書籍

循環器内科ゴールデンハンドブック改訂第5版

監修 : 半田俊之介/伊苅裕二/吉岡公一郎
ISBN : 978-4-524-20191-4
発行年月 : 2024年3月
判型 : 新書判
ページ数 : 484

在庫あり

定価5,280円(本体4,800円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

研修医・循環器内科シニアレベル必携のハンドブック,待望の改訂第5版.循環器内科の日常診療において,知っておかなければならない病態と疾患およびその対処法,検査手技,治療手技,各種薬剤までを白衣のポケットに入るコンパクトサイズにまとめている.今版では,進歩した心不全の薬物療法や弁膜症におけるインターベンション治療を中心に,最新情報へアップデートの上,さらにパワーアップした内容とした.

T救急パート:Emergency
 1 心肺蘇生法
 2 緊急処置法
 3 ショック
 4 動 悸
 5 失 神
 6 胸 痛
 7 呼吸困難
 8 発熱・不明熱
 9 高血圧緊急症
 
U主要な検査
 1 身体所見・一般検査
 2 心電図検査
  A 12誘導心電図
  B 運動負荷試験
  C Holter心電図
 3 心エコー図検査
  A 心エコー図検査の基本
  B 心機能
  C 救急室,集中治療室における心エコー図検査
  D 心不全診療における心エコー図検査の役割
 4 心臓CT検査
 5 心臓MRI検査
 6 心臓核医学検査

V入院パート:病態と疾患
 1 不整脈
  A 洞不全症候群・房室ブロック
  B 心房細動・心房粗動
  C 発作性上室頻拍・WPW症候群
  D 心室頻拍・多形性心室頻拍・TdP
  E 心室細動
 2 心不全
 3 虚血性心疾患
 4 心弁膜疾患
 5 心筋症
  A 肥大型心筋症(HCM)
  B 拡張型心筋症(DCM)
  C 心アミロイドーシス/心臓サルコイドーシス/心Fabry病
 6 心筋炎
 7 感染性心内膜炎
 8 先天性心疾患
 9 大動脈解離・大動脈瘤
 10 動脈硬化の危険因子
  A 高血圧
  B 脂質異常症
  C 糖尿病
  D メタボリックシンドローム
  E 動脈硬化の危険因子と生活指導
 11 二次性高血圧
 12 家族性高脂血症
 13 頸動脈狭窄症
 14 閉塞性動脈硬化症
 15 肺高血圧症
 16 肺血栓塞栓症
 17 非心臓手術時の循環器疾患のリスク評価
 18 遺伝子検査とカウンセリング

W主要治療手技
 1 心臓カテーテル検査・治療
  A 冠動脈造影
  B 左室造影(壁運動の評価,逆流量の判定)[僧帽弁逆流,大動脈弁逆流]
  C 圧波形の異常(弁口面積の求め方)
  D 心拍出量の測定
  E シャント性心疾患におけるシャント率(Qp/Qs)の簡易式
  F IVUS画像
  G 心内膜心筋生検
  H 心臓カテーテル検査における放射線被曝
  I 造影剤誘発性腎症(contrast induced nephropathy:CIN)
  J 造影剤アレルギー
 2 心血管系インターベンション
  A 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)
  B 末梢動脈インターベンション(頸動脈,腎動脈,腸骨動脈,大腿膝窩動脈,膝下動脈)
  C ストラクチャー心疾患(含む肺動脈)
 3 植込み型ループレコーダー(ILR)
 4 ペースメーカー
 5 カテーテルアブレーション
 6 植込み型除細動器(ICD),心臓再同期療法(CRT)
  A 植込み型除細動器(ICD)
  B 心臓再同期療法(CRT)
 7 心嚢穿刺
 8 心肺補助循環法(IABP,Impella®,ECMO,VAD)
  A 大動脈内バルーンパンピング(IABP)
  B Impella®(Abiomed社)
  C ECMO
  D 補助人工心臓(VAD)
 9 心臓リハビリテーション

X主な薬剤の特徴と使い方
 1 緊急時の注射薬
 2 抗不整脈薬
 3 硝酸薬
 4 降圧薬
 5 心不全治療薬
 6 抗凝固薬・抗血小板薬
 7 脂質改善薬

■ コラム―心不全治療薬の変遷:今日の治療を理解するために

改訂第5版 監修の序

 もう25年も前のことである.我々の診療科へrotateする研修医,循環器専門医を目指す専修医たちを指導する中で,彼らがマスターすべき循環器内科学の基本と実技のあり方をまとめたのが,このハンドブック第1版であった.
 循環器内科学の進歩は目覚ましい.改訂を重ね,この新しい第5版となった.進歩と変革に対応して最新情報を集約し,第一線の若い医師たちの循環器診療に役立つハンドブックである.
 言うまでもなく,循環の概念を初めて見出し記載したのは16〜17世紀の英国の医師William Harvey(1578-1657)である.以来この数百年間にtry and error,paradigm shiftを重ねて,発明と発見が循環器病学を進歩発展させた.経験に基づく医療experience based medicineは,証拠に基づく医療evidence based medicine(EBM)(1977年)へ変貌し,今日ではEBMに基づくguideline(GL)が数多く報告されている.近い将来,生成AIなどが臨床の場に投入され診療支援するとも予測される.医師はEBM,GLを参照し,目の前の個々の患者に寄り添い医師自身の総合的な判断に基づいてtailor-madeの診療をすることとなる.
 治療法の発展は著しい.たとえば治療薬,一連のNOAC,ivabradine,SGLT2阻害薬,ARNI,vericiguatなどの登場である.A Grüntzig(1939-1985)のPTCA発表(1977年)は,診断法であった心臓カテーテル法を治療の技術とした.冠動脈インターベンションばかりでなく,TAVI,PTMC,MitraClipⓇ,ステントグラフト,不整脈アブレーション,ICDなど多岐にわたる.
 そこで診療の場では,これまで以上に的確な診断を求められる.循環器疾患の診断は,history taking,physical examination,そしてEKGに始まる画像診断法,その他の臨床検査による.そこで判断するのは,病因(etiologic),解剖学的異常(anatomic),病態生理学的異常(physiologic)の三点である.自覚症状の重症度(functional capacity),客観的評価(objective assessment)を含める.
 確実な診断が合理的な治療選択を生む.診断と治療は常に一体である.
 2024年3月 半田俊之介

9784524201914