絹笠式 静岡がんセンター大腸癌手術(DVD付)
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 絹笠祐介 |
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ISBN | : 978-4-524-25586-3 |
発行年月 | : 2017年4月 |
判型 | : A4 |
ページ数 | : 128 |
在庫
定価13,200円(本体12,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
静岡がんセンターでは、絹笠祐介先生を中心に大腸癌手術における優れた治療成績をあげている。その手術テクニックを写真・図・動画を用いて解説。日常診療でレジデントに指導している内容を盛り込んだ。手術に必要な解剖を冒頭に記載し、解剖から得られた手術の理論を詳述。今後増加が見込まれるロボット手術についても解説している。
I 大腸癌手術に必要な解剖
a.大腸の区分
b.動脈
c.静脈
d.リンパ系
e.神経
f.直腸周囲の筋膜構成
g.肛門管の解剖
II 術前術後管理
a.術前管理
b.術後管理
III 基本手技
a.ポート挿入法
b.小腸の排除方法
c.超音波凝固切開装置によるリンパ節郭清方法
d.電気メスの使い方
e.吻合方法(機能的端々吻合,DST)
f.ドレーン挿入法
IV 必要な機材とセッティング
1.腹腔鏡手術
a.必要な機材(基本セット)
b.セッティング
2.ロボット手術
a.必要な機材(基本セット)
b.セッティング
V 手術
1.腹腔鏡下結腸右半切除術
a.適応
b.ポート配置
c.術野展開
d.内側アプローチ
e.surgical trunkの郭清
f.右側結腸の授動
g.小開腹,標本摘出,再建,閉創
2.腹腔鏡下横行結腸切除術
a.適応
b.ポート配置
c.surgical trunkの露出
d.血管処理
e.肝弯曲の授動
f.膵頭部および膵体下縁の露出と中結腸静脈左枝の処理
g.脾弯曲の授動
h.小開腹,標本摘出,再建,閉創
3.腹腔鏡下左結腸切除術
a.適応
b.ポート配置
c.視野の確保,術式決定
d.内側アプローチ
e.中枢側リンパ節郭清
f.膵体部方向への内側アプローチ
g.結腸外側の授動
h.脾弯曲の授動
i.腹腔外操作・再建
j.腸間膜閉鎖
k.閉創
4.腹腔鏡下S状結腸切除術
a.ポート配置
b.小腸の圧排
c.内側アプローチ(臓側腹膜の切開)
d.IMAの処理
e.内側アプローチ
f.IMV,左結腸動脈の切離
g.外側アプローチ
h.直腸の授動
i.間膜処理
j.標本摘出〜吻合
5.腹腔鏡下低位前方切除術
a.適応
b.ポート配置
c.上腹部操作
d.直腸の授動(岬角〜腹膜反転部)
e.前壁授動
f.側壁
g.直腸授動の際の剥離層について
h.間膜処理
i.直腸切離
j.標本摘出〜吻合
6.腹腔鏡下括約筋間直腸切除術
a.適応
b.ポート配置
c.上腹部操作
d.直腸の授動
e.骨盤深部の操作
f.口側腸管腸間膜処理
g.経肛門操作
h.標本摘出
i.再建
j.閉創,人工肛門造設
7.腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術
a.適応
b.腹腔内操作
c.会陰操作
d.ストーマ造設方法
8.ロボット支援下低位前方切除術
a.適応
b.セッティング
c.ポート配置
d.docking
e.展開
f.中枢側血管処理
g.内側アプローチ
h.外側授動
i.腹部セッティングからの直腸授動
j.骨盤操作へのアームセッティング
k.直腸後壁授動
l.直腸前壁授動
m.右壁授動
n.左壁授動
o.肛門管上縁操作
p.直腸間膜処理
q.直腸切離
r.再建
s.ロボット手術の助手のコツ
9.側方郭清
a.適応
b.セッティング
c.郭清範囲とメルクマール
d.尿管のテーピング・神経授動
e.273(総腸骨リンパ節)郭清
f.263(内腸骨リンパ節)郭清
g.283(閉鎖リンパ節)郭清
索引
付属DVDには本書第V章「手術」の動画を収録しております.
付属DVD収録内容
1.腹腔鏡下結腸右半切除術
2.腹腔鏡下横行結腸切除術
3.腹腔鏡下左結腸切除術
4.腹腔鏡下S状結腸切除術
5.腹腔鏡下低位前方切除術
6.腹腔鏡下括約筋間直腸切除術
7.腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術 d.ストーマ造設方法
8.ロボット支援下低位前方切断術
9.ロボット支援下側方郭清
序文
静岡がんセンター大腸外科では「自分のためではなく、患者のために治療を行う」と「現在の手術成績に決して満足しない」をモットーに、手術手技の鍛錬に努めている。その結果、チームとして非常に良好な成績を得ることができるようになり、これを国内に広めるべく、全国から集まった多くのレジデントに厳しく指導を行っている。ここ数年では年間500件以上の原発性大腸癌手術のうち、およそ9割を腹腔鏡手術(ロボット手術含む)で施行している。幸いにも、全国から多くの手術見学者が静岡がんセンターを訪れており、また多くの若手外科医が、当科のレジデントの門を叩いてくれている。
手術が上手くなりたいなら、上手な手術を頭に焼き付けることが不可欠である。一方、手術は決して手先で行うものでなく、頭で行うものであり、手先が不器用だから手術が下手という劣等感は捨てるべきである。特にロボット手術では、自分の思ったところを持ったり、切ったりすることはまったく難しくない。逆にいえば、手術を言葉にすることができるようになれば、手術が上手くなった証である。レジデントには頭で理解してもらうように常日頃、指導している。
残念ながら、指導する責任を負っている以上、レジデントの人数を制限せざるを得ないこともある。また日程の都合で見学ができない先生方も大勢いる。本書は、私のこだわりのポイント、レジデントが執刀するときに常日頃教えている内容を、術式ごとに細かく盛り込んである。さらには手術に必要な解剖や、手術動画もふんだんに盛り込み、言葉と視覚で手術を理解できるようにしてある。良好な手術成績は、決して手術手技だけでは達成できず、こだわりの周術期管理も大事な要素であり、本書に盛り込むことにした。
また、今後広まるであろうロボット手術については、これから導入される際のバイブルとなるように、500件以上の経験をもとに、Si, Xi 両機種にも対応した必要な機材、セッティング、手術時の注意点だけでなく、腹部操作全体を通して録画されているビデオもDVDに盛り込んである。本書を読んでいただければ、安全にロボット手術を導入できることが特徴のひとつである。
これから大腸癌手術を始める若手外科医から、技術認定を取得された指導的立場の外科医まで、本書を通じて、「患者のために、よりよいアウトカム」を目指した手術手技取得の一助となることを願っている。
2017年3月
絹笠祐介