感染症診療ゴールデンハンドブック
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 藤田次郎/喜舎場朝和 |
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ISBN | : 978-4-524-24714-1 |
発行年月 | : 2007年6月 |
判型 | : 新書 |
ページ数 | : 374 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
研修医・若手医師を対象に感染症診療の具体的ポイントをコンパクトにまとめ、携帯に便利な新書判で提供。感染症診療の「基本アプローチ」、各感染症の症状、検査、起炎菌、治療、処方をまとめた「各感染症へのアプローチ」、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬の各分類、適応、投与量、副作用をまとめた「薬剤からのアプローチ」を中心に実践的内容を箇条書きで記す。
I 基本アプローチ
1.感染症の病歴のとり方
2.診療における経路別感染対策
3.感染症の検査法
4.行政へ届出が必要な感染症一覧
II 各感染症へのアプローチ
A 呼吸器感染症
1.かぜ症候群
2.急性咽頭炎・扁桃炎
3.急性中耳炎
4.急性副鼻腔炎
5.急性喉頭蓋炎
6.インフルエンザ
7.急性気管支炎
8.びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症
9.市中肺炎
10.院内肺炎
11.胸水、膿胸
12.肺結核
13.非結核性抗酸菌症
14.肺真菌症
B 消化器感染症
1.消化性潰瘍
2.下部消化管感染症
3.虫垂炎、大腸憩室炎
4.腹膜炎
5.ウイルス性肝炎
6.肝膿瘍
7.胆道系感染症
C 循環器感染症
1.感染性心内膜炎
2.心外膜炎
3.血管内カテーテル関連感染症
D 尿路・泌尿器感染症
1.膀胱炎
2.急性腎盂腎炎
3.無症候性細菌尿
4.女性の尿路感染症
5.男性の尿路感染症
6.前立腺炎
7.副睾丸炎
8.腎実質内膿瘍・腎周囲膿瘍
E 皮膚・軟部組織感染症
1.疱疹を認める疾患
2.水疱を認める疾患
3.紅斑を認める疾患
4.膿疱を認める疾患
5.化膿性筋炎
6.ガス壊疽
F 性感染症
1.尿道炎を主徴とする疾患
2.子宮頸炎
3.骨盤内炎症性疾患
4.外陰部潰瘍性病変
5.外陰部と腟の炎症
G 中枢神経系感染症
1.急性髄膜炎
2.脳膿瘍
3.脳炎
H 骨・関節の感染症
1.骨髄炎
2.化膿性関節炎
I HIV感染症
J 敗血症
K 妊婦・小児の投与上の注意
L 手術部位感染
M 好中球減少時の発熱
III 薬剤からのアプローチ
A 抗菌薬
B 抗真菌薬
C 抗ウイルス薬
索引
■コラム
マラリア
市中感染型MRSA
環境からのLegionellaの分離
QuantiFERON
消化管寄生虫症
敗血症性ショックに対するステロイド投与
多剤耐性緑膿菌
生物兵器としての人獣共通感染症
皮内反応
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ
PK/PDパラメータとは
沖縄県の感染症診療は日本でもトップレベルにある。その理由の1つとして、沖縄県立中部病院が米国の古きよき時代の医療を実践し、グラム染色、および血液培養を駆使した感染症の迅速診断の実績を築いてきたことがあげられる。また流球大学医学部感染病態制御学講座(第一内科)では、昭和54年に赴任された小張一峰教授、および昭和62年に赴任された斎藤厚教授が、わが国における感染症診療をリードしてきた。現在、琉球大学医学部附属病院は、20年以上も前に設計されたとは思えないような素晴らしい感染症専用病床を有している。
近年、英国の医療を「悲惨な医療(多くの医師が海外に流出)」、米国の医療を「残酷な医療(約4,500万人が無保険)」と呼ぶ。これは両国における医療費削減の結果である。かつてのグラム染色にて起炎菌を特定するという米国の古きよき時代の医療に対して、現在ではClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)によって、レジデントがグラム染色を実施することが禁止されている。わが国においても、沖縄県立中部病院、琉球大学第一内科関連施設など、限られた病院のみで実施されるにとどまっている。
最近の米国の医療現場では、医療費抑制目的に保険会社主導で各種ガイドラインを作成し、安価で画一的な治療を推奨している。また起炎菌を確定することなく、広域抗菌薬を選択する風潮には医療訴訟の多さも関係しているものと思われる。これらの結果として、わが国以上にさまざまな耐性菌の増加を招いている。われわれは、感染症の診断と治療に際して、その起炎菌は何だろうという根本的な疑問を大切にしたいと思う。そのためには積極的にグラム染色、および抗酸菌染色をベッドサイドで実施し、かつ頻回に血液培養を実施するという、最も基本的なアプローチが重要であると考えている。このようなアプローチにより、臨床家の経験が蓄積されるとともに、狭域の抗菌薬を選訳できるのである。
沖縄県の感染症診療のエッセンスの詰まった本書が少しでも皆様の参考になれば、編集者として大きな喜びである。
2007年5月
藤田 次郎、喜舎場朝和