書籍

糖尿病最新の治療2019-2021

編集 : 門脇孝/荒木栄一/綿田裕孝
ISBN : 978-4-524-24556-7
発行年月 : 2019年2月
判型 : B5
ページ数 : 348

在庫僅少

定価8,800円(本体8,000円 + 税)


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正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

3年ごとの定期刊行で、糖尿病治療の最新情報と治療方針を簡潔にまとめた最新版。巻頭トピックスでは、J-DOIT3、SGLT2阻害薬の臓器保護・合併症抑制作用、GLP-1受容体作動薬と糖尿病合併症、インスリンポンプ療法、糖尿病と心不全、2型糖尿病と腸内フローラなど、話題の10テーマを取り上げている。今版では新たに「免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病」や「移植・再生医療」、「ICTを用いた自己管理支援」の項目を新設した。さらに病態別各論では「診療のポイント・治療指針」を冒頭に設け、要点が一目でわかるよう工夫した。

I 巻頭トピックス
 1.J-DOIT3の結果から得られたもの
 2.SGLT2阻害薬の臓器保護・合併症抑制作用
 3.GLP-1受容体作動薬と糖尿病合併症
 4.インスリンポンプ療法:最近の進歩
 5.糖尿病網膜症の基礎研究の進歩
 6.糖尿病腎症の重症化予防
 7.Diabetic Kidney Diseaseの概念
 8.糖尿病と心不全
 9.2型糖尿病と腸内フローラ
 10.脂肪細胞の褐色化のメカニズム:新規治療への応用
II 糖尿病治療の基本
 1.糖尿病の病型分類と診断基準,コントロール目標(総論)
 2.1型糖尿病
 3.2型糖尿病
 4.その他の特定の機序,疾患による糖尿病と糖代謝異常
 5.妊娠糖尿病
 6.小児・思春期の糖尿病
 7.高齢者の糖尿病
 8.境界型の管理
 9.メタボリックシンドロームへの指導・管理
III 食事療法
 1.食事療法の効果と実際,注意点
 2.「食品交換表」の活用
 3.カーボカウントの活用
 4.糖尿病腎症合併時
 5.脂質異常症合併時
IV 運動療法
 1.運動療法の効果と実際,注意点
 2.合併症時の運動療法
V 経口薬療法
 ◆インスリン分泌促進系
  1.DPP-4阻害薬
  2.スルホニル尿素薬(SU薬)
  3.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
 ◆インスリン抵抗性改善系
  1.ビグアナイド薬
  2.チアゾリジン薬
 ◆糖吸収・排泄調節系
  1.αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
  2.SGLT2阻害薬
 ◆その他
  1.配合薬
VI 注射療法
 ◆病態に応じた注射療法の基本
  1.1型糖尿病
  2.2型糖尿病
  3.糖尿病合併妊娠
 ◆インスリン治療法
  1.インスリン製剤の種類と特徴
  2.強化インスリン療法
  3.持続皮下インスリン注入療法(CSII)
 ◆GLP-1受容体作動薬
  1.GLP-1受容体作動薬
VII 糖尿病昏睡
 1.糖尿病ケトアシドーシス
 2.高浸透圧高血糖状態
 3.低血糖
 4.乳酸アシドーシス
VIII 糖尿病腎症
 1.腎症前期
 2.早期腎症期
 3.顕性腎症期
 4.腎不全期
 5.透析療法期
IX 糖尿病網膜症
 1.黄斑浮腫
 2.単純網膜症
 3.増殖前・増殖網膜症
 4.網膜症以外の眼合併症
X 糖尿病神経障害
 1.感覚運動神経障害
 2.単神経障害
 3.自律神経障害
 4.勃起障害
XI 糖尿病大血管障害
 1.脳血管障害
 2.冠動脈疾患
XII 糖尿病足病変
 1.足潰瘍・足壊疽
 2.下肢動脈狭窄・閉塞
XIII その他の合併症
 1.高血圧
 2.脂質異常症
 3.感染症
 4.歯周病
 5.皮膚病変
 6.骨病変
 7.認知症
 8.糖尿病患者の手術
XIV 二次性糖尿病
 1.ステロイド糖尿病
 2.肝疾患を合併した糖尿病
 3.膵疾患による糖尿病
 4.免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病
XV 移植・再生医療
 1.膵臓・膵島移植
 2.再生医療
XVI 糖尿病療養指導
 1.生活指導と自己管理
 2.シックデイの対応方法
 3.災害時への備え
 4.血糖自己測定の指導法(FGMを中心に)
 5.CGMの活用と注意点
 6.予防的フットケア
 7.心理的支援
 8.ICTを用いた自己管理支援
 9.糖尿病療養指導士の役割
 10.糖尿病におけるクリニカルパスの活用
XVII 糖尿病の予防
巻末付録 糖尿病治療薬一覧
索引

序文

 糖尿病の治療の目標は、糖尿病患者の寿命と健康寿命を糖尿病でない方と同じだけ確保することである。この目標に向けた糖尿病の治療の進歩は著しい。わが国で行われたJ-DOIT3の結果が発表され、一次予防群を主な対象として血糖・血圧・脂質に対する厳格な多因子介入が標準治療に比べて脳卒中、腎症、網膜症を有意に抑制することが明らかとなった。この研究がよい結果を収めた要因として、(1)食事・運動療法などの生活習慣介入、(2)DPP-4阻害薬など重症低血糖や体重増加をきたすことなく血糖管理を可能にする薬剤の登場などが挙げられる。また、二次予防群を主な対象としたSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の大規模臨床試験から、これらの薬剤が心血管イベント、心不全、腎機能障害などに対して血糖降下作用とは独立の有用性のあることが示された。ごく最近、SGLT2阻害薬が一次予防群でも心不全による入院や腎イベントを抑えるというデータも出された。
 2018年9月に総務省から発表されたデータによると、わが国では65歳以上の高齢者比率が28%を超え「超々高齢社会」を迎えている。糖尿病患者の2/3が高齢者という状況であることから、高齢者糖尿病の診療の比重は一段と増している。非高齢者の糖尿病では肥満・内臓脂肪蓄積の病態が重要であるが、65歳以上特に75歳以上ではサルコペニア、ロコモティブシンドローム、フレイルの病態が重要であり、糖尿病診療においても個々の患者の病態を診ながら65歳から75歳の間でギアチェンジが必要となる。
 このような点も踏まえた、「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」、日本糖尿病学会が本年発刊する「糖尿病診療ガイドライン2019」についても本書と合わせてご活用いただければ幸いである。
 本書は、糖尿病の診療に携わるすべての医療関係者を対象に執筆されたものである。ご執筆いただいた方々に深謝申し上げると共に、本書が糖尿病および合併症の診療の一助となれば、編集者として望外の喜びである。

2019年1月
編集者一同

 わが国における糖尿病腎症による新規透析導入患者数は増加の一途をたどっていたが、2009年ごろから頭打ちとなり現在にいたっている。しかしながら、毎年1万6,000人以上の糖尿病患者が現在でも透析導入を余儀なくされている事実は、わが国における糖尿病診療において改善すべき点が多々あったことを示唆している。現在、わが国における糖尿病患者数は約1,000万人と推定されており、一方、日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医は6,000名弱である。したがって、多くの糖尿病患者は糖尿病を専門としない医師によって加療されていると考えられる。糖尿病の治療も、この10年間にDPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬が次々と上市され、血糖自己測定を補完する機器としてflash glucose monitoring(FGM)の使用が保険収載されるなど大きく様変わりしている。糖尿病を専門としない医師が、多忙な診療の合間にこれらの進歩について勉強し実際の診療に活かしていくには大きな努力が必要であろう。このためにも、最新の正確な情報を効率よく常時入手できることが肝要であり、このことは糖尿病医療のわが国における均霑化という観点からも重要である。
 「糖尿病最新の治療」は2004年から3年ごとに南江堂から発刊されてきた定評のあるシリーズであるが、このたび2019-2021年版が門脇 孝、荒木栄一、綿田裕孝の3氏の編集により刊行された。本書はまず最初に巻頭トピックスとして、「J-DOIT3の結果から得られたもの」「SGLT2阻害薬の臓器保護・合併症抑制作用」「糖尿病腎症の重症化予防」など10のテーマが取り上げられており、糖尿病学における最新のトレンドを知ることができる。次に「食事療法」「運動療法」「経口薬療法」「注射療法」などの各種治療法について最新の成果を踏まえ具体的に解説されている。薬物療法に関しては実際の処方例が紹介されており実臨床の助けになることが期待される。続いて、「糖尿病昏睡」「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」などの各種合併症への対応が解説されているが、これらの章では最初に「診療のポイント・治療指針」として要点が箇条書きにされるとともに、具体的な処方例・事例が記載されるといった工夫がなされている。さらには「糖尿病療養指導」の章も設けられ、医師のみならずメディカルスタッフにも大いに参考となる内容になっている。
 以上、紹介したように、本書には糖尿病に関する最新の正確な情報が満載され、しかもそれらの情報が効率よく入手できるように工夫されており、糖尿病診療に必携の書といえる。本書がわが国における糖尿病医療の均霑化のための一助となることを切に願うものである。

臨床雑誌内科124巻4号(2019年10月号)より転載
評者●朝日生命成人病研究所 所長 春日雅人