日本脊椎脊髄病学会 術中脊髄モニタリングの基礎
| 監修 | : 日本脊椎脊髄病学会 |
|---|---|
| 編集 | : 日本脊椎脊髄病学会モニタリング委員会 |
| ISBN | : 978-4-524-27375-1 |
| 発行年月 | : 2026年9月 |
| 判型 | : B5判 |
| ページ数 | : 184 |
在庫
定価6,930円(本体6,300円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

日本脊椎脊髄病学会モニタリング委員会による,術中脊髄モニタリングの公式テキスト.安全な脊椎脊髄手術のためには脊髄モニタリング施行が推奨され,近年その重要性が高まっている.本書では脊髄モニタリングの読影に必要な波形の知識や,適切な安全管理の方法を解説し,実践的に脊髄モニタリングを学ぶことができる構成とした.また,2021年より開始した「脊髄モニタリング認定医」制度の過去問題も掲載している.
�T 総 論
1 モニタリングの歴史
�T 非電気生理学的手法
�U 電気生理学的手法
2 モニタリングに必要な電気生理,解剖
�T モニタリングにおける電気生理の基礎
�U 脊椎と脊髄の構造
�V 各種モニタリング法の電位の起源と特徴
3 モニタリング技術の基礎
�T 電極設置
�U 刺激条件
�V インピーダンス管理とノイズ対策
�W 記録条件:振幅・潜時の評価と警告(アラームポイント)
�X 筋弛緩・麻酔の影響
4 モニタリング麻酔の基礎
�T 麻酔薬の選択とその影響
�U バランス麻酔とその応用
�V 筋弛緩薬の使用と管理
�W その他の全身性因子と対応
�X 麻酔科医の役割とチーム医療の重要性
5 患者への安全対策
�T 感電
�U 経頭蓋刺激・運動誘発電位(Tc-MEP)による舌咬傷・歯牙損傷
�V 気管チューブの破損
�W 痙攣
�X 熱傷
�Y 不整脈
�Z 針電極刺入に伴う出血と感染
�[ 院内報告
6 検者への安全対策
�T モニタリング担当者の安全
�U 業務リスク軽減(安全チェックリストとチーム医療による協調体制)
7 モニタリングの禁忌
�T 頭蓋骨プレート,脳動脈瘤クリップ,シャントチューブ留置,ペースメーカー留置
�U てんかんの既往歴
�V 人工内耳などの医療機器,脳深部刺激療法(DBS)装置
�W 迷走神経刺激装置
�U 各 論
1 経頭蓋刺激・運動誘発電位(Tc-MEP)
�T 適応
�U 刺激・記録の方法
�V 麻酔方法
�W 電位の解析
2 経頭蓋刺激・脊髄誘発電位(Tc-SCEP,D-wave)
�T 概要
�U 適応
�V 刺激・記録の方法
�W 麻酔方法
�X 電位の解析
�Y Tc-MEPとD-waveのマルチモダリティ
3 脊髄刺激・脊髄誘発電位(Sp-SCEP)
�T 刺激・記録の方法
�U 麻酔方法
�V 特徴
�W 電位の解析
4 体性感覚誘発電位(SEP)
�T 適応
�U 刺激・記録の方法
�V 麻酔方法
�W 術中評価
5 自発筋電図(sEMG,free-run EMG)
�T 適応
�U 刺激・記録の方法
�V 麻酔方法
�W 電位の解析
�X 症例提示
6 直接神経刺激・運動誘発電位(Dn-MEP)
�T 適応
�U 刺激・記録の方法
�V 麻酔方法
�W 電位の解析
�X 症例提示:神経鞘腫に対するDn-MEP
7 マルチモダリティモニタリング
�T 各モダリティの概要
�U 術式別のモダリティ選択
�V 今後の課題
�V 臨 床
1 脊柱変形に対するモニタリング
�T 概要
�U モニタリング方法
�V 小児側弯症に対するモニタリング
�W 成人脊柱変形に対するモニタリング
�X 変形矯正手術におけるレスキュー操作
2 脊柱靱帯骨化症に対するモニタリング
A 頚椎後縦靱帯骨化症(頚椎OPLL)
�T 麻酔管理とモニタリングの設定
�U 波形変化のタイミングと対応
�V 上肢麻痺に関する考察
�W 症例提示
B 胸椎後縦靱帯骨化症(胸椎OPLL)
�T 麻酔管理とモニタリング導入の基本
�U 使用モダリティと導出の工夫
�V 胸椎OPLLに特有の注意点
�W 波形悪化のタイミングと対応
�X 留意点と限界
�Y 症例提示:術中レスキュー症例
3 脊髄腫瘍(髄内/髄外)に対するモニタリング
�T モニタリング機器の設置
�U 脊髄腫瘍摘出手術の進行およびIONMの実施時期
�V 症例提示
4 末梢神経(頚椎/腰椎神経根)に対するモニタリング
�T 直接神経刺激
�U 刺激閾値を用いた神経マッピング
�V 症例提示
�W 肛門電極による術中モニタリング
�X 手術操作以外による末梢神経障害のためのモニタリング
�Y 症例提示
5 股関節手術中のモニタリング
�T 股関節手術における術中脊髄モニタリングの意義
�U 術中モニタリングの実際
�V 進入法と神経障害
�W 症例提示
�W 日本脊椎脊髄病学会認定 脊髄モニタリング認定医試験の過去問題
問題編
解説編
日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング委員会 研究業績
─日本脊椎脊髄病学会による初めてのモニタリング教科書─
一般的な脊椎手術の神経麻痺率は0. 1〜1%と報告されている.脊髄外科医であれば残念ながら生涯に数例の医原性神経麻痺を自身が経験する可能性がある.手術で生じた麻痺は患者にも術者にも深い傷を残し,できるだけ未然に防ぐことが肝要である.特に脊髄腫瘍,靱帯骨化症,変形矯正手術などの高リスク脊椎・脊髄疾患では,術者がいくら注意しても不十分であり,脊髄モニタリングによる術中神経麻痺予防が重要であることは広く認知されている.日本脊椎脊髄病学会では2007 年より脊髄モニタリング委員会が設立され,委員会所属の各施設でのセミナーをはじめとした啓蒙活動を行ってきた.2021 年からは脊髄モニタリング認定医制度が発足し,術中脊髄モニタリングの知識・技術の普及に努めてきた.
さらに重要なことは,われわれがモニタリングを介して新たに習得できた多くの知見がある.これらはモニタリングを行わずして手術をしたのでは決して得ることができなかった知識であり,術者が手術を安全に行うために習熟しておくべき知恵と考える.
一方で,初学者がモニタリングの専門的な知識を習得する機会に恵まれていない現状もある.モニタリングセミナーは毎年,モニタリングに習熟した各施設で行われているが,系統立った教科書は少なく,あっても難解で臨床に即していない書籍もある.
今回われわれは,脊椎外科医,臨床検査技師,臨床工学技士,一部の関節外科医を対象とした教科書をモニタリングの第一線で活躍されている先生方にまとめていただいた.経頭蓋刺激・運動誘発電位にとどまらず,感覚系のモニタリングやD-wave との併用(マルチモダリティ),自発筋電図,直接神経刺激,腰椎神経根のモニタリング,脊柱変形手術,靱帯骨化症や脊髄腫瘍でのモニタリング,脊髄機能診断など,臨床に直結するさまざまな内容を盛り込んで解説した.歴史的にも術中脊髄モニタリングの分野は日本が世界をリードしており,日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング委員会より数多くの論文が輩出されている.巻末にはその一部を参考文献として載せた.
術中モニタリングは,脊椎外科医以外にも麻酔科医,臨床検査技師,臨床工学技士などの多職種で行うチーム医療であり,血管外科や関節外科領域でも神経障害の予防に用いられている.手術術式は時代とともに変化するが,脊髄機能診断学はわれわれ脊椎外科医の礎となる普遍的知識であり,外科医として心得るべき大切な領域と考える.本書がモニタリングの教科書にとどまらず,脊髄機能診断学,脊椎脊髄手術の神経合併症予防の礎となることを望む.
2026 年6 月
日本脊椎脊髄病学会脊髄モニタリング委員会 委員長
吉田 剛

