書籍

事例で学ぶ在宅医療のコツとピットフォール

編集 : 矢吹拓/木村琢磨
ISBN : 978-4-524-25149-0
発行年月 : 2018年6月
判型 : A5
ページ数 : 192

在庫あり

定価3,520円(本体3,200円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文

設備や資材の不足、居宅で必要だった注意や心配り、患者・家族との行き違いなど…。在宅医療におけるピットフォール/反省事例を、経験豊富なエキスパートたちが分析。現場で役立つノウハウを導き出して提示する。事例共有の機会が少ない在宅医療において、教科書だけでは身につかない、実践に裏打ちされたコツと考え方を伝授する!

第1章 診断
 Case1 尿路感染症だと思ったのに…
 Case2 先が読めない…
 Case3 転倒後,歩行可能なら安心?
 Case4 その咳,本当に“かぜ”のせい?
 Case5 看取りが近いので服用をやめたら…
 Case6 肺炎だと思ったが,実は…!
 Case7 食べられなくなった理由は…
第2章 治療・処置
 Case8 手術の適応判断に年齢はどこまで大事?
 Case9 その薬,他科からも出ていませんか?
 Case10 COPDの管理はキッチリ!だったけれど…
 Case11 在宅での処置は病院とはちがう?
第3章 栄養管理
 Case12 経管栄養ならずっと安泰?
 Case13 この胃瘻ってずっと抜けないもの?
第4章 患者・家族とのコミュニケーション
 Case14 それは誰の意向?
 Case15 サービスをやめたい本当の理由は…
 Case16 自宅で看取るはずが救急車を呼んでしまった!
 Case17 「自宅が一番」?
 Case18 医学生の同行は当たり前のこと?
第5章 多職種連携・医療機関連携
 Case19 施設内の方針検討では…
 Case20 情報が錯綜した理由は…?
 Case21 こちらもケアが必要でした…
 Case22 前医は名医!?
 Case23 「そんなに病状が悪いなんて聞いていない!」
 Case24 家族がクレーマーに…?
第6章 看取り
 Case25 「死にたい」と患者から言われたら…?
 Case26 本人の意思を尊重して看取ったのに…
 Case27 「その瞬間」に立ち会えなくても…
 Case28 医師が到着するまでの時間
 Case29 “埋蔵”麻薬発見
コラム1 非がんにおいて予後不良を示唆する臨床所見とは?
コラム2 在宅でも感染管理は必要?
コラム3 こんな事例も…娘が自転車に乗れるのはいつの日か…
コラム4 経管栄養剤の選択にまつわるピットフォール:価格・成分について
コラム5 こんな事例も…エアコンと“おもてなし”
コラム6 “価値観”という巨象を撫でる
コラム7 こんな事例も…ただの“お茶”ではない場合
コラム8 こんな事例も…スタッフが研修会に参加しない本当の理由は…?
コラム9 こんな事例も…ショートステイで心不全悪化
コラム10 こんな事例も…IT化を推進!しようとしたが…?
コラム11 こんな事例も…“指導料”って何のこと?
索引

序文

 在宅医療に初めて同行したときのことは今でもありありと覚えています。薄暗い電球の明かりの下で、部屋の真ん中に布団が敷かれ、周りには写真や雑貨、お菓子などがちらばり、ペットのネコが部屋をウロウロしている、そんな家で患者さんとご家族が私たちを待っていました。指導医の先生の一挙手一投足を必死に見ながら、次から果たして自分も同じように振る舞えるだろうかと不安を抱えつつ家を後にしたのでした。
 在宅医療は「密室の医療」です。複数の医師が閉じ患者さんの診療に携わることはあまり多くありません。単独で診療を行っているとそもそも失敗に気づけないこともあり、いつの聞にか独りよがりになってしまうこともあるかもしれません。グループ診療を導入している施設も増えてきていますが、病院での医療に比べると担当患者さんの事例検討や共有を行うことはまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。

“To Err is Human(人は誰でも間違える)”

は、1999年12月に米国医学研究所(Instituteof Medicine :IOM)が公表した有名なレポートです。在宅医療においてもエラーやピットフォールは決してまれではなく、今後取り組むべき大きな課題です。在宅医療ならではの特徴は、なんと言ってもその環境にあります。自宅や施設という環境の特性、設備・人材などの医療資源、医療アクセスの不十分さなどは、通常の病院医療とは遣ったエラーにつながる可能性があります。在宅医療現場でのエラーやピットフォールの改善のために有用な介入のひとつは情報の共有ですが、まだまだ共有の場は多くありません。
 本書では全国で真摯に在宅医療に携わっている多くの在宅医に、あえてエラー症例、ピットフォール症例を提示してもらいました。それぞれの事例に目を通し、「こんなことあるよな〜」とか「これは難しいけどなあ」とか共感しながら、多くの学びを共有できる良書になったと自負しています。在宅医療に携わる多くの方々に本書が届き、次のエラーを防ぐための情報共有の一助になればこんなに嬉しいことはありません。
 在宅医療の現場は、文字通り患者さんにとってのホームです。私たちが誰かをホームに招くというのは信頼・親しさの表れです。その信額に応えるべく、提供する在宅医療の質の向上のために本書が活用されることを願っています。
 最後に、執筆していただいた全国の諸先生方、共同編集を快く引き受けてくださったメンターの木村琢磨先生、企画・執筆・校正の段階からT寧に導いてくださった南江堂の皆様、在宅医療でお世話になっている宇都宮協立診療所の仲間たち、そして何より今まで担当させていただいた在宅医療の患者さんたちに心から感謝します。

2018年5月
季節違いの雷が鳴り響く雷都宇都宮にて 矢吹拓