書籍

輸液・栄養療法 もち歩きBOOK

  • 新刊

: 伊東明彦
ISBN : 978-4-524-24951-0
発行年月 : 2019年10月
判型 : 新書
ページ数 : 328

在庫あり

定価3,520円(本体3,200円 + 税)


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  • 序文
  • 書評

「あれ、何だったっけ?」の疑問に即、答えが見つかるよう、すべて図表とPOINTのみで輸液・栄養療法をまとめた好評書『現場で使える輸液・栄養クイックブック』が大幅リニューアル。実践に必要な基本的知識だけでなく、病態別の処方設計から治療の流れまで、さらに配合変化、合併症の回避などについても整理し、基礎から実践まで幅広く網羅した。輸液・栄養療法を実践する、すべての医療者のポケットに。

1 輸液・栄養剤の基礎知識
 A 体液の組成と分布
  1)体内の水分分布
  2)年齢・性別等と体液区分(体重比)
  3)組織の水分量
  4)体液区分とその役割
  5)体液と浸透圧
 B 体液バランス
  1)成人の体液バランス
  2)有熱・発汗時の不感蒸泄の喪失量(成人)
 C 体液量の調節機構
  1)浸透圧調節系の調節機構
  2)容量調節系の調節機構
 D 電解質の組成と役割
  1)体液区分における電解質組成
  2)電解質等の役割
  3)電解質の1日維持量(成人,静脈栄養)
 E 電解質バランスの特徴
  1)成人における電解質バランス
  2)消化液の電解質組成
 F 栄養素
  1)日本人の食事摂取基準(目標量:18歳以上)
  2)三大栄養素
  3)糖質−(1)種類と特徴
   糖質−(2)代謝
  4)アミノ酸−(1)分類と機能
   アミノ酸−(2)アミノ酸とエネルギー投与
   アミノ酸−(3)蛋白質・アミノ酸代謝
  5)脂肪(脂肪酸)−(1)種類と特徴
   脂肪(脂肪酸)−(2)脂質の代謝
   脂肪(脂肪酸)−(3)MCTとLCTの特徴
   脂肪(脂肪酸)−(4)市販脂肪乳剤の特徴
  6)ビタミン−(1)種類と働き
   ビタミン−(2)主なTPN剤
  7)ミネラル(微量元素)−(1)種類と働き
   ミネラル(微量元素)−(2)主なTPN剤
  8)食物繊維−(1)種類と特徴
   食物繊維−(2)経腸栄養に用いる製剤
2 電解質輸液剤・静脈栄養輸液剤の種類と適応
 A 輸液剤の種類と使用目的
  1)輸液剤の種類と使用目的
 B 電解質輸液剤の種類と特徴
  1)電解質輸液剤の種類と特徴
  2)各電解質輸液剤の適する病態
 C 電解質輸液剤の成り立ちと分布
  1)低張性電解質輸液の成り立ち
  2)電解質輸液剤の種類による分布の違い
  3)電解質輸液剤投与後の水の移動
 D 静脈栄養輸液剤の種類と特徴
  1)静脈栄養輸液剤の種類と使用目的
  2)主なPPN剤
  3)主なアミノ酸輸液剤
  4)TPN剤−(1)基本処方
   TPN剤−(2)基本液(糖・電解質)
   TPN剤−(3)キット(糖・電解質・アミノ酸)
   TPN剤−(4)キット(糖・電解質・アミノ酸・ビタミン)
   TPN剤−(5)キット(糖・電解質・アミノ酸・ビタミン・微量元素)
   TPN剤−(6)キット(糖・電解質・アミノ酸・脂肪)
  5)特殊な輸液剤
 E 経口補水液
  1)主な経口補水液
  2)主な経口補水液(医薬品)
  3)経口補水液の使用方法
3 経腸栄養剤の種類と適応
 A 経腸栄養剤の種類
  1)経腸栄養療法の利点
  2)経腸栄養剤の種類と特徴
  3)半消化態栄養剤
  4)消化態栄養剤・成分栄養剤
 B 経腸栄養剤の適応
  1)病態別経腸栄養剤
  2)適応病態・疾患
4 輸液療法の基礎知識1〜水・電解質異常とその補正
 A 脱水症の種類と鑑別
  1)脱水症の種類
  2)脱水症の種類と水分の移動
  3)脱水症の分類と鑑別
 B 欠乏量と必要量を推定する
  1)水分欠乏量の推定方法
  2)Na欠乏量・必要量の推定方法
  3)Na欠乏型脱水症の症候と重症度
  4)水分欠乏型脱水症の症候と重症度
 C 輸液を開始する
  1)脱水の輸液治療方針
  2)脱水症の輸液療法
  3)輸液量の計算
  4)体重あたりの維持輸液量
  5)電解質輸液の投与速度
  6)許容投与速度
 D Naの異常
  1)Na異常の原因
  2)Na異常の症状
  3)鑑別−(1)尿中Naの評価
   鑑別−(2)尿中浸透圧,細胞外液量の評価
  4)高Na血症−(1)鑑別
   高Na血症−(2)輸液を開始する
   高Na血症−(3)輸液治療方針
  5)低Na血症−(1)鑑別
   低Na血症−(2)血漿浸透圧が異常となる病態
   低Na血症−(3)輸液を開始する
   低Na血症−(4)輸液治療方針
 E Kの異常
  1)K異常の原因と症状−(1)高K血症
   K異常の原因と症状−(2)低K血症
   K異常の原因と症状−(3)症状
   K異常の原因と症状−(4)低K血症の鑑別(1)
   K異常の原因と症状−(5)低K血症の鑑別(2)
   K異常の原因と症状−(6)RAA系
  2)尿中Kの評価
  3)輸液を開始する−(1)K欠乏症の推定
   輸液を開始する−(2)経静脈的K投与の原則
   輸液を開始する−(3)高K血症の治療
   輸液を開始する−(4)低K血症の治療
 F Caの異常
  1)Ca異常の原因と症状−(1)症状
   Ca異常の原因と症状−(2)原因
  2)輸液を開始する−(1)血清Ca値の補正
   輸液を開始する−(2)血清Ca異常の治療
 G Pの異常
  1)P異常の原因と症状−(1)症状
   P異常の原因と症状−(2)原因
  2)輸液を開始する−血清P異常の治療
 H Mgの異常
  1)Mg異常の原因と症状−(1)症状
   Mg異常の原因と症状−(2)原因
  2)輸液を開始する−血清Mg異常の治療
5 輸液療法の基礎知識2〜酸塩基平衡異常とその補正
 A 酸塩基平衡の基礎知識
  1)重炭酸緩衝系の調節
  2)肺(呼吸)による調節
  3)近位尿細管における重炭酸イオンの再吸収
 B 酸塩基平衡異常の原因と症状
  1)酸塩基平衡異常の診断
  2)酸塩基平衡異常の症状
  3)肺と腎臓の代償作用
  4)代償性変化の程度と限界
 C 酸塩基平衡異常の鑑別
  1)Stepで鑑別する
  2)anion gap(AG)
  3)血清Naと血清Clの差による予測
  4)酸塩基平衡異常の鑑別例
 D 代謝性アシドーシス
  1)種類と原因
  2)治療方針
  3)アルカリ化薬投与のリスク
 E 代謝性アルカローシス
  1)種類と原因
  2)治療方針
 F 呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシス
  1)原因疾患・病態(1)
   原因疾患・病態(2)
  2)治療方針
6 栄養療法の基礎知識
 A 栄養療法の流れ
  1)栄養療法の流れ
 B 栄養療法の把握
  1)栄養評価指標
  2)患者の記録
  3)身体計測
  4)生化学的・免疫能検査
  5)窒素平衡(Nバランス)
  6)体脂肪率
 C 栄養療法の適応決定
  1)栄養療法の適応基準
  2)投与ルートの種類
  3)投与ルートの比較
 D 栄養投与ルートの選択
  1)投与ルートの選択基準(1)
   投与ルートの選択基準(2)
 E 栄養素の組成と量の決定
  1)基礎代謝量の算出
  2)TEEとRMR
  3)体重換算による投与エネルギーの算出
  4)組成と量の決定例
7 経腸栄養療法
 A 経腸栄養剤の適応と投与方法
  1)適応
  2)投与方法
 B 施行時の合併症と対処法
  1)外的要因
  2)下痢の原因と対策
  3)代謝障害
8 経静脈栄養療法
 A 経静脈栄養の基礎知識
  1)経静脈栄養と投与エネルギー
  2)TPNの特徴−(1)利点と欠点
   TPNの特徴−(2)不適応
 B 施行時の合併症と対処法
  1)PPN施行時の静脈炎−(1)発生要因
   PPN施行時の静脈炎−(2)対処法
  2)TPN施行時の合併症と対処法−(1)bacterial translocation
   TPN施行時の合併症と対処法−(2)refeeding syndrome
   TPN施行時の合併症と対処法−(3)カテーテル挿入関連
   TPN施行時の合併症と対処法−(4)カテーテル留置関連
   TPN施行時の合併症と対処法−(5)代謝障害関連
9 病態別輸液・栄養療法
 A 周術期
  1)術前によくみられる病態
  2)術中の体液異常
  3)手術侵襲による内分泌系の変動
  4)術後の体液異常
  5)消化液の電解質組成
  6)術後輸液の基本方針
  7)術後栄養輸液の至適投与エネルギー量
  8)術前栄養療法の基本方針
  9)術後栄養療法の基本方針
 B 糖尿病
  1)糖尿病でよくみられる病態
  2)DMケトアシドーシスと高浸透圧高血糖状態の鑑別
  3)DMケトアシドーシスの治療
  4)高浸透圧高血糖状態の治療
  5)乳酸アシドーシスの所見と原因
  6)乳酸アシドーシスとビタミンB
  7)乳酸アシドーシスの治療
  8)糖尿病の栄養療法
 C 心不全
  1)心不全における代償機構
  2)心不全における酸塩基平衡
  3)心不全の病態と治療薬の位置づけ
  4)Forrester分類による血行動態分類と治療方針
  5)心不全の病態に応じた輸液療法
  6)急性心不全の主な治療薬
  7)心不全の栄養療法
 D 脳血管障害
  1)脳血管障害の栄養管理の特徴
  2)脳血管障害急性期の栄養投与ルートの選択
  3)脳血管障害の栄養療法
 E 腎不全
  1)急性腎不全の主な原因と病態
  2)急性腎不全の鑑別と輸液療法
  3)透析患者の水電解質代謝の特徴
  4)透析患者で輸液が必要となる状況
  5)透析患者の水分バランス
  6)透析患者の輸液療法の基本方針
  7)透析患者における輸液療法のモニター項目
  8)腎不全の栄養療法
  9)腎不全の代謝への影響
  10)腎不全患者に対する至適栄養投与量
  11)腎不全患者に対する投与ルート
  12)腎不全に対する静脈栄養
 F 呼吸不全
  1)呼吸不全を呈する代表的疾患
  2)COPDの栄養障害
  3)COPDの栄養療法
  4)呼吸商(RQ)
 G 肝疾患
  1)肝疾患の輸液療法
  2)肝硬変における水・電解質異常
  3)肝硬変で頻度の高い電解質・酸塩基平衡異常
  4)急性肝不全・劇症肝炎における栄養障害
  5)肝疾患における栄養療法の注意点
  6)肝硬変の栄養療法
  7)肝硬変の栄養療法のアルゴリズム
 H 腸疾患・膵疾患
  1)クローン病の栄養障害
  2)クローン病の栄養療法
  3)潰瘍性大腸炎の病態と栄養療法
  4)急性膵炎の輸液療法
  5)膵疾患の栄養療法
 I がん
  1)がん患者における栄養障害の原因
  2)がん患者の栄養療法
  3)終末期がん患者の輸液療法
 J 高齢者
  1)高齢者の輸液療法
  2)高齢者の栄養療法
  3)高齢者への栄養投与ルート
 K 小児
  1)小児における輸液療法の留意点
  2)小児の栄養療法
 L 妊婦
  1)妊婦の栄養療法
10 輸液・栄養療法におけるセーフティマネジメント
 A 輸液療法のマネジメント
  1)不適切な輸液療法(留意点)
  2)輸液投与量の影響
  3)注射剤での感染因子
  4)フィルターの使用が禁忌な主な薬剤
  5)コアリングの原因と対策
 B 血管外漏出
  1)血管外漏出に注意が必要な主な薬剤
  2)血管外漏出時の対処
 C 注射剤の配合変化
  1)物理的変化と化学的変化
 D 配合に注意が必要な主な薬剤
  1)pHの低下により混濁・沈殿
  2)pHの上昇により混濁・沈殿
  3)非水溶性溶媒を用いている主な薬剤
  4)滴定酸度
  5)混濁・沈殿(難溶性塩の生成)を生じる薬剤
  6)汎用される薬剤の配合変化
  7)単独投与が望ましい薬剤
  8)その他
 E その他の配合変化
  1)その他の配合変化
  2)容器・輸液セットとの配合変化
 F 配合変化の予測と回避方法
  1)物理的配合変化の予測法
  2)間接法による配合変化の予測
  3)配合変化の回避方法
  4)混合投与方法
付録
 A 種々の計算式
  1)濃度を表す単位
  2)浸透圧
  3)浸透圧計算例
  4)血漿浸透圧の算出式
  5)投与速度(点滴数)
 B 臨床検査値
  1)臨床検査の基準値
  2)BUN(尿素窒素)
  3)SCr(血清クレアチニン)・尿量(24時間)
 C 製剤一覧
  1)輸液剤組成一覧
  2)経腸栄養剤組成一覧
参考文献
索引



 臨床現場において遭遇する水・電解質異常などの体液異常や、疾病により生じる栄養障害は、治療の妨げとなることが多い。そのため、輸液・栄養療法の重要性は広く認知され、医師のみならず、看護師、薬剤師などの医療スタッフの関わりがますます増えている。また、新しい輸液製剤や栄養製剤も種々開発され、病態に特化したものなど多様化している。不適切な輸液・栄養療法は、患者への悪影響につながるため、水・電解質異常や栄養障害の成り立ちを理解し、患者の状態に応じた輸液・栄養療法を行うことが求められる。最適な輸液・栄養療法は、患者の背景を知り、輸液製剤や栄養製剤の特徴を理解することから始まる。
 このような背景のもと、臨床現場での対応に活用しやすいよう、図表のみでまとめた『現場で使える輸液・栄養クイックブック』を2007年に発行し、輸液・栄養療法に関する書籍があまた出版されている中で、多くの読者に愛読いただいた。そしてこのたび、さらに使いやすく、引きやすくアップデートした『輸液・栄養療法もち歩きBOOK』として新たに刊行することとなった。
 本書では、体液組成や電解質・栄養素に関する基礎知識、電解質輸液剤・静脈栄養輸液剤・経腸栄養剤の種類と適応、水・電解質異常と酸塩基平衡異常の成り立ちとその補正方法、輸液・栄養療法の適応、などの基礎知識をまとめている。そしてより実践的となる病態別輸液・栄養療法、配合変化や合併症の回避などのセーフティマネジメントについても整理し、輸液・栄養療法の基礎から実践までを理解しやすく工夫した。
 本書が日常臨床の場で輸液・栄養療法に関わっている方々、また、これから学び実践しようとする方々の一助となれば幸いである。

2019年10月
明治薬科大学特任客員教授 伊東明彦

 『現場で使える輸液・栄養クイックブック』が『輸液・栄養療法 もち歩きBOOK』と改題されリニューアルされた。
 伊東明彦先生の臨床で培われた知識と薬学部教員の教え伝える技術を融合させ、内容を増量、輸液・栄養療法の基礎から応用までぎっしり詰まった一冊となっている。図表、文字の大きさを工夫、表紙はビビッドなピンクを採用し、全体的にカラフルなデザインに生まれ変わった。
 本書は10章からなるが、1〜8章部分は基礎編である。「体液の組成と分布」から始まり、「電解質輸液剤・静脈栄養輸液剤の種類と適応」「経腸栄養剤の種類と適応」「水・電解質異常とその補正」「酸塩基平衡異常とその補正」と、かゆいところに手が届くくらい多くの基礎的な内容が紹介されている。私なんぞは不勉強で基礎的なことをすべて記憶しているわけではない。そうすると臨床現場でいろいろな疑問が生じ、また疑問を投げかけられ、その場で解決すべき状況が生じる。そんなときにこの本が非常に役に立つ。基礎的な知識が得られ、それが病態のアセスメントに利用でき、そしてどの種類の輸液・栄養療法をなぜ選択するのかまできちんと理解させてくれる。
 9章は応用編である。「病態別輸液・栄養療法」として周術期の内容がボリュームアップし、脳血管疾患、腸疾患・膵疾患、がん、高齢者、妊婦が追記された。どの病態も日常臨床でよく遭遇し、今後増加が予測される疾患である。さまざまな病態へ個別に対応できる充実した内容である。さらに10章の「輸液・栄養療法におけるセーフティマネジメント」では「注射剤の配合変化」「配合に注意が必要な主な薬剤」「配合変化の予測と回避方法」が追記された。輸液・栄養療法を立案し、患者に対して適切に安全に投与が終了するまで責任をもつという著者の強く熱い思いを感じる。
 本書の一番の特徴は、各項目の説明がすべて図表やフローチャートで示されていることである。調べたい、確認したい項目の頁をめくると明快にわかりやすくまとめられた図表が目に飛び込んでくる。「一目即了」、まさにクイックである。
 時間に余裕がない場合は図表で確認して終了となるが、余裕があれば図表の下にある「チェックポイント」に進もう。著者の臨床経験に基づく「チェックポイント」を読むことで知識はさらに深まり、臨床力をアップさせることができる。
 栄養サポートチーム(NST)活動の急速な広がりとともに、栄養管理の必要性があらためて認識され、臨床に携わるメディカルスタッフは輸液・栄養療法の知識が求められる。ぜひ栄養療法に携わる医師、看護師、栄養士、薬剤師に本書を利用していただきたい。
 内容がぎっしり詰まっているが、「もち歩きBOOK」として肩の凝らない重さでポケットサイズ。臨床現場でフル活用できるお勧めの一冊である。

臨床雑誌内科126巻1号(2020年7月号)より転載
評者●JA尾道総合病院薬剤部 部長 堀川俊二