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乳房超音波診断ガイドライン改訂第3版

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 日本乳腺甲状腺超音波医学会
ISBN : 978-4-524-26917-4
発行年月 : 2014年5月
判型 : A4
ページ数 : 188

在庫なし

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

乳腺疾患の診断に欠くことのできない乳房超音波診断法の用語、検査法、判定方法の標準化を目的に、日本乳腺甲状腺超音波医学会がまとめた診断ガイドライン。超音波検診のあり方や成果も掲載。今改訂では、フルカラーとして構成を一新。カラードプラや組織弾性映像法による画像も収載。欧文用語一覧の新設のほか、多施設研究データを踏まえ記載もさらに充実。日本超音波医学会、日本医学放射線学会、日本乳癌学会ほか推薦。

I 装置と検査法
 A 超音波診断装置、走査条件と検査環境
  1 超音波診断装置
  2 記録媒体(記録装置)
  3 走査条件(条件設定)
  4 モニタ、プリンタの調整
  5 記録
  6 検査実施件数
 B 乳房超音波検査の手技
  1 乳房検査の体位
  2 探触子の持ち方
  3 探触子の動かし方(操作法)
  4 操作スピード
  5 動的検査(dynamic test)
 C 表示法
  1 病変の存在部位
  2 病変の定量的評価
 D 精度管理用ファントムを用いた画像劣化の管理
  1 目的
  2 ファントムの撮像時の注意点と撮像方法
  3 評価方法
  4 ファントム使用上の注意点
II 乳房の解剖と超音波画像
 A 乳房の解剖
  1 乳腺の発生
  2 乳房の超音波解剖と組織像
  3 乳房の解剖とその垂直断面図
 B 乳腺の解剖
  1 乳腺の超音波解剖と組織像
  2 乳腺間質の経年変化・脂肪化
  3 乳腺超音波画像理解
 C 乳房の脂肪性変化
 D 乳腺像に変化を与える要素
  1 成長・妊娠
  2 乳管拡張像の正常バリエーション
III 乳腺疾患の病理
1 日本乳癌学会分類
 A 上皮性腫瘍(epithelial tumors)
 A-1 良性腫瘍(benign tumors)
  1 乳管内乳頭腫(intraductal papilloma)
  2 乳管腺腫(ductal adenoma)
  3 乳頭部腺腫(adenoma of the nipple)
 A-2 悪性腫瘍(癌腫)[malignant tumors(carcinomas)]
  1 非浸潤癌(noninvasive carcinoma)
  2 浸潤癌(invasive carcinoma)
 B 結合織性および上皮性混合腫瘍(mixed connective tissue and epithelial tumors)
  1 線維腺腫(fi broadenoma)
  2 葉状腫瘍(phyllodes tumor)
 C 非上皮性腫瘍(nonepithelial tumors)
  1 間質肉腫(stromal sarcoma)
 D 分類不能腫瘍(unclassifi ed tumors)
 E 乳腺症(mastopathy)
 F 腫瘍様病変(tumor-like lesions)
  1 過誤腫(hamartoma)
  2 乳腺線維症(fi brous disease)
2 WHO分類
 A 浸潤性乳癌(invasive mammary carcinoma)
 B 浸潤性乳癌非特殊型(invasive carcinoma of no special type)
 C 特殊型(special subtypes)
 D 小葉新生物(lobular neoplasia)
 E 乳管内増殖性病変(intraductal proliferative lesions)
 F 微小浸潤癌(microinvasive carcinoma)
 G 乳管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary lesions)
 H 良性上皮増殖(benign epithelial proliferations)
 I 筋上皮性(myoepithelial)および上皮−筋上皮性病変(epithelial-myoepithelial lesions)
 J 間葉系腫瘍(mesenchymal tumours)
 K 線維上皮性腫瘍(fi broepithelial tumours)
 L 乳頭部の腫瘍(tumours of the nipple)
 M リンパおよび血液性腫瘍
 N 乳房外悪性腫瘍の乳腺への転移(metastases of extramammary malignancies to the breast)
 O 男性乳腺腫瘍(tumours of the male breast)
IV 乳房超音波組織特性
 A 超音波組織特性
  1 減衰(attenuation)
  2 後方散乱(back scattering)
  3 各疾患の後方エコーレベルと内部エコーレベルとの関係
  4 超音波の音速
  5 組織の音速が異なるために発生するひずみ
V 腫瘤
 A 腫瘤の所見用語
  1 形状(shape)
  2 境界(辺縁、周辺、境界部)
  3 内部エコー(internal echoes)
  4 後方エコー(posterior echoes,posterior features)
  5 随伴所見(associated fi ndings)
 B カテゴリー判定
 C 腫瘤の診断
  1 検診用要精査基準
  2 特徴所見からの診断(主に精密検査で用いる)
  3 充実性腫瘤の良・悪性判定における各所見の意義
VI 非腫瘤性病変
 A 非腫瘤性病変の所見用語
  1 所 見
  2 参考所見
 B 非腫瘤性病変の評価
  1 乳管の異常
  2 乳腺内の低エコー域
  3 構築の乱れ
  4 多発小嚢胞
  5 点状高エコーを主体とする病変
VII 主な乳腺疾患の概念と超音波画像
 A 悪性疾患
  1 非浸潤性乳管癌[ductal carcinoma in situ(DCIS)、noninvasive ductal carcinoma]
  2 硬 癌
  3 乳頭腺管癌
  4 充実腺管癌
  5 粘液癌
  6 浸潤性小葉癌
  7 髄様癌
  8 悪性リンパ腫
  9 扁平上皮癌
 B 良性疾患
  1 線維腺腫
  2 乳管内乳頭腫
  3 乳腺症
  4 嚢胞
  5 葉状腫瘍
  6 乳腺線維症(fi brous disease)
  7 過誤腫(奇形腫)
  8 乳管腺腫
  9 脂肪壊死
  10 シリコン肉芽腫
VIII リンパ節の検査
 A 乳腺の所属リンパ節
 B リンパ節検査の手技
  1 体位
  2 観察範囲
 C リンパ節の構造
 D 大きさの測定
 E リンパ節転移診断
 F 鑑別診断
IX 超音波検診における要精査基準
 A 背景
 B 要精査基準作成における基本的考え方
 C 所見の分類と検診のためのカテゴリー分類
 D 腫瘤
  1 嚢胞性パターンの判定
  2 混合性パターンの判定
  3 充実性パターンの判定
 E 非腫瘤性病変
  1 局所性あるいは区域性の内部エコーを有する乳管拡張
  2 区域性あるいは局所性に存在する乳腺内低エコー域
  3 構築の乱れ
 F 参考所見
 G 今回の改訂のポイント
 H 所見用紙
X フローイメージング
 A 乳房超音波ドプラ法の意義
 B カラーフローマッピング(CFM)の検査手順
  1 探触子走査とB モード画像の調整
  2 カラー表示エリアの調整
  3 パルス繰り返し周波数(PRF)あるいは速度レンジの調整
  4 カラーゲインの調整
  5 ウォールフィルタ(wall fi lter)
  6 速度モード(狭義のカラードプラ法)とパワーモード
 C 血流波形分析の検査手順
  1 サンプルボリューム(SV)の調整
  2 ドプラアングルの調整
  3 ドプラゲインの調整
  4 高速フーリエ変換(FFT)波形の調整
  5 ドプラスペクトラムのトレース調整、血流波形指標の求め方
 D ペルフルブタンマイクロバブル(ソナゾイド)を用いた乳房造影超音波検査
  1 第2世代超音波造影剤ソナゾイド
  2 検査プロトコル
  3 良・悪性の判定基準
  4 乳房腫瘤性病変における良・悪性診断能
XI 乳房超音波組織弾性映像法
 A 概要
  1 組織弾性計測の意義
  2 組織弾性映像法の分類
  3 Strain Imagingの原理
  4 ARFI Imagingの原理
  5 Shear Wave Elastographyの原理
 B 臨床的な応用
  1 つくば弾性スコアによる良・悪性の鑑別
  2 ひずみ比(strain ratio)による良・悪性の鑑別
  3 手技について
XII 超音波ガイド下インターベンションマニュアル
 A 超音波ガイド下穿刺の基本事項
  1 超音波診断装置
  2 Freehand法とProbe-guided法
  3 同一平面法と交差法
  4 探触子の消毒
  5 ポジショニング
  6 術者の条件
  7 検査環境、安全対策
 B 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診[Ultrasoundguided fi ne needle aspiration cytology(FNAC)]
  1 適応
  2 器具
  3 手技
 C 超音波ガイド下針生検[Ultrasound-guided core needle biopsy(CNB)]
  1 適応
  2 器具
  3 手技
 D 超音波ガイド下吸引式組織生検[Ultrasoundguided vacuum-assisted biopsy(VAB)]
  1 適応
  2 被検者への説明
  3 手技
  4 合併症の対処と予防
 E 病理医との連携と安全管理
参考 所見判定の再現性に関する検討
用語欧文表記
索引

日本乳腺甲状腺超音波医学会(Japan Association of Breast and Thyroid Sonology:JABTS)は、1998年に設立(当時は、日本乳腺甲状腺超音波診断会議としてスタート)され、現在、会員数は約2,500名となり、乳腺および甲状腺領域の超音波診断における標準化や革新的な技術開発の先導的役割を果たす重要な組織となっております。
 本ガイドラインは、JABTSの用語診断基準委員会の活動の一環として、2004年に第1版が刊行され、乳癌診療の現場において、数多くの医療従事者の方々に活用していただきました。近年、乳房超音波法の進歩には目覚ましいものがあり、読者からの批判や評価を糧として、2008年には第2版を刊行し、用語、検査方法、判定方法のさらなる標準化を図りました。その上で、診断のフローチャートの妥当性を評価するために行われた臨床研究JABTS BC-01においては、2009年9月より2011年の8月までの2年間に、全国22施設から1,400例を超える画像と病理像を収集し、大規模観察研究を行いました。このたび、第3版を改訂するにあたり、その研究成果が随所に活用されています。また、フローイメージングの分野では、昨年保険適用となった乳房造影超音波検査の項目が加わりました。精度管理研究部会にて精力的に検討されたエラストグラフィは、新規項目として内容の充実を図りました。これらの最新技術をより分かりやすく紹介するために、白黒印刷からカラー印刷に切り替え、画像も、より鮮明なものに入れ替えています。
 現在、任意型検診で広く利用されている超音波検診も、対策型検診を見据えて、過剰診療を避けつつ、いかに効率よく生命予後に関わる乳癌を拾い上げるかという観点から、要精査基準の大幅な見直しを行いました。
 これからも、JABTSは、乳房超音波検査において、(1)エビデンスを創成するための臨床研究(2)エビデンスを伝えるためのガイドラインの作成(3)エビデンスを使いこなしてもらうことを目的とした実技講習会、これらEBMの3要素を念頭に、今後も会員一同一致団結して活動していく所存です。これまで同様、様々な場面を通じて、本書を利用したご感想あるいは忌憚のないご意見をぜひお寄せください。頂戴したご意見を基に、次期改訂あるいは、臨床研究を立案、遂行し、新たなエビデンスの創成に努めます。本書が、乳癌診療の現場で、一人でも多くの方に活用され、乳癌診療の質向上に貢献することを願っております。
 末筆ではありますが、日本乳がん検診精度管理中央機構、実務に当たられた用語診断基準委員会の皆様に深く感謝申し上げます。

2014年4月
NPO法人日本乳腺甲状腺超音波医学会
理事長 中村清吾

9784524269174