グロスマン心臓カテーテル検査・造影・治療法原書7版
DVD-ROM付
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監訳 | : 永井良三 |
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ISBN | : 978-4-524-24777-6 |
発行年月 | : 2009年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 898 |
在庫
定価26,400円(本体24,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評
心臓カテーテル検査、心血管造影、ならびに特殊カテーテル法の各種技術を実践的かつ明確、簡潔に解説。今改訂では、塞栓防止デバイスやベアメタルステント、DESについても言及、インターベンション技術の急速な進歩や発展を反映させた。トレーニングの現場や論文発表等で自由に利用できる本文掲載画像データのほか、159の動画を収載した原書DVD-ROM付き。
Grossman's Cardiac Catheterization, Angiography, and Intervention
Seventh Edition
本書には薬剤の適応、副作用、および用法が正確に記載されているが、それらの情報は今後変わることもありうる.読者には薬剤メーカーの提供する添付文書を参照されるように勧める.著者、編者、出版社、および販売元は、この本に記載された情報の誤りや不足、またはそれらをもとに適用したいかなる結果に対しても免責され、明言してあろうと、示唆にとどまっていようとも、出版内容に関してなんらの保証行為を行うものではない.著者、編者、出版社、および販売元は、この本の出版によって対人・対物に生じるいかなる傷害や損失に対しても責任を有しないと考える.
第I部 一般原則 General Priciples
1.心臓カテーテル検査の歴史と現在の標準的手法 Cardiac Catheterization History and Current Practice Standards
1 インターベンション心臓学
2 心臓カテーテル検査の適応
3 心臓カテーテル検査の検査計画
4 心臓カテーテル検査施設
5 標準的トレーニング
6 手技の遂行
2.シネアンギオグラフィ、放射線安全、造影剤 Cineangiographic Imaging, Radiation Safety, and Contrast Agents
1 基礎X線物理学
2 X線シネ撮影システムの作動
3 血管造影検査室
4 放射線の生物学的影響(全般)
5 小線源近接照射療法の問題
6 血管内造影剤
3.合併症と併用薬物療法の最適な使用法 Complications and the Optimal Use of Adjunctive Pharmacology
1 概略
2 死亡
3 心筋梗塞
4 脳血管合併症
5 局所的血管合併症
6 不整脈や伝導障害
7 心臓ないしは大血管の穿孔
8 感染症および化膿性反応
9 アレルギーおよびアナフィラキシー反応
10 腎機能障害
11 他の合併症
12 心臓カテーテル法に対する併用薬物療法
第II部 基本手技 Basic Techniques
4.経皮的カテーテル挿入法、経心房中隔法、心尖部穿刺法 Percutaneous Approach, Including Trans-septal and Apical Pucture
1 大腿動静脈からのカテーテル法
2 左心カテーテルでの他の穿刺法
5.上腕動脈切開法 Brachial Cutdown Approach
1 適応
2 検査前の評価
3 切開、血管離とカテーテル挿入
4 右心カテーテル法
5 左心カテーテル法
6 特殊な技術
7 血管の修復と術後処置
8 トラブルの解決
6.小児、成人先天性心疾患の心臓カテーテル検査 Diagnostic Catheterization in Childhood and Adult Congenital Heart Disease
1 先天性心疾患患者のカテーテル検査における一般的原則
2 特殊な状況
3 まとめ
第III部 血行動態の原則 Hemodynamic Principles
7.血圧測定 Pressure Measurement
1 入力信号としての圧波とは
2 圧測定装置
3 どのような周波数応答が望ましいか
4 周波数応答特性の評価
5 圧波の電気信号への変換と電気的ひずみ計
6 カテーテル室における実用型圧トランスデューサ系
7 圧波形の生理学的特性
8 誤差とアーチファクトの原因
9 微小血圧計
8.血流量測定:心拍出量および血管抵抗 Blood Flow Measurement
1 動静脈較差と摂取予備能
2 先天性の中枢性短絡症例における肺血管障害
3 僧帽弁狭窄症患者における肺血管障害
4 血管拡張薬の評価
9.短絡検出と定量化 Shunt Detection and Quantification
1 左-右短絡の検出
2 右-左短絡の検出
10.狭窄弁口面積の計算 Calculation of Stenotic Valve Orifice Area
1 Gorlinの公式
2 僧帽弁口面積
3 大動脈弁口面積
4 三尖弁および肺動脈弁口面積
5 Gorlinの公式に代わる簡易式
6 低心拍出量の患者における大動脈弁狭窄の評価
7 弁抵抗
第IV部 心血管造影法 Angiographic Techniques
11.冠動脈造影 Coronary Angiography
1 冠動脈造影の適応
2 歴史および一般的事項
3 大腿動脈穿刺法
4 上腕動脈切開法(橈骨動脈穿刺法)
5 冠動脈造影の副作用
6 注入方法
7 解剖、造影方向と狭窄の計測
8 非動脈硬化性冠動脈疾患
9 造影所見の誤読
12.心室造影 Cardiac Ventriculography
1 心室造影用カテーテル
2 造影剤注入部位
3 造影剤の注入速度と注入量
4 撮影の方向と方法
5 心室造影の解析
6 負荷心室造影
7 合併症と危険性
8 左室造影に代わる検査法
13.肺血管造影 Pulmonary Angiography
1 解剖
2 手技
3 肺塞栓症
4 肺血管造影の他の適応
14.大動脈および末梢動脈造影 Angiography of the Aorta and Peripheral Arteries
1 末梢動脈の画像診断法
2 非侵襲的血管造影法
3 X線撮影法
4 血管アクセス
5 X線撮影装置
6 カテーテルとガイドワイヤ
7 造影剤
8 胸部大動脈
9 腹部大動脈
10 鎖骨下動脈と椎骨動脈
11 頸動脈
12 腎動脈
13 骨盤と下肢
第V部 心機能の評価 Evaluation of Cardiac Function
15.心臓カテーテル検査中の運動およびページング頻拍による負荷 Stress Testing During Cardiac Catheterization:Exercise and Pacing Tachycardia
1 動的(ダイナミック)運動負荷
2 等尺性(アイソメトリック)運動負荷
3 ペーシング頻拍
16.心室容積、駆出分画、心筋重量、壁応力と局所壁運動の測定 Measurement of Ventricular Volumes, Ejection Fraction Mass, Wall Stress, and Regional Wall Motion
1 心室容積
2 駆出分画および逆流分画
3 心室容積および駆出分画を求める他の方法
4 左室心筋重量
5 正常値
6 壁応力
7 圧-容積曲線
8 心室局所壁運動
17.心室および心筋の収縮能と拡張能の評価 Evaluation of Systolic and Diastolic Function of the Ventricles and Myocardium
1 収縮機能
2 拡張機能
第VI部 特殊なカテーテル手技 Special Catheter Techniques
18.心筋血流と代謝の評価 Evaluation of Myocardial Blood Flow and Metabolism
1 心筋血流の制御:心筋酸素供給と需要との関係
2 心筋代謝の測定
3 カテーテル室での心筋血流の測定
4 血管造影での血流の評価
5 センサ付きガイドワイヤを用いた冠動脈内圧と流速の測定
6 冠血流予備能の測定
7 連続した狭窄の評価
8 同時測定の圧-流速関係
9 冠血流測定の臨床応用
10 カテーテル室での側副血行路の定量的評価
19.血管内造影手技 Intravascular Imaging Techniques
1 血管内超音波
2 血管内視鏡
3 Optical coherence tomography(OCT)
4 スペクトロスコピー
5 血管内サーモグラフィ
6 血管内MRI
20.心内膜心筋生検 Endomyocardial Biopsy
1 歴史的考察
2 新しいバイオプトーム
3 生検方法
4 合併症
5 術後管理
6 標本の組織処理
7 今後の展望
21.大動脈内バルーンカウンターパルゼーション法および循環補助装置 Intra-Aortic Balloon Counterpulsation and Other Circulatory Assist Devices
1 大動脈内バルーンカウンターパルゼーション法
2 左室補助
第VII部 治療的カテーテル法の手技 Interventional Techniques
22.経皮的バルーン血管形成術と冠動脈インターベンション Percutaneous Balloon Angiography and General Coronary Intervention
1 歴史
2 器具
3 手技
4 術後管理
5 PTCAのメカニズム
6 PTCAの急性期の成績
7 合併症
8 血管形成による傷害の治癒反応と再狭窄
9 PTCAの遠隔臨床成績
10 現在の適応
11 財政的・法的問題の検討
12 ニューデバイス時代におけるPTCAの役割
23.冠動脈アテレクトミー、血栓除去、塞栓予防 Coronary Atherectomy, Thrombectomy, and Embolic Protection
1 アテレクトミー
2 レーザーアテレクトミーの技術
3 機械的血栓除去術
4 塞栓予防デバイス
5 まとめ
24.冠血管内ステント Coronary Stenting
1 歴史的概観
2 ステントのデザイン:性能と臨床成績に与えた影響
3 ステント植え込みのテクニック
4 補助的薬物療法
5 冠動脈ステント植え込みの合併症
6 外科的血行再建と比較したステント植え込みの成績
7 薬剤溶出ステント
8 冠動脈ステントの臨床成績:特定の症例や病変に応じた解析
9 現在の概観と将来の方向
25.弁膜症への経皮的治療 Percutaneous Therapies for Valvular Heart Disease
1 経皮的僧帽弁形成術
2 肺動脈弁形成術
3 バルーン大動脈弁形成術
4 経皮的弁置換術と修復
26.末梢血管インターベンション Peripheral Intervention
1 一般事項
2 胸部大動脈
3 大動脈の分枝
4 腹部大動脈
5 下肢
6 トレーニングと資格証明
27.小児、成人先天性心疾患のインターベンション Intervention for Pediatric and Adult Congenital Heart Disease
1 先天性心疾患カテーテル室
2 先天性心疾患閉塞性病変
3 左室流出路狭窄
4 大動脈縮窄
5 短絡と関係した先天性病変
6 心内短絡病変
7 動脈管開存(PDA)
8 他の心外短絡
9 Fontan循環をもつ成人患者における心臓カテーテル検査
10 まとめ
第VIII部 各心疾患のプロフィール Profiles of Specific Disorders
28.弁膜症のプロフィール Profiles in Valvular Heart Disease
1 僧帽弁狭窄症
2 僧帽弁閉鎖不全症(逆流)
3 大動脈弁狭窄症
4 大動脈弁閉鎖不全症
5 三尖弁閉鎖不全症
6 三尖弁狭窄症
7 肺動脈弁狭窄と閉鎖不全
8 人工弁の相対的狭窄
29.冠動脈疾患のプロフィール Profiles in Coronary Artery Disease
1 安定冠動脈疾患
2 ST上昇を伴う心筋梗塞(STEMI)
3 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)
4 分岐部病変
5 大伏在静脈グラフト病変
6 冠動脈完全閉塞病変
7 保護されていない左主幹部病変
30.肺塞栓症と肺高血圧症のプロフィール Profiles in Pulmonary Embolism and Pulmonary Hypertension
1 急性肺塞栓症
2 危険度分類
3 抗凝固療法
4 血栓溶解療法、カテーテルインターベンション、外科的血栓摘除術
5 肺高血圧症
31.心筋症とうっ血性心不全のプロフィール Profiles in Cardiomyopathy and Congestive Heart Failure
1 拡張型心筋症
2 心臓移植
3 補助人工心臓
4 巨細胞性心筋炎
5 拡張不全と拘束型心筋症
6 肥大型心筋症
32.心膜疾患のプロフィール Profiles in Pericardial Disease
1 心膜炎、心膜液貯留、心タンポナーデ
2 心膜穿刺
3 収縮性心膜炎
4 浸出性収縮性心膜炎
5 拘束型心筋症
6 収縮状態を伴う他の病態
7 そのほかの心膜手技
8 心膜の奇形
33.先天性心疾患のプロフィール Profiles in Congenital Heart Disease
1 成人肺動脈狭窄症
2 大動脈縮窄症
3 心房中隔欠損症(ASD)
4 心筋梗塞後心室中隔破裂性短絡の軽減
5 動脈管開存症(PDA)
6 冠動静脈瘻
34.大動脈および末梢血管障害のプロフィール Profiles in Aortic and Peripheral Vascular Disease
1 大動脈弓および内頸動脈形成術
2 胸部大動脈に対するインターベンション
3 腹腔および腸間膜動脈に対する血管形成術
4 腎動脈形成術
5 大動脈腸骨動脈に対する血管形成術
6 大腿膝窩動脈、大腿深動脈に対する血管形成術
7 膝窩動脈以下の血管形成術
8 穿刺部合併症の経皮的治療
索引
William Grossman教授の編集になる“Cardiac Catheterization and Angiography”の初版がLea&Febiger社から発刊されたのは1974年である。当時、心臓カテーテルや造影検査に関する成書はなく、世界中の循環器科医および心臓外科医から好評をもって迎えられた。わが国では原書2版の翻訳本が、当時東京大学第二内科におられた芹澤剛先生(後に埼玉医科大学第二内科教授)を中心とする諸先生のご尽力により、1982年に南江堂より刊行され、心臓カテーテルの標準的教科書として長く愛用されてきた。その後、1995年の原書5版ではカテーテルインターベンションの隆盛を受けて、“CardiacCatheterization、Angiography、and Intervention”とタイトルが変更され、Dr。Baimを中心とした執筆陣でWilliams&Wilkins社から刊行された。今回の日本語版は2006年に刊行された原書7版を翻訳したものである。新版では各章が大幅に改訂され、6版から付属していた電子媒体がCD-ROMからDVD-ROMに変更され、紹介される症例の動画数も大きく拡充された。
本書を読まれた方は、これが単なる心臓カテーテルの技術指導書ではないことに気づかれるであろう。「一般原則」の部には心臓カテーテルの手技だけでなく、放射線安全や合併症、補助薬理学などの基本的知識とエビデンスが述べられている。また「血行動態」や「心機能評価」の部には基本的な考え方から最新の研究成果までがわかりやすく紹介されている。さらにさまざまな疾患に対するカテーテルインターベンションの詳細な記述は、病態の深い理解を強調しており、臨床現場で大いに歓迎されるであろう。
臨床医学の教科書は学術体系にしたがって執筆されることが多い。しかしながら本書は心臓カテーテルの視点から、心臓血管病学をダイナミックに再構築したもので、より実践的かつ問題解決型の学習が本書を通じて可能となると期待でき、これまで以上に本書が心臓血管病学および診療に貢献することを願うものである。最後に翻訳にご協力いただいた芹澤剛博士はじめ諸先生に心より感謝申し上げる。
2009年10月
東京大学循環器内科教授
永井良三
有名なグロスマンの教科書の第7版の訳書が刊行された。初版本は1974年に刊行されているが、評者自身これを買って読了し、日頃の診療に役立てていた。その初版本は今も手許にあるが、各所に赤鉛筆で下線が引かれている。当時は心臓外科医も術前・術後の心臓カテーテル検査を行っていたのである。
今回、何十年ぶりかで本書の訳書を手にした。書名にInterventionが加わっているのは当然として、初版(英文)の339頁が第7版(和文)では872頁となり、重量も1kgから2kgと倍増している。
両者の目次を比較してみると、第I部から第V部まで、すなわち「一般原則」・「基本手技」・「血行動態の原則」・「心血管造影法」・「心機能の評価」は、まったく同じであり、初版の第VII部「各疾患のプロフィール」も第7版の第VIII部と同一である。第7版に加わっているのは第VI部の「特殊なカテーテル手技」と第?部の「治療的カテーテルの手技」だけなのである。また内容を概観すると、この第7版には初版とほぼ同じ内容のグロスマン自身の記述がかなり残っていることに気付く。すなわち本書は、改訂ごとに分担執筆者や内容を一新してしまう教科書ではなく、歴史的な背景を大切にしながら、新しい情報を付け加えていっているのである。そういう意味で、本書は心臓カテーテル法の教科書のクラシックであり現在のスタンダードである。
近年では心臓カテーテルは専門医によって行われるようになってきているが、その専門医は自己の知識や技量をつねにアップデートしていく必要がある。またこの専門医を目指す医学生や医師にとっても本書は必読の書である。循環器専門医、医師、医学生にとってこのようなクラシックでスタンダードの教科書を和文で読むことができるのは幸せなことである。ぜひ本書を座右において熟読し、自分の医療水準の向上に役立てていただきたいと思う。
また本書にはDVDが付属している。これは前版のCDに比べ質量ともに充実している。150例以上の症例が含まれており、教育的効果はきわめて大であると思われる。評者も実際に見てみたが、鮮明な画像が再現されていた。
日進月歩の領域においては、教科書が出版されたころにはその内容が陳腐なものになってしまっていることもある。第7版の原書は2006年の刊行であるから、2010年の現在ではその内容は4〜5年前のものであるが、心臓カテーテル法の教科書としては最良のものであることには疑いがない。これ以後の新しい知識は学術集会や雑誌でつけ加えていく必要があるが、その基礎としてこのような包括的な教科書の内容を自家薬籠中のものとしておくことが大切である。また循環器内科医のみならず、一般の内科医や心臓血管外科医、さらには研修医にとってもこのようなスタンダードの教科書を参考にすることはきわめて重要であると考える次第である。
評者● 古瀬彰
臨床雑誌内科105巻6号(2010年6月増大号)より転載