書籍

XR肝胆膵アトラス[VR対応Web動画付]

3D空間解剖で極める精密手術・内視鏡治療

編著 : 杉本真樹
ISBN : 978-4-524-27615-8
発行年月 : 2026年8月
判型 : A4判
ページ数 : 144

在庫あり

定価11,000円(本体10,000円 + 税)

  • 新刊

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

現在,肝胆膵外科の臨床・教育は,VR・ARをはじめとするXR技術の発展により大きな変革期を迎えている.本書は,ヘッドマウントディスプレイであるMeta Quest 3Sと,プログラム医療機器(SaMD)であるHoloeyes MDを活用した実践例を紹介するとともに,その導入方法をわかりやすく解説する実践的マニュアルである.

第1章 総論:医用画像とXR技術の最前線
 1.医用画像の三次元再構築とXR技術
 2.XR技術の医療活用の現状とメタバースによる外科教育・空間認識の革新
第2章 各論:VR・XRで学ぶ肝胆膵手術・手技
 �T.肝臓(Liver)
  1.開腹肝切除における蛍光ガイドとXR画像を活用した立体解剖理解
  2.腹腔鏡下肝切除におけるXR活用と空間的手技習得
  3.ロボット支援下肝切除におけるVR/AR活用術と術前・術中ナビゲーション
 �U.胆道(Biliary tract)
  1.開腹胆道手術における立体的解剖把握とXR画像による空間認識向上
  2.腹腔鏡下胆囊摘出術における立体解剖理解と術中ナビゲーションのXR応用
 �V.膵臓(Pancreas)
  1.開腹膵切除におけるVRシミュレーションと空間的手技理解
  2.腹腔鏡下膵手術における立体解剖把握とXRを応用した手術支援
  3.ロボット支援下膵切除におけるVR/AR活用と術中参照法
 �W.ERCP/EUS関連
  1.ERCPにおける空間的解剖理解と手技トレーニングにおけるXR活用
  2.EUSガイド下胆道ドレナージのVR/ARシミュレーションと術中参照
  3.ERCP関連手技におけるXR画像活用と立体解剖の理解
  4.ERCPおよびEUS手技における空間的認識向上のためのXR活用術

  本書『 XR肝胆膵アトラス[VR対応Web動画付]―3D空間解剖で極める精密手術・内視鏡治療』 は,これまでの医学書にはないまったく新しいコンセプト “XR:extended reality( VRやARなどの総称)” のもとに誕生しました.最大の特徴は,詳細な実臨床の3D 画像と,そこから作成したXR コンテンツを通じて,解剖から病態,さらにはエキスパートの術中における手技の動きにいたるまでを「 3D空間でリアルに体験し,体で覚えることができる」 という点にあります.2D の紙面やモニターを眺めるだけの学習から脱却し,3D 空間のなかで直感的に医療技術を習得する,まさに新時代のマイルストーンとなる一冊です.
  書名にある「 アトラス( 地図帳)」 という言葉には,単に解剖図を羅列した本という意味を超え,複雑極まりない肝胆膵の立体迷宮を迷うことなく突き進むための「 3D空間の航海図」 にしたいという強い願いを込めています.肝胆膵領域は,人体のなかでも極めて複雑な三次元解剖を扱う領域です.肝区域の立体的構造,門脈や肝動脈の複雑な分岐,胆管の走行,および膵周囲における血管の破格などは,手術の安全性や根治性を左右する決定的な因子となります.従来,外科医は2D のCT やMRI のスライス画像からこれらを頭のなかで再構築してきましたが,この脳内での空間再構築能力は,個人の経験や熟練度に大きく依存する「 暗黙知」 であり,若手医師への教育やチーム内での共有に限界がありました.本書は,この属人的な壁をテクノロジーによって打ち破ります.医用画像から抽出した臓器や血管のポリゴンデータを用いることで,従来の2D モニターでは表現困難であった解剖構造の奥行きや立体的な位置関係を直感的に把握することが可能となります.さらにXR デバイスを活用すれば,手元の操作空間と対象臓器の視覚的乖離という物理的制限を超え,没入感のある直感的な手術支援と空間認識の向上が実現します.
 こうした空間認識の革新は,近年の臨床トレンドや制度的枠組みとも強力に連動しています.ロボット支援手術の劇的な適応拡大に加え,令和8 年度診療報酬改定をはじめとする変革により,「K939 画像等手術支援加算(ナビゲーションによるもの)」 などの診療報酬加算が浸透し,3D ポリゴンデータやナビゲーション技術は,実臨床における不可欠な診療支援基盤となりました.近年の医学系学会においても,VR/AR/XR や手術ナビゲーション,術前シミュレーション,そしてAIによる自動画像認識・セグメンテーション( 領域抽出) といったトピックスが主題演題として広く取り扱われています.特にAI 技術の飛躍的な発展は,日常診療における3D データ作成を劇的に効率化させました.今日では,クラウドサービスプラットフォームを利用することで,プログラミングなどの専門知識がなくとも,医用画像から極めて短時間で患者固有のXR アプリケーションを自動生成できるようになっています.さらに,インターネット上の仮想共有空間であるメタバース空間において,複数人がアバターとして参加し,解剖モデルの空間座標や手技の動きをリアルタイムで共有することにより,高度な術前カンファレンスや遠隔医療までもが可能となる時代が到来しているのです.
 本書では,第1 章の総論でこれら医用画像の三次元再構築とXR 技術の最前線を俯瞰し,第2 章の各論では「肝臓」「胆道」「膵臓」「ERCP/EUS 関連」 の4 セクションにわたり,開腹・腹腔鏡・ロボット支援手術から内視鏡低侵襲治療にいたるまで,第一線のエキスパート陣による実践的な知見を網羅しました.そして,これまで熟練医の頭のなかに閉ざされていた三次元の空間認識と手技の動作体験という最大の「 暗黙知」 をすべての読者と共有するため,これら3D 空間の体験をすべての読者にお届けするため,本書には[VR 対応Web 動画]を付属させています.デバイスの両眼同時録画機能を用いて立体視情報を保持した3D-VR 動画を生成し,汎用スマートフォンとスマートフォン用VR グラスを用いることで,低コストかつ効果的な教育コンテンツの共有基盤を構築しました.これにより,読者の皆様はいつでも,どこでも,エキスパートが見ている三次元の奥行き情報や手技の軌跡そのものを,自らの「 体」 で覚えるように体験することができます.
 本書が,若手外科医や肝胆膵を専門とする中堅消化器外科医・消化器内科医の皆様にとって,臨床の常識を塗り替える最高のバイブルとなり,安全で精緻な医療を届けるための確固たる礎となることを確信しています.空間情報は,経験からデータへ,個人から共有へと移行しています.デジタルツインとAI がもたらす新時代の医療教育の未来を,ぜひ本書を通じて体感してください.

2026 年7 月
杉本 真樹

9784524276158