書籍

緩和医療薬学改訂第2版

編集 : 日本緩和医療薬学会
ISBN : 978-4-524-23435-6
発行年月 : 2023年4月
判型 : B5
ページ数 : 230

在庫あり

定価4,400円(本体4,000円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本緩和医療薬学会の「緩和薬物療法認定薬剤師制度」の資格取得のための学会公式テキスト改訂版.初版からの内容更新に加え,19の症状や病態・がん以外の特定集団のマネジメントの解説をメインとした項目立てに大幅に変更.主要がんの治療・支持療法についても盛り込み,資格取得を目指す薬剤師だけでなく,緩和医療に携わる医療従事者,初学者にも役立つ一冊.

目 次
第1章 緩和医療総論
 1 緩和医療の歴史と変遷,定義
 2 全人的苦痛
 3 緩和ケアの実践
第2章 緩和医療に携わる薬剤師に必要な基本的姿勢
 1 プロフェッショナリズム
 2 緩和医療に求められる倫理
 3 緩和医療に関連する制度/法規
 4 自己研鑽と教育・研究
第3章 緩和医療に関する知識と実践能力
 1 疼痛マネジメント
 2 悪心・嘔吐マネジメント
 3 食欲不振・悪液質マネジメント
 4 がん関連倦怠感マネジメント
 5 便秘マネジメント
 6 下痢マネジメント
 7 消化管閉塞マネジメント
 8 腹水・腹部膨満感,黄疸マネジメント
 9 呼吸困難,胸水マネジメント
 10 咳嗽マネジメント
 11 気道分泌過多(死前喘鳴)マネジメント
 12 高カルシウム血症マネジメント
 13 せん妄マネジメント
 14 不眠マネジメント
 15 不安マネジメント
 16 口腔の問題,嚥下障害,吃逆マネジメント
 17 生活機能マネジメント(がんのリハビリテーション診療)
 18 スピリチュアルペインマネジメント/家族ケア/グリーフケア
 19 苦痛緩和のための鎮静
第4章 がんに関する基礎知識
 1 がんに関する基礎知識
 2 がん支持療法総論
第5章 がん以外の特定集団への緩和医療に関する知識と実践能力
 1 非がん慢性疼痛
 2 心不全
 3 小 児
第6章 緩和医療に必要な対⼈およびチーム医療での実践能力
 1 コミュニケーションスキル
 2 多職種連携,薬薬学連携
 3 在宅緩和ケア
 4 包括的アセスメント
付 録:緩和医療薬学における便利ツール一覧

序 文
日本緩和医療薬学会は,2006年6月に「がん対策基本法」が成立した翌年の2007年1月に設立された.本学会は「日本において益々高まる緩和医療の重要性を鑑み,保険薬局薬剤師,病院薬剤師,薬学研究者の連携強化を図り,緩和医療における薬物療法の推進と充実,さらに大学での教育研究と企業での開発・学術研究の進歩発展」を目的とし発足した学術団体である.そして15年の歳月を経て会員数は4,000名規模となり,わが国の緩和医療を牽引する薬剤師の専門学会として成長した.
この15年で緩和医療を取り巻く環境も大きく変わった.「診断時からの緩和ケア」が基本的な考え方となり,終末期だけでなく,がんと診断された時からがん治療と並行して行われることが求められている.またそのなかで,薬剤師もチームの一員として,がん患者とその家族が,質の高い治療・療養生活を送れるように,身体的症状の緩和や精神心理的な問題などに対し薬学的に関与するようになった.
このような状況を背景に,本学会は,「社会に貢献する価値のある人材育成」を行うことを使命と考え,以下の3本柱で事業を進めてきた.
1.緩和医療薬学・がん支持療法のエビデンス構築と情報発信:がんとの共生を目指す超高齢社会における包括的緩和医薬品情報の発信と基礎・臨床研究活動の推進
2.鎮痛の意義の提唱ならびに医療用麻薬を含む鎮痛薬の普及啓発活動
3.緩和医療に従事する薬剤師の教育体制の強化:麻薬教育認定薬剤師,緩和医療専門薬剤師の育成及び認定薬剤師に対する教育システムの強化
そして,昨今は病院だけではなく地域を含めた緩和医療の推進,つまり,地域で活躍する薬剤師の育成が重要と考え,薬局薬剤師が病院薬剤師の業務を学ぶための「地域緩和ケアネットワーク研修」や地域のなかで活動する薬局を明確にする「在宅緩和ケア対応薬局認証システム」も構築し運用を開始した.
このように本学会が人材育成事業を進める上で,2013年に出版した『緩和医療薬学』の改訂が必要と考え,今回改訂第2版の出版に至った.
改訂第2版では,内容の更新に加え,構成の大幅な変更も行った.具体的には,19の症状や病態,がん以外の特定集団(非がん患者,心不全患者,小児)に対するマネジメントの解説を主眼とした構成(第3章,第5章)とし,緩和医療に携わる薬剤師に必要な基本的姿勢などの総論(第1章,第2章)だけでなく,がん治療や支持療法などの基礎知識(第4章),対⼈およびチーム医療の実際(第6章)も取り上げ,緩和医療薬学領域において知っておくべき知識を網羅的に解説した.
本書が,本学会が設ける「緩和薬物療法認定薬剤師」を目指す薬剤師をはじめ,緩和医療に関わる医療スタッフ,そしてこれから緩和医療を学ぶ学生にとっての教科書となり,臨床において患者のつらい症状を緩和する一助となれば幸いである.
最後に,本書出版の趣旨にご賛同いただき,ご多忙のなか原稿をご執筆いただいた先生方,本書の編集を担当くださったコアメンバー,学会査読委員会,査読協力の先生方,そして編集作業にご尽力いただいた南江堂の諸氏に深謝する.
2023年3月
一般社団法人日本緩和医療薬学会 代表理事
塩川 満

9784524234356