書籍

Lesson!胸部画像の読みかた

編集 : 喜舎場朝雄
ISBN : 978-4-524-25197-1
発行年月 : 2019年4月
判型 : B5
ページ数 : 176

在庫あり

定価4,620円(本体4,200円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

胸部画像が“読めなかった”経験はありませんか?正面写真ばかり見ていた、画像だけで判断してしまった、隠れていた病変を見落とした、正常か異常なのかわからない、など、研修医が読影につまずく画像所見を切り口に、なぜつまずくのか、つまずかずに(見落としなく)読影するための方法を解説した。研修医と指導医のリアルなやり取りを読み進めるうちに、実践的感覚を養いながら胸部画像読影のキホンを身につけることができる。

I 胸部X線読影のキホン
 1 まず,撮影体位と撮影条件を確認する
 2 実際の胸部X線読影の手順
II 胸部CT読影のキホン
 1 胸部CT読影に必要な解剖の知識
 2 病変の位置(分布)をどう記述するか?
 3 画像所見をどう記述するか?
 4 画像所見から病理所見をどう推定するか?
III Lesson!−この画像,どう読む?
 1 正面像ばかり見ていました
  1st step 撮影条件を考えてみる
  2nd step 側面像が有用な場合とは?
 2 見る順番,それで大丈夫?
  1st step 見落としやすい病変を見落とさない
  2nd step 複数の病変を見落とさない
  3rd step 自分なりの読影ルーチンを構築する
 3 まさか!なにも映っていないと思ったのに
  1st step 死角となりやすい部分は念入りに
  2nd step 左右差を意識する
  3rd step 見落とさないためのさまざまなチェックポイントを押さえる
 4 とくに問題ないと思ったら,すりガラス影でした
  1st step 画像にひそむ落とし穴
  2nd step 見える所見を引っかける
  3rd step はたして本当にすりガラス影か?
 5 この所見は異常なの?正常なの?
  1st step 間接的にしか描出されない所見を読む
  2nd step 胸部X線では異常を指摘できないときは?
 6 肺血管や骨,しっかり追えていますか?
  1st step 肺血管の分布を追う
  2nd step 骨を追う
 7 画像だけで判断してしまいました
  1st step 読影手順の最後に考慮すべきことは?
  2nd step 緊急を要する疾患の可能性は?
 8 呼吸器以外の問題での来院だったもので
  1st step 認知バイアスによる影響は?
  2nd step 病歴は詳細に聞く
 9 息切れのある人では全身をしっかり捉えないと?
  1st step より重要な鑑別疾患を見極める
  2nd step 肺野以外にも目を向けよう!
 10 これって肺炎?それとも心不全?
  1st step 肺疾患の既往あり,どう考慮する?
  2nd step 肺炎と心不全の鑑別をどうするか?
 11 肺炎,肺炎,肺炎?
  1st step 気管支肺炎と肺胞性肺炎の違いは?
  2nd step レジオネラ肺炎の画像所見とは?
 12 抗菌薬への反応が悪いのですが
  1st step 肺炎像だが抗菌薬が効かない場合は?
  2nd step 画像所見の特徴から病態を考察する
索引

序文

 初期研修が始まった先生方にとって、臨床の現場においてもっとも触れる機会の多い画像検査は胸部X線でしょう。検査・診断を進める流れとしては、画像をオーダーする前にまず担当した患者さん1人1人にきちんと向き合い詳細な問診をとることが大切で、それにより主要な問題点を把握し、次のステップである身体診察とあわせてもっとも有力な疾患をいくつか列挙します。そして、呼吸器疾患や心疾患の確定診断に近づくために胸部X線を撮影することになります。さらに胸部X線で診断に到達しない場合には、追加で胸部CTを撮影することでより詳細に主要病変が解剖学的にどこにあるのかがわかり、その所見を解釈して診断をつけることで、治療・管理に結びつけることが可能になります。
 また、研修中は、画像所見に関するプレゼンテーションをしたり、画像所見に関して日々上級医と議論したりする機会も多いことでしょう。
 本書は、研修医をはじめとした若い先生方の理解が進むよう、以下のような構成で作成しました。
 I〜II章では、2人の胸部画像診断のエキスパートに読影の基本事項について解剖の丁寧な解説を交えてわかりやすく解説いただきました。I〜II章を熟読していただき、III章からの具体例の章に進んでいただくと実践的感覚が身につくと思います。
 III章では、実際に呼吸器診療の現場で活躍されている指導医に12のシナリオを準備していただきました。研修医の先生方が胸部画像の読影をするにあたり、むずかしく感じられる点や陥りやすい盲点などを指導医との対話形式で導入し、その後、指導医から個々の症例での読影の大切なポイント、さらにその症例を通じて応用が利くような気をつけるべき箇所などを丁寧かつ実臨床に沿って解説していただきました。この12のシナリオを読破することでさまざまな呼吸器疾患の胸部画像所見に柔軟に対応できる力が身についていくと思います。
 研修医の先生方に念頭に置いていただきたいのは、胸部X線所見を得ることで確定診断に至るのか、あるいは治療方針が決定・変更されるのかなども考えてオーダーすべきということです。有力な鑑別疾患が検査前に想起されていないと、同じ画像を目の前にしても見えるものも見えない状況に容易に陥ってしまいます。本書を読み通すことで、検査オーダー前に問診や身体診察からもしっかり情報を得て、急性疾患か慢性疾患か、または感染症か非感染症かなどを意識して胸部X線から何を得るのかを考える習慣が身につくと確信しています。さらには、正常所見と新しい異常所見の区別がしっかりできるようになり、患者背景から有力な鑑別疾患を複数挙げながら優先順位をつける臨床力を身につけていただければ幸いです。

2019年4月
喜舎場朝雄

 喜舎場朝雄先生が編集された「Lesson! 胸部画像の読みかた」を通読させていただいた。本書がユニークなのは、第1章および第2章で胸部画像診断のエキスパート2名に胸部単純X線像、および胸部CT像の読影手法の解説をしていただいた後に、症例を中心とした実践的な各論を設けている点にある。私はエキスパート2名の先生方とは旧知の仲であり、とくに佐藤 功先生とは17年間、香川県で一緒に仕事をさせていただいた。また、上甲 剛先生の執筆された論文を通して長年にわたって勉強させていただいたし、私の編集した本にもご執筆いただいている。この両名のベテランの先生方の解説はコンパクトにまとまっており、若手研修医にもぜひマスターしていただきたい。
 本書から感じたのは、単なる胸部画像の解説本ではないことである。画像所見は影絵である。それに強くとらわれすぎると疾患の本質を見落とすことになる。本書の理念は常に問診と身体所見を大切にしようということである。また、指導医と研修医との対話形式になっていることで症例検討会に参加しているような雰囲気を醸し出している。各論の12のシナリオは、研修医を指導している中堅の先生方により提供されていることもあり、きわめて実践的な内容となっている。本書の全編を通して流れているスピリッツは「患者のベッドサイド評価と画像から得られる情報を統合した「臨床像」こそ重視しなければならない」(本書127頁)ということにある。
 本書を編集された喜舎場朝雄先生は、同じ沖縄県に勤務していることもあり、さまざまな症例検討会および研究会でご一緒するし、「明解 画像診断の手引き(呼吸器領域編)」(国際医学出版)をともに著している。胸部CTの読影技術が見事であるのみならず、きわめて豊富な臨床的知識をもとに、臨床画像診断と表現できる読影をなさる先生である。本書が、これほど統一感をもって仕上げられたのは、編集者である喜舎場朝雄先生の理念が執筆者全員で共有されたからであると考える。本書の構成の土台は、沖縄県で開催されている臨床呼吸器同好会にある。この同好会では、症例の画像所見が呈示される前に、問診と身体所見が検討され、その後に画像診断を活用し、診断を絞り込んでいく。この手法は喜舎場朝雄先生の恩師であり、沖縄県立中部病院で長年活躍された宮城征四郎先生(群星沖縄臨床研究センター名誉センター長)が確立された手法である。これを土台に喜舎場朝雄先生が常に意識しておられるclinical-radiological-pathologicalアプローチが加わったものと理解している。
 本書を研修医が通読し理解することで、編集者がねらった「検査オーダー前に問診や身体診察からもしっかり情報を得て、急性疾患か慢性疾患か、または感染症か非感染症かなどを意識して胸部X線から何を得るのかを考える習慣」(本書序文から引用)を身につけられるものと確信する。

臨床雑誌内科124巻4号(2019年10月号)より転載
評者●琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座(第一内科)教授 藤田次郎