書籍

今すぐはじめられる!心臓デバイスの遠隔モニタリング超入門

編著 : 鈴木誠/三橋武司/寺田健
ISBN : 978-4-524-24916-9
発行年月 : 2019年4月
判型 : A5
ページ数 : 98

在庫あり

定価2,860円(本体2,600円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

導入施設の増加が見込まれている遠隔モニタリングシステム(RMS)の導入方法や運用のポイントをわかりやすく解説した手引き書。巻頭には、各メーカーのRMSの特徴が把握しやすい「RMS一覧」を収載。また、どのような患者さんにどのRMSを選ぶと良いかといったRMSの使い分けの手掛かりも徹底解説。施設内での導入・運用ノウハウから具体的なトラブル事例まで広く取り上げており、RMSの導入を予定している、または既に導入している現場で働くすべての医療者に役立つ一冊。

遠隔モニタリングシステム(RMS)一覧
I.RMS導入はどうするの?〜キホンを押さえる〜
 A.はじめに〜RMSを導入する前に〜
 B.RMSを導入するためのキホン
  1.RMSの役割が知りたい
  2.RMSはどの施設でも導入できる?!
  3.RMSにはどんな職種がどうかかわる?
  4.RMSを導入するメリットと課題
 C.はじめてRMSを導入するためのポイント
  1.どんな患者さんに導入するとよいか?
  2.患者さんへの説明で役立つポイント〜キーパーソンの設定〜
II.各RMSの使い分けは?〜RMS使い勝手徹底比較!〜
 A.はじめに〜RMSはここまで進化した〜
 B.各RMSの性能・特徴
  1.CareLink Network(Medtronic)
  2.Home Monitoring(BIOTRONIK)
  3.Merlin.net(Abbott)
  4.LATITUDE NXT(Boston Scientific)
  5.Smartview(Sorin)
 C.使い勝手独自分析
  1.中継機器の使いやすさ
  2.患者管理とWebシステムの使いやすさ
  3.アラート機能の違い
  4.パスワード管理とセキュリティー
  5.総合評価と感想
III.こんな事例は一体どうする?〜症例から学ぶRMS管理の極意〜
 A.悩ましい!ショック作動やATP作動が起きたら
 B.意外と多い!デバイス植込み後の心房細動は何に気をつける?
索引

序文

 心臓植込みデバイスの植込みは、日本中多くの施設で行われている手術ですが、機器の機能は年々著しい速度で進歩を遂げており、専門的対応が広く求められる状況にあります。そのような環境のなか、医療者、患者負担が軽減できる可能性を秘めて、日本では2007年から遠隔モニタリングシステム(RMS)が導入されました。当初の普及率は十分なものではありませんでしたが、2018年度の診療報酬改定によりRMSを取り巻く環境はドラマティックに変化しました。これまでRMSを導入していなかった施設でも、RMSを導入すれば病院の収益は確実に増えることから、管理者の指示を受けてRMS導入を開始したのです。
 現場の声を聴くと、特にメディカルスタッフは早く導入したいと考える一方で、うまく運用しなければとのプレッシャーを感じているようです。一部のメディカルスタッフの頑張りだけではRMSの運用はうまくいかないばかりか長続きしません。もちろん、RMSは患者の利益が最優先です。
 日本では、これまで対面診療によるデバイス管理が一般的であり、目に見えないサービスは、ありがたいと思うことができない環境にあったのではないかと考えます。「便りがないのは良い知らせ」と感じてもらえるような信頼関係を構築するチャンスが目の前にあるはずです。RMSを導入することで、多くの患者が安心感を得るだけではなく、「予後が改善した」などの情報発信ができるように患者管理を創り出して、運用しなければなりません。なぜならば、次回以降の診療報酬改定で減額されないとは限らないからです。いったん導入したRMSをやめるわけにはいきません。途中で管理を中止したならば、患者への不利益ははかり知れません。
 本書では、これからRMSを導入する施設を含めて、多くの読者に役立つ情報を提供させていただいています。各施設において、それぞれの状況に応じたRMS導入と管理方法の確立に本書を役立てていただければ幸いです。

2019年3月
編者を代表して
鈴木誠

 1975年、植込み型ペースメーカがわが国に導入されて以来45年が経過し、現在までに患者の命を繋ぐために実に多くの医療機関でデバイス植込みがなされてきた。デバイス自体も日進月歩で進歩し、植込み型除細動器(ICD)、心室再同期デバイス(CRT)が相次いで導入され、2018年には年間7万人以上の患者がこれらデバイス治療の恩恵に与っている。
 一方、昨今の携帯電話網の整備・インターネットの発達や通信機器の進歩に伴い、直接対面せずとも医療サービスを受けることが可能となる遠隔診療システムづくりの機運の高まりを背景に、わが国では2010年に心臓治療デバイスの遠隔モニタリング機能を用いた療養指導が保険収載されるにいたり、デバイス遠隔モニタリングはいち早く遠隔診療の一翼を担ってきた。2018年からは、遠隔モニタリングへの期待の高まりにより診療報酬改定がなされ、いよいよデバイス遠隔診療が加速される状況となってきている。
 この遠隔モニタリングシステムは本来、医療者・患者双方の負担を軽減するために開発され、とくに身体活動能力の低下した患者およびその家族の通院負担軽減とともに、デバイス外来診療に携わる医師・メディカルスタッフの業務軽減とデバイス外来の混雑軽減に大きく寄与することが期待されている。しかしその反面で、従来の対面診療に比べてデバイスの不具合や患者の病態変化の見落としや発見の遅れなど、患者に対して不利益となり得る状況が発生するようであれば、本末転倒であろう。
 医療者側にとっては、このような遠隔モニタリングによる遠隔診療上の問題が発生することのないように、遠隔モニタリング導入に対する院内環境を整備し、かつその機能を十分に理解して適切に運用するための十分な知識を習得することが重要であると考えられる。さらに、各社によるデバイス機能の違いや遠隔モニタリング方式の差異による運用の違いなども十分に理解することがわれわれ医療人には求められている。
 本書は上記のような種々の問題に対し、適切な対応が可能となるように配慮されており、各病院における遠隔モニタリング導入への実際の方法論が理解しやすく述べられている。また、各社による遠隔モニタリング方式の差異による運用の違いについても丁寧に解説されている。さらにデバイストラブルへの対応にも触れており、本書を精読することで文字通り遠隔モニタリングの運用が可能となるように十分に配慮されている。
 遠隔モニタリングの本来の目的は、医療の質を担保しつつ、医療者・患者双方の負担を軽減するためであり、本書を手に取り読み込むことで、デバイス植込み各症例における遠隔モニタリングによる正確で迅速なデバイス情報の把握がなされ、患者本位の遠隔モニタリングがなされることを祈念してやまない。

臨床雑誌内科125巻1号(2020年1月号)より転載
評者●筑波大学循環器内科 教授 青沼和隆