根拠がわかる小児看護過程
事例で学ぶ 発達段階別 目標志向型ケア計画
| 編集 | : 市原真穂/久木元理恵/金丸友 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-20407-6 |
| 発行年月 | : 2026年6月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 368 |
定価3,850円(本体3,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

小児の「乳児期」「幼児期」「学童期・思春期」の発達段階ごとに,実習で出合う頻度の高い15疾患・症状をとりあげ,簡潔な医学的知識の紹介とともに事例ベースで看護過程を展開(くわしい関連図付き).個々の強みに着目して高める目標志向型の視点を重視し,また対象者の体験・認識にも焦点を当てながら,子どもや家族への疾患・治療の影響を考察・アセスメントする.小児看護実習に必携の1冊.
第1部 小児看護の特徴
1 小児看護の基本的な考え方
2 成長・発達過程により生じやすい健康問題の特徴
A 子どもの成長・発達のとらえ方
B 乳児期
C 幼児期
D 学童期・思春期
E 特別な配慮が必要な子ども
3 目標志向型看護過程
A 看護過程
B 目標志向型看護過程
C 情報収集とアセスメント
D 全体像と関連図
E 目標の明確化と目標設定の方法
F 計画の立案
G 実施と評価
第2部 事例でみる看護過程の展開
第1章 乳児期の健康問題と看護過程
1 乳幼児嘔吐下痢症(ロタウイルス感染症)の子どもと家族の看護
ロタウイルス感染症とは
事例▶乳児期の嘔吐下痢症
2 発熱,咳がある細気管支炎(RSウイルス感染症)の子どもと家族の看護
RS ウイルス感染症とは
事例▶乳児期のRS ウイルス感染症
3 脱水症状,体重増加不良で受診した子どもと家族の看護
脱水症状,体重増加不良とは
事例▶乳児期の脱水症状,体重増加不良
4 計画手術を受ける先天性心疾患(心室中隔欠損症)のある子どもと家族の看護
心室中隔欠損症とは
事例▶乳児期に手術を受ける心室中隔欠損症の子ども
第2章 幼児期の健康問題と看護過程
1 内服を嫌がる入院中の川崎病の子どもと家族の看護
川崎病とは
事例▶幼児期の川崎病
2 呼吸困難をくりかえす気管支喘息のある子どもと家族の看護
気管支喘息とは
事例▶幼児期の気管支喘息
3 皮膚痒感が強いアトピー性皮膚炎のある子どもと家族の看護
アトピー性皮膚炎とは
事例▶幼児期のアトピー性皮膚炎
4 自己注射などの療養行動が必要な1型糖尿病の子どもと家族の看護
1型糖尿病とは
事例▶幼児期の1型糖尿病
5 検査・処置や入院を怖がっている小手術を受ける子どもと家族の看護
小手術を受ける子どもと家族の特徴
事例▶はじめての入院・手術を経験する幼児の不安と反応
第3章 学童期・思春期の健康問題と看護過程
1 浮腫,塩分制限食を摂取している入院中のネフローゼ症候群の子どもと家族の看護
ネフローゼ症候群とは
事例▶学童期のネフローゼ症候群
2 アナフィラキシーショックのリスクの高い食物アレルギーの子どもと家族の看護
食物アレルギーとは
事例▶学童期の食物アレルギー
3 交通事故による外傷で入院中の子どもと家族の看護
交通事故とは
事例▶学童期の交通事故
第4章 特別な健康上の配慮が必要な場合の看護過程
1 低出生体重で生まれた子どもと家族の看護
低出生体重の子ども
事例▶低出生体重児
2 肺炎で入院する重症心身障害のある子どもと家族の看護
重症心身障害とは
事例▶肺炎で入院する重症心身障害のある子ども
3 小手術で入院予定の神経発達症のある子どもと家族の看護
神経発達症(発達障害)とは
扁桃(口蓋扁桃,アデノイド)肥大とは
事例▶学童期のADHD傾向のあるASD児と口蓋扁桃摘出・アデノイド切除術
付 録
索 引
はじめに
みなさんは小児看護というと,どのような場面を思い浮かべますか.診察室にいる幼い子どもとその家族,そしてそばで療養上の世話や診療の補助をする看護師の姿かもしれません.もちろん,それは小児看護を象徴する大切な一場面です.しかし,小児看護の役割は,あらゆる健康レベルにある子どもの健やかな育ちを支えることにあり,その視点は子どもが生活するさまざまな場で求められます.
子どもは心身の機能が未熟で,病気や治療,環境の変化に影響を受けやすい存在です.一方で,経験を通して成長・発達し,よりよく適応していく力も備えています.また,子どもは家族や周囲の人々,環境とのかかわりの中で育ち,健康や生活もその相互作用の中で形づくられます.さらに,家族の受け止め方やかかわり方も看護の方向性に影響します.
小児看護では,発熱ひとつとっても発達段階によって「正常」の基準や症状の意味づけ,ケアの目標が変化します.そのため,目の前の問題だけでなく,子どもと家族を取り巻く状況も含めて理解し,その子らしい成長と生活を支える視点が求められます.看護過程の枠組みは成人看護と共通であっても,情報のとらえ方やつなげ方,判断の前提が異なることがあります.こうした特徴から,学生のみなさんは小児看護をむずかしいと感じることがあるかもしれません.
実習では,限られた時間のなかで情報を整理し,記録として表現することが求められます.看護は記録を通して他者と共有され,継続されていく営みでもあります.また,今起きていることだけでなく,その背景やこれから起こりうることを見通して考えることも重要です.項目を埋めるように記録を進めるのではなく,「この子と家族は今,何を体験しているのか」と問いながら,情報を関連づけてとらえていくことが大切です.小児特有の視点を意識しながら考えることが,小児看護過程を理解する手がかりとなります.
本書は,このような学びを支えるために企画しました.子どもの病態を基盤としながら,発達段階や家族背景,生活の連続性を関連づけて考えられるよう,事例をもとに思考の過程を段階的に示しています.看護過程を「書き方」ではなく「考え方」として理解し,目の前の子どもと家族を具体的にイメージしながら,看護の方向性を考えられるようになることを目指しています.このような構成は,知識を理解するだけでなくコンピテンシー基盤型教育(competency-based education:CBE)の考え方にも通じるものです.
少子化が進んでも,子どもが看護の場からいなくなることはありません.地域,在宅,外来,救急など,あらゆる場に子どもは存在し,そこでは「小児だからこそ必要な看護」が求められます.本書が,小児看護を学ぶみなさんにとって思考を支える一冊となれば幸いです.
2026年4月
市原真穂,久木元理恵,金丸 友

