書籍

乳房超音波診断ガイドライン改訂第4版増補

編集 : 日本乳腺甲状腺超音波医学会
ISBN : 978-4-524-27371-3
発行年月 : 2026年6月
判型 : A4判
ページ数 : 228

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

  • 近刊

発売予定日:2026年6月8日 全国の書店で予約受付中

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

乳房超音波診断における原理や走査手技および典型的な画像所見を提示し,読影に必要な病理組織の解説や診断基準を網羅した定本の増補改訂版.臨床・病理診断および画像診断の用語に大きく影響する『乳癌取扱い規約』および『ACR BI-RADS』の2025年改訂内容に準拠して,診療現場で用いられる診断名に添った内容にアップデート.また検診と精検における新たな超音波カテゴリーや,肉眼像と内部組織パターンを組み合わせた検査レポート表記法にも対応している.

T 装置と検査法
 A 超音波診断装置,走査条件と検査環境
  1 超音波診断装置
  2 記録媒体記録装置
  3 走査条件条件設定
  4 モニタ,プリンタの調整
  5 記 録
  6 検査実施件数
 B 乳房超音波検査の手技
  1 乳房検査の体位
  2 検者の姿勢
  3 探触子の持ち方
  4 探触子の動かし方操作法
  5 観察範囲
  6 操作スピード
  7 動的検査
 C 表示法
  1 病変の存在部位
  2 病変の定量的評価
 D 画像処理技術
  1 ティッシュハーモニックイメージング
  2 コンパウンド走査
  3 音速補正
  4 その他
 E 精度管理用ファントムを用いた画像劣化の管理
  1 目 的
  2 ファントムの撮像時の注意点と撮像方法
  3 評価方法
  4 ファントム使用上の注意点
U 乳房の解剖と超音波画像
 A 乳房の解剖
  1 乳腺の発生
  2 乳房の超音波解剖と組織像
 B 乳腺の解剖
  1 乳腺の超音波解剖と組織像
  2 乳腺間質の経年変化・脂肪化
  3 乳腺超音波画像の理解
 C 乳房の脂肪性変化
 D GTC判定と乳房構成判定
  1 GTC撮影方法・判定方法
  2 乳房構成判定
V 乳腺疾患の病理
 A 乳腺疾患の代表的組織型分類
  1 良性病変
  2 上皮性腫瘍
  3 上皮-筋上皮性腫瘍
  4 線維上皮性腫瘍
  5 前駆病変
  6 非浸潤性小葉腫瘍
  7 乳頭状病変
  8 非浸潤性乳管癌/乳管内癌
  9 微小浸潤癌
  10 浸潤癌
  11 その他
 B 肉眼型分類
 C 浸潤形態と間質量
 D 非浸潤癌巣の種類と量
 E 「肉眼型分類」と「浸潤形態と間質量」および「非浸潤癌巣の種類と量」
W 乳房超音波組織特性
 A 超音波組織特性
  1 減 衰
  2 後方散乱
  3 各疾患の後方エコーレベルと内部エコーレベルとの関係
  4 超音波の音速
  5 組織の音速が異なるために発生するひずみ
X 腫 瘤
 A 腫瘤の所見用語
  1 エコーパターン
  2 形 状
  3 境界辺縁,周辺,境界部
  4 内部エコー
  5 後方エコー
  6 随伴所見
 B 腫瘤の評価
  1 特徴所見からの評価
  2 充実性腫瘤の良・悪性判定における各所見の意義
  3 充実性腫瘤に対する初学者教育用Bモード判定フローチャート
Y 非腫瘤性病変
 A 非腫瘤性病変の所見用語
  1 所 見
  2 参考所見
 B 非腫瘤性病変の評価
  1 乳管の異常
  2 乳腺内の低エコー域
  3 構築の乱れ
  4 多発小囊胞
  5 点状の高エコーを主体とする病変
 C 非浸潤性乳管癌における超音波画像所見の頻度JABTS BC-02研究
 D 参考:乳腺像に変化を与える要素
  1 成長・妊娠
  2 乳管拡張像の正常バリエーション
Z 主な乳腺疾患の概念と超音波画像
 A 悪性疾患
  1 非浸潤性乳管癌
  2 浸潤癌
  2-1 微小浸潤癌
  2-2 浸潤性乳管癌
  2-3 粘液癌
  2-4 浸潤性小葉癌
  2-5 化生癌
  2-6 悪性リンパ腫
 B 良性疾患
  1 線維腺腫
  2 乳管内乳頭腫
  3 いわゆる乳腺症
  4 囊 胞
  4-1 単純性囊胞
  4-2 濃縮囊胞
  5 葉状腫瘍
  6 乳腺線維症
  7 過誤腫
  8 乳管腺腫
  9 脂肪壊死
  10 豊胸術
[ リンパ節の検査
 A 正常リンパ節およびその構造
 B 乳腺の領域リンパ節
 C リンパ節検査の手技
  1 検査時の体位
  2 観察範囲
 D 正常リンパ節の超音波所見
 E リンパ節の評価
  1 Bモード
  2 参考所見
 F リンパ節腫大の鑑別診断
 G 参考:ACR BI-RADS v2025 Manual
\ 超音波検診における要精検基準と検診カテゴリー判定
 A 背 景
 B 要精検基準作成における基本的考え方
 C 所見の分類と検診のためのカテゴリー分類
 D 腫 瘤
  1 囊胞性パターンの判定
  2 混合性パターンの判定
  3 充実性パターンの判定
 E 非腫瘤性病変
  1 局所性あるいは区域性の内部エコーを有する乳管拡張
  2 区域性あるいは局所性に存在する乳腺内低エコー域
  3 構築の乱れ
 F 参考所見
 G 今回の改訂のポイント
 H 所見用紙
] 乳房超音波精密検査における新「診断超音波カテゴリー」と新「診断カテゴリー」
 A 乳房精密検査における新「診断カテゴリー」
 B 新「診断カテゴリー」に基づく新「診断超音波カテゴリー」
XI 乳房超音波ドプラ法と造影超音波
 A 乳房超音波ドプラ法:基礎とその臨床的意義
 B カラードプラ法速度モードの検査手順
  1 探触子走査とBモード画像の調整
  2 カラー表示エリアの調整
  3 パルス繰り返し周波数あるいは速度レンジの調整
  4 カラーゲインの調整
  5 ウォールフィルタ
  6 参照周波数
  7 各種血流表示法の種類と特徴
 C 血流波形分析の検査手順
  1 パルスドプラ法
  2 高速フーリエ変換波形の調整
  3 ドプラスペクトラムのトレース調整,血流波形指標の求め方
 D 乳房超音波ドプラ法の臨床的評価
  1 乳房超音波カラードプラ法判定基準
  2 Bモード+ドプラ法の有用性
  3 非腫瘤性病変のカラードプラ法
 E ペルフルブタンマイクロバブルソナゾイドを用いた乳房造影超音波検査
  1 第2世代超音波造影剤:ソナゾイド
  2 検査プロトコル
  3 検査時のコツと注意点
  4 良・悪性の判定基準および診断能
  5 乳癌における広がり診断
  6 乳癌術前薬物療法における効果判定能
  7 時間輝度曲線
  8 今後の展望
XII 乳房超音波組織弾性映像法乳房超音波エラストグラフィ
 A 組織弾性評価の意義と有用性
 B 超音波組織弾性映像法エラストグラフィの分類
 C 生体組織の弾性特性
  1 組織弾性の非線形性
  2 初期圧と画質の関係
 D 超音波組織弾性映像法の原理
  1 strain elastography[歪みひずみエラストグラフィ]
  2 ARFI imaging
  3 shear wave elastography
 E 検査手技の要点
 F エラストグラフィの臨床
  1 strain elastography
  2 ARFI imaging
  3 shear wave elastography
 G アーチファクト
  1 初期圧過剰によるもの
  2 BGR
  3 応力集中によるもの
  4 ひずみの滲みによるもの
  5 剪断波伝搬の反射・屈折によるもの
  6 blue cancer
 H 参考:ACR BI-RADS v2025 Manual
XIII 超音波ガイド下インターベンション
 A 超音波ガイド下穿刺の基本事項
  1 超音波診断装置
  2 freehand法とprobe-guided法
  3 同一平面法と交差法
  4 探触子の消毒
  5 ポジショニング
  6 術者の条件
  7 検査環境・安全対策
 B 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診
  1 適 応
  2 器 具
  3 手 技
 C 超音波ガイド下針生検
  1 適 応
  2 器 具
  3 手 技
 D 超音波ガイド下吸引式組織生検
  1 適 応
  2 被検者への説明
  3 手 技
  4 合併症の対処と予防
 E 病理医との連携と安全管理
 F 超音波ガイド下の組織マーカー留置
  1 適 応
  2 組織マーカーの種類

参考 所見判定の再現性に関する検討
用語欧文表記
索引

第4版増補版 刊行にあたって

一般社団法人日本乳腺甲状腺超音波医学会JABTSは,乳腺および甲状腺を含む表在領域の超音波診断について,研究と教育を通じて学術的進歩と適切な診断・治療法の向上に貢献することを目的に,1998年に前身となる日本乳腺甲状腺超音波診断会議として設立されました.その後,2012年のNPO法人化を経て,2019年には新体制の一般社団法人として発足し,四半世紀以上にわたり,常に同領域の学術および臨床における牽引役として貢献してまいりました.
なかでも『乳房超音波診断ガイドライン』の策定は,本学会における最も重要な事業の一つです.未整備であった用語,検査方法,判定方法の標準化を目的として,2004年に初版が刊行されました.以来,2008年に第2版,2014年に第3版,そして2020年に第4版と改訂を重ね,現在では本邦のみならず海外でも活用される,乳房超音波診断の中核的な手引きへと成長いたしました.
乳房画像診断を取り巻く環境は,今まさに大きな転換期を迎えています.本学会では当初,2025年6月に予定されている『乳癌取扱い規約第19版』のアップデートに合わせ,用語の齟齬を解消し,診断の精度と一貫性を維持するための修正作業を進めてまいりました.その過程で,2025年12月には乳房画像診断の世界標準である『ACR BI-RADS v2025 Manual 6th Ed』が刊行され,新たにglandular tissue componentGTCが導入されました.2025年10月には日本乳癌学会により,診断カテゴリーをBI-RADSに準拠させる形での改変が行われ,さらに2026年6月には『乳がん検診精検報告書作成マニュアル第2版』の刊行も控えております.
本来であれば,これらすべての変更点を全面的に取り込んだ「第5版」を上梓すべきところですが,新たな診断カテゴリーを深く検討し,ガイドラインとして結実させるには年単位の時間を要します.そこで,臨床現場における用語の混乱を回避すべく,最新の諸テキストとの整合性を迅速に図ることを最優先とし,いくつかの章を改変・修正する形で,この「第4版増補版」を緊急に作成いたしました.
おりしも2026年2月,乳がん検診における超音波検査の有効性を検証する比較試験「J-START」の副次解析結果が,Lancet誌に掲載されました.この報告では,超音波併用検診群において進行癌の割合が有意に少ないことが示されました.本邦が世界に誇るこの大規模研究の成果は,乳房超音波検査が検診および日常診療において果たすべき役割をより強固に裏づけるものであり,今後の乳房超音波検診の普及に大きな弾みがつくものと確信しております.
本増補版は,本書のこれまでの基本方針である「エビデンスに基づいた記述」を継承しつつ,最新の国際標準と国内の規約,そして最新の臨床知見を橋渡しする極めて重要な役割を担っています.
本書は,次なる「第5版」への重要なステップであり,現時点における最適解を示したものです.日常診療のかたわら,多大な労力を割いて改稿にあたられたガイドライン改訂小委員会の諸先生方,ならびに関係各位に深く敬意を表します.
最新の知見と整合性に基づいて編纂された本書が,一人でも多くの乳房超音波診断に携わる皆様に活用され,診断技術の向上と,ひいては乳癌の早期発見・治療向上に寄与することを切に願っております.

2026年5月
一般社団法人日本乳腺甲状腺超音波医学会JABTS
理事長 明石 定子

ガイドライン改訂第4版増補 序
本書は,乳房超音波診断学に影響する「病理診断名」,「臨床診断名」,「画像診断用語」に関する大きな二つのテキストの改訂版『乳癌取扱い規約第19版』2025年6月ならびに『ACR BI-RADS v2025 Manual 6th Ed』2025年12月が発刊されたことを受け,新しい診断用語に対応するため,早急に整合性をとる目的で発刊された.
これら二つのテキストの改訂については前々から情報があり予測されていたので,乳房超音波診断ガイドライン改訂小委員会として,数年前から本書のバージョンアップを進めていた.当初,診断過程のフローチャート,判定基準などを検証した内容を反映した「第5版」を想定していたが,すでに上記二つのテキストが出版されていること,また,2025年10月に日本乳癌学会より「診断カテゴリー」が『ACR BI-RADS v2025 Manual 6th Ed』に準拠するように改変され,また『乳がん検診精検報告書作成マニュアル』の改訂版が刊行される予定であることが判明したため,取り急ぎ『乳癌取扱い規約第19版』,『ACR BI-RADS v2025 Manual 6th Ed』および「日本乳癌学会が推奨している新しい診断カテゴリー」と内容・用語の整合性のとれた『乳房超音波診断ガイドライン改訂第4版増補』を発刊することとなった.決してすべてが新しくなっているわけではないが,超音波診断に影響する考え方や用語が大きく変わっている.ぜひご一読いただき,新しい乳房超音波診断の概念を理解していただきたい.
なお本書で使用している診断名は病理学的診断名が中心であるが,画像診断のテキストであるため,病理学的診断名が一つに絞れない病変,該当する病理学的診断名がない病変には臨床診断名を使用している.病理学的診断名と臨床診断名が混在していることを認識して読んでいただきたい.
また病理学的診断結果を鑑別診断として想定する場合には,超音波画像診断の理解を深めるため,これまでは「浸潤性乳管癌硬性型」などとしていた表記を,『乳癌取扱い規約第19版』で用いられた「病変全体の肉眼像」と「内部組織の構成パターンをあわせて,「浸潤性乳管癌浸潤型/硬性パターン」のように表記することを推奨しているので,今後は診断レポートへの記載時にもこのような表記をお願いしたい.
さらに,今回,新しくなった診断カテゴリーに対応するため,「診断超音波カテゴリー」が刷新されている.診断カテゴリー判定には「診断超音波カテゴリー」がもっとも大きな意味をもつので,「診断超音波カテゴリー」を十分に理解して判定していただきたい.検診や診断での超音波レポートは検診でも診断でも作成されるが,検診の場では「検診超音波カテゴリー」を,精密検査の場では「診断超音波カテゴリー」を使い分ける必要がある.両者は定義もアウトカムも大きく異なるため,両者の違いを正しく理解して使用することが必要である.

2026年5月
一般社団法人日本乳腺甲状腺超音波医学会
乳腺用語診断基準委員会
委員長 中島 一毅

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