病態を理解して組み立てる薬剤師のための疾患別薬物療法
I.悪性腫瘍
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 一般社団法人日本医療薬学会 |
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ISBN | : 978-4-524-26339-4 |
発行年月 | : 2010年11月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 146 |
在庫
定価3,850円(本体3,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬剤師が医療チームの一員として薬物療法に関わっていくために必要な疾患の病態生理・検査・治療の知識と、処方提案のための具体的SOAP解析例を分かりやすく解説。シリーズ第1巻は悪性腫瘍。標準治療の確立している9種の固形がんを掲載。読んで理解し、問題解答して知識が深まる。スキルアップしたい薬剤師、即戦力を身につけたい学生のための必読書
1章 肺がん
解説
I 肺がんの疫学・病態生理
II 肺がん患者に対する検査
1.集団検診の有用性
2.肺がんの検出方法
3.質的画像診断
4.確定診断
III 肺がんの国際病期分類
IV 病期分類に基づく肺がんの治療
1.非小細胞肺がん
2.小細胞肺がん
V 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
2章 乳がん
解説
I 乳がんの病態生理
II 乳がん患者に対する検査
III 乳がんの病期分類
IV 乳がんの治療
1.外科手術
2.放射線照射
3.薬物療法
4.非浸潤性乳がんに対する標準治療
5.浸潤性乳がんに対する標準治療
6.高齢者乳がんに対する治療
V 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
3章 食道がん
解説
I 食道がんの疫学・病態生理
II 食道がん患者に対する診断と検査
1.診断
2.検査
III 食道がんの治療
1.非薬物療法
2.薬物療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
4章 胃がん
解説
I 胃がんの疫学・病態生理
II 胃がん患者に対する診断と検査
1.診断
2.検査
III 胃がんの治療
1.非薬物療法
2.薬物療法
3.免疫療法、免疫化学療法、放射線療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
5章 大腸がん
解説
I 大腸がんの病態生理
II 大腸がん患者に対する検査
III 大腸がんの治療
1.術後補助化学療法
2.切除不能進行・再発大腸がんに対する化学療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
6章 肝がん
解説
I 肝がんの疫学・病態生理
II 肝細胞がん患者に対する診断と検査
1.肝細胞がんのサーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム
2.肝障害と進行度の評価
III 肝細胞がんの治療
1.治療アルゴリズムによる治療法の選択
2.肝動脈塞栓療法(TAE)
3.穿刺局所(局所壊死)療法
4.化学療法(全身化学療法・肝動注化学療法)
5.分子標的治療
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
7章 膵がん
解説
I 膵がんの疫学・病態生理
II 膵がん患者に対する診断と検査
1.膵がんの検査
2.膵がんの病期分類
III 膵がんの治療
1.化学放射線療法
2.化学療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
8章 卵巣がん
解説
I 卵巣がんの病態生理
II 卵巣がん患者に対する診断と検査
III 卵巣がんの治療
1.手術療法
2.初回化学療法
3.維持化学療法
4.腹腔内化学療法
5.再発卵巣がんの化学療法
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
9章 前立腺がん
解説
I 前立腺がんの病態生理
II 前立腺がん患者に対する診断と検査
1.PSA、直腸診
2.前立腺生検
3.病期診断
III 前立腺がんの治療
1.内分泌療法
2.化学療法
3.骨転移に対する治療
IV 症例
症例解析
1.問題リストの作成
2.SOAPチャートの作成
3.経過表の作成
付録A
1.発熱性好中球減少症のリスクアセスメント
2.G-CSF 投与ガイドライン
3.Performance Status(PS)スコア
4.有害事象共通用語規準 CTCAE v4.0
付録B 薬剤師による患者フォローとSOAPチャートの作成(全巻共通項目)
1.患者情報の収集
2.問題リストの作成
3.問題点ごとの薬物療法の評価と立案(SOAPチャートの作成)
4.治療経過のフォローアップ(経過表の作成)
索引
がん専門薬剤師が本学会の認定になったこの期に、医療薬学テキストの記念すべき第I巻として“悪性腫瘍”を発刊させていただく運びとなり、大変嬉しく、また誇りに思っています。様々な疾患領域において、新たな作用機序の医薬品が開発・承認されてはいますが、なかでも悪性腫瘍の分野におけるここ5〜6年の進歩は特に目覚ましく、他の疾患領域のそれを凌駕する勢いです。かつて抗がん薬と言えば、細胞毒性を示す低分子化合物であり、がん化学療法の主たる戦略は、腫瘍の縮小でした。しかし今や、新たに承認される抗がん薬の大部分は、分子標的薬や抗体薬であり、その多くは非殺細胞性で、治療戦略も腫瘍縮小よりも生存期間の延長に重点が置かれるようになっています。従来の抗がん薬は、薬効が投与量に依存しており、最大耐量に近い量で投与されていたため、副作用は必発ではありましたが、分裂の速い正常組織を標的とする共通の副作用であったことから予測・対処は比較的容易でした。しかし新たな抗がん薬の標的はヒトの分子に高度に選択性が高められた結果、非臨床試験段階では薬効・毒性の評価が困難になっています。一方で、抗がん薬は患者のために一刻も早い承認が必要との社会的ニーズから、治験では必ずしも十分な数の患者で毒性評価が行われないまま発売に到っているケースもあります。さらに新しい抗がん薬では最大耐量が認められなかったり、薬効が投与量に依存しないものもあります。したがって、これら新しい抗がん薬を有効かつ安全に使用するためには、これら抗がん薬の性質を熟知した薬のプロフェッショナルの存在がチームには不可欠です。
上記背景の下、本テキストは、業務・教育・研究の第一線で活躍されているがん専門薬剤師の先生方に、可能なかぎり最新の情報に基づいて執筆をお願いしました。本書ががん専門薬剤師を目指す医療現場の薬剤師諸氏や、薬学生の学習の助けになり、それが巡ってがん患者のファーマシューティカルケアに生かされれば、至上の喜びです。
2010年10月
I巻悪性腫瘍 編集
有吉範高