悪性リンパ腫治療マニュアル改訂第3版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 飛内賢正/堀田知光/木下朝博 |
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ISBN | : 978-4-524-25316-6 |
発行年月 | : 2009年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 366 |
在庫
定価8,580円(本体7,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
悪性リンパ腫患者の治療方針の立て方から診断および治療の実際までをわかりやすく解説。今回の改訂では、新WHO分類、効果判定規準の変更、PET検査、新薬、新たなレジメンなど、これまでの進歩を盛り込んでより一層内容を充実させた。悪性リンパ腫治療における最新のプロトコールを実践に役立つよう明確に提示したマニュアルとなっている。
I 治療の前に
1.悪性リンパ腫の疫学
1わが国の悪性リンパ腫の動向
2悪性リンパ腫の地理的特性
3悪性リンパ腫の発生要因
a. ウイルス
b. 細菌
c. 生活環境要因
2.悪性リンパ腫の分子生物学
1悪性リンパ腫発症の分子機構を理解するうえでの注意点
2悪性リンパ腫に認められる遺伝子変化
3MYC転座の造血器腫瘍における役割
4染色体転座以外のゲノム異常
5ゲノム異常の多様性の意味
3.生検材料取扱いのポイントと実際
A.臨床側からみたリンパ節生検のポイント
1リンパ節生検の適応
2治療にあたってリンパ節生検を必要とする疾患
a. 悪性腫瘍
b. 感染症
c. 膠原病
d. その他の反応性病変
3悪性リンパ腫を疑う症状・所見
a. 年齢
b. 経過
c. リンパ節の局所所見
d. 検査所見
e. 画像所見
4リンパ節生検の方法
B.病理組織検査と細胞診検査
1生検組織検体の取扱い
a. 生検組織の選択
b. リンパ節生検手技
c. 生検後の取扱い
2捺印細胞診の作製とその有用性
3病理組織標本の作製
C.フローサイトメトリーと免疫組織化学
1免疫学的表現型検索とは
2免疫学的表現型検索の基本
3免疫学的表現型検索の実際
a. FCMの場合
b. 免疫組織化学の場合
c. FCMと免疫組織化学の結果が異なる場合
4応用と総合判断
D.染色体・遺伝子検査の実際
1染色体検査の実際と解釈
a. 染色体検査の手技
b. 染色体分染法
c. SKYとCGH
d. クローンの定義と核型進展
2遺伝子検査の実際と解釈
a. 遺伝子検査の手技
b. サザンブロットと塩基配列解析
c. PCR
d. FISH
e. 染色体・遺伝子異常の臨床的意義
f. “Double hit”lymphoma
g. T細胞リンパ腫の染色体・遺伝子異常
4.悪性リンパ腫 病理診断のポイント
A.WHO分類の概説
1悪性リンパ腫の分類:形態分類の基本
2簡便な分類法
B.WHO分類−2008年改訂のポイント
1悪性リンパ腫のWHO分類第4版の経緯
2悪性リンパ腫のWHO分類第4版の概要
3悪性リンパ腫のWHO分類第4版の指針
C.低悪性度B細胞リンパ腫・マントル細胞リンパ腫の病理診断のポイント
1各低悪性度リンパ腫の概説
a. 濾胞辺縁帯リンパ腫
b. 濾胞性リンパ腫
c. マントル細胞リンパ腫
d. リンパ形質細胞リンパ腫
e. 慢性リンパ性白血病(CLL)/B細胞性小細胞型リンパ腫(B-SLL)
2各病型間の鑑別
D.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫・バーキットリンパ腫の鑑別のポイント
1DLBCLの病理組織診断のポイント
a. DLBCLの病理診断
b. DLBCLの形態亜型
c. 特殊なDLBCL
2バーキットリンパ腫の病理診断のポイント
a. BLの診断
b. DLBCLとBLの鑑別診断のポイント
E.T/NK細胞リンパ腫各疾患の鑑別のポイント
1成熟T細胞腫瘍
a. 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
b. 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)
c. 未分化大細胞リンパ腫(ALCL)
d. 菌状息肉症/セザリー症候群(MF/SS)
e. 原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ球増殖性疾患
f. 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
g. 肝脾T細胞リンパ腫
h. 末梢性T細胞リンパ腫(PTCL-u)
2成熟NK細胞腫瘍
a. 侵攻性NK細胞白血病
b. 節外性NK細胞リンパ腫、鼻型
c. 慢性NK細胞増多症
d. 芽球型NK細胞リンパ腫
F.ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の鑑別のポイント
1ホジキンリンパ腫:CHLとNLPHL
a. 腫瘍細胞
b. 組織像
2ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫との鑑別
a. NLPHL vs DLBCL,TCHR
b. CHL vs B細胞リンパ腫
c. CHL vs T細胞リンパ腫
5.予後推測および治療選択に有用な疾患単位の認識
1WHO分類第3版の公刊(2001)
2Rituximabの臨床導入によるB細胞腫瘍治療の個別化
3節外性リンパ腫診療の個別化
4WHO分類第4版の策定、公表と今後
5代表的疾患単位に対する治療選択
a. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
b. 濾胞性リンパ腫
c. 節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)
d. マントル細胞リンパ腫
e. バーキットリンパ腫
f. Tリンパ芽球性リンパ腫
g. 末梢性T細胞リンパ腫、細分類不能(PTCL-NOS)
h. 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
i. 未分化大細胞リンパ腫、ALK陽性およびALK陰性
j. 成人T細胞白血病/リンパ腫
k. 節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型
l. ホジキンリンパ腫
6.病期診断
A.病期診断の実際
1臨床病期診断
a. 病理学的病期と臨床病期
b. Ann Arbor 分類
c. 皮膚T細胞リンパ腫の臨床病期
d. 消化管リンパ腫
2病期診断の進め方
B.病期決定に有用な画像診断−CTとFDG-PET
1形態画像
a. CT
b. MRI
2機能画像
a. ガリウムシンチグラフィー
b. FDG-PET
7.予後予測因子と予後予測モデル
1非ホジキンリンパ腫の予後予測モデル(IPI)
2濾胞性リンパ腫の予後予測モデル(FLIPI)
3ホジキンリンパ腫の予後予測モデル(IPS)
4生物学的予後因子/バイオマーカー
8.リンパ腫診療とインフォームドコンセント/セカンドオピニオン
1インフォームドコンセントについて
2検査のインフォームドコンセント
3悪性リンパ腫の病名について
4治療のインフォームドコンセント
a. 治療の必要性
b. 期待される効果
c. 有害事象(毒性・副作用)
d. 造血幹細胞移植のインフォームドコンセント
e. 臨床試験(研究的治療)のインフォームドコンセント
5セカンドオピニオン
II 悪性リンパ腫の治療手段と有害反応対策
1.化学療法
A.リンパ腫治療に用いられる抗癌剤と併用療法の考え方
1悪性リンパ腫に用いる抗癌剤
2作用機序
a. アントラサイクリン系薬剤
b. Bleomycin(BLM)
c. アルキル化薬
d. Etoposide(VP-16)
e. Irinotecan(CPT-11)
f. Cisplatin(CDDP)
g. Cytarabine(Ara-C)
h. Mercaptopurine(6-MP)
i. Pentostatin(DCF)
j. Fludarabine(F-Ara-A)
k. Cladribine(2-CdA)
l. Methotrexate(MTX)
m. 微小管阻害薬
n. L-asparaginase(L-ASP)
o. 副腎皮質ホルモン
3併用療法の考え方
B.化学療法による血液毒性と感染症に対する対策のポイント
1悪性リンパ腫に対する化学療法後の好中球減少症と感染症
2感染症の予防
a. 細菌感染症に対する予防投与
b. 真菌感染症に対する予防投与
c. ニューモシスチス肺炎に対する予防
d. 結核に対する予防
e. G-CSFの予防的使用について
3発熱時の検査
4感染症の治療
C.化学療法による非血液毒性と対策のポイント
1消化器症状
a. 悪心・嘔吐
b. 口内炎
c. 下痢
d. 便秘・イレウス
e. 消化管出血と穿孔
2肺障害
3肝障害
4心障害
5神経症状
6腎障害
7皮膚障害
D.肝炎ウイルスキャリアへの対策
1 B型肝炎ウイルス(HBV)
a. B型肝炎の自然経過とHBV再活性化(de novo肝炎)
b. 全身化学療法によるHBV再活性化の頻度とリスク
c. わが国におけるHBs抗原陽性およびHBs抗原陰性ハイリスク群
d. HBV再活性化による肝炎(de novo肝炎)への対策
e. HBs抗原陽性例
f. HBs抗原陰性例
2 C型肝炎ウイルス(HCV)
2.放射線治療の実際
1放射線腫瘍学からみた悪性リンパ腫の特徴
2放射線療法の基本姿勢
a. 根治照射(Radical/Definitive)
b. 予防照射(Prophylactic)
c. 救済照射(Salvage)
d. 緩和照射(Palliative)
3放射線療法のプロセス
4悪性リンパ腫に対する照射野
a. 節性リンパ腫に対する放射線療法
b. 節外性リンパ腫に対する照射野
c. 特殊な放射線療法
5放射線療法の有害反応
a. 急性放射線性有害反応
b. 放射線療法の休止・中止
c. 遅発性放射線性有害反応
3.抗体療法の実際
A.Rituximab
1Rituximabの構造と作用機序
2薬物有害反応
a. インフュージョンリアクション
b. 腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)
c. B型肝炎ウイルス再活性化
d. 遅発性好中球減少症
e. その他
3投与方法
4Rituximab単剤治療
5Rituximabと化学療法の併用
6維持療法
7微小残存病変消失効果と造血幹細胞移植への応用
8CD20陰性化再発
B.ibritumomab tiuxetan
1RI標識抗体の標的抗原
2Radioimmunotherapyの基本原理
3B細胞リンパ腫に対する90Y標識抗CD20抗体の臨床試験
a. Stanford大学での第I/II相試験
b. 多施設共同第I/II相試験
c. Rituximab不応濾胞性リンパ腫に対する第・相試験
d. 再発・再燃低悪性度B細胞リンパ腫に対するrituximabとの比較試験
e. 血小板数10〜15万/μlの患者に対する第・相試験
f. Ibritumomab tiuxetanのdosimetry studyと安全性の検討
g. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するibritumomab tiuxetanの有効性
4自家移植を併用したRI標識抗体の大量投与
5わが国でのibritumomab tiuxetanの臨床開発
4.自家造血幹細胞移植併用大量化学療法
A.悪性リンパ腫に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の原理と実際
1自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の原理
a. コンセプト
b. 自家造血幹細胞移植の幹細胞源
c. 自家造血幹細胞移植の現状
d. 造血幹細胞の末梢への動員メカニズム
2自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法
a. 自家末梢血幹細胞採取の実際
b. 自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法の実際
c. 患者管理
3悪性リンパ腫に対する適応
B.自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有害反応とその対策
1自家造血幹細胞移植併用大量化学療法後早期の有害反応/合併症
2大量化学療法に起因する有害反応と対策
a. 心毒性
b. 膀胱毒性
c. 腎毒性
d. 肺毒性
e. 肝毒性
f. 神経毒性
g. 口内炎
h. 腸管毒性
3造血幹細胞輸注に伴う有害反応と対策
4骨髄抑制期の有害反応
5造血回復期の有害反応と対策
5.造血幹細胞移植の適切な施行対象と施行時期
A.悪性リンパ腫の主要病型に対する移植の適応と施行時期
1ホジキンリンパ腫(初発ホジキンリンパ腫:造血幹細胞移植の適応はない)
a. 初発限局期
b. 初発進行期
c. 化療後、初回再発ホジキンリンパ腫(サルベージ療法に奏効する症例には、標準的治療法として自家造血幹細胞移植の適応がある)
2濾胞性リンパ腫
a. 初発限局期(造血幹細胞移植の適応はない)
b. 初発進行期(造血幹細胞移植の適応はない)
c. 再発進行期(研究的治療法として造血幹細胞移植の適応がある)−in vivo purging自家末梢血幹細胞移植
d. 同種造血幹細胞移植併用の大量化学療法
3中悪性度非ホジキンリンパ腫
a. 初発限局早期中悪性度非ホジキンリンパ腫
b. 初発進行期低リスク群DLBCL
c. 初発進行期の高リスク群
d. サルベージ療法に感受性のある再発性中悪性度非ホジキンリンパ腫−sensitive relapsorsに対する自家造血幹細胞移植併用の大量化学療法(標準的化学療法との比較試験)
B.同種骨髄移植か自家造血幹細胞移植か
C.Purging法について
D.大量療法レジメンについて
6.同種造血幹細胞移植
A.リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植の原理と実際
1同種移植の原理
2同種移植の実際
a. ドナー・幹細胞の選択
b. 移植前処置・移植片対宿主病予防法の選択
3各組織型別の同種移植のタイミング
a. 濾胞性リンパ腫
b. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
c. 末梢性T細胞リンパ腫、非特異型(PTCL-NOS)
d. 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
e. ホジキンリンパ腫
B.同種造血幹細胞移植療法の主な合併症と対策
1移植前処置の副作用(RRT)
a. 大量抗癌剤および全身放射線照射の副作用
b. 対策
2感染症
a. 移植後早期(生着前)の感染症
b. 移植後中期(生着〜移植後100日)の感染症
c. 移植後後期(移植後100日以降)の感染症
3移植片対宿主病(GVHD)
a. 急性GVHD
b. 慢性GVHD
4その他の合併症
a. 肺障害
b. 血栓性微小血管症(TMA)
5晩期障害
7.悪性リンパ腫治療後の晩期障害と二次癌
1二次癌
a. 固形癌
b. 二次性MDS/AML
c. 造血幹細胞移植後の二次癌
2九州がんセンターにおける悪性リンパ腫症例に発症した二次癌
a. 悪性リンパ腫治療後の二次癌
b. 二次癌の発生頻度と予後
3臓器障害
III 悪性リンパ腫−治療の実際
1.病型別治療方針−標準的治療、研究的治療
A.低悪性度B細胞リンパ腫
1低悪性度B細胞リンパ腫とは
2濾胞性リンパ腫(FL)
a. 治療前評価
b. 進行期濾胞性リンパ腫・初発例に対する治療
c. 進行期濾胞性リンパ腫・再発例に対する治療
d. 限局期濾胞性リンパ腫に対する治療
3他の低悪性度B細胞リンパ腫
a. 辺縁帯リンパ腫(MZL)に対する治療
b. リンパ形質細胞リンパ腫(Waldenstrmマクログロブリン血症)に対する治療
c. 小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する治療
4低悪性度B細胞リンパ腫に対する新規治療
a. Bendamustine
b. Rituximab維持療法
B.中悪性度リンパ腫
1限局期中悪性度リンパ腫
a. 限局期中悪性度リンパ腫に対する治療研究
b. 限局期DLBCLに対するrituximabを用いた治療研究
c. 限局期中悪性度リンパ腫に対する標準的治療
d. 限局期DLBCLに対する標準的治療
e. 研究段階の治療と今後の課題
2進行期中悪性度非ホジキンリンパ腫
a. 標準的治療
b. 試験的治療
C.高悪性度リンパ腫
1リンパ芽球性リンパ腫
a. 診断
b. 予後因子
c. 化学療法
d. 造血幹細胞移植
e. 新規の治療薬
f. 実際の治療
2バーキットリンパ腫
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
e. Rituximab併用の功罪
D.ホジキンリンパ腫
1限局期ホジキンリンパ腫
a. 限局期ホジキンリンパ腫の分類
b. 放射線療法
c. CMT(放射線療法と化学療法の併用)
d. 限局期ホジキンリンパ腫の標準的治療選択
e. 今後のCMTの方向性と問題点
2進行期ホジキンリンパ腫
a. 進行期ホジキンリンパ腫の予後予測因子
b. 初発進行期ホジキンリンパ腫の化学療法
c. 治療強度を高めた多剤併用化学療法
d. 再発・難治性ホジキンリンパ腫の治療
e. ホジキンリンパ腫における化学療法後の遅発毒性
E.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
a. ATLの診断、予後と病型分類
b. Indolent ATLに対するwatchful waiting
c. Aggressive ATLに対する多剤併用化学療法
d. Aggressive ATLに対する同種造血幹細胞移植療法
e. ATLに対する新規治療法の開発
f. ATLに対する治療戦略
F.診療上、特別な配慮を要する疾患単位
1皮膚T細胞リンパ腫
a. 菌状息肉症(MF)、セザリー症候群(SS)
b. MF、SSを除く皮膚リンパ腫の病期分類
c. 原発性皮膚CD30陽性リンパ球増殖性疾患
d. 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫
e. 高悪性度皮膚リンパ腫
2脳のリンパ腫
a. 定義、疫学、病理所見
b. 臨床的特徴
c. 治療
d. 治療毒性
e. 新しい治療法
f. 免疫能低下状態で発生するPCNSL
3眼付属器のリンパ腫
a. 臨床像および病理組織像
b. クラミジアとの関連
c. 治療成績および予後
d. 治療
4鼻腔・副鼻腔のリンパ腫
a. 臨床病理学的特徴
b. 治療
5胃のリンパ腫
a. 消化管リンパ腫の病理組織学的分類
b. 消化管リンパ腫の臨床病期分類
c. 治療
d. 予後
6精巣のリンパ腫
a. 頻度
b. 臨床的特徴
c. 診断
d. 病期診断
e. 鑑別診断
f. 治療
7マントル細胞リンパ腫
a. 症状
b. 診断
c. 治療戦略
d. 開発中の新薬
e. Indolent mantle cell lymphoma
8血管内大細胞型B細胞リンパ腫
a. 血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)の定義・病型分類
b. 治療前に考慮すべき事項
c. 治療(初発時:年齢、全身状態、特異的病態を考慮した治療)
d. Rituximab投与のタイミング
e. 化学療法剤の減量(特に肝障害時について)
9膿胸関連リンパ腫
a. 膿胸関連リンパ腫(PAL)とは
b. 疫学
c. 病因
d. 臨床所見
e. 病理学的所見
f. PAL細胞の遺伝子発現パターン
g. 治療
h. 予後
10.メトトレキサート関連リンパ球増殖性疾患
a. 臨床的特徴
b. 病理組織分類
c. 治療
d. EBウイルスとの関係
e. 発症要因に関する考察
2.治療レジメンと治療遂行上の注意点
A.非ホジキンリンパ腫
●初回治療
1CHOP±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
2Biweekly CHOP±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
3CODOX-M/IVAC±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
4CVP±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
5Hyper-CVAD±MA療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
6RT+DeVIC療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 有害事象とその対策
d. 保険適用について
●サルベージ療法
1ESHAP±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. ESHAP、R-ESHAP療法と自家造血幹細胞採取
e. 保険適用について
2EPOCH±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 副作用について
d. 当施設および他の施設のEPOCH-Rの試み
e. 保険適用について
3ICE±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
4DeVIC±R療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
5CHASE±R療法
a. 本療法の特徴
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 主たる副作用とその対策
d. 実施上の留意点
e. CHASER療法の減量・中止規準
B.ホジキンリンパ腫
1ABVD療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
2C-MOPP(COPP)療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
3BEACOPP療法
a. 治療スケジュール
b. 期待される治療効果−奏効割合および生存期間
c. 薬物有害反応とその対策
d. 保険適用について
C.成人T細胞白血病/リンパ腫
1VCAP-AMP-VECP療法(mLSG15療法)
a. VCAP-AMP-VECP療法とbiweekly CHOP療法の第・相比較試験(JCOG9801)
b. VCAP-AMP-VECP療法の総括
c. 保険適用について
3.治療効果判定の実際と注意点(PETを含めて)
1効果判定の実際
a. 測定可能病変の定義
b. 治療前評価(ベースライン評価)
c. 病変ごとの効果判定
d. 総合効果(overall response)の判定規準
2効果判定の注意点
IV 高齢者、小児の悪性リンパ腫
1.高齢者の悪性リンパ腫
1高齢者の悪性リンパ腫の特徴
2ホジキンリンパ腫(HL)
3濾胞性リンパ腫(FL)
4びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
5再発再燃非ホジキンリンパ腫
6化学療法の実際
2.小児の悪性リンパ腫−治療レジメン、特別の注意事項
1小児NHLの治療戦略の特徴
2成熟B細胞リンパ腫(mature B-NHL)の治療法と成績
3リンパ芽球性リンパ腫(LBL)の治療法と成績
4未分化大細胞リンパ腫(ALCL)の治療法と成績
5特別の注意事項
V 新薬開発、臨床試験のあり方
1.悪性リンパ腫に対する新薬開発
1開発中の新規抗体薬
a. 次世代非抱合型抗CD20抗体
b. 抗CD22抗体
c. ヒト化抗CD52抗体alemtuzumab
d. ヒト化抗CCR4抗体KW-0761
2抗体薬以外の新規抗癌剤と分子標的薬
a. プロテアソーム阻害薬bortezomib
b. Bendamustine
c. Enzastaurin
d. ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬
e. 葉酸代謝拮抗薬pralatrexate
f. 臨床開発が進められている他の薬剤
2.臨床試験を支える組織−質の高いエビデンス創出のために―
1がん領域の研究組織
2JCOGの組織について
a. 中央機構
3Localの組織
3.適応外医薬品を用いた臨床試験と高度医療評価制度
1適応外使用をめぐる状況
a. 療養担当規則と55年通知
b. 公知申請
2高度医療評価制度による適応外医薬品を用いた臨床試験
a. 対象となる医療技術
b. 医療機関の要件
c. 高度医療に係る要件
d. 適応外医薬品の入手
e. 補償問題
4.臨床研究の倫理指針
1「臨床研究に関する倫理指針」の概要
a. 基本的な考え方について
b. 研究者等の責務
c. 臨床研究機関の長の責務
d. 倫理審査委員会
e. インフォームドコンセント
索引
悪性リンパ腫は、発生母地となる免疫系の多様性、多彩な病因と分子異常などを反映して、極めて多様性こ富む疾患群から構成され、病理組織分類に基づく疾患単位認識も幾多の変遷を重ねてきた。一方、悪性リンパ腫に対して選択対象となる治療手段は、無治療経過観察、化学療法、放射線療法、外科切除、抗体療法、分子標的療法、自家および同種造血幹細胞移植、Helicobacter pylori除菌療法など多岐にわたる。このような複雑かつ多様な疾患群の患者に対して適切な診療を実施するための有用な指針とすることを第一の目的として、藤田保健衛生大学の平野正美教授(現・名誉教授)と国立がんセンター中央病院の飛内賢正の企画・編集により、1998年に本書第1版が刊行された。第1版を振り返ってみると、1994年に公表されたREAL分類を強く意識してはいるものの、WorkingFormulationによる3段階の悪性度分類が治療選択の基軸とされ、複数の第3世代併用化学療法レジメンにかなりの記載が割かれている。
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)リンパ腫グループ代表者で、東海大学の堀田知光教授(現・名古屋医療センター院長)が加わって、3名の企画・編集による改訂第2版が2003年に刊行された。治療選択指針としてのWorking Formulationによる悪性度分類の考え方は残ってはいるものの、REAL分類およびWHO分類第3版に基づく疾患単位認識に基づく治療選択、特にB細胞リンパ腫に対するキメラ型抗CD20抗体rituximab導入が大きな変化であった。
本改訂第3版では、平野教授か名古屋大学の木下朝博准教授に交代となり、飛内、堀田との3名による企画・編集が行われた。我が国の悪性リンパ腫患者を診療する上での有用な診療マニュアルをめざす、第1版からの本書の基本方針を踏襲しつつ、WHO分類第4版への病理組織分類改訂とそれに基づく新たな疾患単位認識、病期診断や効果判定のためのFDG‐PETの導入、rituximabを軸とするB細胞リンパ腫治療の進展、ATLに対する第III相試験(JCOG9801)公表、鼻咽頭原発NK/T細胞リンパ腫の化学放射線療法の有効性確認(JCOG0211‐DI)、RI標識抗CD20抗体ibritumomab tiuxetanの国内承認などの新たな進歩が取込まれた。また、rituximab治療の普及によって顕在化してきたB型肝炎ウイルスキャリア対策を頂目立てし、新薬開発、臨床試験のあり方に関する新たな章立てを行った。
第1版、第2版と同様に、改訂第3版をリンパ腫診療の現場で利用していただき、我が国のリンパ腫患者の診療の質の向上につながることになれば、著者・編集者・出版社にとって望外の喜びである。
2009年11月
飛内賢正
堀田知光
木下朝博