書籍

国立がん研究センター中央病院 大腸癌手術バイブル

一人ひとりの患者に最適な術式を

編著 : 金光幸秀
ISBN : 978-4-524-27468-0
発行年月 : 2026年7月
判型 : A4判
ページ数 : 240

定価17,600円(本体16,000円 + 税)

  • 近刊

発売予定日:2026年7月21日 全国の書店で予約受付中

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

大腸癌診療の最前線を担う国立がん研究センター中央病院大腸外科による,待望の手術バイブル.開腹・腹腔鏡・ロボット支援手術まで,著者自身による380点超のイラストで標準治療を軸に幅広い術式を詳説する.高難度症例や機能温存手術,局所再発例への挑戦的手術にも踏み込み,豊富な症例経験と研究実績をもとに解説.若手医師からベテラン外科医まで,大腸癌手術に携わるすべての医師にとって必携の一冊.

第T章 総 論
1. 手術に必要な局所解剖
 a.右側結腸〜横行結腸手術に必要な局所解剖
 b.左側結腸〜低位前方切除術に必要な局所解剖
 c.肛門操作に必要な局所解剖
2. 術前の検査および管理
 a.腫瘍学的評価
 b.耐術能評価
 c.術前処置
3. 術式の選択(手術アプローチに関するエビデンスを含む)
 a.開腹手術の価値
 b.腹腔鏡下手術の普及と課題
 c.ロボット支援下手術の進展
 d.術式選択の原則
4. 術後管理
 a.術後の流れ
 b.ドレーン・カテーテル管理
 c.有害事象への対応
 d.退院に向けて
5. 術後サーベイランス
 a.術後サーベイランスの現状
 b.JCOG1915(LESS study)

第U章 外科手術の基本
1. 電気メス・剝離・止血
 a.電気メス
 b.剥 離
 c.止 血
2. 吻合方法(手縫い/体腔内・体腔外器械)
 a.前処置
 b.手縫い吻合
 c.体腔内器械吻合(デルタ吻合)
 d.体腔外器械吻合
3. 助手の心得
 a.開腹手術における助手の心得
 b.腹腔鏡下手術における助手の心得
 c.ロボット支援下手術における助手の心得

第V章 結腸癌の手術
1. 結腸右半切除
 a.開 腹
 b.腹腔鏡
 c.ロボット
2. 横行結腸切除
 a.開 腹
 b.腹腔鏡
 c.ロボット
3. 結腸左半切除
 a.腹腔鏡
 b.ロボット
4. S状結腸切除
 a.開 腹
 b.腹腔鏡
 c.ロボット

第W章 直腸癌の手術
1. 直腸(超)低位前方切除術
 a.開 腹
 b.腹腔鏡
 c.ロボット
2. 括約筋間直腸切除(ISR)
 a.肛門操作
 b.ロボット
3. 直腸切断術
 a.開 腹
 b.ロボット
4. 大腸亜全摘術
 a.ロボット

第X章 他臓器合併切除
1. 骨盤内臓全摘術(TPE)および仙骨合併切除
2. T4b大腸癌に対する手術(開腹)
3. 血管合併切除術(開腹)
4. 腹膜転移に対する手術(開腹)

第Y章 その他の手術
1.側方リンパ節郭清
 a.開 腹
 b.ロボット
2.傍大動脈リンパ節郭清(開腹)
3.鼠径リンパ節郭清
4.トラブル対処法
 a.開 腹
 b.ロボット
5.手術後の傷をきれいに治すために

大腸癌外科治療を支える臨床研究―編著者あとがき
 外科医が臨床研究に向き合う理由と,次世代に求められる姿勢

コラム
■悠々として急げ
■慄けど怯まず

 大腸癌手術は,この数十年で飛躍的な進歩を遂げてきた.開腹手術から腹腔鏡,そしてロボット手術へとアプローチは大きく変遷し,術中ナビゲーションや血流評価,さらにはAI支援技術の導入により,その精度と安全性はかつてない水準に到達しつつある.
 しかしながら,いかに技術が進歩しようとも,その本質は変わらない.根治性・安全性・機能温存を最大化するという外科の普遍的命題を支えるのは,解剖の深い理解と正しい層に基づく操作であり,すなわち先人外科医から学んだ基本技術に他ならない.
 私自身,30年以上前に国立がんセンターで外科レジデントとして研鑽を積み,その中で学んだ基本は,現在に至るまで癌外科医としての礎となっている.手術手技やデバイスは進化したが,その本質は当時と何一つ変わらないことを日々実感している.
 本書『国立がん研究センター中央病院 大腸癌手術バイブル』は,こうした不変の理念を基盤に,当院大腸外科が培ってきた手術の知見と技術を体系的にまとめたものである.現代の大腸癌手術は,解剖学,腫瘍学,画像診断,周術期管理を含めた総合的判断を要する高度な専門領域であり,本書はそれらを整理し,実臨床で再現可能な形で提示することを目指した.
 執筆にあたっては,国立がん研究センター中央病院大腸外科が一丸となり,これまで培ってきた知識,経験,技術論のすべてを余すことなく盛り込んだ.また,本書に掲載した手術イラストの作画も自ら行い,実際の術野で外科医が何を見て,どのように考え操作しているのかが直感的に伝わるよう努めた.われわれが現時点で持ちうるものを注ぎ込み,「これ以上は何も出てこない」と言い切れるほど徹底して作り上げた一冊である.同時に,本書はわれわれの現在地を示す到達点であり,次の時代へ引き継ぐべき集大成でもある.
 一方で,技術は今後も進化し続ける.ロボット手術やAI支援技術はさらに発展し,新たな可能性を切り拓くだろう.しかし重要なのは,それらに依存するのではなく,利点と限界を理解し科学的に検証しながら適切に活用する姿勢である.また,開腹手術を含めた多様なアプローチを体系的に学ぶことで,外科医は患者一人ひとりに最適な術式を選択できるようになる.
 本書が示す価値は,特定の術式や技術にとどまらない.時代や手段が変わろうとも,外科医がそれぞれの患者に最適な解を導くための思考の軸,すなわち羅針盤となることである.
 本書が,大腸癌診療に携わる外科医にとって実践的な指針となり,次の時代の外科を担う医師たちへ,われわれが受け継いできた理念と技術を伝える一冊となることを願っている.

2026年7月
金光幸秀

9784524274680