速考!脊椎外来診療エッセンス
| 編集 | : 中村博亮 | 
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| ISBN | : 978-4-524-23193-5 | 
| 発行年月 | : 2022年4月 | 
| 判型 | : B5 | 
| ページ数 | : 236 | 
在庫
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
正誤表
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2022年05月17日
第1刷 
- 商品説明
 - 主要目次
 - 序文
 

整形外科疾患の初診時において常に考えるべきはその症状が脊椎脊髄由来のものか局所のものかである.本書は,若手整形外科医が脊椎脊髄疾患を診るときに絶対に知っておいてほしいポイントをまとめた大筋で正しい診療の道筋を示す“はじめての脊椎外来”の教書である.“速考”を趣旨として豊富なイラスト・写真を用いて,検査手技や診療に役立つポイントをわかりやすく解説した.
知識編 
1 これで簡単! 神経学的所見のとり方とその解釈 
2 まだあるぞ! 身体所見のとり方とその解釈 
 
上肢編 
3 肩が痛い・挙がらない![腱板断裂 vs 頚椎症性神経根症] 
4 手がしびれます![頚椎症性神経根症 vs 絞扼性末梢神経障害] 
5 箸が使えない,字が書けない,ものを落とす[頚椎症性脊髄症 vs 神経内科疾患] 
6 首が痛いです[赤信号頚部痛 vs 青信号頚部痛] 
 
下肢編 
7 足が痛いです・足がしびれます 
[腰部脊柱管狭窄症 vs 腰椎椎間板ヘルニア vs 関節症 vs 末梢神経障害] 
8 うまく歩けなくなりました 
[脊髄症 vs 腰部脊柱管狭窄症 vs 血管疾患 vs 脳神経科疾患]  
 
体幹編 
9 「圧迫骨折」かも?[骨粗鬆症性椎体骨折] 
10 The 腰痛[その腰痛,ただの腰痛じゃないですよ] 
11 避けて通れない感染症:化膿性脊椎炎との上手な付き合い方[化膿性脊椎炎] 
12 学校検診で「側弯要精査」と言われました[思春期特発性側弯症] 
13 うちのおばあちゃんの背中が曲がっているんです[変性後側弯症] 
14 痩せたのか,衰えたのか[ロコモとサルコとフレイル] 
15 がんの転移を疑うとき[悪性腫瘍脊椎転移] 
16 背骨がどんどんつながっていく…[びまん性骨増殖症 vs 強直性脊椎炎] 
 
外傷編 
17 歩いてやってくる頚椎外傷[外傷性頚部症候群 vs 見逃したらダメな骨折] 
18 歩いてやってくる胸腰椎外傷[腰椎捻挫 vs 見逃したらダメな骨折] 
 
子供編 
19 子供の脊椎疾患クイックレビュー[側弯以外の主だったもの] 
 
特別編 
20 しびれに向き合ってみる 
21 たかが問診,されど問診[慢性疼痛患者のミカタ] 
22 一発診断を目指して 
巻頭言 
 
 人生百年時代といわれており,2020年のデータでは,男性の平均寿命は81.6歳,女性の平均寿命は87.7歳と,過去最長となりました.その一方で,健康寿命は男性で72.7歳,女性で75.4歳とされており,両者間にはいずれも約10年の差があります.この間は要介護状態,すなわち自立での生活は困難な状態ということになります.その原因として,認知症や脳血管疾患よりも比率が高いのは,運動器疾患です.中でも脊椎疾患に伴う痛みやしびれは日常生活の障害に直結し,患者のQOLを著しく障害します. 
 
 編者自身,長きにわたり脊椎脊髄疾患の診療に携わってきました.多くの手術療法も手掛けてきましたが,症状を有する方々とのfirst contactは外来診療になります.外来診療では,限られた時間の中で患者が訴える多彩な症状から,キーワードをピックアップし,診断へ結びつける糸口を探る必要性に迫られます.また,上述したごとく,超高齢社会を迎えた昨今においては,必ずしも脊椎脊髄疾患を専門とする医師のもとを患者が訪れるとは限りません.そのような観点から本書を編纂させていただき,冒頭には「速考! 30秒でまずここを診て」と題して,短時間で患者が訴える症状から想起すべき疾患と評価手順を示しています.問診,視診から始まり,必要と思われる画像検査や生化学的検査を追加し,可能であれば確定診断に導く,あるいは専門医に紹介するタイミングをはかる必要があります.本書ではこのようなタイミングについても論述し,併せて最近の知見についても併記しています.最新の知見については豆知識として活用していただければ幸いです. 
 
 詳細な治療法,特に手術療法については詳述しておりませんが,これについては他の専門書を参考にしていただければ幸甚です.整形外科を志して研鑽を積んでおられる医師,医学生,さらに第一線で活躍しておられる脊椎脊髄外科専門以外の先生方にとっても有用な書となることを祈っております. 
 
 本書の企画,執筆にあたっては,主として大阪市立大学整形外科学教室(2022年4月から大阪府立大学との統合合併により大阪公立大学と改名)の脊椎班に所属する医師たちが自身の経験も踏まえて執筆してくれました.紙面の関係もあり脊椎班に所属する全医師というわけにはいきませんが,いまや大所帯となった当教室脊椎班の諸氏には紙面をお借りして感謝したいと思います.同時に本書の発刊にご支援いただいた南江堂の諸氏にも感謝の意を表し,巻頭言とさせていただきます. 
 
2022年2月 
中村博亮

