日本整形外科学会診療ガイドライン
橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2012
文献アブストラクトCD-ROM付
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 日本整形外科学会/日本手外科学会 |
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編集 | : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 |
ISBN | : 978-4-524-26939-6 |
発行年月 | : 2012年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 142 |
在庫
定価3,960円(本体3,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
日本整形外科学会監修の診療ガイドライン。49のクリニカルクエスチョンを設け、2009年までの文献から信頼性と有益性を評価し、最新のエビデンスに基づいた推奨・根拠と解説を示した。橈骨遠位端骨折の疫学から合併損傷を含めた診断法、治療までを網羅。保存的治療から手術的固定術、リハビリテーションまで橈骨遠位端骨折の診療に必携の書。付録のCD-ROMに文献アブストラクトを収載。
前文
1 ガイドラインの作成方法
2 文献検索と結果
3 構造化抄録の作成と文献の批判的吟味
3.1.エビデンスレベルの評価
3.2.エビデンスと推奨Grade
4 注意事項
4.1.佐々木の不安定型Colles骨折の判定基準
4.2.Cooneyの不安定型骨折の判定基準
5 まとめ
第1章 橈骨遠位端骨折の疫学
1 わが国における発生率
2 危険因子
3 予後
第2章 診断
CQ1.推奨できる骨折型分類はあるか
CQ2.単純X線計測値の基準は
CQ3.単純X線正面・側面像の2方向以外にどのような撮影方法が有効か
CQ4.関節内骨折の診断にCTは有効か
CQ5.不顕性骨折の診断にMRIは有効か
CQ6.TFCC損傷の合併率とその診断方法は
CQ7.舟状月状骨間靭帯損傷の合併率とその診断方法は
CQ8.尺骨茎状突起骨折の合併率は
第3章 治療
3.1 治療総論
CQ1.関節外骨折に対して手術的治療は保存的治療より有効か
CQ2.関節内骨折に対して手術的治療は保存的治療より有効か
CQ3.関節外骨折における徒手整復後の残存変形の許容範囲は
CQ4.関節内骨折における徒手整復後の残存変形の許容範囲は
CQ5.橈骨遠位端骨折の合併症と発生率は
3.2 保存的治療
CQ6.高齢者に徒手整復は必要か
CQ7.徒手整復にfinger trapは必要か
CQ8.徒手整復に麻酔は有効か
CQ9.外固定の範囲とその期間は
CQ10.外固定時の手関節と前腕の肢位は
3.3 手術的治療
3.3.1.手術的治療総論
CQ11.適切な手術時期はいつか
CQ12.高齢者に手術的治療は必要か
CQ13.関節内骨折の手術で透視下整復は有効か
CQ14.関節内骨折に関節鏡視下手術は有効か
3.3.2.経皮的鋼線固定術
CQ15.経皮的鋼線固定法は有効か
CQ16.推奨できる経皮的鋼線固定法はあるか
3.3.3.創外固定術
CQ17.bridging 創外固定術は有効か
CQ18.non-bridging 創外固定術は有効か
CQ19.fracture void を有する患者の創外固定術に有効な追加処置は
CQ20.創外固定術は合併症が多いか
CQ21.創外固定器の装着期間は
3.3.4.プレート固定術
CQ22.掌側ロッキングプレートは有効か
CQ23.掌側ノンロッキングプレートは有効か
CQ24.背側ノンロッキングプレートは有効か
CQ25.掌側ロッキングプレートに骨(人工骨)移植は必要か
CQ26.関節内粉砕骨折に複数プレートは有効か
CQ27.掌側ロッキングプレート固定後の外固定は必要か
CQ28.プレートの抜去は必要か
CQ29.プレートの術後合併症は
3.4 その他の骨折、治療法
CQ30.超音波パルスや電気刺激は骨癒合の促進に有効か
CQ31.橈骨遠位端骨折に合併する尺骨茎状突起骨折に内固定は必要か
CQ32.TFCC損傷は修復すべきか
CQ33.橈骨遠位端骨折に合併する遠位橈尺関節不安定性の診断とその対策は
CQ34.変型治癒に対する矯正骨切り術の適応は
第4章 リハビリテーション
CQ1.外固定期間中のリハビリテーションは有効か
CQ2.外固定除去後のリハビリテーションは有効か
CQ3.手関節可動域と握力の回復にどれくらいかかるか
第5章 機能評価、予後
CQ1.一般に用いられている評価法は
CQ2.妥当性の検証されている評価法は
CQ3.変型治癒は機能的予後に影響するか
CQ4.骨折の不安定性(再転位)を予測する患者因子、骨折因子は何か
索引
わが国は超高齢社会を迎えた。この流れには今後ますます拍車がかかると予想されている。橈骨遠位端骨折は全骨折の中に占める割合が16〜20%とされている。特に骨粗鬆症を基盤として高齢者を中心に発生する最も発生頻度の高い骨折のひとつであり、当然ながら発生数も増加していくであろうことは論を俟たない。高齢者の活動性の増加などから治療に対する希望や要求も変わってきている。したがって医師もこの骨折の知識と理解をより深めて実際の診療にあたらなければならない。そのような流れの中から日本整形外科学会でも事業の一環として橈骨遠位端骨折診療ガイドラインを策定することとなった。実際の策定作業は日本手外科学会から選出された12名の委員と担当理事が2007年から作業を開始し、このたび出版の運びとなった。
橈骨遠位端骨折に関する最初の文献はAbraham Collesが1814年に記載した。当時は麻酔法や無菌手術法も確立しておらず、X線の発見より80年前の時代であったことから、たとえ変形が残存しても機能的には支障をきたさないと述べられている。変形の残存と機能について新たな議論が展開されるようになったのはそれから1世紀以上経ってからのことである。以後さまざまな治療法が報告されてきたが、特に最近10年間ではこの骨折の診断や治療法、患者の認識が大きく変化してきた。また、しっかりした研究デザインでエビデンスレベルの高い文献が散見されるようになってきたのはこの数年であることを策定作業中に文献を通して実感した。本ガイドラインも、策定する段階では最も新しい文献の中から回答を得てきたが、今後もますます診断・治療が進歩することが予想されるため、数年後には新たな内容を盛り込んで改訂していかなければならないと考える。
本ガイドラインは、現在の日常診療で必要になると予想される質問に対する回答という形で過去の文献の中から抽出して記載したものである。実際の診療方針は、医師と患者で相談しながら決定していくものであり、あくまでも診療にあたっての指標のひとつとしてとらえていただきたい。
2012年1月
日本整形外科学会
橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会
委員長 澤泉卓哉