書籍

不整脈デバイス治療バイブル

適応・治療・管理まですべてマスター

監修 : 草野研吾
編集 : 国立循環器病研究センター心臓血管内科部門・不整脈科・デバイスチーム
ISBN : 978-4-524-25613-6
発行年月 : 2018年7月
判型 : B5
ページ数 : 358

在庫あり

定価11,000円(本体10,000円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

リードレスペースメーカ、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)、着用型自動除細動器(WCD)の開発・臨床導入、レーザーリード抜去や遠隔モニタリングの登場など、飛躍的に進歩している不整脈のデバイス治療について網羅した完全バイブル。新規デバイスの登場により変化する治療適応の考え方から実際の植込み手技、デバイス管理の方法、合併症・トラブルへの対策、患者フォローアップまで、国立循環器病センター心臓血管内科部門・不整脈科・デバイスチームにより徹底解説。

I 総論 デバイス治療の過去・現在・未来
II ガイドラインに基づいた各デバイスの適応
 1.徐脈性不整脈:ペースメーカ
 2.致死性心室不整脈(VT,VF)に対する除細動器:ICD/CRT-D/S-ICD
 3.心不全:心臓再同期療法(CRT)/両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)
III ペースメーカ,新しいペースメーカシステム
 A.ペースメーカ
  1.ペースメーカの原理・構造を知る
  2.ペースメーカの機能を知る
  3.ペースメーカ植込みに関する検査について知る
  4.ペースメーカの植込み手技を知る
  5.ペースメーカの術後設定を行う
  6.ペースメーカ植込み患者のフォローアップを行う
  7.ペースメーカ関連のトラブルシューティングを把握する
  8.MRI対応機種について
  9.今後の展開
 B.新しいペースメーカシステム
  1.リードレスペースメーカ
  2.His束ペーシングシステム
IV 植込み型除細動器(ICD),完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)
 A.ICD
  1.ICDの機能を知る
  2.基本的なプログラミングについて知る
  3.ICD植込みに関する検査について知る
  4.ICDの植込み手技を知る
  5.ICD植込み患者のフォローアップを行う
 B.トラブルシューティング
  1.high DFTへの対応
  2.不適切作動を回避する:プログラミングの工夫
  3.上室頻拍と心室不整脈の鑑別:DDD-ICDかVVI-ICDか
  4.オーバーセンシングへの対応
 C.S-ICD
  1.スクリーニングと植込み手技を知る
  2.S-ICDの適応を知る:選択すべき症例とは
  3.適応拡大,不適切作動を防ぐ
 D.今後の展開
V 心臓再同期療法(CRT)
 1.CRTの原理・構造を知る
 2.CRTの効果を把握する
 3.CRTの植込み手技を知る
 4.CRTの条件設定を行う
 5.CRT植込み患者のフォローアップを行う
 6.今後の展開
VI 遠隔管理
 1.遠隔管理の基本概念を知る
 2.遠隔管理に関する各メーカーの特徴を知る
 3.遠隔管理の実践方法・円滑に行うコツを知る
 4.今後の展開
VII リード抜去
 1.リード抜去の適応を知る
 2.リード抜去に必要な体制と準備を知る
 3.リード抜去の方法を知る
 4.リード抜去の成績と合併症を知る
 5.デバイス感染の管理を知る
 6.今後の展開
VIII 着用型自動除細動器(WCD),植込み型ループレコーダー(ILR)
 A.着用型自動除細動器(WCD)
  1.WCDの原理・構造を知る
  2.WCDの機能を知る
  3.WCDの適応を知る
  4.WCDの使用法・管理を知る
  5.今後の展開
 B.植込み型ループレコーダー(ILR)
  1.ILRの原理・構造を知る
  2.ILRの機能を知る
  3.ILRの適応を知る
  4.ILRの植込み手技を知る
  5.今後の展開
IX 左心耳閉鎖デバイス
 1.左心耳の解剖を知る
 2.左心耳と脳梗塞との関係を知る
 3.左心耳閉鎖デバイスの原理・機能を知る
 4.左心耳閉鎖デバイスの有効性と適応を知る
 5.左心耳閉鎖デバイスの留置手技と合併症を知る
 6.今後の展開
索引

序文

 ペースメーカ、植込み型除細動器をはじめとする植込み型デバイスによる治療は、年間6万件を超える症例で行われており、どこでも行われる手術になってきています。デバイス機器は年々進歩し、アルゴリズムはどんどん複雑化しており、高度な知識が要求されるようになってきました。それと同時に、ガイドラインも次々と更新され、ハイリスク患者への予防的治療も勧められるようになっています。患者への適切なアドバイスのためにも、より幅広い、かつ最新の知識が必要になっています。また、デバイスを植込んだ後のデバイス管理の面では、遠隔モニタリングが大きな広がりを見せていますが、医師の枠を超えてさまざまな職種(臨床工学技士、看護師、臨床検査技師、医療クラークなど)が関与しなければ、効率的に管理できなくなってきていることも事実です。さらに、植込み後のデバイス感染に対するリード抜去術としてレーザー抜去が一般化した現在、適応と術前後の適切な管理についてもしっかり把握しておく必要があるケースが増えてきています。
 本書は、植込み型デバイスの診療において必要な知識と情報を、可能な限り網羅しました。執筆にあたっては、国立循環器病研究センター不整脈科に勤務している、あるいは勤務していた多くの医師をはじめとした多職種スタッフ、CDR(Cardiac Device Representative:ペースメーカ/ICD関連情報担当者)に協力いただきました。基本的な知識はもちろん、今後登場してくる新しいデバイスについても可能な限り盛り込み、まさに植込み型デバイスに関しては聖書(バイブル)と呼ぶにふさわしい内容を取りそろえました。患者に対する適応、植込み手技のコツ、設定の注意点、上手な管理法など、初心者から上級者、CDRに至るまで幅広い読者の日常診療に役立つ内容になっていることを確信しております。
 本書の刊行にあたり、執筆にご協力いただいた皆様、また、企画から刊行までアドバイスと校正を続けていただいた南江堂の皆様にこの場を借りて心から厚く御礼を申し上げます。

2018年6月
国立循環器病研究センター心臓血管内科部門不整脈科
草野研吾

 不整脈疾患の治療は、この30年で薬物治療から非薬物治療へと大きく様変わりした。この大変化をもたらした要因は、非薬物治療の飛躍的な進歩であり、それはまさしくカテーテルアブレーションとデバイス治療の進歩による恩恵の賜物で、昔と比べ隔世の感がある。徐脈性不整脈にはペースメーカ、頻脈性不整脈には植込み型除細動器(ICD)だけであったが、現在では心不全に対する心臓再同期療法(CRT)、原因不明の失神や潜因性脳梗塞の心房細動検出のための皮下植込み型心電計(ILR)にいたるまで循環器疾患領域での診断・治療においてデバイスの果たす役割はきわめて大きくなっている。今後、新たに心房細動による脳塞栓予防のための左心耳閉鎖デバイスも医療現場に登場する。昔は、これらデバイス患者からの情報は医療機関での対面診療時にしか得られなかったが、遠隔モニタリングの急速な発展を受け、ほぼリアルタイムに院外の患者の異常が検出され、医療機関にその情報が届けられるようになった。その結果、早期発見と早期治療も可能になっている。新たな植込みデバイスが続々と登場することは、恩恵を受ける患者にとっては福音である。その一方で、不整脈専門医ですらこれらすべてのデバイスを完全に理解し、臨床で使いこなすことは徐々に困難となりつつあることも事実である。
 本書「不整脈デバイス治療バイブル」は、これから不整脈を学ぶ循環器専門医や専門修練医にとっては必須のテキストである。デバイス治療に関するほぼすべての内容が網羅され、偏りもなく、科学的エビデンスが確立された内容に沿って執筆されている。いまだ科学的エビデンスが確立していない点、注意すべき合併症、患者選択における注意点などは「今後の展望」にも述べられており、不整脈デバイス治療全体がバランスよく網羅されているのが本書の特徴であろう。
 医療テクノロジーの進歩により画期的な植込みデバイスが続々と臨床現場に登場するなかで、デバイス治療には先に述べた「光」の部分のみならず「陰」の部分も持ち合わせていることも忘れてはいけない。とくに新しいデバイス治療を行う場合は、1〜2年の短期治療成績の結果だけで安易に判断するのは非常に危険である。デバイス患者は1〜2年だけデバイスとともにあるのではなく、一生涯デバイスとともに生きなければならないのである。とくに、リードレスペースメーカやヒス束ペーシングなどには注意が必要であろう。現在のリードレスペースメーカは所詮、非生理的ペーシングであるため、長期的な生存率やQOLが改善するかは非常に疑問である。そのため医師が植込み適応を遵守しないと患者のためにはまったくならない。また、ヒス束ペーシングは、生理的ペーシングで心機能抑制も少ないことが期待されている。しかし、現在のデバイス機器では、5年以内に約20%の患者でリード不全や電池早期消耗が起きている。今後、デバイスシステム自体の改良がなされないと、現在のデバイスではとても臨床使用はできないであろう。
 昔から「新しい(美しい)ものには毒がある」といわれているが、まさしく新しいデバイス治療にも同じことがいえる。新しいものや美しいもののみにみとれていては患者のためにならないこともあることを肝に銘じるべきであろう。

臨床雑誌内科124巻3号(2019年9月増大号)より転載
評者●産業医科大学不整脈先端治療学 教授 安部治彦