根拠がわかる疾患別看護過程
病態生理と実践がみえる関連図と事例展開
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 新見明子 |
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ISBN | : 978-4-524-24365-5 |
発行年月 | : 2010年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 898 |
在庫
定価6,270円(本体5,700円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
『根拠がわかる症状別看護過程』の姉妹編。看護学生の臨地実習時の看護計画の立案や実習記録作成時の参考書。病態・治療・ケア関連図、疾患の医学的理解、標準的看護過程(計画)に加え、具体的な事例を紹介することで、類書との差別化を図った。付録として、経過別看護・治療別看護・感染症看護についても解説した。
第1章 循環器系疾患
1.狭心症患者
2.心筋梗塞患者
3.心不全患者
4.閉塞性動脈硬化症患者
第2章 呼吸器系疾患
5.肺がん患者
6.肺炎患者
7.慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者
第3章 消化器系疾患
8.食道がん患者
9.胃がん患者
10.潰瘍性大腸炎患者
11.大腸がん患者
12.肝硬変・肝がん患者
13.胆道がん患者
14.膵炎患者
第4章 栄養・代謝/内分泌系疾患
15.糖尿病患者
16.甲状腺機能亢進症(バセドウ病)患者
17.甲状腺がん患者
第5章 腎・泌尿器系疾患
18.慢性腎不全患者
19.慢性糸球体腎炎患者
20.前立腺がん患者
21.膀胱がん患者
第6章 血液・造血器系疾患
22.再生不良性貧血患者
23.白血病患者
24.悪性リンパ腫患者
25.多発性骨髄腫患者
26.播種性血管内凝固症候群(DIC)患者
第7章 脳血管系疾患
27.脳出血患者
28.くも膜下出血患者
29.脳梗塞患者
30.脳腫瘍患者
第8章 神経・筋疾患
31.多発性硬化症(MS)患者
32.筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者
33.重症筋無力症(MG)患者
34.パーキンソン病患者
第9章 精神疾患
35.認知症患者
36.統合失調症患者
37.気分障害患者
第10章 膠原病/自己免疫疾患
38.関節リウマチ(RA)患者
39.全身性エリトマトーデス(SLE)患者
第11章 感染症
40.HIV感染症(後天性免疫不全症候群:AIDS)患者
第12章 運動器系疾患
41.脊髄損傷患者
42.腰椎椎間板ヘルニア患者
43.大腿骨頸部骨折患者
44.変形性膝関節症患者
第13章 皮膚疾患/熱傷
45.悪性黒色腫(メラノーマ)患者
46.熱傷患者
第14章 眼/咽・喉頭疾患
47.網膜剥離患者
48.喉頭がん患者
第15章 婦人科系疾患
49.乳がん患者
50.リンパ浮腫患者
51.子宮がん患者
52.卵巣がん患者
第16章 母性/周産期
53.周産期の正常過程と標準的看護過程
<ハイリスク周産期看護>
54.妊娠高血圧症候群の妊産婦
55.切迫流・早産の妊婦
56.帝王切開術前・後の妊産婦
57.低出生体重児
第17章 小児疾患
58.川崎病患児
59.ファロー四徴症患児
60.気管支喘息患児
61.腸重積症患児
62.ネフローゼ症候群患児
63.白血病患児
64.麻疹患児
付録1:経過別看護
1.急性期
2.回復期
3.慢性期
4.ターミナル期
付録2:治療別看護
1.薬物療法
2.食事療法
3.手術療法
4.放射線療法
5.リハビリテーション療法
付録3
1.感染症看護
略語一覧
索引
現在の医療を取り巻く状況は、社会構造の変化や人々の健康への意識向上などから患者のニーズに合わせた多様かつ高度な医療を求められると同時に、医療改革が進むなかで効率化も必要とされています。そのような時代の流れにあって、看護者の豊かな知識と優れた臨床判断に基づいた臨床実践能力の発揮に大きな期待が寄せられています。
しかし、看護学生や疾患の一連の経過を体験したことのない新人看護者にとっては、実際の臨床現場で、患者の諸条件を踏まえた臨床判断や個別性を捉えた看護を実践することは大変むずかしいことです。
そのため本書は、疾患の病期を軸に治療と看護を展開していく過程がイメージでき、そのうえで基礎的な知識を臨床の場でどのように統合し活かしていけばよいのかがわかり、ひいては臨床実践能力を高めることができるように構成しました。具体的な特長は、臨床でよく遭遇する64項目の疾患や状態について看護過程を展開することを大きな柱とし、実践に役立つ「関連図」「看護過程の根拠・留意点」「事例展開」を示している点です。
「関連図」は、各疾患の病態生理と治療・看護の経過が一目でわかるように経過に則して表し、疾患の発症から今後の成り行きが想定できます。看護過程では、学習者の思考過程をサポートするために、経過に則した看護の視点を示し看護の方向性を明らかにするとともに、アセスメント、看護の問題と看護目標、看護計画および実践のそれぞれに対して「根拠や留意点」をできるだけ記載しています。これらを臨床に結びつけることで、判断能力および実践能力が高まっていくと考えます。
また、「事例でみる看護過程の展開」では、標準的看護計画を実際に適用する際に、どのように患者の諸条件を加味してアセスメントし、看護の問題を取りあげ、看護の具体策を導き出すかについて、実践が手に取るようにわかる事例展開に努めました。加えて、各病期の看護についての理解を深めるために、経過別看護の特徴や主な治療別看護、感染症看護を示し、各疾患の看護過程の展開に活かせるようにしています。
電子カルテの導入に伴って、看護の問題を共通した表現とするために、看護診断を取り入れている教育施設や医療施設も増加してきました。その点をふまえ本書では、看護の問題の表現はNANDA-I(2009-2011)の看護診断ラベルを基本においています。合わせて、疾患別看護過程の展開において看護者は、主に医師が管理する生理学的問題も含めて管理・予防措置を講じる立場にあると考え、カルペニートの<二重焦点臨床実践モデル>を取り入れ、共同問題(合併症の潜在的状態:Potential Complication)も使用しています。
今後さらに、看護・医療の現場はめざましく変化していくはずです。先述した本書の方針も、その動きゆく経過の中における1つの提案です。ですから、その変化に対応し、本書をより充実した内容とするため、ぜひ皆さまの忌憚のないご意見をいただければと考えます。
そして本書が看護を学ぶ学生はもとより新人看護者の臨床判断能力を高め、さらに日々の実践につながる1冊として活用いただけるよう祈ります。
2010年4月
新見明子