書籍

同種造血細胞移植後フォローアップ看護改訂第3版

編集 : 日本造血・免疫細胞療法学会
ISBN : 978-4-524-27463-5
発行年月 : 2026年6月
判型 : B5判
ページ数 : 200

定価4,950円(本体4,500円 + 税)

  • 近刊

発売予定日:2026年6月29日 全国の書店で予約受付中

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

日本造血・免疫細胞療法学会編集による,同種造血細胞移植後患者の移植後長期フォローアップ外来に関わる看護師向けの公式テキスト.移植や移植後合併症の基礎知識,外来運営のためのツールやスキルなど,必要な知識・技術を各分野のエキスパートが詳細かつわかりやすく解説.今改訂では,同学会の研修用e-learningの改訂内容に準じて情報更新を行った.

T章 総 論
1 造血細胞移植後患者の長期フォローアップとは
A.移植後患者のQOL と長期フォローアップの必要性
B.移植後患者指導管理料
 1.移植後患者指導管理料とは
 2.対象患者
 3.施設基準を満たす体制整備
 4.専門外来の設置
C.移植後フォローアップ外来の開設・運営
 1.開設前の準備と開設後の運営
 2.関連部署や病院幹部の理解と協力の重要性
D.移植後長期フォローアップ外来における看護師の役割
 1.移植後フォローアップ外来での看護介入の実際
E.今後の課題
2 同種造血細胞移植とチーム医療
A.チーム医療とは
B.チームの種類とその構成メンバー
C.チーム医療に大切なこと
D.チーム医療を成功させるために必要なこと
 1.リーダーシップ
 2.コミュニケーション
 3.コンフリクトマネジメント
 4.Evidence Based Medicine(EBM)
E.移植チーム医療における看護師の役割
 1.チーム医療の推進
 2.医療・看護の継続性・連続性の保証
3 造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の考え方とアプローチ
A.造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の意義(QOL の維持・改善)
B.造血細胞移植後長期フォローアップ看護において有用なセルフケア支援の考え方とアプローチの実際
 1.患者と医療者の関係とセルフケア支援
 2.アドヒアランスに影響する要因を考慮する
 3.セルフケア支援に役立つ理論やモデル(セルフケア理論とIASM)
 4.セルフケア支援のための患者教育
 5.造血細胞移植後長期フォローアップ看護におけるセルフケア支援の実際
C.セルフケア支援を通した移植後患者のエンパワメント
 1.がん患者と家族のエンパワメントのプロセス
 2.造血細胞移植後長期フォローアップで行う患者・家族のセルフケア支援

U章 移植後合併症の基礎知識
1 造血細胞移植後感染症の診断とマネジメント
A.ヒトの免疫機構
 1.生理的バリア
 2.食細胞
 3.細胞性免疫
 4.液性免疫
B.感染症
 1.細菌感染症
 2.真菌感染症
 3.ウイルス感染症
 4.ワクチン接種
 5.新興感染症への対応
2 造血細胞移植後非感染性晩期合併症のスクリーニングと予防
A.移植後晩期の予後と晩期死因
B.皮 膚
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
C.眼
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
D.口 腔
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
E.呼吸器
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
F.消化管
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
G.肝 臓
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
H.心血管
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
I.腎・泌尿器
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
J.神経・認知障害,易疲労
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
K.骨,筋肉
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
L.内分泌・代謝
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
M.性腺,不妊
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
N.二次がん
 1.起こりうる主な病態・症状
 2.リスク因子と発症頻度
 3.フォローアップ外来におけるスクリーニングと予防
O.おわりに
3 慢性GVHD の診断とマネジメント
A.慢性GVHD の臨床像と発症リスク因子
B.急性GVHD と慢性GVHD の区別
C.慢性GVHD の診断
 1.皮膚および皮膚付属組織(爪と毛髪)
 2.口 腔
 3.眼
 4.消化管
 5.肝 臓
 6.肺
 7.筋および関節
 8.生殖器
 9.その他
D.慢性GVHD の重症度の評価
E.慢性GVHD の治療
F.慢性GVHD 治療中の支持療法

V章 移植後長期フォローアップの看護
1 GVHD のアセスメントと看護ケア
A.GVHD の看護
 1.GVHDに備える
 2.GVHDとつきあう
B.GVHD のアセスメントとセルフケア支援
 1.GVHDのアセスメント
 2.アセスメントの実際
 3.各部位のセルフケア支援
2 移植後患者のリハビリテーション
A.造血細胞移植患者に生じる身体的問題と主要な合併症
 1.造血細胞移植後の身体的変化
 2.感染症・造血機能障害
 3.粘膜炎と栄養障害
 4.慢性GVHDと長期的な身体機能低下
 5.疼痛・倦怠感とフレイルの連鎖
B.リハビリテーション・アプローチとリスク管理
 1.リハビリテーション導入の基本方針
 2.症状別のリハビリテーション・アプローチと観察ポイント
 3.リハビリテーション中止基準
 4.長期フォローアップ
C.造血細胞移植患者におけるリハビリテーション実践
 1.移植前〜前処置療法開始の期間におけるリハビリテーション
 2.前処置開始〜生着の期間におけるリハビリテーション
 3.生着〜移植後1〜2ヵ月の期間におけるリハビリテーション
 4.移植後1〜2ヵ月〜退院の期間におけるリハビリテーション
 5.リハビリテーションプログラムのポイント
 6.看護師とリハビリテーション専門職の協働
D.退院後フォローアップ期(LTFU)のリハビリテーションと看護師の役割
 1.退院後の身体機能とリスクの特徴
 2.在宅でのリハビリテーションの継続と運動指導
 3.栄養・睡眠・生活リズムの整え方
E.造血細胞移植におけるチーム医療と多職種連携
F.ケーススタディ:慢性GVHD に対して外来リハビリテーション支援を行った症例
 1.症例紹介
 2.評価と課題の整理
 3.多職種連携によるチーム介入
 4.チーム介入の結果
G.まとめ
3 小児移植後患者特有の課題とケア
A.ライフサイクル,発達課題
B.小児特有の課題 〜症例を通して〜
C.小児移植後患者の合併症
 1.内分泌合併症
 2.代謝合併症
 3.認知機能・学習機能への影響
 4.二次がん
 5.その他
D.小児移植後患者のQOL
E.患児とその家族への心理面への影響と介入
 1.移植を受けた子どものこころ
 2.移植を受けた子どもをもつ家族のこころ
 3.小児・AYA 世代の発達段階に合わせた家族支援
 4.きょうだいへの支援
 5.同胞間移植を行った場合のドナー・親の心理社会的影響
F.AYA 世代の課題
 1.AYA 世代における看護の観点
 2.長期フォローアップの必要性
G.長期フォローアップ
 1.長期フォローアップ外来の実際
 2.長期フォローアップ外来の課題
 3.LTFU看護外来における移行期支援
 4.小児LTFUにおける移行期支援の課題
 5.成人移行における連携の在り方
4 移植後長期フォローアップにおけるがんサバイバーシップの支援
A.移植後患者とがんサバイバーシップ
 1.移植後患者とQOL
 2.がんサバイバーシップの考え方
 3.移植治療のその後を生きるということ
B.移植後患者のがんサバイバーシップに関する問題・課題
 1.晩期障害/長期間にわたる身体的問題
 2.晩期障害/長期間にわたる心理・社会的問題
C.移植後患者のがんサバイバーシップの支援の実際
 1.免疫不全状態が続くこと ―感染症対策・感染予防―
 2.GVHD とつきあうこと
 3.晩期合併症に備え,対処すること
 4.社会とのつながりを取り戻すこと
 5.家族へのケア
 6.医療費の増大による経済的負担の軽減
D.LTFU 外来におけるがんサバイバーシップ支援における看護師の役割

W章 移植後長期フォローアップの実際
1 移植後長期フォローアップ外来運営を支援するツール
A.移植後長期フォローアップ外来運営を支援すると考えられるツールとその有用性
 1.患者問診票
 2.スクリーニング・指導項目リスト
 3.看護記録テンプレート
 4.患者用リーフレット
B.フォローアップ外来における各ツールの活用の実際〜国立がん研究センター中央病院の例〜
 1.LTFU問診票:患者問診票
 2.LTFU外来記録シート:スクリーニング・指導項目リスト
 3.LTFU外来記録テンプレート
 4.LTFU外来リーフレット:患者指導用リーフレット
 5.NIH 慢性GVHD の臓器スコア
C.将来の展望
2 外来面談・相談対応に活用できるコミュニケーション・スキル
A.移植後長期フォローアップ外来で行われる面談の特徴と意義
 1.LTFU外来で展開される面談の特徴
 2.医師,その他の多職種とも情報共有し,方向性を確認すること
 3.限られた面談時間の中で行うこと
B.移植後フォローアップ外来面談で活用できるスキルや考え方
 1.患者・家族の理解 ―情報を適切に収集し,アセスメントする―
 2.感情表出を促す ―NURSEのスキルを活用する―
 3.さまざまな状況や立場を尊重する ―アサーティブ・コミュニケーション―
 4.患者・家族の力を引き出す ―コーチング―
 5.倫理的課題に対応する感性を大切にする―臨床倫理の原則,Jonsenの4分割法―
索 引

第3版 はじめに

 同種造血細胞移植は,多くの造血器悪性腫瘍患者の根治を目指した治療法として,わが国でも年間3,500〜3,600件ほど行われている.診断,治療法だけでなく,治療経過中の副作用や合併症の管理,支持療法なども進歩し,治療成績も向上している.移植を受けた患者の長期生存が期待できるようになり,移植においては根治を目指しながら,治療後の生活や,社会の中での役割など,その人の人生や生き方そのものをどのように支えていくか,ということを一緒に考えていくことも重要になってきた.治療後の患者の全身状態の管理にとどまらず,日常生活や心理社会的側面における患者自身のセルフケアや,ヘルスリテラシーを支えていく多職種のかかわりは,移植成績の質を支える力となっている.

 このような点から,2012年度診療報酬改定時に保険収載された「造血幹細胞移植後患者指導管理料」は,移植医や看護師を中心とした「移植後長期フォローアップ(Long-term Follow up: LTFU)外来」の全国的な開設と,移植後患者へのフォローアップの継続につながっている.「造血幹細胞移植後患者指導管理料」保険収載から13年が経過し,全国の移植施設の8割以上がLTFU外来を開設するようになった.全国的なLTFU外来の開設と運営の継続を支えるべく,日本造血・免疫細胞療法学会では,2012年から「同種造血細胞移植後フォローアップのための看護師研修会」を毎年開催してきた.2025年度までの累積研修受講修了者は2,599名となった.この研修修了者たちの力は,多くの患者の移植後の生活や人生を支えてきたものと推察する.そして,これからも移植後患者を支え,かかわる看護師を育てる力となると思う.

 本書は,この研修会のテキストとして2014年3月に刊行された初版,2019年8月刊行の改訂版に続く改訂第3版となる.今版では,前回改訂以降も進展している移植後合併症や感染症の管理,LTFU外来を支援するツールについての情報を更新した.また,多職種で取り組むリハビリテーション,小児科から成人診療科への移行期支援などの記述を厚くし,移植後の生活への影響に関する内容を充実させた.わが国のがん医療の集約化と均てん化が検討される中,移植の対象となる患者・家族のニーズに応じた対応,フォローアップにおける多職種協働や地域連携など,移植チーム医療を強化するうえでも内容を見直した.本書が多くの方の力になれば幸いである.

2026年4月
豊嶋崇徳
森 文子
山花令子
土井久容

9784524274635