書籍

呼吸器内科実践NAVI

“近中”の極意

監修 : 林清二
編集 : 杉本親寿/安宅信二/井上義一/橘和延/鈴木克洋/新井徹/井上康
ISBN : 978-4-524-25989-2
発行年月 : 2018年5月
判型 : B6変型
ページ数 : 404

在庫あり

定価4,950円(本体4,500円 + 税)


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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

若手呼吸器医、非専門医が習得すべき知識と技術を、近畿中央呼吸器センターが総力を挙げて執筆。実臨床に即し、検査・治療手技、肺癌、間質性肺炎・希少難病、閉塞性肺疾患、呼吸器感染症、その他の重要な呼吸器疾患、呼吸器集中治療について実践的に解説。医局からベッドサイドや外来診察室、検査室に向かう際の診療ポイントの整理に役立つ一冊。現場で役立つ知恵と極意がここに!

I章 呼吸器内科における検査・治療手技
 1.呼吸器内科の問診・身体所見のポイント
 2.呼吸器疾患の血液検査,動脈血ガス分析
 3.喀痰検査
 4.画像検査
 5.生理機能検査
  A.呼吸機能検査
  B.心電図
  C.終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)
  D.6分間歩行試験
 6.気管支鏡検査・治療
 7.CTガイド下生検
 8.胸腔穿刺,胸膜生検
 9.胸腔ドレナージ,胸膜癒着術
 10.局所麻酔下胸腔鏡
 11.右心カテーテル検査,肺動脈造影
 12.呼吸リハビリテーション
II章 肺癌
 1.検査と診断法
 2.インフォームドコンセントの実際
 3.小細胞肺癌
 4.非小細胞肺癌
 5.高齢者肺癌
 6.その他の胸部悪性腫瘍
  A.胸膜中皮腫
  B.胸腺腫,胸腺癌
 7.薬物投与法の実際
 8.副作用対策
 9.Oncologic emergency
 10.支持・緩和治療とチーム医療
 11.禁煙と肺癌予防
III章 間質性肺炎・希少難病
 1.特発性肺線維症
 2.その他の特発性間質性肺炎
 3.膠原病肺
 4.過敏性肺炎
 5.リンパ脈管筋腫症
 6.肺Langerhans細胞組織球症
 7.Birt-Hogg-Dube症候群
 8.肺胞蛋白症
 9.好酸球性肺炎
 10.肺胞出血
IV章 閉塞性肺疾患
 1.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 2.気管支喘息,慢性咳嗽
 3.ACO(喘息とCOPDのオーバーラップ)
 4.気管支炎
  A.閉塞性細気管支炎
  B.Swyer-James症候群
  C.呼吸細気管支炎
  D.濾胞性細気管支炎
  E.びまん性汎細気管支炎
V章 呼吸器感染症
 1.肺結核
 2.肺非結核性抗酸菌(NTM)症
 3.肺真菌症
 4.市中肺炎,医療・介護関連肺炎,院内肺炎
 5.その他の感染症(膿胸,ノカルジア,寄生虫)
VI章 その他の重要な呼吸器疾患
 1.サルコイドーシス
 2.薬剤性肺障害
 3.リンパ増殖性肺疾患
 4.アミロイドーシス
 5.肺高血圧症
 6.肺分画症
 7.誤嚥性肺炎,リポイド肺炎
 8.じん肺とその関連疾患
 9.睡眠時無呼吸症候群
 10.慢性の良性呼吸器疾患の治療
  A.肺移植の適応
  B.慢性呼吸不全
  C.慢性呼吸器疾患に対する緩和医療
  D.呼吸器心身症
VII章 呼吸器集中治療
 1.総論:重症呼吸不全症例の評価,管理の流れ
 2.呼吸管理
  A.酸素療法
  B.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)
  C.気道管理
  D.気管挿管下の人工呼吸管理
  E.分離肺換気
  F.人工呼吸管理中の循環管理
  G.人工呼吸管理中の鎮痛・鎮静とせん妄の管理
  H.人工呼吸管理中の栄養法
 3.疾患別管理方法
  A.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  B.間質性肺疾患
  C.重症呼吸器感染症
  D.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪
  E.肺胞蛋白症に対する全肺洗浄の管理
   (1)全肺洗浄の方法
   (2)全肺洗浄の麻酔管理と術後管理
索引



 「呼吸器内科実践NAVI 〜“近中”の極意〜」を手に取っていただきありがとうございます。私たち“近中”つまり近畿中央胸部疾患センターは呼吸器内科・外科診療だけで運営している変わった性格の病院ですが、呼吸器単科施設である特性を活かして質の高い診療を提供できる十分な数の優秀な専門医を擁し、活発に臨床研究を行い情報発信にも努めています。このような自賛を臆面もなく……という向きには、医療界全体の厳しい経営環境を意に介さない当院の若い医師の活気から、私がのぼせているだけではないとご理解いただけるのではと考えます。本書はこのような専門病院で日々行われている診療実践と工夫をまとめ、研修医・若手医師、呼吸器診療に苦慮している医師に向けて、実際の診療に役に立つ一冊として提供することを目的にして作りました。
 そもそも本書を作ろうと思いついたきっかけには、当院の性格が深く関わっています。当院には若い医師が全国から集まります。特に内科は、出身大学も前任の病院も多様な医師が構成する集団です。それぞれの前任地での修練を反映した検査・処置の手技の微妙な違い、つまり様々な“お作法”が混在することとなり、その統一の必要性が生じました。一例を挙げれば、週日の午後は毎日気管支鏡検査を行っており、その件数は年間約1,000例に上ります。中堅医師5人が責任者として各曜日の検査を統括しますが、責任医師がどこで気管支鏡を学んだかによって、以前は検査手順に微妙な違いが生じていました。若い医師に無用な混乱を招かないために安全性が高く最も合理的なものを取捨選択し、“近中”版手技マニュアルを作成しました。その一部が本書にも引き継がれています。
 総勢35名あまりの医師で構成される当院の内科は、外科、放射線科、病理の各科の協力を得て診療と臨床研究を行っています。その経験と知見、そして収集した情報を本書に盛り込みました。疾患の概説以外に、薬物療法の実際、機器の取り扱い、各種書類の記載法など、実際の診療業務をどのように進めるかということにも紙幅を費やしています。さらに各項に付けた“デキる呼吸器医の極意”は、私たちが多数の症例から実際に学んだ注意点やコツをまとめたものです。医局からベッドサイドや検査室、処置室、あるいは外来診察ブースに出向く前に診療のポイントの整理のために本書がお役に立てば嬉しく思います。
 最後に、当院は2018年秋の新病棟開設に合わせて“近畿中央胸部疾患センター”から“近畿中央呼吸器センター”へと変わる予定です。この改称は患者さんにとって診療内容がよりわかりやすくなるようにということを目指していますが、呼吸器診療に込める私たちの決意も盛り込んでいます。ちなみに長く親しんできた略称はそのままですので、今後とも“近中”をよろしくお願いいたします。

2018年4月
監修者
近畿中央胸部疾患センター院長
林清二

 呼吸器内科では、咳嗽や呼吸困難などの症状を訴える患者や健診などでの胸部異常影の精査を目的として受診される患者が多いが、その鑑別診断には、感染症、閉塞性肺疾患、腫瘍性疾患、アレルギー性・膠原病関連肺疾患、間質性肺疾患、血管性疾患など、多岐にわたる領域が含まれる。よって、呼吸器内科医には、これらの多岐にわたる疾患を効率よく診断してよりよい治療を実践するために、医療面接や検査手技、治療手技、そして急性期医療から緩和医療への対応など、多くのスキルが要求されている。さらに、肺がんの分野を代表として、それぞれの分野の医学的進歩は日進月歩であり、最新の知見の収集およびそれらを実臨床でどう活かすかが重要である。日々の忙しい診療のなかで、これらの幅広い情報を効率よく学び、実臨床に活かしていくことは非常に重要であり、それを手助けしてくれる書籍が求められている。
 本書、「呼吸器内科実践NAVI−“近中”の極意−」は、呼吸器領域において、日本でとくに有名な病院の一つである近畿中央胸部疾患センター(2018年秋より近畿中央呼吸器センターへ改称予定)の先生方により執筆されている。序文でも触れられているが、近畿中央胸部疾患センターには、呼吸器領域の各分野のエキスパートであるスタッフのもと、最先端の呼吸器診療や臨床研究を学ぼうと、全国から多様な多くの若手医師が集まっている。そのなかで、日々実践されている診療および若手医師への指導のエッセンスが本書には詰まっている。
 本書は、「I章 呼吸器内科における検査・治療手技」「II章 肺癌」「III章 間質性肺炎・希少難病」「IV章 閉塞性肺疾患」「V章 呼吸器感染症」「VI章 その他の重要な呼吸器疾患」「VII章 呼吸器集中治療」で構成され、呼吸器内科医の日常診療で重要な事項が網羅されている。それぞれの章においては、その領域で日本のエキスパートと呼ばれる先生方により、診療の基本から最新の情報までが簡潔にまとめられ、さらに各分野のエビデンスが実臨床で即役に立つように、処方や検査法などが具体例をあげて実践的に述べられている。また、経験豊富な臨床医ならではの、いわゆる呼吸器臨床のtipsがあらゆるところに散りばめられ、まさに“痒いところに手が届く”ような内容となっている。よって本書は、研修医・若手呼吸器内科医にとっての日常臨床のバイブル的な書であると同時に、呼吸器専門医においても知識を再確認し、若手医師に呼吸器内科の魅力を伝え、指導する際にも参考となる良書であるといえる。
 多くの先生方に本書を読んでいただき、日常診療のあらゆる場面に活かしていただければ、“デキる呼吸器内科医”に近づくはずである。このような良書をまとめあげられた林 清二先生や関係者の熱意に、深い敬意を捧げる次第である。

臨床雑誌内科123巻1号(2019年1月号)より転載
評者●長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野 教授 迎ェ