糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント2026
| 監修 | : 日本循環器学会,日本糖尿病学会 |
|---|---|
| 編集 | : 日本循環器学会・日本糖尿病学会合同委員会 |
| ISBN | : 978-4-524-27343-0 |
| 発行年月 | : 2026年5月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 124 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

日本循環器学会と日本糖尿病学会の共編により,両診療科にまたがる合併症における最新のエビデンスを集約したステートメント集の改訂版.(1)診断,(2)予防・治療,(3)紹介(連携)基準で構成され,今改訂では心不全や高血圧に関する最新のガイドラインを反映したほか,慢性腎臓病や⻭周病管理などを盛り込み,専門医への紹介基準や両科の連携についてもより内容を充実させた.専⾨医だけでなく循環器診療・糖尿病診療に携わるすべての医師に役⽴つ書籍.
T 診断
1 糖代謝異常
2 循環器疾患
2-1 アテローム性動脈硬化性心血管疾患(とくに冠動脈疾患)
2-2 心不全
2-3 不整脈(心房細動と心臓突然死)
U 予防・治療
1 糖代謝異常者における大血管障害(冠動脈疾患・末梢動脈疾患)の予防・治療
1-1 Lifestyle介入
1-2 薬物療法
1-3 糖尿病患者における冠血行再建術
2 糖代謝異常者における心不全の予防・治療
2-1 Lifestyle介入
2-2 薬物療法
3 糖代謝異常者における心房細動の治療
V 紹介(連携)基準
1 糖尿病を診療する医師から循環器疾患を診療する医師(とくに専門医)への紹介(連携)基準
2 循環器疾患を診療する医師から糖尿病を診療する医師(とくに専門医)への紹介(連携)基準
3 循環器疾患・糖尿病を診療する両医師間で糖尿病治療について連携する場面での留意点
序文(日本循環器学会)
現代においては,癌と脳卒中を含む循環器疾患が死因の多くを占めている.癌は内視鏡手術や分子標的薬などの治療法の進歩により治癒することがあり,すなわち癌の既往のある患者においては,治療前には癌があったが治療後には癌がない状態となることも多い.一方,循環器疾患の終末像である心不全は激増している.循環器疾患に対する治療法が改善するにつれて,死亡まで至らずにギリギリのところで治療を受けている患者が増え,心不全により入退院を繰り返すこととなり,医療費を含む医療資源への圧迫が問題となっている.近年,心不全の治療薬が増え,心不全の予後がよくなったといわれるが,それらは心不全自体をなくす治療ではなく,死亡を含む心血管イベントの発生を先延ばしにするだけである.すなわち,循環器診療は癌とは異なり,病気そのものをなくすまでには至っていないのである.このため重要なことは,病気にならないこと,すなわち予防である.動脈硬化性循環器疾患の予防には,高血圧,脂質異常症,喫煙,糖尿病などのリスク因子の管理が重要である.なかでも糖尿病は動脈硬化を強力に進展させるものであり,その管理はきわめて重要である.これまでの研究で,糖尿病においては血糖の管理のみならず,多因子介入が血管合併症を抑制しうることが明らかとなっている.
2020 年に日本循環器学会と日本糖尿病学会は,糖尿病と循環器疾患の密接な関連に鑑み,その病態・治療・予後に関する最新のエビデンスを踏まえ,『糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント』を発刊した.このたび6 年が経過したことから,この間に蓄積された最新のエビデンスをもとに,前回と同様に日本循環器学会と日本糖尿病学会から推薦された委員からなる合同委員会によってアップデート版が作成され,両学会の理事会で承認された.糖代謝異常の診断と,それに関連する循環器疾患の診断,それらの予防・治療,紹介(連携)基準までが文献とともに記載され,包括的な内容となっている.大変多忙ななか本書を作成してくださった両学会の編集委員の先生方に感謝申し上げるとともに,本書が糖代謝異常者・糖尿病患者の循環器疾患の診療に役立ち,治療成績の向上につながることを心より祈念している.
2026年4月
日本循環器学会代表理事
千葉大学大学院医学研究院循環器内科学
小林欣夫
序文(日本糖尿病学会)
日本糖尿病学会では,糖尿病治療の目標を「健康な人と変わらない寿命とQOL」としており,そのために血管合併症の抑制を中心に据えている.幸いなことに,糖尿病治療薬の進歩や日本循環器学会の先生方の主導による血圧・脂質などのリスク管理の向上によって,糖尿病をもつ人において冠動脈疾患をはじめとする動脈硬化性疾患による死亡は減少傾向にある.しかしながら,高齢化も相まって動脈硬化性疾患の有病者数は必ずしも減少しておらず,心不全の有病率やそれによる死亡は増加を続けている.このような背景から,日本糖尿病学会と日本循環器学会は,2020年に当時の門脇孝理事長,小室一成代表理事のリーダーシップのもと,『糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント』を発刊した.同書により,両領域を専門としない医師における糖尿病と循環器疾患へのアプローチについての理解が深まったのみならず,両領域の専門医間の紹介基準や連携方法についても明確化され,糖尿病をもつ人の予後の向上に大いに貢献してきた.
一方で,初版の出版から6年が経過し,この間にさまざまな大規模臨床研究やリアルワールドデータが報告された.糖尿病領域の薬剤ではSGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬,GIP/GLP-1受容体作動薬,循環器領域ではARNI,MRAなどについての,動脈硬化性疾患,心不全,慢性腎臓病における抑制効果や安全性に関するエビデンスが蓄積され,適切な使用法が明らかになりつつあることから,今般,両学会の合同委員会を再組織して,本書の改訂が行われた.今版では,ライフステージごとの管理の個別化にも留意しつつ,直近のエビデンスまで取り入れ,かつ非常にわかりやすくコンパクトに必要な事項がまとめられている.本書の執筆にあたられた合同委員会のメンバー各位に深く御礼申し上げるとともに,ぜひ多くの医療従事者の皆様に活用いただき,できるだけ多くの糖尿病をもつ人が「健康な人と変わらない寿命とQOL」を達成できることを期待したい.
2026年4月
日本糖尿病学会理事長
国立健康危機管理研究機構国立国際医療研究所
植木浩二郎

