書籍

減塩のすべて

理論から実践まで

編集 : 日本高血圧学会減塩委員会
ISBN : 978-4-524-24671-7
発行年月 : 2019年5月
判型 : B5
ページ数 : 142

在庫あり

定価2,640円(本体2,400円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

日本高血圧学会減塩委員会編集による食塩制限を基本とした栄養療法・食事指導のための手引書。同学会では、2005年より減塩ワーキンググループ(現減塩委員会)を組織し、これまでに食品成分表示における食塩相当量表示義務化の実現や、減塩食品の推奨、減塩レシピの発行など、多岐にわたり活動を行ってきた。本書はそれらの取り組みをまとめ、わかりやすく解説する。巻末付録には同学会が提唱する減塩食品リストを収載。医師・医療者のみならず、減塩に取り組む公共機関の健康推進関係者、食品メーカー従事者などにもお勧めの一冊。

1.食塩と高血圧・心血管病,減塩の意義
2.食塩摂取量の現状と減塩目標値
3.食塩摂取量の評価法と応用
4.減塩指導の実際
 a)高血圧患者に対する減塩指導
 b)降圧薬治療と減塩指導
 c)心疾患患者に対する減塩指導
 d)慢性腎臓病(糖尿病性腎臓病を含む)患者に対する減塩指導
 e)健診の場を利用した減塩指導
 f)将来のために子どもから大人まで,地域における減塩啓発活動
 g)食育における減塩の意義と実践
5.日本高血圧学会減塩委員会の活動〜おいしい減塩食品の紹介〜
6.減塩食品の現状と課題
巻末付録:JSH減塩食品リスト簡易版
索引

序文

 食塩の過剰摂取は高血圧の発症や重症化の主たる要因であり、血圧の上昇を介してあるいは血圧とは独立して脳心血管病の要因となることは多くの疫学研究や観察研究から明らかとなっています。したがって、減塩は高血圧の一次予防、重症化予防のみならず健康寿命の延伸のためにも極めて重要と言えます。日本人の食塩摂取量は徐々に低下しているものの平成29年度の国民健康・栄養調査における男性の平均は10.8g/日、女性は9.1g/日と依然として多く、厚生労働省による『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で示される目標量(男性7.5g/日、女性6.5g/日未満)の達成は容易ではありません。『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)で示された高血圧者の減塩目標は6g/日未満であり、この目標達成には多面的かつ実践的な取り組みが必要となります。
 日本高血圧学会は減塩の推進を目的として2005年、当時の藤田敏郎理事長の発案により減塩ワーキンググループ(上島弘嗣委員長)を組織しました。このワーキンググループは官公庁への食品中の食塩表示の申し入れや「食塩制限の必要性と減塩目標」「高血圧管理における食塩摂取量の評価」からなる減塩ワーキンググループ報告と『減塩食品レシピ』の発行(2006年)を行いました。減塩ワーキンググループは2010年に減塩部会、そして2011年には減塩委員会と改組され、さらに活動を強化することになりました。減塩委員会の主な活動は、(1)政府や産業界への働きかけ(Political and social approach)、(2)集団としての高血圧者や市民への働きかけ(Population approach)、(3)高血圧者個人や家族への働きかけ(Individual approach)、(4)減塩に関する広報活動(Publicity activities)です。さらに2013年より、適正な減塩食品の認知度を上げる目的でJSH減塩食品リストを一般向けホームページで紹介するとともに減塩食品の開発販売に積極的に取り組んでいる企業に対してJSH減塩食品アワードを授与しています。
 減塩委員会では、2012年に河野雄平委員長のもと、(1)食塩と高血圧・心血管疾患、(2)高血圧管理における食塩制限の目標と方策、(3)高血圧管理における食塩摂取量の評価と応用からなる『減塩委員会報告』を発刊しましたが、このたび、その改訂版として日本高血圧学会減塩委員会報告書『減塩のすべて−理論から実践まで』を出版することになりました。この報告書はタイトルの通り、食塩摂取と高血圧、心血管病との関係、減塩の意義、食塩摂取量の評価法と応用などの理論に加え、高血圧診療の場、健診や地域での啓発、食育など様々な場面での減塩の実践について各委員に執筆いただくとともに、減塩食品の普及に対する取り組みについても詳細に紹介しています。
 本書を、医師、管理栄養士、保健師など医療関係者はもとより、一般の方にも読んでいただくことにより、減塩に対する理解が深まり、わが国の減塩が進むことを願っています。

2019年4月
日本高血圧学会減塩委員会 委員長
社会医療法人製鉄記念八幡病院 院長
土橋卓也

これこそ“減塩のバイブル”
 食塩(NaCl)は生命活動に不可欠な物質であるが、本能的に備わった食塩嗜好のため、地球規模での過剰な食塩摂取が広がっている。なかでもわが国は世界有数の食塩過剰摂取国であり、食塩中毒の国と言ってもよい。なぜ、食塩は悪者なのか。その問いに、『減塩のすべて−理論から実践まで』が答えてくれる。では、どうすればよいのか。その質問にも本書が答えてくれる。まさに“減塩のバイブル”登場である。
 食塩は体内に水分を溜めることで“生活習慣病の王者”高血圧を引き起こすばかりか、動脈硬化と心臓病の独立した危険因子ともなる。また過剰な食塩摂取はカルシウム代謝にも影響を与え、骨粗鬆症や尿路結石の原因となる。わが国の胃がん発生率は国際的に高いが、その理由にも食塩摂取量の多さが関係している。すなわち、過剰な食塩摂取は、高血圧、循環器病、腎臓病、がんなど、わが国の死因の多くを占める生活習慣病の土壌であり、国民衛生の最大の敵と言っても過言ではない。
 日本高血圧学会には、設立当時から積極的に減塩活動を推進してきた伝統がある。先人たちの努力によって、わが国の一人当たり食塩摂取量は1980年の10.5〜15.8g/日から、2016年には9.4〜10.5g/日に減少したが、これによって国民の平均血圧も大きく低下し、脳出血発症頻度の低下、加速型-悪性高血圧の軽症化、そして世界トップレベルの平均寿命などの成果を得ることができている。2011年からは減塩委員会が創設され、さらに積極的な活動が展開されている。すなわち、毎月17日を減塩の日とし、減塩啓発キャラクター“良塩(ヨシオ)君”と宇宙人“うすあ人”を作製、食品会社とのタイアップによる減塩食品の認定と情報発信も始まっており、本会会員主導によって立ち上がった“減塩ルネサンス活動”も全国に展開している。未来世代の健康を守る学校給食の減塩化もすでに始まっているそうである。真に心強い。
 このたび日本高血圧学会減塩委員会が満を持して編纂した一冊が『減塩のすべて−理論から実践まで』である。本書は減塩療法の最新理論から実践までをわかりやすく紹介したもので、頁を開けば、減塩の意義、減塩の目標値、食塩摂取量の評価法と応用など、医療に携わる私たちが知りたいと思っていた情報が、実にわかりやすくまとめられている。さらに減塩指導の実際については、高血圧患者、慢性腎臓病患者、小児の場合など、それぞれのケースにおける実践法が丁寧に解説されている。巻末に載せられた減塩食品リストをみれば、すでに減塩という大きな波が生活のなかに浸透していることにも驚かれるであろう。
 どうか本書を患者さんの指導、地域活動、そしてご自分の健康増進のためにもご活用ください。日々多忙な診療のなか、本書をまとめ上げられた日本高血圧学会減塩委員会委員長の土橋卓也先生ほか減塩委員会の皆様に、心からの感謝を申し上げます。

臨床雑誌内科125巻3号(2020年3月号)より転載
評者●愛媛大学 名誉教授/南松山病院 院長 檜垣實男