書籍

脳神経疾患最新の治療2021-2023

編集 : 園生雅弘/北川一夫/青木正志
ISBN : 978-4-524-22785-3
発行年月 : 2021年2月
判型 : B5
ページ数 : 380

在庫あり

定価9,900円(本体9,000円 + 税)


  • お気に入りに登録

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

3年ごとの刊行で、年々進歩する脳神経疾患の診療の指針、最新情報を提供する。巻頭トピックスでは、「脳梗塞超急性期血栓回収療法の進歩と展望」、「神経核内封入体病の診断の進歩」、「片頭痛に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体」、「筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導治験」など、話題の11テーマを取り上げる。各論では、緊急時の症候とその対処法、各治療手技、脳神経疾患のリハビリテーションを解説し、疾患別各論として脳疾患、脊椎・脊髄疾患、末梢神経疾患、筋疾患、内科・精神科関連の神経疾患を網羅。巻末には、進行中の大規模臨床試験、脳神経疾患の医療福祉・介護施策、治療ガイドライン一覧を掲載。

巻頭トピックス
 1 脳梗塞超急性期血栓回収療法の進歩と展望
 2 脳梗塞急性期細胞治療の最前線
 3 神経核内封入体病の診断の進歩
 4 脳MRI画像診断の進歩
 5 MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)の最前線
 6 片頭痛に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体
 7 成人脊髄性筋萎縮症に対する治療
 8 筋萎縮性側索硬化症に対する医師主導治験
 9 HTLV-1関連脊髄症(HAM)に対する分子標的治療薬
 10 Pompe病における治療の進歩
 11 ミトコンドリア病に対する新しい治療
I 緊急時の神経症候とその対処法
 1 頭痛
 2 めまい
 3 意識障害
 4 痙攣
II 治療法
 1 rt-PA静注療法
 2 血液浄化療法
 3 脳血管内治療
 4 ペインクリニック:神経ブロック
 5 機能的神経外科治療
 6 反復経頭蓋磁気刺激療法,経頭蓋直流電気刺激療法
 7 抗血栓療法
 8 認知症の漢方治療
III 疾患別各論
 A 脳疾患
  1 脳内出血
  2 くも膜下出血
  3 未破裂脳動脈瘤
  4 脳梗塞
  5 無症候性脳梗塞
  6 一過性脳虚血発作(TIA)
  7 脳動静脈奇形
  8 脳静脈血栓症
  9 もやもや病
  10 慢性硬膜下血腫
  11 頭部外傷後遺症
  12 低髄液圧症候群
  13 血管性認知症
  14 脳卒中後アパシー
  15 髄膜炎,脳炎
  16 プリオン病,遅発性ウイルス感染症
  17 急性散在性脳脊髄炎
  18 多発性硬化症と視神経脊髄炎
  19 脳腫瘍
  20 下垂体腫瘍
  21 特発性正常圧水頭症
  22 慢性頭痛(片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛,薬物乱用頭痛)
  23 神経痛(三叉神経痛,舌咽神経痛,中間神経痛)
  24 視床痛(脳卒中後中枢性疼痛)
  25 てんかん
  26 巨細胞性動脈炎
  27 Alzheimer病
  28 Parkinson病
  29 進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症
  30 脊髄小脳変性症
  31 多系統萎縮症
  32 Huntington病
  33 ジストニア,ジスキネジア
  34 片側顔面痙攣
  35 本態性振戦
  36 不随意運動(ミオクローヌス,アテトーゼ,バリスム,コレア)
 B 脊椎・脊髄疾患
  1 脊椎症(椎間板ヘルニアを含む)
  2 後縦靱帯骨化症,黄色靱帯骨化症
  3 筋萎縮性側索硬化症(ALS),運動ニューロン疾患
  4 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
  5 平山病(若年性一側上肢筋萎縮症)
  6 脊髄血管障害
  7 脊椎・脊髄腫瘍
  8 脊椎・脊髄損傷
  9 脊髄炎
  10 亜急性脊髄連合変性症
 C 末梢神経疾患
  1 Guillain-Barré症候群
  2 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)
  3 多巣性運動ニューロパチー
  4 POEMS症候群
  5 血管炎性ニューロパチー
  6 薬剤性・中毒性ニューロパチー
  7 絞扼性・圧迫性ニューロパチー
  8 末梢性顔面神経麻痺
  9 遺伝性ATTR(ATTRv)アミロイドーシス
  10 自己免疫性自律神経節障害
 D 筋疾患
  1 炎症性筋疾患
  2 重症筋無力症
  3 Lambert-Eaton筋無力症候群
  4 周期性四肢麻痺
  5 筋強直性ジストロフィー
  6 筋ジストロフィー
 E 内科・精神科関連の神経疾患
  1 肝性脳症
  2 可逆性白質脳症症候群
  3 低(無)酸素脳症,虚血後脳症
  4 糖尿病性ニューロパチー
  5 糖尿病ケトアシドーシス,高浸透圧高血糖状態
  6 傍腫瘍性神経症候群
  7 Fabry病
  8 うつ状態
  9 機能性神経障害(機能性神経症状症:ヒステリー)
  10 心身症
  11 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
IV 脳神経疾患のリハビリテーション
 1 運動療法
 2 痙縮に対するボツリヌス治療
 3 言語リハビリテーション(失語症)
 4 認知リハビリテーション
 5 摂食嚥下リハビリテーション
付録
 1 進行中の大規模臨床試験
 2 脳神経疾患の医療・介護・福祉施策
 3 診療ガイドライン
索引

序文

 2021年の新たな年も始まり、第6回目となる「脳神経疾患最新の治療2021-2023」をお届けする時期となりました(なお本版から、書名の神経疾患を脳神経疾患に変更させていただきました。2017年9月に神経学会が標榜科名を神経内科から脳神経内科に変えたことに対応させたものです)。このシリーズは、進歩の著しい神経系の疾患の治療法について3年毎にその最新かつ最先端の治療法を、わかりやすく読者の皆様にご提供することを目的としています。これを実現するため、それぞれの領域の第一人者の皆様にご執筆をお願いしましたが、皆様にご快諾いただき素晴らしい本を完成することができました。
 本書は最新性以外にもいくつもの特長を有しています。それらを列挙すると以下のとおりとなります。(1)巻頭トピックスとして現在話題になっている11の疾患や治療法について解説しています。(2)緊急時の対応が必要な症候から4つを選んでその対処法を解説しています。(3)脳疾患、脊椎・脊髄疾患、末梢神経疾患、筋疾患の分類の元に、ふだん診る神経疾患のほぼすべてを、カバーしています。(4)周辺領域として、内科領域、精神科領域の疾患について11項目を取り上げています。(5)特に注目される治療法として8項目、リハビリテーションとして5項目を選んで解説しています。(6)付録として、進行中の大規模治験、医療・介護・福祉施策、診療ガイドラインのリストを収載しています。
 近年脳神経内科領域では、酵素補充療法、分子標的治療薬、核酸医薬などによって、従来治療不可能と考えられていた疾患に、根本的治療法が登場しつつあります。本書はこのような日進月歩の領域についての最新情報をお届けすると共に、common diseaseについての着実な治療の進歩についてもしっかりと押さえて、提供しています。現在臨床の第一線に立っておられる脳神経内科医はもちろん、学び始めの初期研修医、専攻医から、知識のブラッシュアップを希望されるベテランの先生方まで、さらには、脳神経外科、精神科、内科などの関連領域の先生方にも、それぞれお役に立てていただけるものと確信しています。
 本書の作成にあたっては執筆者の皆様、出版社の担当者をはじめ、多くの方々にお世話になりました。改めて御礼を申し上げます。今回が5回目の改訂ということで、初版からすでに15年あまりが経過していることになります。このことは、本書が関係各位にとり必須の書として愛されていることを物語っています。今回も、是非お手にとっていただいて、日々の診療に役立てていただければ幸甚です。

2021年1月
編者一同

What you need is this book.
 リファレンスには事欠かない時代である.しかし,情報に溢れ,どれだけ読んでも不安が残る.「N Engl J Med」誌の編集者であったIngelfinger 氏は,エッセイのなかで次のように記している.彼は胃食道接合部の腺がんの専門家であった.しかし,彼がその患者となったとき,過度の情報に,彼自身が混乱し,取り乱しどうしていいかわからなくなった.そのとき彼を救ったのは,友人の医師から言われた“What you need is a doctor”との言葉であった.自分の経験をもとに具体策を提示する“医師”が必要であった.彼はその経験から,単に患者の前に商品を並べて,「どうぞ,選んでください.あなたの人生ですから」と言うだけの医師は,自分の義務を放棄していると結んでいる(N Engl J Med 304:1507‒1511,1980).『脳神経疾患最新の治療2021‒2023』は,ガイドラインに垣間見える「どうぞ,選んでください」ではなく,まさしく皆さんの日々の臨床の“Doctor”である.
 日々刷新される脳神経内科領域を満遍なく傍観できる資料はより重要性を増してくる.本書は,すべての領域を網羅している.とくに緊急時,内科・精神科との境界領域,整形外科や脳外科との境界領域も取り上げられ,もはや私が経験する疾患で落としている領域が浮かばない.“治療”と銘打っているが,診断から治療,その選択の背景まで,数分でキャッチアップできる.冒頭に内科治療の最も大切な「患者への説明のポイント」が記載されている.「Topics」や「目からウロコの豆知識」が本当に面白く,ためになる.執筆者は,偏ることなく当該領域の専門家に広く依頼されており,何より依頼された本人が単独で執筆している項目が多い.その道の専門家が何を考えて臨んでいるか,その思考過程が垣間見える.ステロイド剤の実際の減量方法やその問題,免疫抑制薬の選択方法にまで踏み込んで書かれており,大変示唆に富む.一日かけて本書を通読すれば,全分野に精通した想いになるし,何かあれば,まず本書を紐解けばよい.とくに佐々木の「脳MRI画像診断の進歩」,橋本の「抗血栓療法」,三須の「多発性硬化症と視神経脊髄炎」,森の「炎症性筋疾患」,槍沢の「重症筋無力症」,高橋の「筋強直性ジストロフィー」,城倉の「低(無)酸素脳症,虚血後脳症」の「目からウロコの豆知識」,園生の「機能性神経障害(機能性神経症状症:ヒステリー)」の項目は,ぜひ手に取って読んでいただきたい.堀の「もやもや病」のHeavy T2‒MRI もためになった.米澤の「Fabry病」など,まれではあるが重要な疾患も解説されている.専門家の各疾患への想いが凝縮された内容をみれば,9,900円は格安である.まさに“あなたに必要なのはこの本”である.

臨床雑誌内科128巻6号(2021年12月号)より転載
評者●新潟大学脳研究所長/脳神経内科学分野 教授 小野寺 理