書籍

内視鏡スクリーニングPractice & Atlas

  • 新刊

: 豊島治
ISBN : 978-4-524-24995-4
発行年月 : 2021年2月
判型 : B5
ページ数 : 172

在庫あり

定価5,500円(本体5,000円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

地域医療を担うクリニックの医師が著した内視鏡マニュアル書。上部消化管では胃炎診断から癌のリスク評価までモダリティごとに特徴と留意点を整理。下部消化管ではadenoma detection rateを高めるために著者が実践しているTCSのポイントを解説。セデーションのノウハウや院内動線の工夫など、4万件の検査実績をもとに診療上で役立つ知識を余すところなく盛り込んだ。美麗な内視鏡所見も満載。

第1章 胃[知識編]消化器医は胃炎をどう診ていくか〜胃炎診断は胃癌のリスク評価である〜
 [I]胃炎診断の流れをおさえる
  A.まず,Hp感染状態を把握する〜リスクが違うから「未・現・既」感染に分ける〜
  B.Hp感染は内視鏡だけでは診断できない〜Combinationするとよい〜
  C.次に,癌リスクを評価する〜癌リスク評価の2つのポイント〜
 [II]モダリティー別の評価法−(1)内視鏡
  A.内視鏡所見からHp感染と癌リスクを診断する〜これが京都分類〜
  B.京都スコアに用いられる内視鏡所見
  C.内視鏡所見(京都分類)によるHp感染と胃癌リスク診断の文献review
  D.京都スコアはHp感染と癌リスク診断に有用である
 [II]モダリティー別の評価法−(2)ヘリコバクター・ピロリ抗体(Hp抗体)
  A.Hp抗体は感染だけでなく癌リスクも評価できる〜低値は腸型,高値はびまん性の癌リスク〜
  B.Hp抗体10U/mL未満でHp陰性と診断してはいけない!〜Gray zone(陰性高値)について〜
 [II]モダリティー別の評価法−(3)ペプシノゲン(PG)
  A.新B・C群の除菌は慎重に
  B.PGは「Hp感染(胃炎進展)・除菌」によりどのように変動するか
  C.ABC検診と胃癌リスク
 [II]モダリティー別の評価法−(4)病理
  A.Updated Sydney Systemと胃癌リスク〜好中球活動の分布が大事〜
  B.Updated Sydney Systemの各項目について
 [II]モダリティー別の評価法−(5)尿素呼気試験(UBT)
  A.UBT,内視鏡所見,Hp抗体を用いたHp感染診断のアルゴリズム
 [III]胃のトリビア
  A.自己免疫性胃炎(A型胃炎,autoimmune gastritis:AIG)
  B.胃癌の原因の9割はH.pylori 〜Hpは腸型癌だけでなくびまん性癌のリスク〜
  C.CagAについて〜日英の違いからその毒性を推測〜
  D.ホモ・サピエンスとH.pyloriのグレートジャーニー
  E.日本人は同種のHpに感染しているのに,発癌する人としない人がいるのはなぜか
 [IV]実診療でH.pyroliについて患者さんからよくある質問
  A.感染時期・経路について
  B.除菌方法・判定について
  C.除菌の効果について
第1章 胃[画像診断編]早期胃癌の発見のストラテジー
  A.内視鏡クリニックで発見された胃癌の特徴
 [I]Hp現感染・早期癌
  A.Theory通り! ハイリスク胃炎から発生した癌(1)
  B.Theory通り! ハイリスク胃炎から発生した癌(2)
  C.Theory通り! ハイリスク胃炎から発生した癌(3)
  D.IMと鑑別を要する褪色調・扁平隆起癌
 [II]Hp除菌後・早期癌
  A.典型的な除菌後癌(1);発赤調,浅い陥凹
  B.典型的な除菌後癌(2);発赤調,浅い陥凹
  C.地図状発赤との鑑別が困難なケース(1)
  D.地図状発赤との鑑別が困難なケース(2)
  E.褪色調も要注意(0-IIa)
  F.褪色調も要注意(0-IIb)
  G.褪色調も要注意(0-IIc)
  H.前回見直しシリーズ(1)
  I.前回見直しシリーズ(2)
  J.前回見直しシリーズ(3)
  K.前回見直しシリーズ(4)
  L.異時性M癌(1)
  M.異時性M癌(2)
  N.Hp自然消滅後癌
  O.Hp偶然除菌後癌
  P.除菌後・胃底腺型癌
 [III]Hp未感染・早期癌
  A.典型的なHp未感染癌:40歳代女性,褪色調,IIc,7mm,sig!!
  B.前庭部の単発の隆起型びらん癌
  C.SMT様・胃底腺型癌(1)
  D.SMT様・胃底腺型癌(2)
  E.胃底腺ポリープに由来する腺癌(ラズベリー様)
第2章 大腸[知識編]大腸癌と大腸内視鏡のエッセンス
 [I]大腸癌の疫学
  A.大腸癌死は先進国の中で日本は最多
  B.内視鏡クリニックで発見される大腸癌の特徴
  C.本当にFITだけで大丈夫なのか
  D.大腸癌と腺腫のリスクファクター
 [II]大腸癌発生のメカニズム
  A.大腸癌発生経路,メジャー2とプラス2
  B.Lynch症候群についてもう少し
 [III]SSL(SSA/P)について知っておきたいこと
  A.最近はSSA/PではなくSSLと呼ぶ
  B.2大前癌病変,腺腫とCSSPの比較
  C.Serrated polyposis syndrome(SPS)
 [IV]「大腸腺腫は可及的に摘除すべきである」ことのエビデンス
 [V]目指すべき質の高い大腸内視鏡は,ADRの高い内視鏡である
  A.なぜADRなのか
  B.大腸内視鏡のqualityはこうやって決まる
第2章 大腸[画像診断編]見逃しやすい大腸病変の見つけ方
 [I]微小腺腫のHow to Detect
  A.扁平病変の発見のコツは「PCC」と「間違い探し」
  B.ADRを上げる工夫
  C.扁平・微小腺腫発見の実際(「PCC」と「間違い探し」を中心に)
 [II]SSLをみつける
  A.SSLの拾い上げには色素が有用
  B.典型的SSL シリーズ
  C.これがCancer with SSLだ!
  D.これがSPS(serrated polyposis syndrome)だ!
 [III]微小大腸癌9例 −微小癌は腺腫との鑑別が困難−
  A.3mm M癌:Is,易出血
  B.3mm M癌:白斑
  C.4mm M癌:Is
  D.4mm M癌
  E.5mm M癌:SSL様
  F.5mm M癌:Is,白斑
  G.5mm M癌:Is,丈が高い,白斑
  H.5mm M癌:IIa+IIc,白斑
  I.5mm SM癌:IIa+IIc,易出血,non-lifting sign+
 [IV]発見困難な早期癌シリーズ
  A.PCCにて発赤調の血管不透見領域としてDetectされたIIa+IIc
  B.襞の変形としてDetectされたIIc(LST-NG)
 [V]肛門管癌/病変をみつけるには直腸反転が望ましい
  A.直腸反転で発見された(直腸)肛門管癌
  B.直腸反転で発見された肛門管腫瘍
 [VI]ポリープ摘除の限界と方法
  A.外来ポリープ摘除の限界「10個,1個15mm,累計30mm」
  B.ポリープ摘除法の選択〜cold polypectomyが主流〜
 [VII]大腸内視鏡挿入のコツ
  A.スコープの賢い選択方法:PCF-ZやPCF-PQをどう選ぶか
  B.CO2は是が非でも
  C.腰部ベルトは挿入時間を短縮する
第3章 咽喉頭・食道[知識編]食道・咽喉頭領域で内視鏡医が知っておきたいこと
 [I]食道扁平上皮癌のリスク
  A.フラッシャーはなぜ食道癌になりやすいか〜ADH1BとALDH2の遺伝子多型〜
  B.遺伝的に食道癌になりやすい人が喫煙・飲酒をすると
 [II]咽喉頭癌のリスクは食道癌と同じ
 [III]Barrett食道の診断と癌のリスク
  A.EGJもBarrett食道も日本と欧米では定義が違う
  B.LSBEとSSBEも日米で違う
  C.Barrett食道とBarrett食道癌の頻度とリスク
 [IV]GERDの内視鏡診断と治療
  A.GERDはLos Angeles分類で表す
 [V]食道裂孔ヘルニアの内視鏡診断によくある不一致
  A.食道裂孔ヘルニアは見下ろし2cmで診断する
  B.見上げで食道裂孔が緩んでいるのはflap valve
第3章 咽喉頭・食道[画像診断編]咽喉頭・食道癌,早期発見のテクニック
 [I]表在・食道扁平上皮癌
  A.NBIにてBAとしてDetect.0-IIa・LPM
  B.NBIにてBAとしてDetect.0-IIb・LPM
  C.角化傾向を伴う0-IIc・LPM
  D.診断困難だったケース,疑ったときは短期間でサーベイランスを(1)
  E.診断困難だったケース,疑ったときは短期間でサーベイランスを(2)
  F.食道切除により多発/微小SCCが発見された症例
 [II]表在・Barrett食道癌
  A.“SMT様扁平隆起”のBarrett癌
  B.“隆起”と“SMT様扁平隆起”のBarrett癌
  C.“発赤調”舌状SSBE様のBarrett癌
  D.除菌後Barrett癌!
  E.微小Barrett癌(1)
  F.微小Barrett癌(2)
 [III]早期・咽喉頭癌
  A.「右」梨状陥凹にNBIにて発見されたSCC
  B.下咽頭にNBIにて発見された微小SCC
  C.声帯のSCC
第4章 Evidenceに基づくsedationの進め方
 [I]安全第一,まずはsedationの準備から
  A.入院施設でのsedation内視鏡を考慮すべき患者は?
  B.「無痛・意識消失は推奨できない」と説明する
  C.内視鏡スタッフのトレーニングを
  D.sedationの人員配置と環境整備
 [II]sedationのさじ加減〜sedationに必要な薬剤の知識〜
  A.当院での実際の投与量
  B.ミダゾラムと拮抗薬
  C.ペチジンと拮抗薬
 [III]リカバリーはsedation内視鏡の生命線
 [IV]動線からつくる内視鏡ユニットの設計図
付録
 オリンパスと富士フイルムの内視鏡/対応表
 0.05%インジゴカルミン(IC)と酢酸インジゴカルミン混合液(AIM)の作り方
索引

序文

 内視鏡医は実診療でどう病気を考え、どう内視鏡を行い、どう診るか、というコンセプトで本書を執筆しました。

本書の流れ
 第1章から第3章は、内視鏡医が診療する疾患の頻度から胃→大腸→食道の順に記載されています。各章とも、第1節では、内視鏡担当医が、内視鏡検査や患者さんへの説明をする際に必要な知識について記述されています。第2節では、当院で発見された早期癌や腫瘍のうち、メッセージ性の高いものを提示し、スクリーニング内視鏡における病変の早期発見のコツが記されています。

 第1章では、胃癌のリスク評価について、内視鏡(胃炎の京都分類を中心に)やH.pylori抗体などのモダリティー別に記載しました。診療に必要なH.pyloriに関連する知見にも多く触れました。今後増えてくるであろう、除菌後早期胃癌16例、未感染早期胃癌5例をピックアップしました。
 第2章では、大腸内視鏡の精度指標である腺腫発見率を向上させる工夫や、最近話題のSSL(SSA/P)について記しました。多数の微小腺腫やSSL、9例の微小癌を供覧しました。
 第3章では、食道癌を扁平上皮癌とBarrett癌に分けて解説し、表在Barrett癌6例、早期咽喉頭癌3例を掲載しました。
 第4章ではSedation内視鏡の実際の手技、診療の流れ、環境整備について、evidence-based protocolと7万件の実績を基に解説しました。

 スクリーニング内視鏡の制約には、(1)あるかないかわからないものを探す、(2)時間、(3)機種も最新のものばかりは使えない、といった点があげられます。このような制約下で、効率的に病変を見つけるコツは、検査の前とその最中にリスクを把握し、riskyな部位を丁寧に観察することです。無駄な生検を減らすためにも、リスク診断は欠かせません。一方、見逃さないためのコツは、「疑わしきは生検をする」ことが鉄則と考えています。実診療では、早期病変の診断は「念のために生検した」ことによることが多々あります。それを繰り返すことにより、早期病変の検出は確実なものになりますが、その経験を本書にてenjoyしていただきたいと思っております。
 また、本書では、臨場感を大切にするため、なるべく経時的に、敢えて発見当初の画像を使用しました。そのため、ピントがずれている、曇っている、など、画質が今一つであるものもあります。そのような、ピンボケやハレーションのある中でいかに病変を探していくか、これが本書の醍醐味でもあると思っております。

 本書の目玉として、病理の部分の執筆は渡邉英伸先生にご担当いただきました。主にupdated Sydney System、自己免疫性胃炎、大腸SSLのパートになります。渡邉先生のきれいな画像をご高覧ください。
 また、画像診断につきましては、上部は小山恒男先生、下部は斎藤豊先生にご指導をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 現場の内視鏡ユニットからの豆情報をお読みいただき、先生方が診療する上で、少しでも有意義に患者と向き合えることの一助となれば嬉しく思います。