整形外科卒後研修Q&A改訂第6版
問題編/解説編
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 日本整形外科学会Q&A委員会 |
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ISBN | : 978-4-524-26379-0 |
発行年月 | : 2011年8月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 676 |
在庫
定価13,200円(本体12,000円 + 税)
正誤表
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2012年02月15日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
整形外科専門医試験の必読書の最新改訂版。今改訂では専門医評価認定機構の評価を意識した問題作り、国試に準じた出題形式を徹底、特に症例問題では臨床の多様性を視野に入れ日常診療に活かせる問題を取り入れた。専門医試験の参考書としてみならず、整形外科専門医として必要な知識が学べる生涯教育書としても一級の教材。(問題編320頁、解説編360頁;分売不可)
一般問題
1.整形外科基礎医学
1 骨の生理学・生化学
2 軟骨の生理学・生化学
3 神経・筋の生理学
4 バイオメカニクス、運動学
2.診断学および検査法
1 解剖学、診断学
2 臨床検査
3 電気生理学、筋力テスト、ラジオアイソトープ
4 CT、MRI、その他
5 関節鏡、関節造影
1)関節鏡
2)関節造影
3.疾患別各論
1 骨系統疾患
2 骨粗鬆症とその他の代謝性骨疾患
1)骨粗鬆症
2)その他の代謝性骨疾患
3 感染症
4 関節炎、関節症
1)変形性関節症一般
2)膝関節症
3)股関節症
4)関節リウマチ(RA)など
5)特殊関節症
5 骨端症、骨頭壊死
6 骨・軟部腫瘍
1)骨腫瘍
2)軟部腫瘍
7 脈管疾患
8 ミオパシー、その他
9 末梢神経損傷
4.外傷
1 外傷一般、軟部組織損傷
1)外傷一般
2)軟部組織損傷
2 骨折
1)総論
2)体幹(肋骨、骨盤を含む)
3)上肢(近位)
4)上肢(遠位)
5)下肢
3 脱臼
4 捻挫、靱帯損傷、関節外傷
5 スポーツ外傷・障害
1)上肢
2)下肢
6 災害医療
5.身体部位別各論
1 脊椎・脊髄
1)脊椎一般および側弯症
2)頚椎
3)腰椎
4)脊椎・脊髄腫瘍
5)脊髄損傷
2 肩甲帯・上肢
1)胸郭出口症候群
2)肩関節
3)肘関節
4)手の外科
3 下肢
1)股・膝関節(主として小児疾患)
2)足関節および足
6.治療法
1 麻酔、輸血、輸液、蘇生術
2 手術療法(適応、手技など)
3 人工関節
1)股関節
2)膝関節、その他
4 マイクロサージャリー
7.リハビリテーション
1 ギプス、牽引
2 物理療法、運動療法、作業療法
3 切断、義手、義足、装具
4 脊髄損傷、CP、二分脊椎、脳卒中など
8.関係法規、産業医学、疫学
1 関係法規
1)医師の法的責任、医師法と関連法規
2)医師の法的義務・届出義務
3)診療録
4)医療事故の定義と現場の対応
5)医事紛争:鑑定、裁判
6)医療法、保険診療、在宅医療、身体障害
7)インフォームドコンセント
2 産業医学
3 臨床疫学
症例問題
問1〜問93
『整形外科卒後研修Q&A』は昭和60(1985)年に初版が刊行されました。その後5年に1度の改訂を行ってきて、このたび改訂第6版を刊行することになりました。改訂作業は日本整形外科学会Q&A委員会が行いましたが、本委員会は各地区のチームによる持ち回り制で、前回の改訂作業にあたった九州地区より引き継ぎ、今回は北海道・東北地区が担当することになりました。北は旭川市から南は新潟市まで、1道7県にわたる委員の先生方総勢27名にお集まりいただき、第1回の委員会を2009年8月に仙台で開催しました。その後、ほぼ2ヵ月に1回のペースで委員会を開催し、討議を重ねてきました。2010年10月の委員会で改訂作業がおおむね完了し、このたび無事に改訂第6版を刊行することができ、委員長としてたいへん安堵いたしております。委員会の先生方、担当理事の野原裕先生、アドバイザーの国分正一先生、事務担当の柳澤ゆき江様、一部の作問にたずさわってくださった日本整形外科学会安全医療推進委員会の先生方、そして出版業務を担当してくださった南江堂の担当者にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
さて、本改訂にあたりまして、第5版と同様、一般問題は1,200題、症例問題は90題に設定しました。そのうち、30%の問題を改訂あるいは新作問題と入れ替えるという方針のもとに作業を進めました。改訂にあたっては、すでに専門医試験に使われた問題は、正答率や識別指数も参考にしました。また、用語の統一をできるだけ図り、国家試験出題基準に準じた用語を使うように心がけました。症例問題につきましては、委員会全体での検討を重ね、最終的に2010年11月までに南江堂へ問題をすべて送ることができました。
2011年5月の日本整形外科学会学術総会に合わせての出版を予定しておりましたが、3月11日に発生した東日本大震災のため、出版作業が一時中断し、結果として予定より3ヵ月遅れの出版となりました。大震災の前に委員会としての改訂作業が完了しており、クロスチェックを残すのみであったことは不幸中の幸いと感じております。なお、注意して校正したつもりですが、誤植などがあるかもしれません。皆様からのご指摘、ご意見をいただければ有難く存じます。
本書が、専攻医教育や専門医試験の準備はもちろんのこと、専門医教育にも役立ち、日本の整形外科医全体の診療レベルの向上につながれば、これに勝る喜びはありません。
平成23(2011)年7月
井樋栄二
(日本整形外科学会Q&A委員会委員長)
このたび、南江堂より本書が上梓された。まずは本書の完成に尽力された北海道・東北地区の27名の先生方(日本整形外科学会Q&A委員会)の献身的努力に心より敬意を表したい。特に東日本大震災直後のきわめて深刻な状況の中で、莫大な労力と時間を割かれたことであろう。本書の改訂作業においては、決して間違いが許されない厳しい制約の中で、日整会用語集との齟齬がないように用語の統一を図り、曖昧さを徹底的に排除しながら、一問一問吟味していくという緻密な作業の連続が要求される。そのプロセスは単調ではあるが、質を担保するためには体系的な知識、高度の判断力、そして粘り強い忍耐力が不可欠である。
筆者は九州地区が担当した第5版改訂に携わった経験があるが、そのときは岩本幸英九州大学教授を委員長として、16回にも及ぶ委員会が開催された。丁寧に過去の問題を見直し、新たな問題を追加しながら修正を重ね、できるだけ最良のものを生み出すという気概を込めて改訂作業に挑んだものである。そのときの経験からも、今回の北海道・東北地区の先生方のご苦労がいかにたいへんなものであったかは想像するにかたくない。
本書は1985年にはじめて世に出た。第1版では主に一般問題を東京地区、症例問題を九州地区のグループが担当した。その後、5年ごとの改訂が行われ、第2版、3版は近畿地区、4版は中部地区、5版が九州地区、そして、今回の第6版は野原裕担当理事、井樋栄二委員長をはじめとした北海道・東北地区の先生方によって担当された。26年の歴史を経て、本書はすでに整形外科専門医をめざす医師の必携の書としての地位を確立している。
本書は問題編と解説編の2冊組みの箱入りとなっており、一般問題約1,200題、症例問題約90題より構成されている。これまで全国の名だたる専門家が最高の智恵を寄せ合い、改訂に改訂を重ねてきた本書の系譜が受け継がれ、専門医試験のための唯一の手引き書として比類のない精彩を放っている。第5版の約30%の問題が最新の知見に基づいて改訂あるいは新作と入れ替えられたが、全体を通してより専門医試験の出題傾向に照準を合わせて改訂が行われた。用語の統一、簡潔な表現をめざし、冗長性はことごとく排除された。問題の質は決して奇をてらったものではなく、回答を通じて基本的知識が身に付くように工夫されている。
症例問題は、X線、CT、MRI所見、肉眼所見、病理所見など一部にカラー写真を織り交ぜながら興味深い症例が網羅されており、きわめて実践的な内容となっている。また、解説編は『標準整形外科学』(医学書院)、『神中整形外科学』(南山堂)、『整形外科クルズス』(南江堂)などの名著を参考図書として懇切丁寧な解説がちりばめられている。
筆者自身は専門医制度の導入時期における移行期間の設定によってかろうじて専門医試験を免除され、どこか後ろめたい感情がつきまとうのであるが、専門医試験は錆び付いた知識を整理し総合的な知識を身に付けるという意味では絶好の機会である。専門医試験非受験者の言としては誠に説得力に欠けるが、これは事実であり、筆者は本書が新たに改訂されるたびに購入することを常としている。
はたして専門医試験の受験者の何パーセントが本書を繙くのであろうか。少なくとも筆者の周辺で本書を読まずして受験した者は存在しないようである。筆者は日整会専門医試験委員会の委員でもあるが、専門医試験の実際の問題は、本書、過去の専門医試験、日整会代議員作成問題、専門医試験委員会委員作成問題、および日整会診療ガイドラインから出題されることになっている。口頭試験の問題も本書の症例問題から出題されることがあり、専門医試験の受験者にとって必読の書となっている。また、受験者のみでなく、若手研修医やすでに専門医となった医師たちにとっても、知識の整理、知識量のチェック、不得意分野の確認、新たな知識の導入など、日々の診療に新たな視点を与えてくれるはずである。
次回の改訂はこれまでの順番でいくと、中国・四国地区の担当ということになるのであろうか。何かと専門医試験にかかわりの深い人生であるが、首を洗ってまっておくしかあるまい。
評者● 三浦裕正
臨床雑誌整形外科63巻4号(2012年4月号)より転載