書籍

ここが知りたい&今さら聞けないに答える 眼科疾患診断・治療マニュアル

編集 : 相原一
ISBN : 978-4-524-24171-2
発行年月 : 2018年10月
判型 : B5
ページ数 : 336

在庫あり

定価11,000円(本体10,000円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文

本書は、若手眼科医、とくに臨床の最前線にいる眼科勤務医・開業医を主対象に、日常診療で知っておくべき知識と最新の話題を厳選して編纂したマニュアルである。各病態・疾患を網羅的に扱いながらも、特に実地医家で必要となる実践的なテーマに絞って解説することで、現場で真に役立つ、「ここが知りたい」「今さら聞けない」疑問に答えるものとなっている。各項目には冒頭に箇条書きで「結論」をまとめ、「診断編」では、フローチャートと表で視覚的に理解しやすいものとした。

第1章 診断編
 I.主訴からの鑑別診断
  A.眼が痛い
  B.まぶしくて困る
  C.眼が疲れる
  D.ものが二重に見える
  E.瞼が下がってきた
  F.眼が乾いて困る
  G.乱視が強いと言われた
  H.目やにがひどい
  I.急に飛蚊症が増えた
  J.ものが歪んで見える
  K.視野の一部が欠けて見える
 II.重要疾患の診断&対応のポイント
  A.緑内障
   1.「眼圧が高いと言われた」どう対応するか?
   2.「検診で乳頭陥凹と言われた」どう対応するか?
   3.OCTは異常であるが視野は正常なときはどうするか?
   4.乳頭低形成と緑内障の見分け方は?
   5.近視眼の緑内障診断は何に注意すればよい?
   6.「緑内障と診断されました,失明するのでしょうか」どう対応するか?
   7.「視野が進行していると言われた」どう対応するか?
   8.隅角の診かた
  B.白内障
   1.「白内障の手術後はよく見えていたのに
   2.「白内障術後感染と診断された」どう対応するか?
  C.前眼部の疾患
   1.眼脂のない充血を見たら?
   2.瞼,眼の縁がかゆい・赤い場合にどうするか?
   3.前眼部OCTの普及
   4.眼表面周囲の腫瘍性病変を見たら?
  D.角膜の疾患
   1.角膜混濁を見たら?
   2.角膜ジストロフィーIC3D分類とは?
  E.ぶどう膜の疾患
   1.前房内細胞や角膜後面沈着物を見たら?
   2.硝子体混濁を見たら?
   3.網膜の滲出斑や血管炎を見たら?
   4.感染性ぶどう膜炎を疑う所見は?
  F.網膜の疾患
   1.「動脈硬化性病変と言われた」どう対応するか?
   2.蛍光眼底検査で何がわかる?
   3.OCTアンギオグラフィーで何がわかる?
  G.涙器の疾患
   1.「涙が止まらない」どう対応するか?
   2.鼻涙管閉塞症はどんな病気?
   3.涙.炎はどんな病気?
  H.眼腫瘍
   1.眼内隆起性病変を見たら?
  I.斜視
   1.「眼の位置がおかしいと言われた」どう対応するか?
  J.神経眼科疾患
   1.眼底に異常所見のない視力低下を見たら?
   2.「瞼が痙攣する」どう対応するか?
  K.小児眼科
   1.子どもの診察のコツ
  L.その他
   1.「正しい点眼方法がわからない」どう対応するか?
第2章 治療編
 A.緑内障
  1.OAGは目標眼圧を設定して治療するって実際どうするの?
  2.狭隅角眼の管理はどのようにしたらよいか?
  3.極早期・早期緑内障ではいつ治療を開始すればよいか?
  4.点眼処方の順番,選択基準は?
  5.緑内障点眼薬の副作用はどこに注意するべきか?
  6.緑内障点眼薬で角膜障害などが起きたときの対処法は?
  7.濾過胞の合併症への対処はどうするか?
 B.前眼部の疾患
  1.ドライアイの新しい層別治療(TFOT)とは?
  2.花粉症・アレルギー性結膜疾患の治療薬の使い方は?
  3.春季カタルはどう治療するか?
  4.眼瞼炎はどう治療するか?
 C.角膜の疾患
  1.角膜内皮細胞が少ない場合は?
  2.円錐角膜に対する角膜クロスリンキングとは?
  3.選択的層状角膜移植(角膜パーツ移植)とは?
  4.人工角膜とは?
 D.ぶどう膜の疾患
  1.非感染性ぶどう膜炎はどう治療するか?
  2.感染性ぶどう膜炎はどう治療するか?
  3.ぶどう膜炎で眼圧が上昇したらどうするか?
  4.ぶどう膜炎で黄斑浮腫が遷延するときはどうするか?
 E.網膜硝子体の疾患
  1.網膜.離の手術適応は?
  2.黄斑疾患の手術治療はどうするか?
  3.眼外傷後の結膜下出血を見たらどうするか?
 F.硝子体外科
  1.黄斑上膜の手術適応は?
  2.硝子体手術とはどのような手術か?
 G.網膜の疾患
  1.網膜静脈閉塞症(RVO)の治療方針は?
  2.加齢黄斑変性はどう治療するか?
 H.糖尿病網膜症
  1.糖尿病網膜症のレーザー治療はどうするか?
  2.糖尿病黄斑浮腫の治療方針は?
  3.糖尿病網膜症に対する硝子体手術の適応は?
 I.涙器の疾患
  1.どうやる涙道ブジー(涙管プロービング)
  2.どうやる涙道内視鏡検査
  3.どうやる涙管チューブ挿入術
  4.どうやる涙.鼻腔吻合術(鼻外法)
 J.眼腫瘍
 K.神経眼科疾患
  1.単神経障害による眼球運動障害とは?
  2.眼瞼下垂はどう治療するか?
  3.ステロイドパルス療法および後療法はどうするか?
 L.感染症
  1.角膜潰瘍はどう治療するか?
  2.術後眼内炎を見たらどうするか?
 M.小児眼科
 N.ロービジョンケア
  1.診断書はどう書く?
  2.補助具について
 O.コンタクトレンズ
  1.遠近両用コンタクトレンズの処方
 P.屈折矯正手術
  1.PRK,LASIK,SMILE,ICLなど屈折矯正手術の特徴と適応
 Q.白内障
  1.屈折乱視を軽減するトーリック眼内レンズの適応と実際
 R.斜視・弱視
  1.斜視・両眼性複視治療の実際
  2.弱視治療の実際
索引

巻頭言

 眼科疾患の診断と治療は、医療機器の歩みとともに日進月歩である。眼科領域の疾患は局所だけでなく全身疾患とも関連が深いものまで、非常に幅広い分野に跨がっており、専門性が求められる一方で広い知識に基づいた診療が求められる。たかだか20年前と比べても、診断に関しては、多くの診断機器が開発され、特にOCTの普及は目覚ましく、かなりの病態がデータ化、画像化されるようになった。治療についても、多くの前眼部疾患や緑内障に対する点眼薬、抗体医薬、分子標的治療薬の開発、低侵襲手術の導入により、患者に多くの福音をもたらすことができるようになってきている。したがって、診断機器と治療法が多岐にわたることにより、疾患と患者の状態に応じた適切な診断と治療の選択が求められるようになった。ところが、日常の一般診療では、様々な患者の訴えから適切な鑑別診断を念頭に置き、素早い診断と治療方針の確立が求められ、時間も限られるなか、「ここが知りたい」「今さら聞けない」ことが、どうしても溜まってしまう。
 そこで、最新情報までアップデートされた眼疾患診断治療マニュアルを作成することにした。診断編では、しばしば聞く主訴からの鑑別診断と、重要疾患の診断と対応のポイントの2部構成である。フローチャートを多用し、診断法と鑑別疾患を容易に整理できるようにし、疾患の治療編と関連させるようにした。そして、治療編では、主要疾患毎に日常多く遭遇する疾患の最新情報と疑問点について解説し、疑問点の結論を要点として一目で把握できるようにした。執筆陣はすべて東京大学医学部眼科学教室の同窓生で、教室内外で実診療にあたり、大学では専門外来で活躍している医師と視能訓練士である。長年当教室は、多岐に及ぶ眼科疾患に対応する必要性から、各分野の専門家を揃えることができ、極めて恵まれた環境にあった。累々と人材を育成して来られた当教室の歴代の教授と先輩方に感謝申しあげたい。もちろん当教室だけではなく日本と世界の眼科医の功績で、珠玉の知識が受け継がれ、また新たに生まれてきたわけである。われわれはそれを整理させていただき、本マニュアルの上梓をもって患者に還元できる機会を得たことに、ただ謙虚に感謝したい。手元に置いてマニュアル代わりに、また手にとって知識の整理に役立てて頂ければ、この上ない喜びである。

2018年9月
東京大学医学部眼科 教授
相原一