書籍

血液専門医テキスト改訂第3版

編集 : 日本血液学会
ISBN : 978-4-524-24882-7
発行年月 : 2019年10月
判型 : B5
ページ数 : 660

在庫あり

定価17,050円(本体15,500円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

「血液専門医研修カリキュラム」に則った、日本血液学会編集による専門医テキストの改訂第3版。主要な徴候と検査値異常などの基礎的事項から、腫瘍性・非腫瘍性疾患の病因・病態・診断・治療、患者教育、形態学までの幅広い内容を網羅し解説。今改訂では、WHO分類改訂第4版(2017年)や「造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版」の反映に加えて進歩の著しいクリニカルシークエンス、分子標的薬・免疫療法といった最新の診療動向を踏まえて内容を拡充。第2版刊行以降に確立した知見を盛り込んだ。巻末付録には「血液専門医試験過去問−解答と解説」を収載。専門医を目指す医師必携の一冊。

第I章 造血システムと腫瘍化
 1.造血幹細胞
 2.血球産生と分化
 3.鉄代謝と造血
 4.骨髄性白血病の発症機構
 5.リンパ腫の発症機構
第II章 止血機構
 1.止血・抗血栓機序
第III章 主要な徴候と検査値異常
 1.リンパ節腫大,扁桃腫大,肝脾腫の鑑別
 2.貧血の鑑別
 3.多血症の鑑別
 4.白血球増加症・減少症の鑑別
 5.血小板増加症・減少症の鑑別
 6.出血傾向の鑑別
 7.血栓傾向の鑑別
第IV章 臨床検査・画像検査
 1.骨髄穿刺/骨髄生検
 2.細胞化学的検査
 3.溶血に関する検査
 4.表面形質検査
 5.染色体検査
 6.分子生物学的検査:サザンブロット・ハイブリダイゼーション法,点突然変異
 7.分子生物学的検査:クリニカルシークエンス
 8.分子生物学的検査:PCR法
 9.リンパ節生検時の検査
 10.リンパ腫の病期診断・治療効果判定とFDG-PET(PET-CT)
第V章 治療法:薬剤,放射線,脾摘術
 1.抗血栓薬(抗凝固薬,抗血小板薬,線溶薬)
 2.抗がん薬の作用機序と副作用
 3.分子標的治療薬の作用機序と副作用
 4.放射線療法の適応と有害事象
 5.腫瘍免疫療法
 6.脾摘
第VI章 輸血
 1.血液型,交差適合試験,不規則抗体,HLA抗体
 2.血液製剤と血漿分画製剤
 3.輸血の適応
 4.輸血の合併症
 5.交換輸血,アフェレーシス
第VII章 造血幹細胞移植
 1.同種造血幹細胞移植:適応疾患
 2.同種造血幹細胞移植:HLA適合とドナーソース
 3.同種造血幹細胞移植:移植前処置
 4.同種造血幹細胞移植:GVHD,GVL効果
 5.同種造血幹細胞移植:合併症(感染症,SOS)
 6.自家造血幹細胞移植:適応,幹細胞動員,前処置名
第VIII章 赤血球系疾患
 1.鉄欠乏性貧血
 2.先天性溶血性貧血
 3.巨赤芽球性貧血
 4.自己免疫性溶血性貧血:温式,冷式
 5.発作性夜間ヘモグロビン尿症
 6.赤血球破砕症候群
 7.成人特発性再生不良性貧血
 8.小児特発性再生不良性貧血
 9.先天性骨髄不全症
 10.赤芽球癆
 11.ACD(慢性疾患に伴う貧血)
 12.腎性貧血
第IX章 白血球系疾患:腫瘍性疾患
 1.WHO分類:骨髄系腫瘍
 2.WHO分類:リンパ系腫瘍
 3.慢性骨髄性白血病
 4.真性赤血球増加症
 5.原発性骨髄線維症
 6.本態性血小板血症
 7.その他の骨髄増殖性疾患
 8.骨髄異形成症候群
 9.急性骨髄性白血病
 10.急性前骨髄球性白血病
 11.混合型急性白血病
 12.二次性(治療関連)白血病
 13.急性リンパ性白血病
 14.Ph染色体陽性急性リンパ性白血病
 15.慢性リンパ性白血病とその類縁疾患
 16.濾胞性リンパ腫
 17.MALTリンパ腫
 18.マントル細胞リンパ腫
 19.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
 20.Burkittリンパ腫
 21.末梢性T細胞リンパ腫
 22.NK/T細胞リンパ腫
 23.成人T細胞白血病/リンパ腫
 24.その他のリンパ性腫瘍疾患:菌状息肉症,Sezary症候群など
 25.Hodgkinリンパ腫
 26.マクログロブリン血症
 27.多発性骨髄腫
 28.多発性骨髄腫の類縁疾患
第X章 白血球系疾患:非腫瘍性疾患
 1.顆粒球減少症
 2.先天性免疫不全症
 3.HIV感染症
 4.伝染性単核症
 5.血球貪食症候群
第XI章 血栓・止血疾患
 1.血管障害による出血性疾患:血管性紫斑病
 2.特発性血小板減少性紫斑病
 3.播種性血管内凝固症候群
 4.血栓性微小血管症
 5.heparin起因性血小板減少症
 6.抗リン脂質抗体症候群
 7.先天性血小板減少症・機能異常症
 8.血友病
 9.von Willebrand病
 10.後天性血友病
 11.先天性凝固・抗凝固因子欠乏症
第XII章 小児の造血器悪性腫瘍
 1.若年性骨髄単球性白血病
 2.小児の骨髄異形成症候群
 3.小児の急性骨髄性白血病
 4.小児の急性リンパ性白血病
 5.小児のリンパ腫
 6.Epstein-Barrウイルス関連T/NKリンパ増殖性疾患
 7.小児の血球貪食性リンパ組織球症とLangerhans細胞組織球症
第XIII章 支持療法
 1.化学療法時の支持療法
 2.サイトカイン
 3.感染症の予防と治療
 4.鉄キレート療法
第XIV章 臨床腫瘍学,患者教育
 1.統計学を含む臨床研究
 2.オンコロジー・エマージェンシー
 3.がん性疼痛
 4.サイコオンコロジー
 5.長期的合併症と長期フォローアップ
 6.遺伝カウンセリング
第XV章 形態学
 1.骨髄・末梢血スメア標本
 2.骨髄生検像
 3.リンパ節生検像
第XVI章 医学研究と利益相反(COI)管理
付録
索引

改訂第3版序文

 血液臨床医にとっての実用書であり、同時に血液専門医を目指す医師に対してのテキストとして作成された『血液専門医テキスト』は、2011年に初版が、2015年に改訂第2版が刊行され、それからさらに4年を経て、このたび改訂第3版の出版にいたった。学問あるいは医療としての血液学はこの数年で長足の進歩を遂げており、第2版以降に解明された新たな疾患の病因・病態、新規疾患分類、治療薬や治療方法の開発など概観するだけでも枚挙に暇がない。
 また、医師の新たな専門医制度も日本専門医機構によって2018年から基本領域で専門医プログラムが実質的に開始されている。血液専門医を育成するサブスペシャルティ領域の研修も新制度下で進められることになっているが、2019年4月時点では日本専門医機構から明確な制度が提示されておらず、いまだ専門医研修制度は体制構築の途上にある。さらに、2018年4月より臨床研究法が施行され、臨床研究が倫理面を含めて法律のもとで実施されるようになった。専門医制度や臨床研究、研究倫理など、ここ数年の変化はいよいよ大きな波となって現場に押し寄せており、その中で診療、研究が続けられている。
 こうした中で、最も重要なことは血液疾患を正確に診断し、確実に標準治療を実施していくことである。そのためには、これまで確立されてきた基盤となる血液学の知識、スキルの上に新たな知見を積み上げることが強く求められる。今回の改訂では、前回同様に総論的部分と各論的部分という構成をとり、基礎的な情報は引き継ぎつつもできるだけコンパクトに新知見を追加した。進歩の大きかった領域では、一部は大幅に改訂している。また、クリニカルシークエンスや腫瘍免疫療法など新たな項目を加えて最新情報を取り込み、利益相反や医学研究の倫理に関しても現状に即したものとした。コンパクトにまとめることを念頭におき編集したものの、第2版よりもやや分量が増えているのはこうした事情によるが、血液専門医の基本となる最低限の知識は網羅されていると考えている。
 本テキストを改訂、編集するにあたっては、日本血液学会教育委員会と専門医認定委員会が共同で編集委員会を組織し、内容についての方向性、詳細を検討した。多くの方に編集、原稿執筆、査読などをお願いしたが、忙しい中で快く引き受けていただいた関係者の皆様に深謝申し上げる。本テキストが新たな時代の中で血液学を修得し実践する血液内科医の助けとなってこの領域のさらなる発展に繋がり、そして血液疾患の患者さんへのよりよい診療に役立つことを祈念している。

2019年9月
日本血液学会教育委員会委員長 宮ア泰司
日本血液学会専門医認定委員会委員長 張替秀郎

 日本血液学会は、血液学関連の臨床医学の発展、知識の普及と併せて、血液学研究の進歩を介し国民の福祉に貢献することを目的としている。『血液専門医テキスト』は、日本血液学会により、血液専門医教育を推進するために、専門医を目指す医師にとっての指針として編集された。学問あるいは医療としての血液学はこの数年で長足の進歩を遂げており、改訂第2版以降に解明された新たな疾患の病因、病態、新規疾患分類、治療薬や治療法の開発など、概観するだけでも枚挙に暇がない。今回、初版(2011年)、改訂第2版(2015年)に続き、改訂第3版が4年ぶりに刊行された。本書は、日本血液学会の教育委員会と専門医認定委員会が共同で組織した編集委員会が各分野の専門家に原稿執筆を依頼し、執筆された原稿は編集委員会および査読委員会による査読を経て、上梓されたものである。血液学に必須の基礎知識を網羅し、現在の専門医として維持すべきレベルを吟味しつつ編集されている。
 今回の改訂では、前回同様に総論と各論という構成をとりつつ、WHO分類改訂第4版(2017年)や「造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版」および「血液製剤の使用指針(2018年)」の反映に加えて、進歩の大きかった領域は大幅に改訂されている。そのため、多種多様な分子標的治療薬や新たな治療の臨床的位置づけなどがより明快になっている。また、新たな項目立てとして「分子生物学的検査:クリニカルシークエンス」「腫瘍免疫療法」および「多発性骨髄腫の類縁疾患」が加えられた。利益相反や医学研究の倫理に関しても現状に即したものとなっている。基礎的事項では、血液学に比較的特化した臨床検査・画像検査、骨髄穿刺・生検、表面形質や染色体検査などが、豊富な図表によって解説され、理解を助けている。各疾患の病因、病態、診断、治療や患者教育などでは、治療のアルゴリズムやそのフローチャートが積極的に導入され、知識の整理や理解が容易になるよう工夫が凝らされている。初版から掲載されている美しいカラー図譜も本書の特徴の一つである。巻末には過去の代表的な試験問題とその解説および血液専門医目標カリキュラムが掲載され、血液専門医として具体的な学習目標が示されている。興味深い先端テーマについては「ADVANCED」として解説が加えられており、重要な単語や病名、病態などは太字表記にするなど随所に工夫もみられる。
 血液学は分子生物学的解析の先鞭を担ってきたという経緯もあり、研究面での進歩が臨床血液学の進歩に直接貢献してきた分野である。そのため、血液学各領域におけるここ数年の進歩は著しい。そのような進歩を個別に追うことはきわめて困難である。本書は、最近の4年間の進歩の概要が一冊に収められているという点で、専門医を目指す医師のみではなく、すでに専門医を取得した医師にとってもその進歩を俯瞰できる貴重な書であると思われる。また、専門家による最先端の執筆内容が複数の専門家によって標準化されており、専門医として必要な知識が過不足なく網羅されていることから、血液専門医資格の取得を目指す医師にとっても必携の書である。

臨床雑誌内科125巻6号(2020年6月号)より転載
評者●美しが丘病院 理事・病院管理者 澤田賢一