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3年目ナースが知っておきたい!ICU重症化回避のワザ83

編集 : 清村紀子/有田孝/山下亮
ISBN : 978-4-524-24156-9
発行年月 : 2019年6月
判型 : B5
ページ数 : 326

在庫あり

定価3,740円(本体3,400円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

患者の重症化を回避し早期回復を促す看護を実践する“ワザ”に焦点を当てた実践書。クリティカルケア看護のエキスパートたちが、エビデンスと実践知をもとに行っているケア技術や管理のポイントを、「重症化回避のワザ」「見逃してはいけないサイン」として提示。ICU3年目以降の中堅看護師が、受け身の看護から一歩前に進み、主体的に看護を実践できるようになる一冊。

第1章 ICU患者の重症化を回避するために看護師ができること
 A ICU患者の特徴
 B ICU患者の重症化回避の目標
 C ICU患者の重症化回避における看護師の役割
第2章 重症化を回避するICUの基本的看護ケアのワザ
 1 清潔ケア
  A 押さえておきたい基本知識
  B 清潔ケアのワザ
  重症化回避のワザ1 呼吸・循環動態が不安定で側臥位が実施できない場合,仰臥位に近い角度での方法を検討する
  重症化回避のワザ2 全身状態をアセスメントしてから清潔ケアの実施を判断せよ!ルーチンで行ってはならない!
 2 口腔ケア
  A 押さえておきたい基本知識
  B 口腔ケアのワザ
  重症化回避のワザ3 分泌物を肺に流れ込ませないためには,(1)カフ上部吸引,(2)カフ圧を20〜30mmH2Oに調節,を行うべし!
  重症化回避のワザ4 舌・歯肉粘膜を傷つけないためには,(1)視野の確保,(2)保湿,を行うべし!
 3 体位調整
  A 押さえておきたい基本知識
  B 体位調整のワザ
  重症化回避のワザ5 患者の状態に合わせて,体位調整の時間や姿勢変化の範囲を調整せよ!
  重症化回避のワザ6 麻痺・拘縮を防ぐポジショニングを実施せよ!
 4 環境調整
  A 押さえておきたい基本知識
  B 環境調整のワザ
  重症化回避のワザ7 ICUでも概日リズムを意識して就寝準備を整える!
  重症化回避のワザ8 患者のための面会を意識してcomfortな人的環境を調整する!
  重症化回避のワザ9 リエゾン医師との情報共有(連携)を強化することが患者の回復促進につながる!
  重症化回避のワザ10 患者の主観を尊重し,睡眠の質を多角的に評価する!
 5 気管吸引
  A 押さえておきたい基本知識
  B 気管吸引のワザ
  重症化回避のワザ11 チューブ挿入の長さは,人工気道先端から末梢気管支に向かって3〜5cm(気管切開時は12〜15cm)程度までとする
  重症化回避のワザ12 吸引圧・カテーテル選択・吸引時間・挿入長さをきちんと守れば,カテーテル挿入時の屈曲閉鎖は必要ない!
  重症化回避のワザ13 咳嗽反射がない患者に対しては,排痰に必要な3要素(重力・痰の粘稠度,呼気流速)をアセスメントし,重力・痰の粘稠度に対するケアを強化する.これらを行いながら,適切なタイミングで気管吸引を実施する
 6 感染予防
  A 押さえておきたい基本知識
  B 感染予防のワザ
  重症化回避のワザ14 VAPに対する早期介入と判断のために,サーベイランスを実施してリスクが高い状態を把握する!
  重症化回避のワザ15 不要なデバイスを早期に抜去するために,留置期間を明確にし,多職種で評価する!
  重症化回避のワザ16 CRBSIを予防するために,末梢静脈カテーテル管理を見直す!
 7 スキンケア
  A 押さえておきたい基本知識
  B スキンケアのワザ
  重症化回避のワザ17 排泄物中の消化酵素だけが失禁関連皮膚炎(IAD)の原因ではない.ケアによる機械的刺激も大きな原因となる.洗浄料を使って何度もこすり洗いするケアは要注意!
  重症化回避のワザ18 医療用粘着テープによって生じるスキン-テアは,リスクアセスメント表を活用してリスク評価せよ!
 8 嚥下ケア
  A 押さえておきたい基本知識
  B 嚥下ケアのワザ
  重症化回避のワザ19 口腔のアイスマッサージで嚥下反射を促す!
  重症化回避のワザ20 とろみ濃度を遵守せよ!
  重症化回避のワザ21 経鼻胃管は嚥下を阻害しないよう斜起させずに8〜10Frの細い管で!
 9 排泄ケア
  A 押さえておきたい基本知識
  B 排泄ケアのワザ
  重症化回避のワザ22 排便時は可能な限り直腸肛門角を一直線に近づけ,自然排便を促す!
  重症化回避のワザ23 用手腹部圧迫法で,患者に怒責圧をかけずに自然排便を促す!
第3章 重症化を回避するICU医療機器管理のワザ
 1 人工呼吸器
  A 押さえておきたい基本知識
  B 人工呼吸器のしくみ
  C 人工呼吸器使用中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン1 バイタルサインの変化
  見逃してはいけないサイン2 オートトリガー
  D 人工呼吸器使用中のワザ
  重症化回避のワザ24 人工呼吸器関連肺傷害(VALIまたはVILI)を予防するために合併症予防アラームを有効利用する!
  重症化回避のワザ25 グラフィックモニタを評価してauto-PEEPを見逃さない!
 2 パルスオキシメータ
  A 押さえておきたい基本知識
  B パルスオキシメータのしくみ
  C パルスオキシメータ管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン3 正常なSpO2値に潜む組織や細胞の低酸素状態
  見逃してはいけないサイン4 正常なSpO2値であるにもかかわらず出現する呼吸困難
  見逃してはいけないサイン5 センサーによる圧迫やセンサーのずれによる測定値の誤差
  見逃してはいけないサイン6 SpO2値のタイムラグ(10.30秒程度)
  D パルスオキシメータ管理のワザ
  重症化回避のワザ26 貧血の患者は,SpO2が正常値でも血液中の酸素が“十分”とは限らない.呼吸数が増加しているときは要注意!
  重症化回避のワザ27 高二酸化炭素血症,発熱時,アシデミアの状態では,SpO2値90%を切る前から早めに低酸素血症に対する治療に備えた準備を始める
  重症化回避のワザ28 SpO2値がずっと100%を示している状態は,高濃度の酸素投与により身体への弊害をきたしたり,異常時の発見が遅れるために要注意!
 3 カプノメータ
  A 押さえておきたい基本知識
  B カプノメータのしくみ
  C カプノメーター管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン7 カプノグラムの波形の変化に潜む異常
  見逃してはいけないサイン8 サンプリングチューブの閉塞
  見逃してはいけないサイン9 PETCO2の上昇・低下
  D カプノメータ管理のワザ
  重症化回避のワザ29 a-EDCO2を定期的に評価し,換気異常を見抜け!
  重症化回避のワザ30 カプノグラムの変化を経時的に観察して,異常の早期発見・対処につなげよ!
 4 輸液ポンプ・シリンジポンプ
  A 押さえておきたい基本知識
  B 輸液ポンプ・シリンジポンプのしくみ
  C 輸液ポンプ・シリンジポンプ管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン10 投与された量に比べて輸液の残量が多い
  見逃してはいけないサイン11 シリンジポンプで設定された量に比べて薬液の残量が少ない
  見逃してはいけないサイン12 アラームが鳴っている
  D 輸液ポンプ・シリンジポンプ管理のワザ
  重症化回避のワザ31 シリンジポンプの流量が1mL/時以下の場合,閉塞アラームはすぐに鳴らない!ライン閉塞,三方活栓,薬液残量を確認せよ!
  重症化回避のワザ32 高カロリー輸液などの粘稠な薬剤を投与するときは,流量制限方式の輸液ポンプを選択すべし!
  重症化回避のワザ33 循環作動薬をシリンジポンプで投与中に薬液の交換をするときは,2台法(並列交換)が望ましい!
  重症化回避のワザ34 ポンプ(輸液・シリンジ)を使用して投与する薬液と自然落下にて投与する薬液を同一ルートで投与しない!
 5 スワンガンツカテーテル
  A 押さえておきたい基本知識
  B スワンガンツカテーテルのしくみ
  C スワンガンツカテーテル管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン13 SQIレベルが3になった!
  見逃してはいけないサイン14 スワンガンツカテーテルの異常波形がみられる
  D スワンガンツカテーテル管理のワザ
  重症化回避のワザ35 測定は胸腔内圧の影響がもっとも少なくなる呼気終末期に行う!
  重症化回避のワザ36 得られた数値は,一時的な数値ではなく経時的変化をとらえる!
 6 IABP
  A 押さえておきたい基本知識
  B IABPのしくみ
  C IABP管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン15 駆動波形からの重要なサインを見逃すな!
  D IABP管理中のワザ
  重症化回避のワザ37 安全にIABPを駆動するために,チェックリストを活用する!
  重症化回避のワザ38 迅速にアラーム対応を行い,トラブルを回避する!
  重症化回避のワザ39 バルーン内圧波形からバルーンの異常を察知する!
 7 PCPS
  A 押さえておきたい基本知識
  B PCPSのしくみ
  C PCPS管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン16 脱血管が震えている
  見逃してはいけないサイン17 回路から「キュルキュル」と異常音がする
  見逃してはいけないサイン18 回路や人工肺の血液の色にムラがある
  見逃してはいけないサイン19 人工肺に水滴,泡が出ている
  D PCPS管理中のワザ
  重症化回避のワザ40 PCPS管理中は,起こりえるトラブルを理解しておくことがトラブル回避の近道!
  重症化回避のワザ41 回路内の圧の変化に気づき,早期に対応する!
 8 血液浄化
  A 押さえておきたい基本知識
  B 血液浄化のしくみ
  C 血液浄化管理中の見逃してはいけないサイン
  見逃してはいけないサイン20 破損,接続外れ
  見逃してはいけないサイン21 圧異常
  見逃してはいけないサイン22 バスキュラーアクセスヘパリンロック時の血栓吸引
  D 血液浄化管理中のワザ
  重症化回避のワザ42 汚染物質の投与や回路内の空気混入を予防する!
  重症化回避のワザ43 使用製剤の種類を確認して電解質バランスやアルブミン,凝固因子の変化を予測する!
  重症化回避のワザ44 空気混入アラームは安易に解除してはいけない.アラーム解除の前に患者体内への空気流入予防措置を講じよ!
第4章 重症化を回避するICU患者管理のワザ
 1 人工呼吸器管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 人工呼吸器管理中のワザ
  重症化回避のワザ45 換気困難時にはDOPEを評価し,異常の早期発見に努めよ!
  見逃してはいけないサイン23 呼吸音に左右差がある・突然のSpO2値の低下
  重症化回避のワザ46 頻呼吸のなかでも,呼吸筋疲労が原因で起こる“浅くて速い呼吸”を見逃さない!
  重症化回避のワザ47 人工呼吸器管理中のケアによる低酸素血症を回避せよ!
 2 酸素療法中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 酸素療法中のワザ
  重症化回避のワザ48 低流量システムで酸素を投与するときは,「患者の呼吸パターンによる吸入酸素濃度の変化」をアセスメントする!
  重症化回避のワザ49 高流量システムで酸素濃度を変更する際は,酸素濃度の調整ダイヤルだけでなく,酸素流量も変更する!
  重症化回避のワザ50 リザーバー付き酸素マスクでは,顔とマスクを密着させ,リザーバーバッグの動きに注目せよ!
 3 栄養管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 栄養管理中のワザ
  重症化回避のワザ51 栄養状態=アルブミンの常識は捨てて,各種評価ツールをフル活用せよ!
  重症化回避のワザ52 経静脈栄養中に出現する意識障害は頭蓋内病変とは限らない.栄養管理中の合併症,ウェルニッケ脳症や高アンモニア血症も念頭に置いて!
 4 輸液管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 輸液・薬剤管理中のワザ
  重症化回避のワザ53 患者状況を速やかに判断し,ショック状態を見極める
  重症化回避のワザ54 視診・触診や動脈ラインの呼吸性変動から体液量不足を察知する!
 5 カテーテル管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B カテーテル管理中のワザ
  重症化回避のワザ55 カテーテル類の整理やルート管理を工夫し,自己(事故)抜去を予防せよ!
  重症化回避のワザ56 表示された血圧を信じる前に,トランスデューサの位置を確かめるべし!
 6 ドレーン管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B ドレーン管理中のワザ
  重症化回避のワザ57 排液が急に増減したときの原因を探る方法を知っておくべし!
  重症化回避のワザ58 チューブ内に排液を貯留させない!
  重症化回避のワザ59 陽圧呼吸管理をしている気胸患者の胸腔ドレーンにおいて,ドレナージシステムだけでの安易な判断は異変を見逃す可能性があるので注意する!
  重症化回避のワザ60 膵・膵臓周囲の臓器手術の際は,膵液漏に要注意!
  重症化回避のワザ61 穿孔患者の場合,開腹時の汚染状況を医師に確認すると術後経過を想定しやすい
 7 鎮痛・鎮静管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 鎮痛・鎮静管理中のワザ
  重症化回避のワザ62 警告信号としての痛みでないことをアセスメントする!
  重症化回避のワザ63 鎮痛薬が効かなくなる前に,痛みの閾値を上昇させるべし!
  重症化回避のワザ64 看護のチカラで,浅い鎮静・1日1回の鎮静中断を成功させる!
 8 血液浄化療法中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 血液浄化療法中のワザ
  重症化回避のワザ65 血液不均衡症候群の症状が出現したら,透析効率を下げるべし!
  重症化回避のワザ66 血液浄化療法中は,心房性期外収縮(PAC)の発生頻度をチェックし,心房細動を防ぐ!
  重症化回避のワザ67 ブラッドアクセス異常のアラームは,患者側の問題・回路の問題・カテーテルの問題に分けて考えよ!
 9 補助循環装置(IABP/PCPS)管理中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B 補助循環装置管理中のワザ
  重症化回避のワザ68 IABPカテーテル内に血液が付着したら緊急抜去を検討せよ!
  重症化回避のワザ69 IABP使用中に尿量が減少したら,バルーンの位置のズレを確認せよ!
  重症化回避のワザ70 PCPS中にSpO2値が変化したら,自己の心拍出量の出現を想起せよ!
  重症化回避のワザ71 PCPS中にカテーテル挿入側の下肢が腫脹した場合,循環改善を図る!
 10 リハビリテーション中の患者管理
  A 押さえておきたい基本知識
  B リハビリテーション中のワザ
  重症化回避のワザ72 リハビリテーションに取り組むのは患者自身.患者が主体的に取り組めるよう心理的に支援せよ!
  重症化回避のワザ73 看護師は多職種で最適なリハビリテーションを実現するための「調整役」.リハビリテーションの適応の判断と準備を高める援助をせよ!
  重症化回避のワザ74 患者の安全・安楽に配慮するために,五感をフル活用し観察せよ!
第5章 事例にみる重症化を回避するワザ
 1 呼吸不全:肺炎からARDSにいたり,呼吸不全となったAさん
  A 押さえておきたい基本知識
  B Aさんの事例に対する患者管理のワザ
  重症化回避のワザ75 分泌物の貯留があるときは,加温・加湿管理を適切に行い体位ドレナージや腹臥位療法を早期に開始する!
  重症化回避のワザ76 ARDSに対する体液管理は,動的指標を評価しながら行う!
 2 心不全:僧帽弁閉鎖不全症(MR)による慢性心不全のBさん
  A 押さえておきたい基本知識
  B Bさんの事例に対する患者管理のワザ
  重症化回避のワザ77 LOS(low output syndrome)の増悪兆候を見逃すな!
  重症化回避のワザ78 心房細動は早めに洞調律にさせるべし!
 3 意識障害:脳出血によって意識障害を起こしたCさん
  A 押さえておきたい基本知識
  B Cさんの事例に対する患者管理のワザ
  重症化回避のワザ79 Cさんの頭蓋内圧亢進の症状出現に注意する!
  重症化回避のワザ80 寝ているようにみえても,呼吸状態やバイタルサインのモニタリングで,意識障害を早期発見することができる!
 4 術後:膵頭十二指腸切除術後のDさん
  A 押さえておきたい基本知識
  B Dさんの事例に対する患者管理のワザ
  重症化回避のワザ81 術後出血・膵液漏・胆汁漏を,総合的にアセスメントする
  重症化回避のワザ82 Dさんの血糖変化に注意する
 5 せん妄:術後にせん妄を発症したEさん
  A 押さえておきたい基本知識
  B Eさんの事例に対する患者管理のワザ
  重症化回避のワザ83 せん妄のリスクファクターに応じたアプローチをとる!
索引

はじめに

 クリティカルケア看護の第一義的目的は、“いのちを護り、その人らしく生きることを支える”ことにあります。本書は、ICUでのクリティカルケア看護において“攻めの看護”を行うための実践書です。
 ICUに入室する患者は、病態の重症度・緊急度が高いことに加え、現在の人口動態や医療の高度化といった社会的背景から、高齢による予備能力の低下や、複数の慢性疾患を有し病態が複雑化しやすいという特徴があります。このことから、ICUにおけるクリティカルケア看護の鍵は、(1)病態の重症化をいかに回避できるか、(2)重篤な状態の患者の早期回復をいかに促せるか、の2点にあると言えます。この2点はいずれも患者のQOLに直接的に影響を及ぼす重要なファクターでもあります。
 一方、ICUに勤務する看護師が非常に重要な役割を担う中、集学的治療が行われる集中治療の場においては、膨大な知識の修得と新しい情報のアップデートに追われ、病態・医療機器・治療・看護の本質的な考え方やメカニズムの理解が十分でないまま、表面上の知識で対応せざるを得ない、といった課題があるのも事実です。
 そこで本書では、ICUで実践される基本的看護ケア(第2章)、医療機器管理(第3章)治療状況に応じた患者管理(第4章)、病態に応じた患者管理(第5章)について、まず、(1)わかっていそうでわかっていない本質的な知識・根拠、を解説します。そのうえで、クリティカルケア看護のエキスパートが豊富な知識(根拠)と実践知を基に行っている(2)重症化回避および早期回復へ向けたケアの“ワザ”、を提示します。本書の中には、皆さんの日頃の実践に確信や自信を与える知見、あるいは新たな発見・ヒントがちりばめられています。特に、ICU看護の基本を修得したICU勤務経験3年目以降の看護師の皆さんに活用いただけるものと思います。
 本書が、皆さんの今までの、そして今後の経験を確実な形式知として積み重ねていくためのツールとしての役割を果たすとともに、患者の重症化を回避し早期回復を促す、“攻めの看護”に貢献できたら幸いです。
 最後になりますが、本書刊行にあたり、執筆者の方々には微細にわたって内容の吟味・確認をいただき、さらに最後まで多くのリクエストにお応えいただきましたことに対し、心より感謝申し上げます。また、企画から編集に至るまで緻密にご支援いただきました南江堂出版部の皆様に心より感謝いたします。

2019年5月
企画者・編集者を代表して
清村紀子

9784524241569