書籍

日本栄養治療学会 JSPENテキストブック改訂第2版

編集 : 一般社団法人日本栄養治療学会
ISBN : 978-4-524-27279-2
発行年月 : 2026年3月
判型 : B5判
ページ数 : 744

在庫あり

定価6,050円(本体5,500円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

栄養サポートチーム(NST)の一員として栄養管理に携わる医療者のために,臨床栄養の基本から実践までを体系的にまとめた定本の改訂版.解剖・生理・生化学に始まり,経腸・静脈栄養,さらには各病態に応じた栄養管理までを,最新の栄養学的知見や疾患ガイドライン,製剤情報を交えて詳しく解説.NST専門療法士認定試験のテキストとしてはもちろん,臨床栄養を学ぶすべての医療スタッフに役立つ一冊.

第1章 解剖と生理・生化
 �T.解 剖
  A.口腔・咽頭
  B.上部消化管
  C.肝 臓
  D.胆道,膵臓
  E.下部消化管
 �U.消化と吸収
 �V.生化学
  A.蛋白代謝(同化と異化を含めて)
  B.糖質代謝
  C.脂質代謝
  D.微量栄養素
  E.食物繊維
 �W.水と電解質
 �X.酸・塩基平衡
第2章 栄養療法の基礎
 �T.栄養不良の病態生理
 �U.ロコモティブシンドローム,フレイル,サルコペニア
 �V.栄養評価
  A.栄養スクリーニング,アセスメント
  B.身体計測
  C.生化学的指標
  D.免疫能評価
  E.窒素代謝および窒素平衡
  F.間接熱量測定
  G.インピーダンス法と二重エネルギーX線吸収測定法
  H.GLIM基準
 �W.日本人の食事摂取基準(2025年版)
第3章 経腸栄養法と静脈栄養法
 �T.栄養療法の選択基準
 �U.栄養素投与量の決定法
 �V.経腸栄養法
  A.投与方法
  B.経腸栄養剤の種類と選択
  C.経腸栄養法の管理
  D.経腸栄養法における薬剤投与(簡易懸濁法)
  E.経腸栄養の合併症とその対策
  F.胃瘻・空腸瘻の造設と管理
 �W.静脈栄養法
  A.投与経路(PICCを含めて)
  B.静脈栄養剤の種類と組成,特徴
  C.静脈栄養法における薬剤・栄養素
  D.静脈栄養法の管理
  E.中心静脈カテーテル挿入・留置時の合併症と対策
  F.カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の診断と治療
  G.末梢静脈栄養の方法と実際
  H.静脈栄養における代謝性合併症
 �X.栄養管理についての説明・指導
 �Y.栄養療法における倫理的配慮
第4章 飢餓と侵襲に対する代謝反応
 �T.飢餓の病態生理
 �U.侵襲時の代謝変動
 �V.オートファジー
 �W.悪液質の病態生理
第5章 病態下の静脈・経腸栄養法
 �T.成 人
  A.心疾患に対する栄養療法
  B.肝疾患に対する栄養療法(肝硬変も含む)
  C.急性膵炎,慢性膵炎に対する栄養療法
  D.炎症性腸疾患に対する栄養療法
  E.消化管瘻患者に対する栄養療法
  F.慢性腎臓病(腎不全を除く)患者に対する栄養療法
  G.腎不全に対する栄養療法
  H.外科周術期の栄養療法
   総論)周術期の代謝変動と栄養療法(ERASを含めて)
   1)上部消化管周術期の栄養療法
   2)短腸症候群に対する栄養療法
   3)肝胆膵外科周術期の栄養療法
   4)消化管がん術後合併症に対する栄養管理
  I.外科周術期の栄養療法とリハビリテーション
  J.がん化学療法時における栄養療法
  K.がん緩和ケアにおける栄養療法
  L.重症病態(外傷,熱傷,重症感染症)における栄養療法
  M.神経性やせ症に対する栄養療法
  N.脳血管障害に対する栄養療法
  O.神経変性疾患に対する栄養療法
  P.認知症患者に対する栄養療法
  Q.肥満症患者に対する栄養療法
  R.糖尿病患者に対する栄養療法
  S.COPDに対する栄養療法
  T.摂食嚥下障害に対する栄養療法
  U.嚥下調整食
  V.褥瘡に対する栄養療法
  W.移植患者に対する栄養療法
  X.妊婦に対する栄養療法
  Y.高齢者に対する栄養療法
 �U.小 児
  A.栄養療法における小児の特殊性と栄養必要量
  B.新生児に対する栄養療法
  C.消化管異常に対する栄養療法
  D.腎機能障害に対する栄養療法
  E.悪性腫瘍,造血幹細胞移植に対する栄養療法
  F.救急・重症疾患に対する栄養療法
  G.重症心身障がい児(者)に対する栄養療法
第6章 在宅栄養療法
 �T.在宅経腸栄養法
 �U.在宅中心静脈栄養法

医療が高度化している現在,チーム医療の重要性はいうまでもない.各々の専門医療職が強みを発揮し,情報共有のもとに連携をしながら治療を進めることで,医療の質が高まり,転帰の改善につながる.栄養サポートチーム(nutrition support team:NST)はチーム医療の最たるものといえる.日本静脈経腸栄養学会(現:日本栄養治療学会)では,2001年にNSTプロジェクトを設立し,NSTの普及に貢献してきた.2005年にはNSTの稼動が日本病院機能評価機構の評価項目となり,2006年には栄養管理実施加算が新設されたことで多くの病院でNSTが立ち上がった.さらに2010年には栄養サポートチーム加算が新設され,2012年には,栄養管理実施加算が入院基本料に包括されることとなり,入院時の栄養アセスメントがすべての入院患者の必須要件となったことは栄養治療の重要性を裏付けるものである.
本学会では,2008年に『コメディカルのための静脈経腸栄養ハンドブック』を発刊した.2011年には,認定医・指導医制度が発足することとなり,メディカルスタッフのみならず,医師も対象とした『静脈経腸栄養ハンドブック』が発刊された.さらに2017年には,『一般社団法人日本静脈経腸栄養学会 静脈経腸栄養テキストブック』を発刊し,サルコペニアや悪液質など,新たな栄養病態の解説も加えた.そして2021年に『日本臨床栄養代謝学会JSPENテキストブック』を発刊した.本テキストブックは,解剖から生理,生化学,経腸栄養,静脈栄養,さらには各病態における栄養管理までの幅広い内容について,それぞれ第一人者の先生に詳説いただいた.臨床栄養に関する機器や製剤についても解説を加えている.本書がNST 専門療法士の認定試験や認定医試験のテキストブックとしてはもちろん,多くの臨床栄養に関わる医療者に活用されてきたことは嬉しい限りである.一方,臨床栄養は日々進歩し,新しい概念や治療が導入されている.臨床栄養を取り巻く環境も変化し,本学会も日本栄養治療学会へ改称した.初版の発刊から5年近くが経過し,本テキストブックの内容も臨床栄養の進歩に沿ってブラッシュアップが必要になったことから,今回,改訂第2版を刊行する運びとなった.
栄養不良は,あらゆる疾患,病態においてリスクとなり,治療成績を低下させることは多くの研究から実証されている.また,栄養治療・栄養管理の重要性は,病院における入院患者のみならず,高齢者施設入所者,在宅医療における患者においても同様である.今後,超少子高齢社会を迎えるわが国では,病院のみならず,在宅医療においても,さらにレベルの高い栄養療法が必要となってくる.刷新された本テキストブックがわが国の栄養教育に広く活用されることを願っている.
末筆ながら,本書の編集にご協力いただいた鍋谷圭宏先生,編集協力の先生方ならびに執筆者の先生方,編集に携わった南江堂の面々に心から御礼申し上げる次第である.
2026年2月吉日
責任編集
一般社団法人 日本栄養治療学会 理事
千葉 正博
亀井  尚

 この度は,『JSPEN テキストブック(改訂第2 版)』の評者という栄誉ある機会をいただき,心より御礼申し上げます.
 筆者は上部消化管疾患を専門とする一般・消化器外科医であり,日々の周術期管理の中で栄養治療の重要性を強く認識しております.たとえば,周術期侵襲の軽減や,食道癌術後の縫合不全発生時における長期の経口摂取困難を見据えて腸瘻造設をルーチン化している施設は多いかと存じます.また,重症呼吸器疾患を併存する患者の治療や,炎症性腸疾患患者の術前管理など,周術期合併症軽減に向けた取り組みは当たり前のものとなっています.しかし,多忙な臨床の中で,こうした栄養管理が「慣例」となり,その生理的意義や機序への深い洞察を欠いてしまうことは,われわれ臨床医が陥りがちな課題でもあります.
 本書は,解剖・生理学の基礎から評価指標,実践的な治療アプローチにいたるまで,臨床現場で真に活きる知識を網羅した,きわめて完成度の高い一冊です.Global Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)基準をはじめとした新たな概念を詳細に解説するとともに,適切な介入手段の構築の必要性など,今後の課題も明記されております.さらに,医師や看護師,管理栄養士をはじめとする多職種に向け,平易かつ領域横断的な視点で見事に構成されている点に深く感銘を受けました.
 巻頭言において市川大輔理事長が指摘されているとおり,従来の「補助的医療」から「基盤治療」へとパラダイムシフトを遂げた栄養治療は,今や医療の主軸であります.だからこそ,日々のルーチンに終始することなく,その機序を正しく理解し,さらなるアウトカム向上をめざす姿勢が求められています.本書を日々の診療と照らし合わせながら精読することは,一歩すすんだ栄養治療の意義を再考し,ひいては治療成績のさらなる向上を導く道標になると感じております.読者の皆様に広く一読をおすすめするとともに,改訂に尽力された関係各位に深甚なる敬意と感謝の意を表します.

臨床雑誌外科88巻8号(2026年8月号)より転載
評者●[慶應義塾大学外科学(一般・消化器)教授・松田 諭]

9784524272792