書籍

腎疾患・透析最新の治療2023-2025

編集 : 山縣邦弘/南学正臣
ISBN : 978-4-524-23369-4
発行年月 : 2023年1月
判型 : B5
ページ数 : 400

在庫あり

定価9,900円(本体9,000円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

3年ごとの定期刊行で,腎臓内科医・外科医・泌尿器科医・透析医および一般臨床医のために,腎疾患治療・透析の最新情報と治療方針を掲載.巻頭トピックスでは,「今後の腎糸球体疾患治療薬の動向」「保存的腎臓療法(conservative kidney management)」「腎疾患対策の国際連携」など注目のテーマを11題取り上げた.疾患ごとに診断確定後の基本的治療方針から,薬物療法,透析療法導入のタイミングおよび注意点,患者管理,生活指導について整理されており,最新の治療の要点を網羅.

巻頭トピックス
 1.腎臓病の遺伝子診断の現状
 2.CKD戦略研究(FROM-J10)とその後
 3.良性腎硬化症は透析導入原疾患になるのか?
 4.今後の腎糸球体疾患治療薬の動向
 5.interventional nephrology
 6.保存的腎臓療法(conservative kidney management)
 7.腎難病データベースの構築と今後
 8.AIの腎臓病診療での応用
 9.腎生検病理診断へのmass spectrometryの応用
 10.腎臓のオルガノイドと再生
 11.腎疾患対策の国際連携

T 腎疾患に伴う緊急時の症候と対処法
 1.乏尿・無尿・尿閉
 2.浮腫(心疾患/肝疾患を合併した場合)
 3.尿毒症の症状と対症療法
 4.電解質の異常:カリウム(K)異常
 5.電解質の異常:ナトリウム(Na)異常
 6.電解質の異常:カルシウム(Ca)異常
 7.酸塩基平衡の異常:緊急対応が必要な酸塩基平衡異常
 8.急激な血圧上昇 
 9.ショック

U 治療方針・治療法
A 一次性糸球体疾患
 1.微小変化型ネフローゼ症候群:小児
 2.微小変化型ネフローゼ症候群:成人
 3.巣状分節性糸球体硬化症
 4.膜性腎症
 5.IgA腎症(成人):予後からみた臨床・病理学的分類と治療原則
 6.IgA腎症(成人):ステロイド療法の適応と実際
 7.急性糸球体腎炎(溶連菌感染後急性糸球体腎炎)
 8.膜性増殖性糸球体腎炎(C3腎症を含む)
 9.急速進行性糸球体腎炎
 10.無症候性血尿・蛋白尿(良性家族性血尿)
B 全身性疾患に伴う糸球体疾患
 1.ループス腎炎
 2.紫斑病性腎炎:小児
 3.紫斑病性腎炎:成人
 4.抗GBM病(Goodpasture症候群)
 5.感染症に伴う糸球体病変
 6.アミロイド腎症
 7.多発性骨髄腫に伴う腎症
C 代謝異常に伴う腎疾患
 1.糖尿病性腎臓病:早期〜顕性蛋白尿期における治療原則
 2.糖尿病性腎臓病:晩期糖尿病性腎臓病の管理と注意点の実際
 3.痛風腎
D 血管系疾患における腎病変
 1.高血圧性腎障害(腎硬化症,加速型-悪性高血圧)
 2.腎血管性高血圧症
 3.強皮症腎クリーゼ
 4.血管炎に伴う腎症(ANCA関連血管炎)
 5.血栓性微小血管症(HUS,aHUS,TTP)
 6.血液凝固異常に伴う糸球体病変:抗リン脂質抗体症候群
 7.加齢による腎臓の機能変化
E 尿細管疾患
 1.急性尿細管間質性腎炎
 2.尿細管性アシドーシス
 3.Dent病,Fanconi症候群
 4.Bartter症候群,Gitelman症候群,Liddle症候群
 5.尿崩症
F 遺伝性疾患
 1.Alport症候群
 2.多発性囊胞腎
G 泌尿器科領域の注目すべき疾患と治療の進歩
 1.尿路感染症
 2.水腎症
 3.膀胱尿管逆流
 4.尿路結石
 5.腎腫瘍
 6.前立腺疾患(前立腺肥大症,前立腺がん)
 7.膀胱がん
 8.神経因性下部尿路機能障害(神経因性膀胱)
H 保存期腎不全
 1.急性腎障害:概念と病期分類(「KDIGOガイドライン」から)
 2.急性腎障害:バイオマーカー
 3.急性腎障害:中毒性腎症(薬剤性腎障害)
 4.慢性腎臓病:腎機能保持を目指した薬物療法(「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」から)
 5.慢性腎臓病:腎機能保持を目指した食事療法
 6.慢性腎臓病に対するチーム医療
 7.慢性腎臓病:心血管系合併症対策

V 透析療法
A 透析導入
 1.透析導入前患者教育の有効性とその具体的な方策
 2.透析患者の生命予後規定因子および患者数予測
 3.透析導入と非導入の考え方
B 血液透析
 1.透析処方の指標
 2.血液透析患者の血圧の管理と治療
 3.貧血管理の実際
 4.在宅血液透析の進歩
 5.バスキュラーアクセスの管理と修復
C 腹膜透析
 1.腹膜透析の課題
 2.腹膜透析+血液透析併用療法
D 長期透析の合併症治療
 1.長期透析患者における心血管系合併症対策
 2.CKD-MBD:概念と管理の実際
 3.多発性囊胞腎患者の動脈塞栓療法
 4.心理的問題:サイコネフロロジーのかかわり
E 急性血液浄化/その他
 1.多臓器不全症候群(MODS)の病態と治療
 2.腎疾患でのアフェレシス療法の実際とエビデンス

W 腎移植
 1.腎移植の動向
 2.免疫抑制薬の進歩と使用法
 3.腎移植後再発糸球体腎炎の管理
 4.腎移植慢性拒絶反応への対応

X 治療上の注意点,患者指導
 1.保存期・透析期慢性腎不全患者への運動指導の実際
 2.高齢者に対する腎代替療法・治療上の注意点
 3.糖尿病透析患者の管理
 
Y 薬剤の使い方
 1.ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と糖尿病性腎臓病 
 2.Nrf2刺激薬とAlport症候群
 3.HIF-PH阻害薬
 4.SGLT2阻害薬とインクレチン関連薬
 5.C5a受容体阻害薬

付録 腎疾患の診断基準・重症度・病理分類
 1.小児ネフローゼ症候群
 2.成人ネフローゼ症候群
 3.巣状分節性糸球体硬化症
 4.膜性腎症
 5.IgA腎症
 6.膜性増殖性糸球体腎炎
 7.急速進行性糸球体腎炎
 8.ループス腎炎
 9.紫斑病性腎炎
 10.アミロイド腎症
 11.糖尿病性腎臓病
 12.痛風腎
 13.悪性腎硬化症
 14.強皮症腎クリーゼ
 15.HUS,TTP
 16.急性腎障害(AKI)
 17.慢性腎臓病(CKD)

 ここに『腎疾患・透析最新の治療2023-2025』の発刊を迎えることができた.2025 年といえば,戦後のベビーブーマー世代が75 歳を超えて後期高齢者の仲間入りをし,日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢社会」となり,社会構造や体制が大きな分岐点を迎え,わが国の医療にとって重大な負荷が加わる時期に突入するとされてきた.また2020 年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックは,様々な科学技術,医療技術の進歩がなされた中でも,100 年前のスペイン風邪の襲来と同様の展開を見せ,感染症対策が災害医療対策に等しく,その重要性を強く気づかせることになった.このような大きく社会変革が求められる2 つの事象が,一方はじわじわと押し寄せるのと同時に,もう一方は突如襲いかかることを目の当たりにする時期でもあった.
 本書のテーマである腎疾患・透析医療においては,未だ増加を続ける末期慢性腎不全患者において,透析療法を経ずに腎移植を受けるpreemptive kidneytransplantation (PEKT)患者数の増加や,慢性腎不全患者の高齢化に伴い透析療法を受けずに保存的療法を選択する患者数の増加などにより,従来の新規透析導入患者数の推移では腎不全の全体像を把握することが困難になってきた.このような中で慢性腎臓病・糖尿病性腎臓病を適応疾患とする薬剤の新規開発,糸球体腎炎の原因や病態に対する画期的治療ともいえる分子標的治療薬の臨床応用など,腎疾患治療において新たな光明ともいえる新規治療の開発が実現される時期にさしかかり,今後の展開が期待される.
 本書は腎臓,透析領域における病因,病態や治療法の最新情報とともに,このような腎臓病領域における内科,小児科,泌尿器科にかかわる社会医学,臨床医学,基礎医学の成果,課題と新たなトピックスをコンパクトにまとめた1冊となっている.これまで,初期研修医〜後期研修医および一般臨床医の皆様から大変な好評を得て,版を重ねることができ,2002-2004 年版の初版から8巻目となった.
 今回の「巻頭トピックス」では,基礎研究から臨床研究における進歩の他,腎臓病学における情報工学的手法の重要性を示唆する新たな展開に触れ,近年注目される話題を網羅することができた.本書が読者諸兄姉の日々の臨床の一助となることを祈念する.

2022年12月
編 者

腎臓病,透析療法についての最新情報が網羅された良書

 本邦では高齢化・長寿化の進行に伴って腎臓病患者が増加しており,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)をもつ国民は1,300万人を超える.まさに国民病ともいえよう.それゆえ,内科のみならず,臨床各科で腎障害やCKDを合併した患者を診ることが日常化している.
 本書の特徴は臨床医のニーズに応えるべく,治療に重点を置いていることである.各項目の冒頭に症候・疾患などに関する解説が簡潔にまとめられているため,全体像をつかむことができる.また,診断方法や必要な検査についても無駄なく簡明にまとめられている.治療法については,見出しに「具体的な」と記されているとおり,実用的な記載であり,ベッドサイドでもすぐに活用できる内容である.さらに,単に治療法を紹介するだけでなく,その成績についても記されており,治療法選択の一助となる.専門医のみならず,かかりつけ医や他科の医師も想定して,専門医へのコンサルトが必要なケースについても記されている.
 腎臓病の予防および重症化抑制は国策の一つでもある.腎臓病を克服するためには全国に良質な腎臓医療を普及し,均てん化する必要がある.一方で,腎臓専門医の数は全国的にみれば十分とはいえない.本書を座右に置くことで,あたかも頼りがいのある腎臓・透析専門医が隣にいるかのように,安心して診療に取り組むことができよう.腎臓病の克服につながる本書の刊行を歓迎したい.
 2002年に初版が刊行され,本書が第8版に相当する.進歩の著しい医学・医療分野において,必要な情報を適切に提供するためには,このスピード感が必要である.専門医ですら,その領域の最新情報をキャッチアップすることは容易ではないが,コンパクトにまとめられた本書によって,腎臓・透析領域の最新情報を遺漏なくアップデート可能である.
 本書を研修医,専攻医,腎臓専門医だけではなく,多くの医師に推薦したい.本書が活用されることで,全国において腎臓病・透析医療の質が向上し,健康寿命の延伸に寄与することを期待したい.

臨床雑誌内科133巻5号(2024年5月号)より転載
評者●柏原直樹(川崎医科大学高齢者医療センター 病院長/特任教授)

9784524233694