がん薬物療法の支持療法マニュアル
症状の見分け方から治療まで
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 遠藤一司 |
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編著 | : 鈴木賢一/中垣繁/米村雅人 |
ISBN | : 978-4-524-26872-6 |
発行年月 | : 2013年4月 |
判型 | : B6変 |
ページ数 | : 282 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
がん薬物療法の支持療法を副作用症状別にまとめた実践的なマニュアル。「この副作用症状は抗がん薬が原因?それとも別の原因?」「標準的な支持療法で対処できない症状にはどうすればいい?」「患者の質問に適切に答えたい」など、現場の疑問と要望にしっかり対応。まさに調べたい情報をコンパクトにまとめたポケットブック。
A 消化器症状
1.悪心・嘔吐
2.便秘
3.下痢
4.食欲不振
5.口内炎・口腔乾燥
B 薬剤性皮膚障害
1.薬剤性皮膚障害
C 神経・精神症状
1.末梢神経障害
2.中枢神経障害
3.うつ病・せん妄
D 全身症状
1.倦怠感
2.関節痛
3.アレルギー反応、infusion reaction
E 骨髄抑制
1.白血球・好中球減少と感染症
2.貧血
3.血小板減少症
F 循環器症状
1.心毒性
2.血栓
3.高血圧
G 薬剤性肺障害
1.薬剤性肺障害
H 肝障害
1.肝障害
I 腎障害
1.腎障害
J その他
1.脱毛
2.浮腫
3.妊孕性低下
4.二次がん
5.放射線食道炎
付録
1.CTCAE v4.0
2.抗がん薬略語一覧
3.レジメン一覧
4.検査関連略語一覧
5.その他略語一覧
索引
がん薬物治療は2000年代後半に入り、毎年のように新しい治療法が開発されている。がん種によっては10年前と治療法が大きく変貌し、その治療効果も大きく向上しているものも少なくない。がん薬物治療の潮流が大きく変わりつつある背景には、分子標的治療薬など新薬の開発が大きな影響を及ぼしている。従来は殺細胞性抗がん薬が治療の主流を担い、がん種が同じであればほぼ同様のレジメンによる治療を受け、副作用もまた悪心・嘔吐、骨髄抑制と、似たような症状で悩まされる治療が通例となっていた。それが2000年代に入り、分子標的治療薬の開発によって、同じがん種であってもその組織型や遺伝子配列の違いにより、治療薬を選択するいわゆる個別化治療が行われるようになった。そのため一部の患者では、劇的な治療効果が得られることもあり、治療効果が向上している大きな要因となっている。
しかしその一方で、新薬や複雑化する治療に伴い、副作用マネジメントに苦慮することも増えてきた。高血圧、薬剤性肺障害、皮膚症状など、これまでがん薬物治療ではあまり経験してこなかった症状も見受けられるなど、治療法と同様にその対処法も多様化する傾向が顕著となっている。
さらに、ある種の分子標的治療薬においては、副作用症状の重篤度と治療効果が相関することが示唆されており、場合によっては副作用を理由とした安易な減量・休薬は避けなければならない。そのため服薬を継続しつつも、質の高い副作用マネジメントが求められることもある。
ここ数年、認定制度の充実などにより、がん領域における高い知識をもった臨床薬剤師が増えている。各薬剤や治療方法の深い理解が求められることはいうまでもないが、実際はがんに起因する症状や副作用症状が混在している中で、薬剤に起因する症状かまたは疾患に起因する症状かを見極める必要がある。またそれが重篤な副作用の前兆症状であれば、速やかに医師と協議し早急な対応につなげる役割がある。もちろんこれらは薬剤師単独で判断すべきものではないが、知らないがために重篤な副作用の発現を見逃してしまっては本末転倒である。臨床に薬剤師が配置されることの期待は高まっているが、知識を習得するのみならず、目の前の患者に起こっている症状から、適切な対処法への速やかな橋渡しができることも、臨床薬剤師に期待された大きな役割ではないかと考えている。
本書により、1日も早く適切な副作用対策が実施され、十分な治療効果につながる症例が少しでも増えることを心より願っている。
2013年春
編集者一同