書籍

ぼけーっとオペしとったらあかんで!

形成外科医が説く外科手技の真常識

: 菅原康志/去川俊二
ISBN : 978-4-524-24696-0
発行年月 : 2020年4月
判型 : A5
ページ数 : 168

在庫あり

定価3,960円(本体3,600円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

形成外科医が縫合法や創傷管理など、広く外科系医師に理解してほしい外科手技の基本的な考えかた、アプローチを分かりやすく伝える。毒づきながらも愛情深い先輩医師・ヨッシーと、気持ちの浮き沈みの激しい若手医師・森岡君の対話形式で構成した、少し哲学的で、少しだけ感動する外科手技の入門書。

1 外傷の処置その1
2 外傷の処置その2
3 切開
4 止血
5 キズの縫い方その1
6 術後の感染
7 キズの縫い方その2
8 キズの縫い方その3
9 展開
10 剥離
11 ドレーン
12 術後管理
13 手術環境の作り方
14 外科医と体調管理
15 手術の覚え方
16 手術記録の書き方
17 手術の標準化
18 チーム医療
19 患者さんとの向き合い方
20 外科医の生き方
索引

序文

 これまで形成外科医として、35年ちかくやってきました。
 まあずいぶん長くやってきたなぁ、という感じなのですが、さんざん手術を経験した今になっても、「ああ、あの時はよくわからなかったけど実はこういうことだったんだ」と腑に落ちることが少なくありません。あるひとつの手術を理解するのに、こんなにも時間がかかるのかと思うと、天を仰ぎたくなる気分です。
 その一方で、未だに手術をやっている最中に、「おおっ、なんと! こんなこともできるんだ」と新たな発見があったりして、外科の奥深さに驚くと同時に、その魅力にますますのめり込んでいく自分がいます。
 そんなワケで、今のわたしにとって外科手術は生業というよりも天職のようなものになってしまいました。
 でも外科を始めた頃は、上手くいかないことや思い通りにならないことが多く、決して楽しいことばかりではありませんでした。手術が面倒くさいと思ったこともありましたし、ちょっと嫌いになりかけたこともあります。それでも多くの患者さんや先輩医師、同僚、スタッフのサポートのおかげで続けることができ、今のこうした心境に至ったのだと思います。
 そんなすばらしい外科の魅力を、外科医として歩みを始めた皆さんにお伝えしようと思い、この本を書きました。手に取ってくださった読者の方が、ひとりでも多く外科医として活躍してくださり、目の前の困っている患者さんを幸せにしてくれることを願っています。
 最後に、関西弁のネイティブチェックに多大なご協力をいただいた、大守誠先生(淀川キリスト教病院形成外科)、福井充香先生(関西医科大学形成外科)に、この場をお借りして深謝申し上げます。

2020年3月
菅原康志

 一人前の外科医となるには、多くのことを学ばねばならない。
 今では多くの教科書や手術書が出版されており、手術手技や診断、全身管理など詳細に解説されている。しかし手術書やビデオをみても会得しにくい手術のノウハウがある。また、外科診療において患者対応やチーム医療をうまく行うことや自分自身の律し方は必須の技術であるが、こういったnon-technical skillに触れた教科書はほとんどない。
 本書では、そういった従来の教科書や手術書では触れていないが、若い外科医が学ばねばならない大切なポイントを、若い形成外科医とベテラン医師の会話を通じて解説している。タイトルの「ぼけーっとオペしとったらあかんで!」の雰囲気そのままの気取らない会話の中で、若い外科医に著者が伝えたいことが説かれている。章ごとに伝えたいメッセージが要点を絞って明確に述べられており、各章を読むごとに一つ学べたという充実感がある。平易な表現で文章量も適度で、苦労せずに読むことができる。一見軽い読み物風であるが、飽きさせない工夫を凝らしながら著者が伝えたいメッセージを熱く語る侮りがたい良書である。
 本書は形成外科医が書いているが、内容は外科全般に及ぶことであり、外科系科をめざす者にはぜひ一読してほしい。著者の一人は大学教授を務め、現在も非常に高度な手術を行っている形成外科のエキスパートである。そういった一流の外科医が、外科医に何が必要と考えているかを知るという点でも興味深く読める。教育に携わる外科医にも、若手に伝えるべきことがたいへんうまくまとめられているのでぜひ参考にしてほしいと思う。
 この書評を書いている私も外科医を志して40年ほど経つ。今では自分で手術をするより、若い外科医を教育する機会が多くなった。しかし教育といっても、気づいたことをその都度伝えるだけであった。本書を読んで、何を伝えるべきかを考えさせられ、またこれまでの教育で多くのことが抜けていたことを自覚した。これからは今までよりもよい教育ができそうな気がする。

臨床雑誌外科82巻13号(2020年12月号)より転載
評者●関西医科大学外科主任教授 関本貢嗣