日本整形外科学会診療ガイドライン
アキレス腱断裂診療ガイドライン
文献アブストラクトCD-ROM付
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/アキレス腱断裂ガイドライン策定委員会 |
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ISBN | : 978-4-524-24786-8 |
発行年月 | : 2007年6月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 94 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「疫学」「病因・病態」「診断」「治療」「予防・予後」について25のリサーチクエスチョンを設け、推奨・要約と解説を示した。エビデンスに基づいた診断・治療、患者への説明のよりどころとなる、整形外科医必携の書。付録のCD-ROMには文献アブストラクトを収載した。
●前文
1.はじめに
2.アキレス腱断裂の概念
3.策定組織
4.文献検索法
5.問題点
6.委員会のコメント
第1章・疫学
RESEARCH QUESTION 1 アキレス腱断裂の発生数はどのくらいか.発生数に経年的変化があるか
RESEARCH QUESTION 2 アキレス腱断裂受傷の好発年齢はどのくらいなのか.また、性差、左右差、季節性はあるか
RESEARCH QUESTION 3 アキレス腱断裂はスポーツ活動中の受傷が多いのか.また、どのようなスポーツで多く受傷するのか
第2章・病因・病態
RESEARCH QUESTION 1 アキレス腱の肥厚はアキレス腱断裂の危険因子となりうるか
RESEARCH QUESTION 2 アキレス腱断裂の発生には、基盤に必ず腱の変性が存在するか
RESEARCH QUESTION 3 アキレス腱断裂を誘発する可能性のある薬物があるか
第3章・診断
RESEARCH QUESTION 1 医療面接(問診・病歴)だけでアキレス腱断裂の診断は可能か
RESEARCH QUESTION 2 アキレス腱断裂の診断において、特徴的な臨床所見はあるか
RESEARCH QUESTION 3 アキレス腱断裂の診断において画像診断は必要か
RESEARCH QUESTION 4 アキレス腱断裂の診断で単純X線検査の有用性はあるか
RESEARCH QUESTION 5 アキレス腱断裂の診断で超音波検査の有用性はあるか
RESEARCH QUESTION 6 アキレス腱断裂の診断でMRIの有用性はあるか
RESEARCH QUESTION 7 アキレス腱断裂と鑑別すべき疾患とその鑑別点はあるか
第4章・治療
RESEARCH QUESTION 1 手術療法としての端々縫合術の位置づけはどうか
RESEARCH QUESTION 2 経皮縫合術は他の切開縫合術と比較して有用か
RESEARCH QUESTION 3 手術療法後の早期運動療法は有用か
RESEARCH QUESTION 4 保存療法(キャスト固定)は有用か
RESEARCH QUESTION 5 保存的装具療法は有用か
RESEARCH QUESTION 6 スポーツ選手には特別な治療が必要か
第5章・予防・予後
RESEARCH QUESTION 1 アキレス腱皮下断裂治療法別により再断裂に差があるか
RESEARCH QUESTION 2 膝上キャストと膝下キャストとで再断裂に差があるか
RESEARCH QUESTION 3 アキレス腱断裂治療後に患側の機能低下が残るか
RESEARCH QUESTION 4 アキレス腱断裂の職場復帰はいつごろか(職場を離れるのは何日くらいか)
RESEARCH QUESTION 5 アキレス腱断裂のスポーツ復帰はいつごろか(治療法別で差があるか)
RESEARCH QUESTION 6 アキレス腱皮下断裂を予防する方法があるか
索引
日本整形外科学会は事業の一環として、整形外科疾患の診療ガイドラインの作成を平成14年度から開始し、平成17年にまず5疾患、続いて平成18年に3疾患の診療ガイドラインが完成し、今回新たに1疾患が仲間に加わることとなった。これで、11疾患のうち9疾患の診療ガイドラインを世に送り出すことができた。
一般的に診療ガイドラインとは質の高い新しい情報に基づいて医療を提供するのに役立つ素材であり、患者と主治医がより良い解決策を探って行こうとするときに、その手引きとして傍らに置いておく資料である。今日、診療ガイドラインを出版するにあたり、診療ガイドラインを個々の患者に短絡的に当てはめてはならないことをまず強調したい。
本診療ガイドラインは、広範囲な科学論文の検索から、疾患の専門医たちによる厳密な査読をおこない、信頼性と有益性を評価したうえで作成された。論文のエビデンスを根拠とする推奨レベルには特に多くの議論を費やした。その結果、当初、推奨度はAの「強く推奨する」からDの「推奨しない」の4段階としていたが、項目によっては科学的論文数が不十分であったり、結論の一致を見ない項目があるために、その推奨レベルとして(I)レベル「(I):委員会の審査基準を満たすエビデンスがない、あるいは複数のエビデンスがあるが結論が一様でない」を新たに追加した。このような項目に関しては、整形外科専門家集団としての委員会案をできるだけその項目中に示すように努力した。
近年の医学の進歩に伴い、従来からおこなわれてきた治療法は今後劇的に変化する可能性がある一方で、種々の治療法が科学的根拠に基づくことなく選択されている。さらにわが国ではさまざまな民間療法が盛んにおこなわれており、なかには不適切な取り扱いを受けて大きな障害を残す例も認められている。このように不必要な治療法、公的に認められていない治療法、特に自然軽快か治療による改善か全く区別のつかないような治療法に多くの医療費が費やされている現状は、早急に改善されるべきと考えられる。
今回作成された診療ガイドラインは、現在の治療体系を再認識させるとともに、有効で効率的な治療への第一歩であると考えられる。しかし、科学的な臨床研究により新たな臨床知見が出現する可能性もあり、今後定期的に改訂を試みなければならない。倫理規定を盛り込んだ前向きな臨床研究をおこなう必要を強く実感する。このように、科学的根拠に基づいてより良い診療ガイドラインを作成し続けることは、患者の利益、医学発展、医療経済の観点から日本整形外科学会の責務であると考えている。
2007年5月
日本整形外科学会
診療ガイドライン委員会
委員長 四宮謙一