最強巻き爪矯正テクニック
基礎からスゴ技まで徹底解説!
著 | : 野田弘二郎/野田真喜 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-22962-8 |
発行年月 | : 2022年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 120 |
在庫
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
巻き爪治療専門のクリニックを開業する著者が施術件数40,000件超の豊富な経験をもとに執筆した,巻き爪治療書の決定版.特に超弾性ワイヤーを使用した矯正法については,豊富な写真,動画,そして著者の熱意あふれる記述によりそのテクニックをまさに手取り足取り余すところなく詳述しており,巻き爪患者に即対応できる内容となっている.皮膚科医・形成外科医はもちろんのこと,整形外科医やネイリストなど,爪のケアや治療に携わるあらゆる職種の人に役立つ一冊.
第1部 巻き爪治療 AtoZ
1.巻き爪を理解する
1 爪の構造
・爪甲(nail plate)
・爪甲遊離縁(distal free edge)
・イエローライン・黄線(yellow line)
・爪根部(root)
・爪洞(sinus, nail pocket)
・爪床(nail bed)
・爪母(nail matrix)
・爪半月(lunula)
・爪郭(nail fold)
・爪溝(nail groove)
・爪上皮(cuticle, eponychium)
・爪下皮(hyponychium)
2 爪に関する基礎的知識
・爪の機能
・爪の伸びる速さ
・爪の組成
3 巻き爪とは
4 巻き爪の疫学(当院を受診する巻き爪患者の特徴)
5 巻き爪の原因
・周囲からの圧迫
・爪・指(趾)の形状
・荷重の不足母趾
・他の疾患の合併症
6 巻き爪の分類
・C型
・ステイプル型
・I型
・トランペットネイル
・折り返し型
・デルタ型
7 合併する爪病変
・爪白癬
・掌蹠膿疱症
8 巻き爪と間違われやすい病変
・爪甲の生え替わりに伴う陥入爪
・爪甲鉤弯症
・後爪郭部爪刺し
・爪下外骨腫
・グロームス腫瘍
COLUMN 超弾性ワイヤー矯正術中のMRIは安全か?
2.巻き爪治療法の選択
1 治療適応の決め方
2 治療法選択の仕方
3 巻き爪治療の種類
4 患者の希望に対応するために(治療の選択肢を増やすために)
3.矯正以外の保存的治療を知る
1 ガター法
2 アクリル人工爪
3 肉芽焼灼
COLUMN 炭酸ガスレーザーによる爪甲形成
4 テーピング
5 コットンパッキング
6 内服・外用療法
7 清潔・安静
4.矯正法を知る
1 超弾性ワイヤー
2 VHO法(3TO法)
3 ショールマキヅメクリップ
4 B/Sブレイス(B/Sスパンゲ)
5 巻き爪マイスター
5.手術の実際
1 手術的治療慎重論の検証
2 手術的治療の種類と使い分け
3 当院で行っている手術的治療
・爪甲側縁切除術(いわゆる部分抜爪)
・部分的Zadik法
COLUMN 指局所麻酔薬へのエピネフリン添加
COLUMN 爪周辺手術のための局所麻酔手技
第2部 私のオススメ 超弾性ワイヤー矯正
1.超弾性ワイヤー矯正の実際
1 ワイヤー素材の物理学的特性
2 超弾性ワイヤー矯正の特徴
3 治療スケジュール
4 治療前説明
5 診療録の記載
6 写真による記録の重要性
7 必要な器具
8 初回矯正
9 ワイヤーチェック(矯正開始1週間前後)
10 ワイヤー入れ替え(初回6週後,2回目12週後,3回目18週後)
11 矯正の終了:ワイヤーオフ
12 再発対策と指導
13 矯正強度の選択
14 母趾以外の巻き爪をどう矯正するか:母趾以外の趾,手指
2.超弾性ワイヤー法のトラブルシューティングと治療困難症例への対応
1 矯正中に起きる爪の変化とトラブルシューティング
・ワイヤーの脱落
・爪甲内層の長軸方向の亀裂
・爪甲の短軸方向の亀裂,欠損
・隣接2趾の痛み,出血
・接触皮膚炎
・爪甲剥離と爪下血腫
・側爪郭の痛み
・爪溝〜爪下の角質塊
・遠位部での爪甲ベンディング
・後爪郭の圧痛
・爪の段差,コブ
・剥離した爪甲の密着化
・ミュルケ線(Muercke's lines)
2 矯正困難例への対処法
・厚く硬い爪,強い爪の矯正
・トランペットネイルの矯正
・フリーエッジが短い爪の矯正
・肉芽を伴う高度炎症がある爪の矯正
・薄く割れやすい爪の矯正
・強い恐怖を感じている患者,痛みを強く訴える患者の爪の矯正
COLUMN 歯の矯正と巻き爪矯
3.症例集
症例1 通常の症例(61歳女性)
症例2 トランペットネイルと肥厚を伴う症例(55歳女性)
症例3 肉芽を伴う症例(59歳女性)
COLUMN スポーツと巻き爪
COLUMN 超弾性ワイヤーとツールキット販売のご案内
「おわりに」にかえて
はじめに
器具を使った巻き爪の非手術的治療は19世紀末頃から無数の方法が試みられてきました.どれも効果が不十分であったり,適応が狭いあるいはデバイスが嵩張るなどの問題から考案されては消えていき,手術に代わって治療の主流となることは決してありませんでした.行き詰まりの状況が続く中,1999年に町田英一博士により初めて超弾性ワイヤーによる巻き爪矯正治療「マチワイヤー法」が発表されます.ニッケルチタン合金の超弾性に着目し,爪甲に開けた小孔を通したワイヤーの弾性力により巻き爪を矯正治療するというアイデアは,画期的で素晴らしい治療結果をもたらしました.100年以上に渡るトライアルアンドエラーの歴史の中でこの方法を見い出した町田博士は,正に慧眼の士と言えます.手術以外の効果的な巻き爪治療が実用化されたことは,それまで処置の痛みで苦しんできた患者さんにとって大きな福音となりました.
しかしこのように優れた方法であるにもかかわらず,本法の普及は期待されるほど進まず,未だ誰もが近隣の医療機関で手軽に受けられるという状況にはなっておりません.
これは健康保険の適用になっていないからというだけではなく,本法がシンプルな方法ながら安定的に良い治療結果を得るためには相応のスキルの習得と経験を必要とすることにあります.この点で手術と類似していますが大きく異なるのは,そのスキルを教育機関で学ぶ機会がなく,詳細な解説書も存在しないところであり,習得のためには限られた論文やネット上のわずかな情報を頼りに手探りで取り組むしかありませんでした.
我々は,4万件以上の超弾性ワイヤー矯正による巻き爪矯正の経験から得られたノウハウを詳細なマニュアル本として公開することで,本法の普及の一助にならないかと考え本書を企画しました.書籍中には爪の基礎的知識,巻き爪の治療法全般,超弾性ワイヤー矯正手技とそのトラブルシューティングといった施術をする上で必須となる情報を網羅しました.また多くの写真,図版や動画を交えてできるだけわかりやすく具体的に伝えられるよう努力しました.さらに本書をお読みいただいた読者の皆さんがすぐに施術を始められるように,書籍中で使用した器具や消耗品の紹介とその入手先を巻末に付記しました.
読者の皆さんの施術によって,巻き爪に悩む多くの患者さん達を笑顔にするお手伝いができれば幸甚の至りです.
令和4年2月吉日
医療法人社団ソシエテ・ブロンシュ 神楽坂 肌と爪のクリニック
野田弘二郎 野田真喜
推薦の序
本書は,巻き爪治療について詳述し,出版された初めての本であろう.4万件以上の施術の経験からの執筆で,正に秀逸とも言える本である.
昔はこの爪の変形を爪刺,弯曲爪,巻き爪,陥入爪などと呼び,定義すらバラバラであった.勿論,治療法,治療結果もまちまちで再発も多かった.
本書は内容を巻き爪に統一し,その基礎的事項から解き明かし,巻き爪の何たるかを説明し,さらに各種治療法を詳述し,カラー図を豊富に取り入れ,著者法を丁寧に説明した名著である.
本書の著者は大学病院にて形成外科をすべてマスターされ,形成外科専門医となり,大学病院で長く教鞭をとられ,その後自らの夢を果たす目的で爪専門のクリニックを開業された.かかる狭い範囲の疾患で開業した医師は世界でおそらく最初で唯一の人であろう.
著者は,爪の治療で得られた広い知識と優れた技術の上に,今回は巻き爪に焦点を絞り本格的に深く研究され,巻き爪の治療法を完成され,そのすべてを本書に纏められている.爪に興味のある方は本書を熟読されれば,必ずや役に立つ筈である.それほど立派な本である.
エステ関係のネイルサロン,スキンケアの店で非医学的に巻き爪を手がけているところがあるが,その結果は推して知るべしで,大学病院で再治療となるケースが多い.
著者には今後,益々医学的に研究を続けられ,さらにより良い治療法を完成されることを祈って止まない.
昭和大学名誉教授 鬼塚卓彌