書籍

今日の助産改訂第4版

マタニティサイクルの助産診断・実践過程

編集 : 北川眞理子/内山和美
医学監修 : 生田克夫
ISBN : 978-4-524-24625-0
発行年月 : 2019年3月
判型 : A5
ページ数 : 1216

在庫あり

定価9,680円(本体8,800円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

マタニティサイクルの助産診断と実践過程に焦点をあてた助産学の標準テキスト。JRC蘇生ガイドライン2015や産婦人科診療ガイドライン2017、妊娠高血圧症候群の新定義・臨床分類2018などに対応した最新版。(1)どのようなデータ・情報をとるか、(2)アセスメントのポイントやコツや根拠は何か、(3)それらから導き出される助産診断の例、(4)助産診断に基づく助産ケアの例とそのポイント、(5)助産ケアの評価というように、一連の助産診断・実践の過程が一目でわかる考え抜かれた見開きの構成。いつの時代も変わることのない助産の技、コツを伝える助産師必携のテキスト。助産を学ぶ学生にも、最新の情報を効率良く収集しアップデートしたい多忙な臨床助産師にもおすすめの一冊。

第1章 助産師の役割
 I.助産実践と助産診断
  A.臨床実践の中の助産
   1.助産とは何か
   2.助産師の専門性と助産診断
   3.ホリスティックな助産ケアの実践にむけて
  B.助産師のもつべき実践能力
   1.日本助産学会による規定
   2.助産師の技・術・技能
   3.ICMによる基本的助産業務に必須な能力
 II.質的に高い助産ケアへ
  A.助産診断の書き方
   1.助産診断と助産実践の過程
   2.助産師にとって臨床判断“助産診断”の意味するもの
   3.助産診断の課題
   4.助産診断名の表現
  B.助産診断の項目カテゴリーと助産診断名の具体的表現法
   1.経過診断と時期診断
   2.健康生活状態診断
  C.助産診断と実践過程への方向性
   1.ウェルネス状態を表現する
   2.影響因子を明確にし,起こり得る変化を表現する
   3.発達課題などを含む心理・社会的な側面の健康状態を診断する
   4.ケア目標は診断名にならない
第2章 妊娠期の助産診断
 I.妊娠期の助産診断の焦点
  A.妊娠初期の助産診断の焦点
  B.妊娠中期の助産診断の焦点
  C.妊娠後期の助産診断の焦点
 II.妊娠期の助産診断とアセスメント・ツール
  A.妊娠の診断
   1.妊娠成立の確定診断
  B.妊娠時期の診断
   1.分娩予定日の診断
   2.妊娠週数の診断
  C.妊娠経過の診断
   1.妊娠に伴う母体の生理的変化
   2.初産婦と経産婦の鑑別診断
   3.胎児および胎児付属物に関する診断
  D.分娩開始の予知の診断
   1.分娩発来の機序
   2.分娩の前徴
  E.健康生活状態に関する診断
   1.健康生活への適応状況に関する診断
   2.心理・社会的側面に関する診断
  F.母乳育児に関する診断
  G.マイナートラブルの診断
   1.つわり(第2章II-H-c1参照)
   2.胸やけ
   3.便秘
   4.頻尿
   5.腰・背部痛
   6.腟分泌物の増加
   7.浮腫
   8.静脈瘤
   9.下肢の痙攣(こむらがえり)
   10.鼻・歯肉からの出血
   11.呼吸数の増加
  H.正常妊娠から逸脱時の診断
  【a】ハイリスク妊娠の評価の視点
  【b】妊娠持続期間の逸脱
   1.流産
   2.早産
   3.過期妊娠
  【c】妊娠に伴う身体的適応からの逸脱
   1.妊娠悪阻
   2.貧血
   3.妊娠高血圧症候群
   4.妊娠糖尿病・耐糖能異常
  【d】胎児発育の逸脱
   1.多胎
   2.FGR(胎児発育不全)
  【e】胎児付属物の逸脱
   1.前置胎盤
   2.常位胎盤早期.離(第3章II-G-i参照)
   3.羊水過多・過少(第3章II-G-g参照)
  I.妊娠時合併症を有する診断
   1.糖尿病(第2章II -H-c4参照)
   2.心疾患
   3.腎・泌尿器系疾患
   4.呼吸器系疾患(気管支喘息)
   5.消化器系疾患
   6.甲状腺疾患
   7.自己免疫疾患
 III.助産診断・助産ケアのための診査技術・ケア技術ツール
  A.ID情報
   1.初診時の問診項目
   2.問診のすすめ方
  B.コミュニケーション技法活用表
   1.面接技法
   2.コミュニケーション技法
  C.レオポルド(Leopold)触診法
   1.胎児部分の触診上の特徴
   2.触診の手順(レオポルド触診法)
  D.ザイツ(Seitz)法:児頭と骨盤の相互関係の診断技法
  E.カーサ・モア法
  F.ガウス(Gauss)頤部触診法
  G.胎児心音の聴取
  H.子宮底長の計測
  I.子宮底長・高さの計測(触診)
  J.腹囲の計測
  K.骨盤外計測
  L.ノンストレステスト(NST:non-stress test)
  M.超音波断層法
   1.超音波断層装置の使い方
   2.超音波による妊娠の証明
   3.妊娠週数の修正
   4.胎児発育の観察
   5.胎位・胎向の観察
   6.胎盤の観察
   7.羊水量の観察
  N.切迫早産のスクリーニング吉留厚子
   1.早産指数
   2.子宮頸管長と子宮口の経腟超音波所見
   3.細菌性腟症
   4.絨毛膜羊膜炎の臨床症状
   5.早産マーカー
 IV.妊婦健康診査の要点
  1.周産期医療の特殊性
  2.目的と意義
  3.時期別の健康診査
  4.妊娠各期の妊婦健診例
 V.出産準備教育(birth education)
  1.出産準備教育とは
  2.理念
  3.種類
  4.評価方法
第3章 分娩期の助産診断
 I.分娩期の助産診断の焦点
  A.分娩期の助産診断とは何か
  B.分娩期の助産診断の焦点
 II.分娩期の助産診断とアセスメント・ツール
  A.正常分娩の臨床経過
  B.分娩開始の診断
  C.分娩経過の診断
   1.分娩進行の診断
   2.分娩進行状況の総合判定
  【胎児の産道通過機転】
  D.胎児に関する診断
  E.健康生活状態に関する診断
   1.健康生活への適応状況に関する診断
   2.心理・社会的側面に関する診断
  F.分娩時リスク診断村上明美
   1.助産師が扱う分娩の適応
   2.分娩リスクの診断と産科医師との協働
   3.分娩中の胎児心拍数と陣痛の観察
   4.分娩リスク診断を行う助産師の能力
   5.産科医療補償制度における再発防止の視点からみた分娩リスクの診断
  G.正常分娩から逸脱時の診断
  【a】陣痛異常
   1.微弱陣痛
   2.過強陣痛
  【b】回旋の異常
   1.反屈位(前頭位,額位,顔位)
   2.低在横定位
   3.後方後頭位
  【c】児頭進入の異常
   1.不正軸進入(前方,後方)
   2.高在縦定位
  【d】胎位の異常
   1.骨盤位
   2.横位
  【e】胎児機能不全
  【f】破水時期の異常
   1.前期破水・早期破水
  【g】羊水の異常
   1.羊水過多
   2.羊水過少
  【h】多胎
  【i】異常出血
   1.前置胎盤
   2.常位胎盤早期剥離(胎盤早剥)
   3.弛緩出血
   4.播種性血管内凝固症候群(DIC)
  【j】子癇
  【k】子宮内胎児死亡(IUFD)
 III.助産診断・助産ケアのための診査技術・ケア技術ツール
  A.分娩時の胎児心拍数モニタリング
   1.胎児心拍数陣痛図の判読
  B.分娩介助の実際
   1.準備・観察
   2.分娩介助(肛門・会陰保護を含む)
   3.会陰裂傷
  C.分娩誘発の助産管理・
  D.産痛のコントロールと緩和
  E.呼吸法.分娩の進行と呼吸法
  F.腹圧のコントロール・努責法
  G.フリースタイル分娩介助法/側臥位分娩介助法
   1.フリースタイル分娩介助法
   2.側臥位分娩介助法(産婦が左側臥位をとった場合)
  H.出産の想起と肯定的出産体験への支援
   1.出産の想起(バースレビュー)
   2.出産体験を想起することの意味
   3.肯定的出産体験への支援
  I.急速遂娩(吸引分娩・鉗子分娩)時の補助
  J.新生児蘇生法
   1.出生直後のチェックポイント
   2.出生直後のチェックポイントを認めない場合
   3.出生直後のチェックポイントのいずれかを認める場合(蘇生の初期処置)
   4.蘇生の初期処置後の評価
   5.自発呼吸があり,かつ心拍数が100回/分以上の場合
   6.自発呼吸がない,あるいは心拍数が100回/分未満
第4章 産褥期の助産診断
 I.産褥期の助産診断の焦点
  A.産褥期の助産診断とは何か
  B.産褥期の助産診断の焦点
 II.産褥期の経過診断とアセスメント・ツール
  A.産褥経過の診断
   1.退行性変化(局所の復古)の診断
   2.進行性変化の診断
   3.全身状態の回復診断
  B.心理的側面の診断
  C.社会的側面の診断
  D.効果的な母乳育児の診断
  E.発達的側面の診断
  F.健康生活状態に関する診断
  G.正常産褥から逸脱時の診断
   1.退行性変化の逸脱
   2.進行性変化の逸脱
   3.効果的な母乳育児継続の逸脱
   4.産後うつ病疋田胤美
   5.その他の身体的側面の逸脱
   6.心理的側面の逸脱
   7.社会的側面の逸脱
 III.助産診断・助産ケアのための診査技術・ケア技術ツール
  A.乳房診査技術
  B.母乳育児支援
  C.産褥経過に伴う健康診査と助産ケアの概説
第5章 新生児期の助産診断
 I.新生児期の助産診断の焦点
  A.新生児期の助産診断とは何か
  B.新生児期の助産診断の焦点
 II.新生児期の経過診断とアセスメント・ツール
  A.胎内環境の診断
   1.母体情報
   2.胎児情報
  B.新生児の分類診断
  C.成長・発達の診断
   1.形態的成長の診断
   2.機能的発達の診断
   3.精神・運動機能発達の診断
  D.胎外生活適応の診断
   1.呼吸循環の適応
   2.先天異常
   3.分娩外傷
   4.生理的適応
  E.健康生活状態に関する診断
   1.母子関係
   2.保育レベル
   3.生活環境
  F.正常からの逸脱時の診断と実践過程
   1.新生児仮死
   2.呼吸障害
    2-1 胎便吸引症候群(MAS)
    2-2 呼吸窮迫症候群(RDS)
    2-3 新生児一過性多呼吸(TTN)
   3.FGR(胎児発育不全)(正期産児)
   4.糖尿病母体児(IDM)
   5.前期破水母体からの新生児
 III.助産診断・助産ケアのための診査技術ツールと実践過程
  A.新生児診査技術ツール
   1.系統的観察法
   2.身体的諸計測
   3.バイタルサイン
   4.原始反射診察法
   5.成熟度診察法
  B.出生直後のルーチンケア
  C.出産・育児期の家族のケア渡邉典子
   1.出生児を迎えた生活環境や家族のアセスメントと支援
   2.家族間の人間関係のアセスメントと支援
   3.地域社会の資源や機関を活用できるための支援
  D.ペリネイタル・ロスのケア
 IV.新生児の生理的経過と健康診査およびケアの概説
巻末文献
略語表
索引
 ・索引1−ケアと評価
 ・索引2−欧文索引
 ・索引3−和文索引

改訂第4版 序

『今日の助産』の初版発行から16年を経て、第4版の刊行を迎えることとなりました。学生さんや助産師諸姉にご活用いただきましたこと、執筆者を代表して御礼を申し上げます。本書は、助産学を学ぶ学生さんには臨床実習で必要となる専門的知識や技術を効率よく学習するための参考書として、臨床助産師の方々には臨床助産の実践や臨床指導の際に重要項目を素早く確認・参照できる実践書として、1冊にまとめたものです。
 医療の高度化が進む中、エビデンスに基づく診療やケアがいっそう求められており、助産活動の場においてもその重要性は明らかであります。また、助産外来や助産院・院内助産所の拡大が叫ばれており、助産師のますますの活躍は社会的な要請となっています。このような状況下、世界一を誇るわが国の産科医療の水準維持のためには、助産師の業務の質向上、助産師数の増加、および助産師と他の医療職者との連携・協働などは重要な意味をもちます。とくに質向上においては、助産活動を進める上で、助産師の実践力は常に問われ、助産師のコンピテンシーの基盤ともなる専門的知識と助産技術は、高度な専門性が求められています。
 2018年秋には、全国助産師教育協議会が『現行の助産師教育におけるコアカリキュラム2018』、『大学院における助産師教育モデル・コアカリキュラム2018』を策定しました(2019年2月現在、会員専用HPにのみ掲載)。その内容は、助産師として求められる基本的な資質・能力、社会と助産学、ローリスク・ハイリスクの妊産褥婦助産診断と助産ケア、多様な場とライフステージに応じた助産診断とケア、助産学実習、助産学研究といったもので構成されています。助産師が質のよいケアを提供するためには、科学に裏付けされた助産診断力や原理・原則を踏まえた助産技術が必要となります。
 助産学と関連する産科学や新生児学は、日々進歩しており、新しい用語・概念がつくられ、ガイドラインや臨床的評価指標などが改訂されています。本改訂第4版では、これらの変更を受けて内容・情報等の更新・整理をしました。これまで同様、本書が多くの学生さん、助産師諸姉のお役に立てることを祈念いたします。
 最後に、改訂第4版の発行に際して、本書の細部にわたって最新の医学情報に基づきご監修くださいました前名古屋市立大学看護学部教授生田克夫先生に深く謝意を表します。また、南江堂編集部の竹田博安氏、木村敦子氏に並々ならぬご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。

2019年2月
編 者
北川眞理子
内山和美

9784524246250