整形外科レディ
術前・術中・術後の治療とケア

著 | : 清水健太郎 |
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ISBN | : 978-4-524-25899-4 |
発行年月 | : 2025年10月 |
判型 | : AB版 |
ページ数 | : 304 |
定価3,740円(本体3,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

ロングセラー『整形外科ガール』の続編がついに完成! 整形外科病棟で働く新人看護師(ガール)が同僚や医師との交流を通じてエキスパート看護師(レディ)に成長するストーリー.オモシロくて役に立つイラスト・写真,軽妙な会話が織りなす笑って学べる術前・術中・術後の治療とケア.主訴から推測する病態,カルテの読み方,検査の方法やアセスメント,画像の見方,救急場面の傷害と処置,感染対策,術後合併症の予防も楽しくマスター!
さらにみがきをかけてガールからレディになる
第1章 整形外科とは
01 整形外科と外科
整形外科は明るい
整形外科はイソガシイ
整形外科は体育会系?
整形外科医は器用?
整形外科はカンカンガクガク
整形外科は進化する?
整形外科を登山にたとえると
▶コラム1 床屋と外科医
第2章 主訴いろいろ/カルテ
01 主訴いろいろ,病態いろいろ
02 整形外科のカルテ
カルテを開こう!
▶コラム2 SOAPとは
第3章 徒手検査
01 徒手検査
腱反射
病的反射
ホフマン反射/バビンスキー反射
知覚検査
▶コラム3 筋力は嘘?
筋力検査
握力/ジャクソンテスト/スパーリングテスト/ケンプテスト/SLRテスト
関節の検査
関節可動域
ひざの検査
PB/ADS/ラックマン・テスト/ピヴォット・シフト/PDS/サギングテスト/マクマレーテスト
股関節の検査
パトリックテスト/トレンデレンブルグテスト
肩の検査スピードテスト/ヤーガソンテスト/有痛弧(ペインフルアーク)/ホーキンスサイン
足の検査
トンプソンテスト/ストレステスト
手の検査
チネル・サイン/フローマン・サイン/ファレン・テスト/フィンケルスタイン・テスト/トムゼン・テスト
第4章 画像検査
01 X線
正・側/濃いか,薄いか
02 いろいろな X線の撮り方
03 斜位
体の角度を変える!
前後屈/側屈
体に力を加える!
ストレス撮影/荷重撮影
04 CT
CTの特長
3次元 CT
▶コラム4 CTの発明者はビートルズ?
05 MRI
MRIの特長
MRIで見つかるもの
06 骨シンチ
07 血管造影
血管造影とは?
血管造影/CTアンギオ/MRアンギオ
▶コラム5 画像は嘘をつく!?
08 AIの時代
骨しか見てない!
他の場所だった!
▶コラム6 がんの時代
第5章 救急
01 整形外科の救急
1 開放骨折
2 脊髄損傷=まひ
中心性脊髄損傷って?
3 コンパートメント症候群 ギプスに注意!
4 関節が感染!
5 骨盤の骨折
▶コラム7 ダメージ・コントロール
▶コラム8 日本の救急とprevented death(防ぎ得た死)
▶コラム9 救急でドッキリ!?
第6章 術 前
01 休薬
手術でとめる薬
1 血液サラサラ薬
2ピル(経口避妊薬),SERM(骨粗鬆症治療薬)
02 合併症のチェック
心臓/肺/腎臓/糖尿病
03 自己血輸血
04 インフォームド・コンセント
手術についての説明/書類への記入
第7章 術 中
01 手術室をのぞいてみよう
手術室は指令室?
手術室ナース
02 駆血
03 麻酔
全身麻酔
脊椎麻酔,硬膜外麻酔(下半身麻酔)
腰椎麻酔(脊椎麻酔)/硬膜外麻酔
局所麻酔,伝達麻酔(小さい麻酔)
局所麻酔/伝達麻酔
▶コラム10 世界初の全身麻酔は日本人
04 体位
患者の体位/圧迫しない
05 糸むすび
糸
男か,女か
器械か,手か
器械むすび/手むすび
深いか,浅いか
単結節縫合/皮下縫合(真皮縫合)/マットレス縫合
連続か,不連続か
連続縫合/結節縫合
抜糸
▶コラム11 糸じゃない方法
第8章 手術の実際
01 手術の金属
大工道具みたいな手術の器具いろいろ
▶コラム12 やっぱりセイケイはセイケツ!?
02 ピン
K-ワイヤー
1本刺し/2本刺し/多数刺し
K-ワイヤーの技
03 スクリュー
スクリューの名称
スクリューのお作法
皮質骨スクリュー/海綿骨スクリュー
いろいろなスクリュー
ストローのようなスクリュー/脊椎のスクリュー/ピッチがちがうスクリュー/消えるスクリュー
スクリューの技
04 髄内釘(ずいないてい)
横止めはなぜ打つの?
髄内釘の合併症
05 プレート
プレートのお作法
プレートはどんなときに使う?
プレートの技
▶コラム13 整形外科の金属は花盛り
そのほかにも……
エンドボタン/ワイヤー
06 覚えておきたい骨折
07 骨をお復習(さらい)
上腕
上腕骨…二の腕の骨
前腕
橈骨…おとうさんゆび側の骨
尺骨…空手チョップの骨
大腿(ふともも)
大腿骨…いちばん長い骨
下腿(ふくらはぎ,すね)
脛骨…2番目に長い骨/腓骨…腓骨神経でおなじみ
@鎖骨の骨折
A足首の骨折
▶コラム14 論文のめかた
Bひざの高原(こうげん)骨折
Cひざの膝蓋骨(しつがいこつ)骨折(お皿)
膝蓋骨(お皿)
引き寄せ締結(ていけつ)法(ツーク)
ツークの原理……力を変える!?
Dひじの骨折
ひじの解剖は世にもヘンテコ
上腕骨遠位の骨折(こどもに多い!)
▶コラム15 見落とす骨折
肘頭(ちゅうとう)骨折
E踵骨骨折
▶コラム16 つきにくい骨折,つきやすい骨折
F大腿骨骨幹部骨折
G脊椎の骨折
偽関節になると
セボネ骨折の手術
Hインプラント周囲骨折
▶コラム18 骨 vs 金属
ピンチも,アイデアで!
I手の骨折
▶コラム19 たばこは禁止!
手の良肢位(りょうしい)とは?
▶コラム20 手は脳だ!
▶コラム21 整形外科とおばけ
08 小児の骨折はむずかしい?
1 すぐつく
2 変形に強い
3 手術は少ない
4 骨折を見逃しやすい
▶コラム22 ナンコツの話
5 骨端線に注意
6 ぐにゃっと曲がる
若木骨折/膨隆骨折/急性塑性変形
7 ふしぎな骨折 被虐待児症候群
▶コラム23 交通事故は7歳が多い!
▶コラム24 最大か最小か
第9章 術後
01 肺塞栓
▶コラム25 災害と手術
02 褥瘡(じょくそう)
NPWT療法とは?
NPWT
▶コラム26 手術は非常事態!?
03 感染
感染の徴候
▶コラム27 包交より観察よ
感染の検査1─血液検査
白血球/CRP/血沈/プロカルシトニン,プレセプシン
感染の検査2─画像検査
感染の検査3─培養
培養とは?
培養の検査
感染症の薬
抗生物質
抗生物質の感受性
感受性の結果は,こんなふうにとどく!
MRSAって何もの?
MRSA・メチシリン耐性ブドウ球菌
抗生剤は時間,濃度がたいせつ!?
感染の手術
▶コラム28 炎はコワい!
感染の予防
感染の予防/感染に注意するケース
04 脊椎の術後
脊椎の手術は何がちがうか?
伏臥位(ふくがい)が多い/駆血(くけつ)できない/低血圧麻酔/ドレーンが閉鎖(クランプ)できない
脊椎手術の合併症1 ―まひ
まひは緊急!
脊椎手術の合併症2 ―血腫(けっしゅ)
脊椎手術の合併症3 ―髄液漏(ずいえきろう)
髄膜炎はこわい!
頚椎(くび)の術後合併症
ハロー・ベストとは?
▶コラム29 なんで固定なんかすんのよ!
05 荷重はいつから?
高齢者はいきなり全荷重
▶コラム30 荷重は骨を強くする!
寝かせておく合併症
▶コラム31 骨だけじゃダメ
第10章 装 具
01 整形外科の装具
装具いろいろ
装具完成まで
02 おぼえておきたい装具
脊椎の装具
ジュエット装具
頚椎のカラー―なぜ,あごつきと,あごなしがあるの?
あごなしの装具/あごつきの装具
側弯症の装具
▶コラム32 むかしの装具は拷問?
上肢の装具
下肢の装具
PTB装具/踵骨(しょうこつ)骨折の装具─グラファン装具/シューホン装具/ひざの装具/足のねんざの装具
アキレス腱断裂の装具
内反足の装具─デニス・ブラウン装具
付録1 薬(痛みの薬)
整形外科は痛みの科
NSAID
NSAIDの副作用
主に3つ
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンの副作用
▶コラム33 痛みには種類がある!
プレガバリン,ミロガバリン
主に3つ,プレガバリン,ミロガバリンの副作用
オピオイド
オピオイドの副作用
フェントステープ®
▶コラム34 薬の名前
▶コラム35 6Rを確認しよう!
デュロキセチン
デュロキセチンの副作用
薬のまとめ
▶コラム36 痛みは警告.消してはいけない!?
シップ
付録2 血液検査
ときどき検査する項目
▶コラム37 整形外科レディの休日
▶コラム38 さよなら,整形ナース
索引
あとがき
【推薦の序】
清水健太郎先生が『整形外科ガール』に続いて,『整形外科レディ』を刊行されました.名著『整形外科ガール』も出版から11年を経過しており,この『整形外科レディ』では最近の整形外科の目まぐるしい発展にも視点を当てています.私は東京大学の医局に属しており,慶応大学の医局出身である清水先生とは同じ病院で働いたことはありません.清水先生とは以前から学会でお会いする機会はありましたが,特に親しく交流をふかめた場所は栃木県です.清水先生は慶応大学で脊椎の基礎研究をされた後,栃木県の基幹病院で整形外科チーフとして整形外科全般にわたる診療をされていました.県内では,自治医科大学が主導する脊椎外科医の勉強会が時折行われますが,勉強会そして居酒屋での懇親会で,清水先生と引き連れて来られた先生方と整形外科の診療を深めつつ整形外科医として親交を得ることができました.清水先生は独特のタメを持った先生で,非凡なアイデアをおっしゃることも多く,深刻になりがちな整形外科の議論であっても,ペーソスを感じさせながら面白い意見を述べられることが印象的でした.
『整形外科レディ』では清水先生を思い起こさせるドクターの難高怪茂(なんだかあやしげ)先生のもとに見学に訪れる新人看護師2名,今井ちな子(いまいちなこ),浅羽かな子(あさはかなこ)との笑いを誘う会話を中心にトピックスが繰り広げられています.まずは整形外科の説明から始まり,身体所見,画像,救急さらに手術など多忙を極める整形外科医が経験する膨大かつ幅広い領域を扱っていきます.清水先生自身による挿絵も味わい深く話題を引き立てています.第一線で長く診療を勤めてきた先生らしく,外来語など敬遠しがちな部分はシンプルにし,単なる知識ではなく現場で使いやすい工夫がされ,実践的な内容が分かりやすく盛り込まれています.
『整形外科レディ』は整形外科で働いている,あるいは今後関わっていきたいという医学生や看護師,医療関係者が実践を学び,さらに清水先生の人柄にも触れることができる素晴らしい入門書です.
2025年4月
自治医科大学整形外科教授 竹下克志
【はじめに】
整形外科は毎日どの病院でも繁昌(はんじょう)している人気の診療科です.でも,整形外科の顔は刻々と様変わりします.もともと赤ちゃんの骨をあつかう外科として産声(うぶごえ)をあげましたが,今や老人が主流です.テクノロジーの進歩も外科学を変えつつあり,世の中はクールになりました.でも,人と人の間があって「人間」というわけですし,まだまだ人のチカラは健在です.じっさいAIに席捲(せっけん)されて多くの職が姿を消しても,整形外科医,そして,ナースという職業は最後まで残ると言われています.
厖大(ぼうだい)な整形外科の海から一滴ずつ中身をぬきだし,筆者なりに脚色し,性懲(しょうこ)りもなくイラストとつたない文章で勝負してみました.人間とアナログをこよなく愛する筆者の声がぜひ届きますように!
2025年8月
清水健太郎
