書籍

実践に活きる 臨床心エコー図法

  • 新刊

編集 : 伊藤浩/渡辺弘之
ISBN : 978-4-524-24643-4
発行年月 : 2020年3月
判型 : B5
ページ数 : 692

在庫あり

定価27,500円(本体25,000円 + 税)


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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

“最も心臓の病態に迫ることができる手法”といえる心エコー図法の基軸となる決定版。検査を行ううえで知っておくべき病態、重症度評価、治療適応の決定から治療法までを網羅。“何を見るか?”、“どのように定量化し、リスクをどう層別化するか?”、“治療選択や治療効果の判定、予後の評価にどのように活用するか?”など、心エコー図法を臨床に活用するための情報や考え方を徹底解説。循環器医・画像診断医はもちろんのこと、検査技師にもおすすめしたい。

第1部 形態と機能を評価する
 第I章 左心系を評価する
 1 左室サイズと肥大
  2 左室収縮能
  3 左室拡張能
  4 左房サイズと機能
  5 三次元エコーによる左心機能評価
  6 自動解析法の臨床応用
  7 正常値と加齢の影響
 第II章 右心系を評価する
  1 右室解剖と右室サイズ
  2 右室収縮能と拡張能
  3 三次元エコーによる右心評価
  4 肺高血圧を評価する
  5 下大静脈から血行動態を推定する
 第III章 心不全を評価する
  1 HFpEFとHFrEF,そしてHFmrEF
  2 HFrEFの観察ポイント
  3 HFpEFの観察ポイント
第2部 心エコーで疾患を診る・評価する
 第I章 心臓弁膜症
  A 大動脈弁狭窄症(AS)
  B 大動脈弁閉鎖不全症(AR)
  C 僧帽弁閉鎖不全症(MR)
  D 僧帽弁狭窄症(MS)
  E 感染性心内膜炎
   1 病態と治療方針
   2 心エコー図検査で注意するポイント
   3 TEEの適応と観察ポイント
   4 塞栓症リスクを心エコーで判定する
   5 手術適応とタイミング
   6 術中TEEの役割
  F 人工弁
  G 三尖弁疾患(閉鎖不全と狭窄)
   1 病因と自然経過
   2 三尖弁逆流の重症度評価
   3 治療適応と時期の決定
   4 どのような手術をするか
  H 肺動脈弁閉鎖不全症(PR)
  I 肺動脈(弁)狭窄症
 第II章 心筋症と心筋炎
  A 肥大型心筋症(HCM)
  B 拡張型心筋症(DCM)
  C 左室緻密化障害(non-compaction)
  D 不整脈源性右室心筋症(ARVC)
  E 拘束型心筋症(RCM)
  F たこつぼ心筋症
  G 心アミロイドーシス
  H 心サルコイドーシス
  I 蓄積性心筋症
  J 急性心筋炎
 第III章 重症心不全と補助循環
  A 経皮的心肺補助装置(PCPS)挿入患者
  B Impella.挿入患者
  C 左心補助人工心臓装着患者
  D 心臓移植
 第IV章 冠動脈疾患
  A 救急外来における胸痛のトリアージ
  B 不安定狭心症
  C 急性心筋梗塞
  D 安定狭心症,無症候性心筋虚血
  E 心不全合併陳旧性心筋梗塞患者
  F 心筋バイアビリティの評価
 第V章 心臓腫瘍と腫瘤病変
  A 原発性良性・悪性腫瘍,転移性腫瘍
  B 心腔内血栓
  C 腫瘍と鑑別すべき心腔内構造物
 第VI章 心膜疾患と心膜脂肪
  A 正常心膜と心膜脂肪
  B 心膜炎
  C 心外膜下脂肪
 第VII章 全身疾患と心エコー図検査
  A 高血圧患者
  B 肥満(MetS),糖尿病患者
  C CKD患者,透析導入患者
  D 膠原病患者
  E 担癌患者,化学療法施行患者
  F 特発性好酸球増多症
  G 内分泌疾患
  H アスリート心
  I 妊娠と合併症
  J Marfan症候群
 第VIII章 成人先天性心疾患
  A 激増する成人先天性心疾患(ACHD)
  B 心房中隔欠損症(ASD)
  C 卵円孔開存(PFO)
  D 房室中隔欠損症(AVSD)
  E 心室中隔欠損症(VSD)
  F 動脈管開存症(PDA)
  G Fallot四徴症(TOF)
  H 大血管転移
  I Ebstein病
  J Fontan術後
  K そのほかのACHD術後(大動脈縮窄・大動脈弓離断・総肺静脈還流異常)
  L 川崎病
 第IX章 血管疾患
  A 大動脈疾患
  B 末梢動脈硬化(PAD)
   1 正常末梢動脈の観察ポイント
   2 頸動脈硬化をエコーで観察する
   3 動脈狭窄を検出し,重症度を評価する
   4 エコーガイド下血管内治療
   5 血管合併症(仮性動脈瘤,動脈解離)
  C 静脈血栓塞栓症(VTE)
  D 肺高血圧症
  E 血管合併症
第3部 状況別エコー活用法
 第I章 緊急時のエコー活用法
  A 原因不明の脳卒中
  B ショック患者の鑑別
  C 急性心不全の診断・治療
  D 呼吸困難の鑑別
  E 胸水,腹水の診断
 第II章 検査・治療のガイド
  A エコーガイド下中心静脈カテーテル留置
  B 心膜穿刺
  C TAVRに心エコー図法を活かす
  D 経静脈的僧帽弁修復術:MitraClip
  E 経皮的心房中隔閉鎖術
  F 心臓再同期療法(CRT)
  G 心臓血管手術中のTEE
 第III章 超音波で治療する
  A 超音波による狭心症治療
  B 超音波とマイクロバブル:マイクロバブルの治療応用
第4部 知っておくべき基礎知識:装置,解析法,負荷法
 第I章 経胸壁心エコー図法
 第II章 三次元心エコー図法
 第III章 組織ドプラ,ストレイン,ストレインレート,ツイスト
 第IV章 経食道心エコー図法
 第V章 血管内エコーと血管内イメージング(冠動脈その他)
 第VI章 心腔内エコー法
 第VII章 Fusion Echo
 第VIII章 コントラストエコー法
 第IX章 負荷心エコー図法
 第X章 冠動脈血流
 第XI章 血管機能を評価する
  A 血流依存性血管拡張反応(FMD)
  B 血管スティフネス大動脈
索引

序文

 循環器疾患の診療において心エコー図法は必須の検査です。心エコー所見をもとに診断され、病態や重症度が評価され、治療方針が決定され、そして治療効果も判定されています。救急やICU/CCUでは急変した患者に対して心エコー図法による迅速な診断がなされ、救命につながることが少なくありません。また、心臓弁膜症や先天性心疾患に対する心臓外科的治療やstructural interventionにおいても、その適応から術中モニターとして心エコー図法は活躍しています。それは、ひとえにリアルタイムに心臓の構造や動き、そして血流という重要な情報が手軽に得られるという心エコー図法の特性にあります。その意味で、心エコー図法は画像診断の一つですが、最も心臓の病態に迫ることができる手法であるといえます。最近ではエコー技師はsonographerではなく、心臓生理を理解しているという意味でphysiologistと呼ばれるようになってきていることからもそれがわかります。しかしながら現実はどうでしょうか。心エコー図法から得られるデータを正しく理解し、臨床に活かしているといえるでしょうか。画像を見ずに数字データや所見だけ見ている医師が多いのではないでしょうか。そして、エコー技師も疾患を理解したうえで、診療に役立つ情報を提供しているといえるでしょうか。循環器診療の中における心エコー図法の重要性をもう一度認識し直す必要があります。
 本書は循環器疾患診療における心エコー図法の役割を、疾患の病態とともに総合的に記述することを目指したものです。心エコー図検査を行ううえで知っておくべき疾患の病因や病態、重症度評価、治療適応の決定から治療法までを最新のガイドラインや論文をもとにエキスパートに執筆していただきました。心エコー図法を用いて何を見るか、どう定量化し、リスクを層別化するか、そして治療効果をどう判定し、生命予後をどう評価するかなど、あらゆる箇所にエキスパートならではの個人的見解も交えています。また、心エコー図法には検査のための準備、画像収集、画像づくり、解析などあらゆるポイントで技術的なノウハウも必要です。そのノウハウに関しても惜しみなく記述されています。
 執筆者一同、世界にないそして今後10年の心エコー図学の基軸となるような成書になったものと自負しています。この本が先生方の臨床に役立ったと感じていただければ、執筆者一同の大いなる喜びです。

2020年2月
伊藤浩、渡辺弘之