臨床場面でわかる!くすりの知識
14場面と10ケースの押さえておきたい!やってはいけない!
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 五味田裕 |
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編集 | : 荒木博陽 |
ISBN | : 978-4-524-26806-1 |
発行年月 | : 2013年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 286 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
看護のためのくすりの知識は、具体的な臨床現場に即して理解することが重要。くすりに関する14場面、10ケース、さらにそこから生まれる62の疑問をもとに臨床に生かせるくすりの知識を解説する実践書。星印のランクづけによって、禁忌・重要事項を、メリハリをつけながら理解することができる。一般項目と薬剤名による2種類の索引を活用して“くすりの事典”としても活用できる。
第1章 内服薬をつかう
場面1 服用の間隔や食事との関連性を理解していつ服用するか決める
・服用時間の決め方
場面2 何と飲むべき?何と飲んではいけない?何と一緒に服用するか
・飲み合わせの注意点(1)食事との飲み(食べ)合わせについて
・飲み合わせの注意点(2)サプリメント・健康食品の飲み(食べ)合わせについて
・飲み合わせの注意点(3)他のくすり(市販薬も含む)との併用について
場面3 実際にくすりを服用するとき錠剤・カプセル剤・散剤・栄養剤などの正しい服用方法
・くすりの服用方法(1)錠剤・カプセル剤を服用する
・くすりの服用方法(2)舌下錠を服用する
・くすりの服用方法(3)散剤・顆粒剤を服用する
・くすりの服用方法(4)栄養剤を服用(摂取)する
場面4 効果の程度を確認してくすりの追加・中止を判断する
・薬効と体位との関係
・薬効の程度を確認する
第2章 坐薬・軟膏薬・貼付薬・点眼薬をつかう
場面5 坐薬を正しくつかう
場面6 軟膏薬を正しくつかう
場面7 貼付薬を正しくつかう
場面8 点眼薬を正しくつかう
第3章 注射・輸液を準備する/実施する
場面9 くすりの調製と注入速度の設定注射・輸液を準備する
・くすりの調製(1)くすりを溶解する
・くすりの調製(2)劇薬・毒薬の準備で注意すること
・静注・点滴の速度(時間)を設定する
場面10 複数のくすりをつかうとき配合変化・相互作用に注意する
・事前に混ぜ合わせる場合
・くすりを別々に静注する場合
・注射薬と「内服薬・外用薬」との相互作用
場面11 点滴・注射後の注意事項血管外漏出がないか!!
場面12 意外と迷う……余ったくすり、注射器を処理する
第4章 与薬後の観察/くすりの保管
場面13 作用・副作用、感染症の有無経過を観察する
・血中濃度のモニタリング
・アレルギーに注意する(1)アレルギーテストを行う
・アレルギーに注意する(2)アレルギー反応への対処
・せん妄への対応
・感染の予防
場面14 正しく、安全にくすりを保管する
・くすりの保管方法
・くすりの使用期限について
・遮光について
・劇薬・毒薬・麻薬・向精神薬について 保管、廃棄、紛失時の対処
第5章 ハイリスク患者への与薬
・小児と解熱鎮痛薬
・妊婦・授乳婦と抗菌薬・解熱鎮痛薬・睡眠薬・抗てんかん薬
・高齢者と睡眠薬
・注意が必要な疾病・状態にある患者の場合
第6章 くすりの基礎知識と安全管理
基礎1 まず押さえておきたいくすりの基礎知識
基礎2 まず押さえておきたいくすりの安全管理
いま医療現場では、最新・最適の薬物治療を実現するために、次から次へと、新しい薬効を有する医薬品が登場しています。また、“新しい薬効”だけでなく、“副作用の軽減”に主力をおいたくすりなども登場し、各製薬会社のさまざまな工夫は、現場の医療従事者にとってもうれしいかぎりです。しかし、日進月歩でくすりの開発がすすんでも、個々の医師や看護師が、それらのくすりを十分に理解し、また十分使いこなせるようになるまでには、かなりの時間を要すると考えられます。また、すでによく使用し、よく知っていると思われるくすりについても、実はよくわからないまま使用していることが多々あるのではないでしょうか。くすりの業務を行うにあたっては、そのような“知っているつもり”の状態をできるかぎり取り除かなければなりません。基本的な知識を確実に、さらにその根拠を理解することがとても重要です。私どもは、その要請に応えるため、2003年に『根拠がわかるナース・薬剤師のための医薬品Q&A』(南江堂)を刊行しました。この本は、その内容もさることながら、1〜2ページの読み切りタイプのQ&A形式としたことによるのでしょうか、おかげさまで非常に多くの医療従事者の方々から支持を得ることができました。そして今回、その延長線上として、さらにくわしく、より看護の臨床現場に即したくすりの本があれば……という看護師さんたちの声に応え、『臨床現場でわかる!くすりの知識 ―14場面と10ケースの押さえておきたい!やってはいけない!』を刊行することになりました。
医療施設の現場では、チーム医療がきわめて重要な課題です。患者さんを中心にして医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師などが、お互いの仕事をよく理解しながら業務をすすめる体制がこの10年間で大きく前進しました。たとえば、平成24年度の診療報酬改定では、薬剤師の病棟常駐に点数が付き、その影響もあって薬剤師が病棟に常駐する施設も増えています。医師・看護師だけでなく、薬剤師が病棟において――とくにくすりに関する業務について、速やかな対応をとることのできる体制が整いつつあります。一方、看護師は、病棟での仕事量がきわめて多く、くすりに関する業務は、“すべて薬剤師に任せたい”という気持ちが強くなってきているようにも思います。しかし、看護師が看護ケアを行ううえで、くすりに“ノータッチ”ということはありえません。“臨床現場に即したくすりの知識”を十分に把握したうえで業務に臨む必要があります。
本書は、臨床現場の場面別あるいはケース別に、看護師として“押さえておくべきこと”あるいは“やってはいけないこと”についてまとめています。病棟担当薬剤師あるいは調剤・製剤・医薬品情報・試験・治験担当薬剤師など、現場で活躍する“くすりの専門家”たちの執筆で構成され、表面的な知識でなく、根拠からひもといたくすりの深い知識について理解することができます。ぜひ医療現場で困ったときの“頼みの一冊”として活用していただければと思います。また、文章表現は、できるかぎり平易なものを心がけました。イラスト・写真も多く入れることで、「読みやすい」「イメージしやすい」「理解しやすい」本づくりを工夫しています。さらに、右ページ・右端の「薬効名索引」、巻末の「解説項目索引」「薬剤名索引」など索引機能が充実していますので、用途に合わせてさまざまな検索が可能です。つまり、冒頭から読みすすめるだけでなく、「くすりの事典」として知りたい内容をすばやく調べるといった使い方もできるというわけです。
なお、本書は看護の臨床現場を想定した内容で書かれていますが、これから看護業務に就くことを希望している看護学生の皆さんにも理解しやすいように配慮しています。教科書の副読本としても十分利用価値があるものと思いますので、ぜひ活用していただければと思います。
2013年2月
荒木博陽
五味田裕