行する
  C.筋力の強化は運動機能を向上させ,運動器疾患を予防・改善する
 2.ロコモティブシンドロームの特徴
 3.ロコモティブシンドロームのリスク評価・判定法−ロコチェック・ロコモ度テスト
  A.ロコチェック
  B.ロコモ度テスト
 4.ロコモ対策としてのロコモーショントレーニング
 5.運動の注意事項
 6.ロコモティブシンドロームと運動器不安定症
X章 アスレティックリハビリテーション
 1.アスレティックリハビリテーションとは
 2.スポーツ外傷・障害
  A.スポーツ外傷・障害の分類
  B.スポーツ外傷・障害の定義
  C.スポーツ外傷・障害の発生要因
  D.スポーツ外傷・障害の予防
 3.アスレティックリハビリテーションの内容
  A.アスレティックリハビリテーションの留意点
  B.アスレティックリハビリテーションの流れ
 4.コアトレーニング
  A.アスレティックリハビリテーションにおけるコアトレーニング
  B.段階的なコアトレーニング
XI章 上肢のリハビリテーション
 1.肩関節
  A.五十肩(肩関節周囲炎)
  B.腱板損傷
  C.上腕骨近位端骨折
 2.肘関節
  A.骨折などの外傷後拘縮
  B.野球肘
  C.上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
 3.手,手関節
  A.腱損傷
  B.関節リウマチ
  C.骨折・拘縮
  D.麻痺手
XII章 下肢のリハビリテーション
 1.股関節
  A.人工股関節全置換術(THA)後
  B.大腿骨近位部骨折
  C.変形性股関節症
  D.大腿骨頭壊死症
 2.膝関節
  A.人工膝関節全置換術(TKA)後
  B.変形性膝関節症
  C.半月板損傷
  D.靱帯損傷
  E.膝蓋骨骨折
 3.足部
  A.足関節捻挫
  B.アキレス腱断裂
  C.肉離れ
XIII章 脊椎のリハビリテーション
 1.頚椎
  A.頚部痛
  B.神経根症
  C.脊髄(頚髄)症
  D.手術後
  E.頚椎装具の使い方
  F.脊髄(頚髄)損傷
 2.胸椎
  A.側弯症の装具・体操
  B.骨粗鬆症圧迫骨折の保存治療
 3.腰椎
  A.腰痛症の生活指導(生活,腰痛体操)
  B.腰椎椎間板ヘルニア
  C.腰部脊柱管狭窄症
  D.コルセットの処方
  E.杖の有用性
  F.職業性腰痛への対応
XIV章 切断,装具,杖,車いす
 1.切断・義肢
  A.切断部位
  B.切断術後のリハビリテーション
  C.義肢
 2.装具
  A.上肢・手の装具
  B.下肢装具
  C.体幹装具
  D.装具処方の実際
 3.杖
  A.松葉杖
 4.車いすの種類と適応指針
  A.手動型車いす
  B.電動車いす
付録
 1.関節可動域計測法
 2.徒手筋力検査(MMT)
 3.運動器リハビリテーション実技プログラム(3ヵ月)
 4.内科的併存症の管理と運動器リハビリテーション
 5.JKOM(Japanese knee osteoarthritis measure)2004
 6.ロコモ25
 7.JLEQ(Japan low-back pain evaluation questionnaire)
 8.健康日本21(第2次)
 9.健康づくりのための身体活動基準2013
 10.Mini-Mental State Examination(MMSE)回答用紙
 11.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)検査用紙
和文索引
欧文索引

序文

 「運動器」とは、体を動かす臓器・器官の総称で、呼吸器や循環器などと同じ範疇の表現であり、骨、関節、筋肉、腱、神経など、体を支えたり動かしたりする臓器をまとめて呼ぶ名称です。ギリシアの哲学者アリストテレスが“Life is motion”(生きていることは動いていることだ)と述べているように、日々の生活は体を動かすことによって紡がれているともいうことができます。
 運動器の疾患を有する患者さんは身体運動が制限されることになり、仕事、外出、家事などの日常生活動作が困難になり、旅行や趣味の活動にも支障をきたすようになります。さらに病状がすすめば、食事、排泄、入浴といった最も基本的な生活動作さえも自力ではむずかしくなり、特に高齢者においては運動器疾患が寝たきりや要介護の原因の一つともなっています。運動器疾患を持つ患者さんの心身機能と生活の活動性向上を図る治療が、運動器リハビリテーションといえます。
 一方、超高齢社会を迎えたわが国では健康寿命の延伸が重要な課題となり、この健康寿命に大きな影響を与えているのが運動器の障害であるという認識が広まってきています。このような重要な運動器疾患治療のためには、運動器リハビリテーションの知識・技術を高めるための研修が必要であるとの認識を持ち、平成18(2006)年2月から日本運動器科学会(当時名称:日本運動器リハビリテーション学会)は、運動器リハビリテーションの臨床現場で、直接患者さんの指導、相談にあたる運動器リハビリテーションセラピストの研修会を開催しています。
 この度、日本運動器科学会、日本臨床整形外科学会の監修のもとに改訂第4版が発刊される運びとなりました。今回の改訂では、介護保険の改定や運動器不安定症の定義・診断基準の改定など、前版以降の変化に対応した内容のアップデートと見直しを行いました。本書を執筆していただいた諸先生に心より御礼を申し上げます。
 このシラバスによってセラピストの皆様の研修がより充実したものとなり、さらに日常診療の実践におけるガイドとなることを、期待する次第です。

2018年5月
編集者代表 岩谷力

 われわれ運動器疾患の診療に携わる者にとって、リハビリテーション実践のためのガイドブックというべき本書『運動器リハビリテーションシラバス−セラピストのための実践マニュアル』が南江堂から上梓された。
 今回は改訂第4版であるが、初版は2007年に刊行されている。11年余りをさかのぼって初版の刊行当時を振り返ると、運動器疾患診療の体系が形作られていく、そのような時代であったように思われる。2006年4月にリハビリテーション料改定により、診療報酬の中に新たに運動器リハビリテーションの項目が取り入れられた。運動器不安定症という疾患概念が定められたのも2006年である。2007年は、日本整形外科学会がロコモティブシンドロームの概念を提唱し、わが国の整形外科診療の方向性を示した年であった。
 2007年当時は、運動器リハビリテーションの概念があいまいであった。そこで、日本運動器リハビリテーション学会(現・日本運動器科学会)が中心となり、運動器系のリハビリテーションの体系を、実践を最優先してまとめあげ、本書の刊行にいたった。
 本書は初版の刊行以降、三度の改訂が行われている。運動器疾患関連の成書は数多くあるが、本書のように短期間に改訂が繰り返される書籍はめずらしい。本書が時代の変化に、そのつど適切に対応してきていることがわかる。事実、診療報酬の改定は2年に一度、介護報酬改定は3年に一度行われている。これに加え、2015年には運動器不安定症の定義・診断基準の改定がなされた。臨床の現場で使用される実践マニュアルである以上、これらの医療制度の見直しに対して迅速に対応する必要があり、読者もそれを求めている。本書は、見事に医療制度改定のニーズに答えており、最新の実践マニュアルとしての地位を確固たるものにしている。
 2010年の改訂(第2版)では、「ロコモティブシンドロームと運動器不安定症」、「アスレティックリハビリテーション」が新章として追加された。2014年の改訂(第3版)では、「介護保険の仕組みと医療と介護との連携」、「認知症と運動器リハビリテーション」、「切断、装具、杖、車いす」の内容を章として独立させた。そして今回の第4版では、介護保険の改定や運動器不安定症の定義・診断基準改定のアップデートを行っている。
 編集には、日本運動器科学会および日本臨床整形外科学会の運営において中心的な役割を果たされている岩谷力先生(長野保健医療大学)、伊藤博元先生(日本医科大学名誉教授)、藤野圭司先生(藤野整形外科医院)、星野雄一先生(栃木県立リハビリテーションセンター)、竹下克志先生(自治医科大学)があたり、運動器疾患の診療に携わる医師やセラピストなどにとって必須の項目を精選している。執筆者は全25名の運動器疾患診療の専門家であり、その道のスペシャリストたちがそれぞれの項目を解説している。
 本書を手に取ってみると、その素晴らしさをすぐに実感できる。まず、「医療安全対策」に関連する章では、事故事例が提示され、訓練室での患者とセラピストとの会話が聞こえてくるかのような臨場感あふれる記載にひきつけられる。そして、運動器リハビリテーションを、「部位別」、「疾患別」、「認知症」、「アスレティックリハビリテーション」、「介護保険」という異なった視野から解説している。運動器リハビリテーションの留意点について、そのエキスパートたちが苦労して習得してきたエッセンスが簡明に解説されている。本書によって、運動器リハビリテーションのコツ、ポイントについて、きわめて多くの情報を効率的に得ることができる。
 本書は運動器リハビリテーションセラピスト研修認定資格の学会公認テキストである。初版の精神を引き継ぎ、セラピスト講習会に沿った教科書的内容および実地臨床で役立つ実際的な内容を網羅する形で構成されている。実践的かつ専門的な本書は、安全・安心、確実な運動器リハビリテーションを行ううえでのよきナビゲータであり、運動器疾患診療に携わる医療者にとって最良の手引書であると確信する。

臨床雑誌整形外科69巻13号(2018年12月号)より転載
評者●筑波大学整形外科教授 山崎正志