日本整形外科学会診療ガイドライン
上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019改訂第2版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 日本整形外科学会/日本肘関節学会 |
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編集 | : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン策定委員会 |
ISBN | : 978-4-524-22678-8 |
発行年月 | : 2019年9月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 60 |
在庫
定価2,420円(本体2,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)に関し、最近のエビデンスを踏まえ新しいガイドライン作成指針に基づいて内容を刷新。痛み・保存療法では治療に難渋する病態も含め、肘関節周囲の痛み・障害を対象として新しい知識を提供した。日常の臨床現場における標準的治療の指針となる一冊。
前文
Background Question1 上腕骨外側上顆炎の自然経過(疫学)
Background Question2 上腕骨外側上顆炎の病態
Background Question3-1 上腕骨外側上顆炎の身体所見で重要な事項は何か
Background Question3-2 X線検査,筋電図検査は上腕骨外側上顆炎の診断に有用か
Background Question3-3 MRIは上腕骨外側上顆炎の診断に有用か
Background Question3-4 超音波検査は上腕骨外側上顆炎の診断に有用か
Clinical Question4-1 上腕骨外側上顆炎に薬物療法は有用か
Clinical Question4-2 上腕骨外側上顆炎にステロイド局所注射は有用か
Clinical Question4-3 上腕骨外側上顆炎にテニスバンドは有用か
Clinical Question4-4 上腕骨外側上顆炎に理学療法は有用か
Clinical Question4-5 上腕骨外側上顆炎に鍼治療は有用か
Clinical Question4-6 上腕骨外側上顆炎に体外衝撃波治療は有用か
Clinical Question4-7 上腕骨外側上顆炎に末梢血全血局所注射は有用か
Clinical Question4-8 上腕骨外側上顆炎に多血小板血漿(PRP)局所注射は有用か
Clinical Question4-9 上腕骨外側上顆炎にレーザー治療は有用か
Clinical Question4-10 保存療法抵抗性の上腕骨外側上顆炎に直視下手術は有用か
Clinical Question4-11 保存療法抵抗性の上腕骨外側上顆炎に鏡視下手術は有用か
Future Research Question1 上腕骨外側上顆炎にラジオ波(RF)治療は有用か
Future Research Question2 上腕骨外側上顆炎にヒト骨髄濃縮液(BMAC)局所注射は有用か
Future Research Question3 上腕骨外側上顆炎にボツリヌス治療は有用か
Background Question5-1 保存療法によって予後(5年以上)に差があるか
Background Question5-2 保存療法後の再発はどうか
Background Question5-3 手術療法の予後はどうか
索引
改訂第2版の序
本ガイドラインの初版は2006年5月に発刊されて以来、すでに10年以上経過しています。初版ガイドラインでは22のResearch Questionが取り上げられています。今回の改訂では『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』に準じて作業を行いました。『Minds診療ガイドライン作成の手引き2007』から7年の時が過ぎ、ガイドライン作成方法も飛躍的に進歩を遂げており2017年にも『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017』として継続的に掲載内容が改訂されています。これらのマニュアルに準じてひとつの臨床課題(Clinical Question:CQ)に対し、選択したすべての研究報告をアウトカムごとに評価するシステマティックレビューおよび総体評価を行いました。CQの設定に際しては考慮すべき益と害についてアウトカムを設定し、システマティックレビューにて益と害のバランスを推奨決定に反映させました。初版で取り上げられた疫学・自然経過、病態、診断、予後についてはシステマティックレビューが困難なためBackground Questionとして作成、記載しました。治療法については主に11のCQを採択して推奨を決定しました。また、現在まで解明されていない治療法などについての課題では、将来的に研究成果が得られ解明が期待されるCQはFuture Research Questionとして作成、記載しました。本ガイドラインが上腕骨外側上顆炎の診療において医療者側にも、医療を受ける側にも有益なものとなることを期待しています。
最後に今版のガイドライン策定に際し多大なるご尽力を賜りました日本整形外科学会、構造化抄録作成にご協力いただいた日本肘関節学会評議員諸氏、また頻回の策定委員会に終始ご出席いただき策定作業にご尽力いただいた上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン策定委員の諸氏に深謝致します。また、ガイドライン策定作業に終始ご指導いただいた吉田雅博先生、委員会開催に際しご協力いただいた日本整形外科学会事務局の武内翔氏、策定作業に終始ご協力いただいた一般財団法人国際医学情報センターの加治美紗子氏、逸見麻理子氏に深謝致します。
2019年7月
日本整形外科学会
上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン策定委員会
委員長 新井猛
日本整形外科学会(日整会)は診療ガイドラインの作成を事業の一環として2002(平成14)年から開始し、今年で18年目に入った。近年の医学の著しい進歩に伴い、common diseaseのような日常診療上、比較的遭遇する機会の多い疾患に対して、的確で正しく科学的根拠に基づいた治療法を世に送るのが日整会の責務と考え出版された。本書は2006年に初版が出版された上腕骨外側上顆炎、いわゆるテニス肘と呼ばれる疾患のガイドラインの改訂第2版である。
広範囲の科学論文の検索から、各疾患の専門医たちによる厳密な査読を行い信頼性と有益性を評価したうえで作成された。推奨度Aは「強く推奨する」であり、これからDの「推奨しない」の基本4段階となっている。さらには整形外科専門医のグループが審査基準を満たすエビデンスが少ない場合には委員会案を示すように努力されている。
このように日本を代表する上腕骨外側上顆炎診療の専門家の先生方が先端的な論文的根拠を吟味して、そのガイドラインとして整理しまとめたものが本書である。多くの方々のご尽力により完成にいたった。多大な時間とエネルギーを注いでくださった日整会や日本肘関節学会、日本手外科学会の役員、評議員、査読委員の方々に改めて御礼を申し上げる。特に概念と病態、治療法に関しては必要不可欠であることがきわめて論理的に説明されており、臨床的手順とその注意点を列記してある。保存療法から外科的治療にいたるまでを研修医から上級医、専門医レベルにまでわかりやすく簡潔に、そして最新知識までひろく記述されている。
本書が医療現場における医師とメディカルスタッフと患者の相互信頼性を深めて、高いレベルの整形外科診療が行われる一助になることを確信している。
臨床雑誌整形外科71巻7号(2020年6月号)より転載
評者●昭和大学整形外科主任教授 稲垣克記