病態を理解して組み立てる薬剤師のための疾患別薬物療法
III.心臓・血管系疾患/腎疾患/泌尿・生殖器疾患
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 一般社団法人日本医療薬学会 |
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ISBN | : 978-4-524-26342-4 |
発行年月 | : 2011年8月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 210 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬剤師が医療チームの一員として薬物療法に関わっていくために必要な疾患の病態生理・検査・治療の知識と、処方提案のための具体的SOAP解析例をわかりやすく解説したシリーズ。「心臓・血管系疾患」「腎疾患」「泌尿・生殖器疾患」の3部構成とし、重要かつ高頻度でみられる11疾患を掲載。読んで理解、問題解答して病態の知識が深まる。スキルアップしたい薬剤師、即戦力を身につけたい学生のための必読書。
A 心臓・血管系疾患
1章 高血圧−本態性高血圧−
解説
I 高血圧の病態生理
II 高血圧患者における血圧測定と身体所見・臨床検査
1.血圧測定
2.身体所見と臨床検査
III 高血圧の治療
1.非薬物療法
2.薬物療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
2章 心不全―心筋梗塞後の心不全増悪と慢性期管理―
解説
I 心不全の病態生理
II 心不全患者に対する診断と検査
1.救急処置室における心不全患者に対する身体所見の評価と臨床検査
2.集中治療室(ICU、CCU)、急性期病棟における診断手順
3.急性心不全から慢性期管理への移行
III 心不全の治療
1.急性期治療
2.慢性期管理
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
3章 不整脈−心房細動−
解説
I 心房細動の疫学・病態生理
II 心房細動患者に対する検査
III 心房細動の治療
1.急性期治療
2.洞調律への復帰に関する評価
3.長期管理
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
4章 虚血性心疾患―急性冠症候群(ST上昇型急性心筋梗塞)の二次予防―
解説
I 虚血性心疾患の病態生理
II ER(救急部)におけるSTEMI患者に対する初期評価
III 急性期治療(胸痛治療と冠動脈再灌流療法)
IV 心筋梗塞(MI)の二次予防
V 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
5章 脳血管障害−脳梗塞−
解説
I 脳血管障害の疫学・病態生理
1.疫学
2.病態生理
II 脳血管障害患者の臨床所見と検査所見
1.臨床所見
2.検査所見
3.画像所見
III 脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)の薬物療法
1.急性期
2.慢性期
3.慢性期で特に問題となる合併症
4.服薬指導で注意すべきこと
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
B 腎疾患
1章 腎不全
解説
I 急性腎不全の病態生理
1.腎臓の構造と機能
2.急性腎不全と急性腎障害
3.分類
II 急性腎不全に対する診断と検査
1.腎前性と腎性の鑑別
2.腎後性の検討
III 急性腎不全の治療
1.原因に対する治療
2.腎不全の病態改善(保存療法)
IV 慢性腎不全の病態生理
1.慢性腎不全と慢性腎臓病
2.進展機序
V 慢性腎不全の診断と検査
1.代謝性アシドーシス
2.高K血症(K≧5.5mEq/L)
3.腎性貧血(Hb<10g/dL)
4.高窒素血症
5.骨・ミネラル代謝異常(低Ca血症、高P血症)
6.高血圧
7.高尿酸血症
VI 慢性腎不全の治療
1.生活指導、食事療法
2.薬物療法
3.腎代替療法
VII 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
2章 ネフローゼ症候群
解説
I ネフローゼ症候群の定義と病態生理、分類
1.定義
2.病態生理
3.分類
II ネフローゼ症候群患者の身体所見と問診、臨床検査
1.身体所見
2.問診、臨床検査
III 治療
1.生活指導
2.食事制限
3.薬物療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
C 泌尿・生殖器疾患
1章 尿路感染症
解説
I 尿路感染症の病態生理
1.分類
2.起因菌
3.起因菌の耐性
II 尿路感染症患者の身体所見の評価と臨床検査
1.臨床症状
2.尿所見
III 尿路感染症の治療
1.膀胱炎
2.腎孟腎炎
3.抗菌薬のPK-PD理論に基づく投与法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
2章 神経因性膀胱・過活動膀胱
解説
I 神経因性膀胱の病態生理
1.下部尿路の神経支配
2.蓄尿と排尿のメカニズム
3.神経因性膀胱
II 神経因性膀胱患者の身体所見の評価と臨床検査
III 神経因性膀胱の治療
1.保存療法
2.手術療法
IV 過活動跨脱の病態生理
V 過活動跨脱患者の身体所見の評価と臨床検査
VI 過活動膀胱の治療
1.行動療法
2.薬物療法
3.neuromodulation(電気・磁気刺激療法)
VII 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
3章 前立腺肥大症
解説
I 前立腺肥大症の病態生理
II 前立腺肥大症患者に対する診断と重症度判定
1.基本的評価
2.LUTSの評価
3.BPEの評価
4.BOOの評価
5.重症度判定
III 前立腺肥大症の治療
1.無治療経過観察
2.薬物療法
3.手術療法
4.低侵襲手術
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
4章 子宮内膜症
解説
I 子宮内膜症の病態生理・疫学
1.月経困難症
II 子宮内膜症患者に対する診断と検査
1.内診
2.経膣超音波検査
3.核磁気共鳴画像(MRI)検査
4.血液検査
5.腹腔鏡検査
6.組織診
III 治療
1.対症療法
2.内分泌療法
3.手術療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
付録 薬剤師による患者フォローとSOAPチャー卜の作成(全巻共通項目)
1.患者情報の収集
2.問題リストの作成
3.問題点ごとの薬物療法の評価と立案(SOAPチャー卜の作成)
4.治療経過のフォローアップ(経過表の作成)
索引
日本医療薬学会編集『薬剤師のための疾患別薬物療法』第III巻では、心臓・血管系疾患、腎疾患、泌尿・生殖器疾患を取り上げました。
本書で取り上げた心臓・血管系疾患はいずれもcommon diseaseであり、薬物療法の成否が患者の予後を大きく左右します。したがって病院・薬局にかかわらず薬剤師が、疾患、薬物療法、効果・副作用のパラメータやその経過を把握しておくと、患者フォローに大きく貢献できる領域です。
腎疾患では、腎不全の章で取り上げた慢性腎臓病(CKD)が注目を集めています。CKDは心血管疾患の危険因子に、また末期腎不全の予備軍ともなるため、CKDを早期に発見し進行を抑えることが重要となります。CKDの病期分類に使用されるe-GFRは腎機能の評価指数として有用です。また、本書では免疫抑制薬の適正使用が必要なネフローゼ症候群についても取り上げていて、2011年2月に日本腎臓学会誌に公表されたばかりの『ネフローゼ症候群診療指針』を参考に解説しています。
泌尿・生殖器疾患は、高齢化、生活環境や食習慣の欧米化、ライフスタイルの変化などにより多様化・複雑化しており、特に高齢者においては生活の質(QOL)を損なう疾患でもあります。高齢化とともに増加する疾患ですが、その一方で新診断法や新規医薬品による治療法が確立されています。本書では、尿路感染症、神経因性膀胱・過活動膀胱、前立腺肥大症、子宮内膜症を取り上げました。
それぞれの疾患に関する病態生理、診断、薬物療法については、第一線で診療と薬剤業務に取り組んでいる専門医と臨床薬剤師の先生方に協力して解説していただきました。
本書では、症例をSOAP形式でまとめながら、疾患や薬物療法とその経過について学べるような構成になっています。6年制教育の実務実習や実習を指導なさる薬剤師の方々の参考書となれば幸いです。また、日本医療薬学会の認定薬剤師やその他の団体の専門薬剤師の資格取得を目指す薬剤師や学生の学習の助けになり、「患者中心のファーマシューティカルケア提供」の向上に役立つことを切に願っています。
最後に、本書の趣旨にご賛同いただき、ご多忙のなかご執筆いただいた薬剤師の先生方、内容をご確認いただいた医師の先生方に深謝いたします。
2011年7月
心臓・血管系疾患 編集 高橋晴美
腎疾患、泌尿・生殖器疾患 編集 二神幸次郎
泌尿・生殖器疾患 編集 中澤一純